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年齢制限は身を守る?
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ヴィオの家に着いて、一息つく。落ち着くために出された紅茶を味わっているとおもむろにヴィオは口開いた。
「さっきの話だが」
「?過去の栄光?」
「それだ。俺はお前が天使でなくなったとは確かに思うが、今度は美青年になったんだ」
「び?」
首を傾げてヴィオを見つめていると、呆れたようにため息をつかれる。
なんだよ。美青年って確かにクリスはめちゃくちゃイケメンだぞ。あんなにガタイはよろしくないけども。
「女子共が色めきだっていた。今日だって何人の女子がお前を熱く見つめていたか」
「……はぁ?話しかけられない非モテ男子にそういう冗談」
「冗談を言うように見えるか?」
見えない。まぁ確かに父はイケメンだし、そうなることはあるにしても。
ふるふると首を振るとヴィオは何度目かのため息をついた。
「今のお前は子供の時より危うい感じがする。女にもモテる顔をして、更に男どもを惑わす容姿をしている…本当、気が気じゃないな」
「なんだそれ。魔性じゃあるまいし」
「そうだと言っている」
ははは、と笑っていると肯定され、ピタリと動きを止めた。
え、俺魔性なの?マジ?美少女風天使からどうやったらそんな風に?
グルグル考えていると顎をクイ、と指先で上げられた。するとヴィオの目とかち合う。見つめ合う角度になった視線にカッと頬が熱くなるのを感じる。
「な、わ、あ、あわわわ」
なに!顎クイなんてキス前提の仕草じゃん!もうチューするじゃんこんなの!ヴィオの顔が見てられなくてぎゅ、と目を閉じた。けどなんにも動きはない。不思議に思って片目だけチラリと開けると不敵な笑みを浮かべて俺を見下ろすヴィオが見えた。
遊ばれた! 返せ俺の純情!
「な! なんだよ! もう!」
「待て待て怒るな。悪かった。ちょっとからかいたくなった」
「バカ!」
「いや、けどお前もキスだと思うんだな。流石に。そこまで鈍感じゃないわけだ」
「バカにするなバカ!」
むきいぃ!と猿のように怒った。顔は恐らく茹でたこのように真っ赤だ。恥ずかしい!
「キスはしたいんだが、これがあるからまだ出来ないな」
「…これ?」
そう言ってヴィオが机から取り出したのはいつかの契約書だった。一度返されたが、あの俺がヴィオへの気持ちを自覚した後にヴィオへ返却した。何となくこれがヴィオとの繋がりのような気がして、ヴィオに持ってて欲しかった。
契約書はきちんと丁寧に保管されていたのか薄い額のような物に入れられていた。
くそ。こういうのに俺は弱いんだ!俺が関わったものを丁寧に扱っている感じに胸が苦しくなる。あー!やっぱムカつくほどイイ男だ!くそぉ!
「そうだ。この部分のせいでな」
俺が縁談を引き受けること。
引き受けても、俺が16までにヴィオレットを好きでなければ結婚はしない。
16歳までは手を出さない。の、手を出さない、という部分にトントンと指を当てていた。
「……?もう16だぞ?」
不思議に思って首を傾げる。縁談は円満に引き受けたし、結婚は早くしたいくらいだし、手を出してはいるのでは?だって首にキスマークは付けられるし、手は繋ぐし、もうもはやこの契約書はあってないようなものでは。
16まで、だろ。だって。まさかヴィオの中では16歳も含まれてるのか。
「……まだ、16だろう」
まだという言葉を強調するように言ったヴィオは頭を抱えていた。俺の話が通じてないなみたいなリアクションやめろよ。
「メイナードからも早くしろってせっつかれてるし」
「契約は契約だ」
「えー…頭硬い」
そう言うとギロ、と睨まれてしまう。なんだよ。こういうとこ誠実なんだよなぁ…
そして、ハタ、と気づく。
「……これ、もし俺が無かったことに、って、言ったら……どうなる、の…?」
モジモジと顔を半分契約書で隠しながらコレと指差すのは16歳の部分だ。
「今すぐ押し倒してグチャグチャに泣かせる」
「ぴ」
目がマジ過ぎて怖くて既に泣きそうになった。
「さっきの話だが」
「?過去の栄光?」
「それだ。俺はお前が天使でなくなったとは確かに思うが、今度は美青年になったんだ」
「び?」
首を傾げてヴィオを見つめていると、呆れたようにため息をつかれる。
なんだよ。美青年って確かにクリスはめちゃくちゃイケメンだぞ。あんなにガタイはよろしくないけども。
「女子共が色めきだっていた。今日だって何人の女子がお前を熱く見つめていたか」
「……はぁ?話しかけられない非モテ男子にそういう冗談」
「冗談を言うように見えるか?」
見えない。まぁ確かに父はイケメンだし、そうなることはあるにしても。
ふるふると首を振るとヴィオは何度目かのため息をついた。
「今のお前は子供の時より危うい感じがする。女にもモテる顔をして、更に男どもを惑わす容姿をしている…本当、気が気じゃないな」
「なんだそれ。魔性じゃあるまいし」
「そうだと言っている」
ははは、と笑っていると肯定され、ピタリと動きを止めた。
え、俺魔性なの?マジ?美少女風天使からどうやったらそんな風に?
