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3章
毒を食らわば月まで※
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1年が過ぎた。俺は10代最後の歳となった。
夫人からの全ての引き継ぎを終えて、俺とグウェンは本邸へ移ることになった。これで正式にグウェン公爵当主、俺は公爵夫人という立場になった。
今日は学園で進路相談役として、相談室に待機していた。予約などは無いため、生徒は突然やってくる。予約制にするとハードルが上がり、生徒が気軽に来れなくなってしまうと思った。
俺は主に、学園での悩み相談を引き受けていた。進路よりはその方が悩みが多いらしい。貴族がいけ好かない、庶民が話しかけてくる。など、やはり本当の意味で学園が機能するまでの壁は厚いようだった。
「ノア先生、聞いてくれてありがとね」
「うん、また何かあればいつでもどうぞ」
この生徒の悩み相談は騎士になるように父に言われてるけど、本当は文官になりたいというものだった。色々話を聞いて、最終的に分かるまで話し合うという結論になった。
生徒は部屋を出たので、固まった身体を解すため、伸びて息を吐く。
すると、扉からノックの音が聞こえてきた。生徒かと思い、はーいと軽く返事を返す。
「あれ、グウェン」
扉が開くと、生徒ではなくグウェンが立っていた。いつもの黒衣を纏っており、俺はこの黒衣の下に逞しいほどの筋肉が隠れているのを知っていることが少し優越感を感じる。
「今日授業だったの?」
「ああ、騎士コースのな」
グウェンは忙しい合間を縫って、騎士コースの座学の一部を担当していた。授業が終わってから来たのだろう。
「お茶でも飲む?」
「……」
俺はグウェンの為にお茶を準備しようと立ち上がり、ポットを取り出そうと棚の前に立つ。
グウェンに背中を向けていると、扉からカチリと施錠の音がする。
「へ、なんで閉めたの……」
後ろを振り返ると、思ったよりも近くにグウェンがいることに驚いた。
彼の口端がほんの少し上がっていて、瞳がギラついていることに気がつく。
俺は一瞬、身体からゾクリとしたものを感じる。
「え、ちょっ……ここ、学園で、生徒も、いる……んっ」
しどろもどろと言い訳を言うが、グウェンに顎を手で持ち上げられて唇を塞がれた。
「んっ……ぁ、んんっ…」
「一回だけだ」
「いや、一回もなにも、んっ」
舌をねじ込まれ、グウェンの両手で棚を使って囲いこむようにしていて、俺は逃げられなかった。
「んふ、ん…ぅ」
口内を好き勝手蹂躙してくるグウェンの舌が、俺の身体を快感へ追い立てる。
ここは学園で、生徒もいて、俺は相談役として雇われていて、グウェンも先生として来ていて、なのにこんなみだらな行為をしている。
ダメなのに、いけないことなのに。
まるで、まだグウェンがレイの婚約者だった時の感覚が俺を興奮させてくる。
「ん、だめ…あ、んん……」
口でダメと言っても、グウェンにキスをされると何も抵抗できない。いや、していない。
口内ではグウェンの舌を誘い込むように自分の舌を絡ませていた。
「ぁ……は、んぅ」
鼻で呼吸するだけでは間に合わず、唇が離れた時に息を整えようとする。しかしグウェンはお構い無しにもう一度口付けをしてきた。
いけないことと分かっているのに、俺は既にグウェンがくれる快楽に酔っていた。
気持ちよくて、キスだけで自分の屹立が痛いほどに反応していた。
「こんな所で、こんな風になるのか」
「っあ、はぁ、ぁ……グウェンが、するから……」
俺は恥ずかしくなって俯いた。顔は火照って、身体も熱くなっていた。
「ノア、どうしたい?」
なのにグウェンは意地悪を言う。俺の身体はもう、求めている。この眉目秀麗で、逞しい身体で、凶悪なまでの剛直が与えてくる快楽の波を。
俺はグウェンの首に腕を回し、自分から口付けをした。
「…グウェン、ちょうだい……」
グウェンにそう言うと、貪るようなキスをされた。
「んっ!……ふ、んぅ……んん」
キスだけで達してしまいそうなほど、口内で暴れ回るグウェンの舌に感じている。ここが神聖な学び舎であることは頭では分かっているのに、身体は言うことを聞かない。
あの天才な割に勉学に真面目なレイがこの事を知ったら、ドン引きして怒られそうだなと思う。
「…余所見とは、余裕だな」
「っは、ん!んん!」
