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一瞬の笑みを
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「おい……なんかずっとこっち見てるぞ……」
テーヴが俺に耳打ちしてくる。
「やめろ見るな気のせいだ」
ランディが授業の合間、ずっっっとこっちを見てくる。誰に囲まれていようとだ。俺じゃなくてその周りにいる女子を見ろ!
裏山けしからん!
「なんでこんなにこっち見てるの、昨日のこと怒ってるの? ヴィオレット様がぶん投げたから?」
「そうだけど、覚えてないらしい…だからあれは恨みじゃない」
ライの不思議に思っていることに俺は答えた。
「保健室で笑った俺を見たせいだ」
すると3人は固まった。
「に、兄様を狂わせた笑顔を…よりによってランディに見せたの?!」
「なんで!ノエル絶対笑わないようにしてたじゃん!」
「馬鹿かお前は! 何してるんだ!」
「うるせー! 俺だって笑ったつもり無かったんだよ!不可抗力だ!」
くだらない言い争いに見えるだろう。
しかし俺たち4人は至極真面目だ。
「どうするの、この先。ランディが兄様化していくよ?」
「これ以上敵を増やしたくないいぃ」
「敵って……婚約者だろうが」
「ほんとノエルってヴィオレット様にキツイよね。ノエルにとったらあんな優良物件他にないよ?」
物件て。ライもなかなか言うこと言うな。
「あれ? テーヴがなんでムスッとしてるの?!」
あ、やな予感。
「……ライはいつもヴィオレット様を褒めるな」
「え、え、そんなことないよ、なんで?」
「ライは俺の婚約者だろ」
「て、テーヴ……」
「おいやめろこのんぐ」
俺が周囲を気にしなくなったBLバカップルに止めろと言っていると、ジナルマーに口を塞がれた。
「こらこら、水をさしちゃダメだよノエル」
7歳がそんな気遣いするなよ!
「僕、テーヴが一番カッコイイと思ってるよ……!」
やめろやめろ俺の前で繰り広げるな!
ジナルマーはニコニコと微笑ましく映っている2人を見ながら俺の口を塞ぎ続ける。ヴィオレットと違い、手が小さいので鼻が塞がれることはない。
いっそ塞いでもらって意識を飛ばして欲しい。
「ライ……」
「テーヴァル……!」
やめろキラキラさせるな花を咲かせるな!
「いやー、良いもの見せてもらったね、ノエル」
「っぷは。ふざけんなおい、いっそ俺を殺してくれ」
ジナルマーはそんな俺を不思議そうに見る。
「ノエルって何がそんなに嫌なの?なんかよく分かんないね、別に気持ち悪がったりはしてる感じじゃないのに見たくないって言うのが」
「……俺の知らないところでやって欲しいだけなんだよ。別に友達だしな、ただ本当に見たくないし自分がそうなりたくないだけだ」
「そうなりたくないって、男同士でってこと?」
「そうだよ!」
俺の居た前世では世間に認められ始めたとはいえまだ偏見の目があった。
俺はBLに遭遇したのはそれを好きな腐女子の姉のせいであって、けっして本物を見たトラウマとかではない。
「うーん……でも男同士で結婚するの当たり前だから、見ないのは難しくない?」
「……確かに」
言われてみればそうだ。
学校でもライとテーヴだけじゃない、色んな婚約者同士がいるし、ジナルマーだって俺の弟といつかそうなるだろうし、家に帰れば両親だって男同士だ。
「……え、詰んでる?」
「どういう意味かよく分からないけど、男で産まれた以上ある程度覚悟した方がいいと思うよ」
「……お、おいおいおい。ヴィオ様になんか頼まれたのか?俺を説得しろって」
「?そんなこと兄様は言わないけど。兄様は説得するなら自分で説得するよ」
ジナルマーに言われ、またしても確かにと納得してしまった。
というか7歳でそんな覚悟したくない。
じゃあ、いつになったら覚悟するのか、はよく分からない。
「ノエルの覚悟が決まった時が楽しみかも」
「おいふざけんなやめろ」
フラグを作るな!
