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間接的BL
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俺はその日、何故かライの邸に呼び出された。
テーヴとのBLを見させられるのかと不安に思ったが、テーヴは呼んでいないらしい。
またしても俺とヴィオレットが呼び出された。
なんでセットなんだよ……!
「今回はなんで呼び出し?」
「……予想だが、恐らく姉の件だろう」
え、当て馬解決してないの?
テーヴの邸でライと話したんじゃねーのかよ。
ライの姉が、ライに「なんであんたがテーヴと婚約するのよ!」とイキっていた。
まぁテーヴはライのことが好きで、姉は眼中になかったようだが。
「俺ら必要ないだろ……テーヴ呼べよ」
「姉からの呼び出しだしな。 テーヴと話し合って欲しいものだ」
「えっ、ライの姉がわざわざ? 絶対ヤバいやつだろ……」
本気で行きたくない。ライの姉に文句を言われるだけな呼び出しだ。
ヴィオレットと2人でライの邸の応接室で姉の到着を待った。
しばらくすると、煌びやかなドレスに身を包んだ女性が現れる。 14、5歳に見えてヴィオレットと同じくらいだろうか。
挨拶もそこそこに、直ぐに本題に入った。
「今回、お呼びしましたのはライとテーヴのことですの」
「はぁ」
情けない返事を返すと、ピク、と眉尻を上げられた。
怖いから黙っておこう。女性に睨まれるのは精神衛生上宜しくない。
「テーヴは私と婚約するはずでしたの」
貴族にしちゃ、女性側の年齢が離れすぎてる気がするが。まあ親同士が決めていたし、本当なんだろう。
「なのにどういうことですの? ライと婚約することに変わってしまって。しかもそれは貴方がたがお二人のキューピットをしたと言うじゃありませんか」
いや、婚約は変わってからライが来たけどな? 俺ら何もしてないからな?
ヴィオレットの方をちら、と見ると、全くもってライの姉に興味がないのか、俺の方を見て微笑んでいた。うげー。
「聞いていますの?!」
「あっ、はい!」
聞いてはいるけど、興味が無い。
友人の見たくもないBLを見させられた挙句、文句を言われるなど酷い言いがかりだ。
「そこの貴方、綺麗な顔をしているなら、ライを誘惑して下さらない?」
「はあ?」
俺を扇子で指しながら、嘲るように言ってくる。
なんで俺がライを誘惑せにゃならんのだ。 俺は俺でいかにヴィオレットと婚約破棄できるか日々悩んでいるというのに!
「ライの姉君、ノエルは私の婚約者だ。 そのような言葉を仰るのならば我が公爵家への侮辱ととるが?」
「な……」
うわ、ちょっとスカッとしたな。
だんだんと外堀を埋められてる気もしなくはないが、今ここで反論するのは賢くない。
やっぱり婚約者って便利ワードだわ。
「……テーヴとライの件なら、テーヴに直接聞いたらどうですか? テーヴだってこうやってこそこそ裏でやられるのは嫌だと思いますけど」
「なんですって? 私がわざわざ?」
「いや、婚約破棄されたのはそういうとこんぐ」
ヴィオレットにまた口元を抑えられる。
やめろよ! 苦しいんだぞ!
「ノエルの言う通りだ。 我々に何か言うのではなく、テーヴか、テーヴの両親に訳を聞く方が筋が通っている」
「……そんなの……聞きましたわ。ライのことが、好きだったと……」
「では、我々が何かしなくとも、いずれライに婚約は変わっていたでしょう」
何もしてないけどな!
というか間接的にBLを聞かされてるのか、これ。なんで女の子の口から聞かされてんだよ。
そうして、姉はヴィオレットと話して納得したのか、諦めたのか、すごすごと俺たちを残して部屋に帰ってしまった。
「っぷは! 直ぐに口塞ぐのやめろよ!」
「ノエルが口を滑らせていたからな」
「いやいや、あんな態度じゃ婚約破棄されて当たり前だろ。は! 俺もああすれば」
「ノエルがやったら、俺のことが好きだと言ってるものだが?」
「ぐわあああ! 好きじゃないから今すぐ破棄してくれ!」
後日、ライに謝罪された。
姉が迷惑をかけたと。
ほんとだよ。どうして聞きたくもない話を聞かされなくちゃいけないんだ。
ちなみにライの姉は、その後別の人と婚約することになったらしい。丸く納まって良かった。
「ノエルの待望のフリーの女の子だったのに、アプローチしなくて良かったの?」
「うわあああああ! 忘れてたああああ!」
家に帰ってからセドに言われて、気づく。そういや名前も知らん!