グウェンに突然屹立を握られる。その刺激だけでまた達してしまいそうだった。恥ずかしいほどグウェンに腰を当てていたことに気づく。
「ここじゃ危ないから、こっちだ」
そう言って、窓からも死角になるソファに横たわった。グウェンは覆い被さるようにソファに乗り上げると、ギシ、と音を立てる。
「んっ、も、はやく、グウェン。はやく」
「…いけない先生だな」
俺は早くグウェンが欲しくて堪らなかった。前戯がなくては傷つくのは自分なのに、もう待てないほど興奮しきっていた。
腰が勝手に浮き上がり、体をよじる。その淫乱な様子にグウェンの喉が上がったのを見て、グウェンも興奮しているのが分かる。
グウェンはぐ、と堪えた表情をした後、俺の口に自分の指を入れてきた。
「はむ…ぅ、んぅ……ぁ」
俺は抵抗なくグウェンの指をぴちゃぴちゃと舐めそぼった。指ですら口内を刺激してくる。しばらく舐めたあと、ちゅぽ、と指を抜かれた。
指はそのまま、いつの間にか脱がされていた下半身に向かう。指が俺の蕾に到達して、1本だけゆっくり、くちゅ…と音を立てて入り込んできた。
「んっ、……ん、ん、ぁ」
入口を少しずつ拡張するような指の動きなだけなのに、腰が疼いて仕方なかった。グウェンも同じ気持ちなのか、いつもの執拗いまでの前戯とは違い、すぐに2本、3本と入れて拡張してきた。
「あ、も、もうまてない……グウェン、はやくっ」
息も絶え絶えに切らしながら、グウェンを求める。俺はグウェンの剛直があるズボンのベルトに手をかけた。手が震えていて、上手くベルトを外せなかった。結局グウェンが自分で外して、ズボンをズラして剛直が出てきた。
「ぁ……すごい、おっきぃ……」
「ノア、声気をつけろ」
言われて、また思い出す。そうだ、ここは学園だ。鍵は閉めたが、声が大きくなれば誰かに気づかれてしまうかもしれない。バレたら終わる。
けど、もうその綱渡りは、自分の興奮を昂らせるだけだった。口を自分で抑えながらこくこくと頷く。
グウェンは俺の後孔に剛直をぴたりと当て、勢いよく突き刺した。
「~~~~っんんんん!!!」
チカチカと昼間なのに星が見える。 中でみっちりと詰まったグウェンの剛直を、性急な前戯だったにも関わらず、俺の中は素直に受け入れていた。
腰がガクガクと勝手に動くと、中もその動きに合わせて擦れる。それもまた気持ちよくて、俺は何が何だか分からなくなるほどに感じていた。
「はっ、ん!んんんっ、ん!」
ゆっくりとグウェンの剛直が抜き差しされる。徐々に緩急を付けた動きに変わる。抜く時は身体の全身がゾワゾワするほどゆっくりなのに、挿れる時は勢いがよく、腰がビクビクする。
気持ちよすぎてどうにかなってしまいそうで、堪らなかった。
「んっんっ、ん、ん!ん!」
グウェンの動きが早まると、ぬちゅちちゅと水音だけだった後孔からの音は、ぱちゅんぱちゅんと臀部を打ち付ける音が部屋に響いた。
「ぁっ、だめ、激しっ、ん!んんっ」
剛直は俺の良い所を的確に当ててきて、快感だけが俺を責め立ててくる。もうグウェンがくれるこの快楽しか考えられなくなっていた。
「ぁっ、ぁん!」
「ノア、声はダメだ」
グウェンは屈み、キスで口を塞いだ。器用に腰を動かしながら、口内を蹂躙してくる。
「んっん!んぅ!~~~~~っっ!!!」
「……っ! ……は」
俺はもう上も下も犯されて限界だった。またチカチカと星が舞う感覚が襲ってきた。口付けが離れると、グウェンの口と糸が引いていた。
グウェンも急に締まった俺の後孔に搾られてイキそうになっていた。しかし、中では出さずに耐えたようだった。
俺は身体をビクビクしながら駆け上がった快感を逃がし、余韻を感じていた。
グウェンはまだ大きさの残る剛直をぢゅぽっと抜き出して、何度か自分で擦りあげる。グウェンから微かに呻く声とともに俺の腹部にグウェンの白濁した液体がパタパタと飛び散った。
「……はぁ」
「ん……グウェン…」
首に腕を回し、キスをせがんだ。くちゅ、と舌を絡ませるキスをして離れた。
「……癖になったら、どうするの」
「それは責任重大だ」
「もう……」
ほんと、アブノーマルに目覚めたらこの男のせいだ。若干そうなってきている気がしないでもない自分に、ため息をついた。
3章終了です。ここまで読んでいただいてありがとうございます。
次回はまたレイとルークのサイドストーリーを挟みます。読まなくても4章が読めるようにはしているつもりです……!