テーヴが俺に耳打ちしてくる。
「やめろ見るな気のせいだ」
ランディが授業の合間、ずっっっとこっちを見てくる。誰に囲まれていようとだ。俺じゃなくてその周りにいる女子を見ろ!
裏山けしからん!
「なんでこんなにこっち見てるの、昨日のこと怒ってるの? ヴィオレット様がぶん投げたから?」
「そうだけど、覚えてないらしい…だからあれは恨みじゃない」
ライの不思議に思っていることに俺は答えた。
「保健室で笑った俺を見たせいだ」
すると3人は固まった。
「に、兄様を狂わせた笑顔を…よりによってランディに見せたの?!」
「なんで!ノエル絶対笑わないようにしてたじゃん!」
「馬鹿かお前は! 何してるんだ!」
「うるせー! 俺だって笑ったつもり無かったんだよ!不可抗力だ!」
くだらない言い争いに見えるだろう。
しかし俺たち4人は至極真面目だ。
「どうするの、この先。ランディが兄様化していくよ?」
「これ以上敵を増やしたくないいぃ」
「敵って……婚約者だろうが」
「ほんとノエルってヴィオレット様にキツイよね。ノエルにとったらあんな優良物件他にないよ?」
物件て。ライもなかなか言うこと言うな。
「あれ? テーヴがなんでムスッとしてるの?!」
あ、やな予感。
「……ライはいつもヴィオレット様を褒めるな」
「え、え、そんなことないよ、なんで?」
「ライは俺の婚約者だろ」
「て、テーヴ……」
「おいやめろこのんぐ」
俺が周囲を気にしなくなったBLバカップルに止めろと言っていると、ジナルマーに口を塞がれた。
「こらこら、水をさしちゃダメだよノエル」
7歳がそんな気遣いするなよ!
「僕、テーヴが一番カッコイイと思ってるよ……!」
やめろやめろ俺の前で繰り広げるな!
ジナルマーはニコニコと微笑ましく映っている2人を見ながら俺の口を塞ぎ続ける。ヴィオレットと違い、手が小さいので鼻が塞がれることはない。
いっそ塞いでもらって意識を飛ばして欲しい。
「ライ……」
「テーヴァル……!」
やめろキラキラさせるな花を咲かせるな!
「いやー、良いもの見せてもらったね、ノエル」
「っぷは。ふざけんなおい、いっそ俺を殺してくれ」
ジナルマーはそんな俺を不思議そうに見る。
「ノエルって何がそんなに嫌なの?なんかよく分かんないね、別に気持ち悪がったりはしてる感じじゃないのに見たくないって言うのが」
「……俺の知らないところでやって欲しいだけなんだよ。別に友達だしな、ただ本当に見たくないし自分がそうなりたくないだけだ」
「そうなりたくないって、男同士でってこと?」
「そうだよ!」
俺の居た前世では世間に認められ始めたとはいえまだ偏見の目があった。
俺はBLに遭遇したのはそれを好きな腐女子の姉のせいであって、けっして本物を見たトラウマとかではない。
「うーん……でも男同士で結婚するの当たり前だから、見ないのは難しくない?」
「……確かに」
言われてみればそうだ。
学校でもライとテーヴだけじゃない、色んな婚約者同士がいるし、ジナルマーだって俺の弟といつかそうなるだろうし、家に帰れば両親だって男同士だ。
「……え、詰んでる?」
「どういう意味かよく分からないけど、男で産まれた以上ある程度覚悟した方がいいと思うよ」
「……お、おいおいおい。ヴィオ様になんか頼まれたのか?俺を説得しろって」
「?そんなこと兄様は言わないけど。兄様は説得するなら自分で説得するよ」
ジナルマーに言われ、またしても確かにと納得してしまった。
というか7歳でそんな覚悟したくない。
じゃあ、いつになったら覚悟するのか、はよく分からない。
「ノエルの覚悟が決まった時が楽しみかも」
「おいふざけんなやめろ」
フラグを作るな!
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