グルグル考えていると顎をクイ、と指先で上げられた。するとヴィオの目とかち合う。見つめ合う角度になった視線にカッと頬が熱くなるのを感じる。
「な、わ、あ、あわわわ」
なに!顎クイなんてキス前提の仕草じゃん!もうチューするじゃんこんなの!ヴィオの顔が見てられなくてぎゅ、と目を閉じた。けどなんにも動きはない。不思議に思って片目だけチラリと開けると不敵な笑みを浮かべて俺を見下ろすヴィオが見えた。
遊ばれた! 返せ俺の純情!
「な! なんだよ! もう!」
「待て待て怒るな。悪かった。ちょっとからかいたくなった」
「バカ!」
「いや、けどお前もキスだと思うんだな。流石に。そこまで鈍感じゃないわけだ」
「バカにするなバカ!」
むきいぃ!と猿のように怒った。顔は恐らく茹でたこのように真っ赤だ。恥ずかしい!
「キスはしたいんだが、これがあるからまだ出来ないな」
「…これ?」
そう言ってヴィオが机から取り出したのはいつかの契約書だった。一度返されたが、あの俺がヴィオへの気持ちを自覚した後にヴィオへ返却した。何となくこれがヴィオとの繋がりのような気がして、ヴィオに持ってて欲しかった。
契約書はきちんと丁寧に保管されていたのか薄い額のような物に入れられていた。
くそ。こういうのに俺は弱いんだ!俺が関わったものを丁寧に扱っている感じに胸が苦しくなる。あー!やっぱムカつくほどイイ男だ!くそぉ!
「そうだ。この部分のせいでな」
俺が縁談を引き受けること。
引き受けても、俺が16までにヴィオレットを好きでなければ結婚はしない。
16歳までは手を出さない。の、手を出さない、という部分にトントンと指を当てていた。
「……?もう16だぞ?」
不思議に思って首を傾げる。縁談は円満に引き受けたし、結婚は早くしたいくらいだし、手を出してはいるのでは?だって首にキスマークは付けられるし、手は繋ぐし、もうもはやこの契約書はあってないようなものでは。
16まで、だろ。だって。まさかヴィオの中では16歳も含まれてるのか。
「……まだ、16だろう」
まだという言葉を強調するように言ったヴィオは頭を抱えていた。俺の話が通じてないなみたいなリアクションやめろよ。
「メイナードからも早くしろってせっつかれてるし」
「契約は契約だ」
「えー…頭硬い」
そう言うとギロ、と睨まれてしまう。なんだよ。こういうとこ誠実なんだよなぁ…
そして、ハタ、と気づく。
「……これ、もし俺が無かったことに、って、言ったら……どうなる、の…?」
モジモジと顔を半分契約書で隠しながらコレと指差すのは16歳の部分だ。
「今すぐ押し倒してグチャグチャに泣かせる」
「ぴ」
目がマジ過ぎて怖くて既に泣きそうになった。
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