夫人からの全ての引き継ぎを終えて、俺とグウェンは本邸へ移ることになった。これで正式にグウェン公爵当主、俺は公爵夫人という立場になった。
今日は学園で進路相談役として、相談室に待機していた。予約などは無いため、生徒は突然やってくる。予約制にするとハードルが上がり、生徒が気軽に来れなくなってしまうと思った。
俺は主に、学園での悩み相談を引き受けていた。進路よりはその方が悩みが多いらしい。貴族がいけ好かない、庶民が話しかけてくる。など、やはり本当の意味で学園が機能するまでの壁は厚いようだった。
「ノア先生、聞いてくれてありがとね」
「うん、また何かあればいつでもどうぞ」
この生徒の悩み相談は騎士になるように父に言われてるけど、本当は文官になりたいというものだった。色々話を聞いて、最終的に分かるまで話し合うという結論になった。
生徒は部屋を出たので、固まった身体を解すため、伸びて息を吐く。
すると、扉からノックの音が聞こえてきた。生徒かと思い、はーいと軽く返事を返す。
「あれ、グウェン」
扉が開くと、生徒ではなくグウェンが立っていた。いつもの黒衣を纏っており、俺はこの黒衣の下に逞しいほどの筋肉が隠れているのを知っていることが少し優越感を感じる。
「今日授業だったの?」
「ああ、騎士コースのな」
グウェンは忙しい合間を縫って、騎士コースの座学の一部を担当していた。授業が終わってから来たのだろう。
「お茶でも飲む?」
「……」
俺はグウェンの為にお茶を準備しようと立ち上がり、ポットを取り出そうと棚の前に立つ。
グウェンに背中を向けていると、扉からカチリと施錠の音がする。
「へ、なんで閉めたの……」
後ろを振り返ると、思ったよりも近くにグウェンがいることに驚いた。
彼の口端がほんの少し上がっていて、瞳がギラついていることに気がつく。
俺は一瞬、身体からゾクリとしたものを感じる。
「え、ちょっ……ここ、学園で、生徒も、いる……んっ」
しどろもどろと言い訳を言うが、グウェンに顎を手で持ち上げられて唇を塞がれた。
「んっ……ぁ、んんっ…」
「一回だけだ」
「いや、一回もなにも、んっ」
舌をねじ込まれ、グウェンの両手で棚を使って囲いこむようにしていて、俺は逃げられなかった。
「んふ、ん…ぅ」
口内を好き勝手蹂躙してくるグウェンの舌が、俺の身体を快感へ追い立てる。
ここは学園で、生徒もいて、俺は相談役として雇われていて、グウェンも先生として来ていて、なのにこんなみだらな行為をしている。
ダメなのに、いけないことなのに。
まるで、まだグウェンがレイの婚約者だった時の感覚が俺を興奮させてくる。
「ん、だめ…あ、んん……」
口でダメと言っても、グウェンにキスをされると何も抵抗できない。いや、していない。
口内ではグウェンの舌を誘い込むように自分の舌を絡ませていた。
「ぁ……は、んぅ」
鼻で呼吸するだけでは間に合わず、唇が離れた時に息を整えようとする。しかしグウェンはお構い無しにもう一度口付けをしてきた。
いけないことと分かっているのに、俺は既にグウェンがくれる快楽に酔っていた。
気持ちよくて、キスだけで自分の屹立が痛いほどに反応していた。
「こんな所で、こんな風になるのか」
「っあ、はぁ、ぁ……グウェンが、するから……」
俺は恥ずかしくなって俯いた。顔は火照って、身体も熱くなっていた。
「ノア、どうしたい?」
なのにグウェンは意地悪を言う。俺の身体はもう、求めている。この眉目秀麗で、逞しい身体で、凶悪なまでの剛直が与えてくる快楽の波を。
俺はグウェンの首に腕を回し、自分から口付けをした。
「…グウェン、ちょうだい……」
グウェンにそう言うと、貪るようなキスをされた。
「んっ!……ふ、んぅ……んん」
キスだけで達してしまいそうなほど、口内で暴れ回るグウェンの舌に感じている。ここが神聖な学び舎であることは頭では分かっているのに、身体は言うことを聞かない。
あの天才な割に勉学に真面目なレイがこの事を知ったら、ドン引きして怒られそうだなと思う。
「…余所見とは、余裕だな」
「っは、ん!んん!」
グウェンに突然屹立を握られる。その刺激だけでまた達してしまいそうだった。恥ずかしいほどグウェンに腰を当てていたことに気づく。
「ここじゃ危ないから、こっちだ」