テーヴとのBLを見させられるのかと不安に思ったが、テーヴは呼んでいないらしい。
またしても俺とヴィオレットが呼び出された。
なんでセットなんだよ……!
「今回はなんで呼び出し?」
「……予想だが、恐らく姉の件だろう」
え、当て馬解決してないの?
テーヴの邸でライと話したんじゃねーのかよ。
ライの姉が、ライに「なんであんたがテーヴと婚約するのよ!」とイキっていた。
まぁテーヴはライのことが好きで、姉は眼中になかったようだが。
「俺ら必要ないだろ……テーヴ呼べよ」
「姉からの呼び出しだしな。 テーヴと話し合って欲しいものだ」
「えっ、ライの姉がわざわざ? 絶対ヤバいやつだろ……」
本気で行きたくない。ライの姉に文句を言われるだけな呼び出しだ。
ヴィオレットと2人でライの邸の応接室で姉の到着を待った。
しばらくすると、煌びやかなドレスに身を包んだ女性が現れる。 14、5歳に見えてヴィオレットと同じくらいだろうか。
挨拶もそこそこに、直ぐに本題に入った。
「今回、お呼びしましたのはライとテーヴのことですの」
「はぁ」
情けない返事を返すと、ピク、と眉尻を上げられた。
怖いから黙っておこう。女性に睨まれるのは精神衛生上宜しくない。
「テーヴは私と婚約するはずでしたの」
貴族にしちゃ、女性側の年齢が離れすぎてる気がするが。まあ親同士が決めていたし、本当なんだろう。
「なのにどういうことですの? ライと婚約することに変わってしまって。しかもそれは貴方がたがお二人のキューピットをしたと言うじゃありませんか」
いや、婚約は変わってからライが来たけどな? 俺ら何もしてないからな?
ヴィオレットの方をちら、と見ると、全くもってライの姉に興味がないのか、俺の方を見て微笑んでいた。うげー。
「聞いていますの?!」
「あっ、はい!」
聞いてはいるけど、興味が無い。
友人の見たくもないBLを見させられた挙句、文句を言われるなど酷い言いがかりだ。
「そこの貴方、綺麗な顔をしているなら、ライを誘惑して下さらない?」
「はあ?」
俺を扇子で指しながら、嘲るように言ってくる。
なんで俺がライを誘惑せにゃならんのだ。 俺は俺でいかにヴィオレットと婚約破棄できるか日々悩んでいるというのに!
「ライの姉君、ノエルは私の婚約者だ。 そのような言葉を仰るのならば我が公爵家への侮辱ととるが?」
「な……」
うわ、ちょっとスカッとしたな。
だんだんと外堀を埋められてる気もしなくはないが、今ここで反論するのは賢くない。
やっぱり婚約者って便利ワードだわ。
「……テーヴとライの件なら、テーヴに直接聞いたらどうですか? テーヴだってこうやってこそこそ裏でやられるのは嫌だと思いますけど」
「なんですって? 私がわざわざ?」
「いや、婚約破棄されたのはそういうとこんぐ」
ヴィオレットにまた口元を抑えられる。
やめろよ! 苦しいんだぞ!
「ノエルの言う通りだ。 我々に何か言うのではなく、テーヴか、テーヴの両親に訳を聞く方が筋が通っている」
「……そんなの……聞きましたわ。ライのことが、好きだったと……」
「では、我々が何かしなくとも、いずれライに婚約は変わっていたでしょう」
何もしてないけどな!
というか間接的にBLを聞かされてるのか、これ。なんで女の子の口から聞かされてんだよ。
そうして、姉はヴィオレットと話して納得したのか、諦めたのか、すごすごと俺たちを残して部屋に帰ってしまった。
「っぷは! 直ぐに口塞ぐのやめろよ!」
「ノエルが口を滑らせていたからな」
「いやいや、あんな態度じゃ婚約破棄されて当たり前だろ。は! 俺もああすれば」
「ノエルがやったら、俺のことが好きだと言ってるものだが?」
「ぐわあああ! 好きじゃないから今すぐ破棄してくれ!」
後日、ライに謝罪された。
姉が迷惑をかけたと。
ほんとだよ。どうして聞きたくもない話を聞かされなくちゃいけないんだ。
ちなみにライの姉は、その後別の人と婚約することになったらしい。丸く納まって良かった。
「ノエルの待望のフリーの女の子だったのに、アプローチしなくて良かったの?」
「うわあああああ! 忘れてたああああ!」
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