【完結】泥中の蓮

七咲陸

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3章

蜘蛛を願わば蝶※

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部屋の中で性交の息遣いが響く。いやらしくて今すぐにでも耳を塞ぎたいほど恥ずかしい。自分のこのいつもより高くなる声も、2人ともしっとりとしている肌も、結合部から聞こえる水音も、全部恥ずかしい。


「レイ、ほら、ちゃんと動いて」
「ん……んっ、ぁ……あっあ!」


すごく恥ずかしいのに止められない。気持ちよくて止まらない。ルークが見てて恥ずかしいのに止められない。ルークに言われると、恥ずかしいのに止められない。


「あっ、ん!……~~っ」
「……レイ、腰止まってる」
「っ…ぁ、まっ、て…今」
「レイ?」
「~~んっ、あ!ぁあ!や、また、い……っく……!」


ルークの上に跨って、ずっと腰を振ることになってる。身体がガクガクするし、引き攣るような中の感覚でルークも絶対達してるのがわかってるはず。けれど優しく名前を呼ばれるとまた勝手に腰が動く。


「レイ、ほら。止まってるよ」
「んっ!あ、あ、ぁ、……はっ、ふぅ、っは……」
「……限界?」


そう言われて、頷く。もう既に何回イってるのか数えてない。ずっとイキっぱなしで動くのもままならなくなっていた。もう射精もしていない。

ルークは仰向けだった身体を起こして入れたまま僕を膝の上に乗せた。


「レイ」
「んっ……」
「角度変えたから、自分で良いところ当ててごらん」
「……っ、るーく…っ」
「レイ。動けるな」
「っ、う……ぅん……っあ!あっ、あん!」


心の中ではルークの鬼って思ってる。ちゃんと思ってる。でも優しく言われると身体が勝手に動こうとする。ルークといると熱に浮かされてずっとフワフワしている。


「はー……えっろ。ずっと見てられるわ」


ずっと。この言葉は凶器だ。この男はずっとと言ったらずっとなのだ。ずっとの意味が崩壊するくらいにはずっとだ。

だからたまにはちょっと抵抗しないと死んでしまうと思ったのだ。自分で動き続けるのも限界がある。


「ルー、ク、お願い…いっぱい突いて……」


ルークからも動いて欲しくて、お願いをした。唯一できる抵抗だった。


「ん? 珍しいな。いいよ」


そう言って、やっと座位や騎乗位から脱出できると、心の中でホッとしたときだった。


「っあん!あっ、ちがっ!あ!」
「んー…俺はずっと見たいんだけど。なんか、違う?」


下から突き上げてとは言ってない!……いや、言ってないのは自分か?でもそういう意味じゃないというのはルークも分かっているようでわざと勘違いしている節がありそうだった。

ルークは座ったまま、上に乗る自分に突き上げてくる。自分でセーブ出来ないせいで、奥に当たり続けてる。苦しいのに気持ちいい。


「ほら、レイ。レイも、合わせて」
「っ!あっ、あ、んっ、んぅ!」


ズチュッ、ズチュッと結合部から聞こえる。突き上げられた奥から快感が駆け巡る。僕が快感だけ追いかけるようになるとルークは満足そうに微笑む


「……そろそろいけそうだな」
「…? ぁっ、あん!」


ドサッと後ろに倒される。ずっとが終わったことにホッとしたのも束の間、ルークは俺の右足を持ち上げて肩に乗せる。息も絶え絶えの自分はなすがままだった。すると、いつもよりも奥に入って来るのを感じた。


「あ!だめ!そこ!」
「もうイキまくってやわっこくなってるからいけるって」
「ひっ、あ!あ!やだ!」


多分そこは行き止まりだ。おかしい、行き止まりなのにルークはそこをトントンと突いてくる。激しい動きじゃないのに、突かれるたびに身体がガクガクする。


「やじゃない、気持ちいいだろ?」
「あ!あっ!気持ち、イイ!ひっ」
「あー…入りそ」


そう言うと、ルークのモノがぶちゅんっ、とこじ開けるようにいつもは入らない奥まできた。


「~~~~~~っ、~~っあ゛あ゛!」
「すっげ、中キュンキュンしてる」


脳天を突かれるように、何度も入っちゃいけない所まで抜き差しされると、それだけで中がヒクヒクして絶頂が続く。目の前がチカチカと星が飛んでいる。


「いっぱい突いて欲しいんだろ?」
「ひ、やっ、ぁ゛っ、あ!あっ!」
「レイ…っあー、レイの中、やばい。イきそ」
「ん!出し、って!ル゛ーク!あっ、あ!~~~っ!!」
「レイ……っ」


何度も腰を打ち付けられ、ルークが最奥にドクドクと流れ込んでくるのを感じた。ルークの精液が入ってるのが嬉しくてポーっと見ながらお腹をさすった。


「……お前、それ煽ってんのか」
「…?……っ」


ルークがまた自分の中で大きくなっていくのが分かった。またあの快感が来る。ルークが自分で興奮してるのが中で感じる。嬉しくなって首に腕を回す。


「ルーク……もっと…」
「ああ、くれてやるよ。だからもっと欲しがれ」


僕が果てて疲れて眠るまで、ルークは貪るように揺さぶり続けた。









「レイ、起きろ」
「ん……」


ルークの声で目を覚ますと、ルークは僕の髪を撫でておはよう、と額にキスをした。ルークは必ず朝起きるとキスをくれる。くすぐったいけど、嬉しくてその瞬間がとても好きだ。


「朝……?」
「俺はそろそろ行かなきゃだから」
「ん、ぼくも、起きる……」


前にルークが僕を起こすまいと抜け出して仕事に行った時、寂しくて今度から起こしてと頼んでいたのだ。ルークはそれ以来、そんな小さな事も覚えて続けてくれる。


「回復かけとけ。少しマシになるだろ」
「うん……」
「シャワー連れてくか?」
「……大丈夫……」


見るとルークはもうシャワーを済ませているようだった。昨夜の時点でルークが軽く吹いてくれていたのか、身体に強い不快感はない。

のそのそと起き上がり、ベッドから降りようとする。けれどそのままストンと床に座り込んでしまった。何が起こったのか分からなくて不思議に思ってると、ルークが抱き上げてベッドに戻してくれた。


「……?」
「腰から下の感覚がないんだろ、回復先にかけろ」


どうやら昨日の激しい行為のせいで腰が立たなくなったようだった。まだ寝惚けている頭でどうにか腰と足に回復をかけた。


「…はぁ」
「……仕事行きたくなくなる声出すな」
「ダメだよ…、お願い、したでしょ?」
「……」


ルークはため息をついて立ち上がり、シーツごと丸めて僕を持ち上げてくれた。


「ルーク、歩ける……」
「いいから。シャワーまでな」


僕はルークの首に手を回して、甘えることにした。

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