そう言って、窓からも死角になるソファに横たわった。グウェンは覆い被さるようにソファに乗り上げると、ギシ、と音を立てる。
「んっ、も、はやく、グウェン。はやく」
「…いけない先生だな」
俺は早くグウェンが欲しくて堪らなかった。前戯がなくては傷つくのは自分なのに、もう待てないほど興奮しきっていた。
腰が勝手に浮き上がり、体をよじる。その淫乱な様子にグウェンの喉が上がったのを見て、グウェンも興奮しているのが分かる。
グウェンはぐ、と堪えた表情をした後、俺の口に自分の指を入れてきた。
「はむ…ぅ、んぅ……ぁ」
俺は抵抗なくグウェンの指をぴちゃぴちゃと舐めそぼった。指ですら口内を刺激してくる。しばらく舐めたあと、ちゅぽ、と指を抜かれた。
指はそのまま、いつの間にか脱がされていた下半身に向かう。指が俺の蕾に到達して、1本だけゆっくり、くちゅ…と音を立てて入り込んできた。
「んっ、……ん、ん、ぁ」
入口を少しずつ拡張するような指の動きなだけなのに、腰が疼いて仕方なかった。グウェンも同じ気持ちなのか、いつもの執拗いまでの前戯とは違い、すぐに2本、3本と入れて拡張してきた。
「あ、も、もうまてない……グウェン、はやくっ」
息も絶え絶えに切らしながら、グウェンを求める。俺はグウェンの剛直があるズボンのベルトに手をかけた。手が震えていて、上手くベルトを外せなかった。結局グウェンが自分で外して、ズボンをズラして剛直が出てきた。
「ぁ……すごい、おっきぃ……」
「ノア、声気をつけろ」
言われて、また思い出す。そうだ、ここは学園だ。鍵は閉めたが、声が大きくなれば誰かに気づかれてしまうかもしれない。バレたら終わる。
けど、もうその綱渡りは、自分の興奮を昂らせるだけだった。口を自分で抑えながらこくこくと頷く。
グウェンは俺の後孔に剛直をぴたりと当て、勢いよく突き刺した。
「~~~~っんんんん!!!」
チカチカと昼間なのに星が見える。 中でみっちりと詰まったグウェンの剛直を、性急な前戯だったにも関わらず、俺の中は素直に受け入れていた。
腰がガクガクと勝手に動くと、中もその動きに合わせて擦れる。それもまた気持ちよくて、俺は何が何だか分からなくなるほどに感じていた。
「はっ、ん!んんんっ、ん!」
ゆっくりとグウェンの剛直が抜き差しされる。徐々に緩急を付けた動きに変わる。抜く時は身体の全身がゾワゾワするほどゆっくりなのに、挿れる時は勢いがよく、腰がビクビクする。
気持ちよすぎてどうにかなってしまいそうで、堪らなかった。
「んっんっ、ん、ん!ん!」
グウェンの動きが早まると、ぬちゅちちゅと水音だけだった後孔からの音は、ぱちゅんぱちゅんと臀部を打ち付ける音が部屋に響いた。
「ぁっ、だめ、激しっ、ん!んんっ」
剛直は俺の良い所を的確に当ててきて、快感だけが俺を責め立ててくる。もうグウェンがくれるこの快楽しか考えられなくなっていた。
「ぁっ、ぁん!」
「ノア、声はダメだ」
グウェンは屈み、キスで口を塞いだ。器用に腰を動かしながら、口内を蹂躙してくる。
「んっん!んぅ!~~~~~っっ!!!」
「……っ! ……は」
俺はもう上も下も犯されて限界だった。またチカチカと星が舞う感覚が襲ってきた。口付けが離れると、グウェンの口と糸が引いていた。
グウェンも急に締まった俺の後孔に搾られてイキそうになっていた。しかし、中では出さずに耐えたようだった。
俺は身体をビクビクしながら駆け上がった快感を逃がし、余韻を感じていた。
グウェンはまだ大きさの残る剛直をぢゅぽっと抜き出して、何度か自分で擦りあげる。グウェンから微かに呻く声とともに俺の腹部にグウェンの白濁した液体がパタパタと飛び散った。
「……はぁ」
「ん……グウェン…」
首に腕を回し、キスをせがんだ。くちゅ、と舌を絡ませるキスをして離れた。
「……癖になったら、どうするの」
「それは責任重大だ」
「もう……」
ほんと、アブノーマルに目覚めたらこの男のせいだ。若干そうなってきている気がしないでもない自分に、ため息をついた。
3章終了です。ここまで読んでいただいてありがとうございます。
次回はまたレイとルークのサイドストーリーを挟みます。読まなくても4章が読めるようにはしているつもりです……!
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