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プレゼントforYou
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先日まで6歳だったが、ついに俺は7歳となった。
俺は自身を鍛えることは怠らなかった。
しかし、セドの身体に似た俺は、明らかに筋肉が付きにくいのか腕力は上がらなかった。
脚力と体力だけはついたのは幸いだった。
ヴィオレットが変なことしてきたら全力で逃げる。捕まる前に逃げればいい話だ。
「誕生日おめでとう、ノエル」
微笑むセドに、俺も微笑んで返した。
俺は最近、実家では普通に笑ったりする。
お茶会の時に自分の本性をさらけ出した瞬間に、少しスッキリしたのだ。
なのでせめて息がつける家では、素直な感情を出そうと決めた。
1歩外に出ればすぐに無表情だが。
周りはみんな、人見知りが激しいのかな、と思っているらしい。
まさかフラグを立てないようにしている無表情だとはおもうまい。
「っぐ…可愛い……ノエル」
クリスは動悸がする胸を抑えているようだった。
俺がセドにそっくりなのも相まって、すっかり溺愛お父さんだ。
プレゼントも豪華である。
「母上、今日は体調大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、ありがとうね。ノエル」
「そろそろ安定期か? 無理せず座って」
クリスにソファに腰掛けるよう促されると、よいしょ、と言いながらセドはソファに座った。
男が太ってないのにお腹が大きい。
神秘だ…
いや! 俺は絶対にヤダ!
女の子と結婚して、女の子に産んで欲しい!
そして俺がいるのにイチャイチャするのもやめてくれ。
セドのお腹に手を当てたり声掛けたりするのは微笑ましいが、キスするのは息子の居ない部屋でやってくれ。
「そうだ、プレゼント開けた?」
「まだ。開けていい?」
「早く開けてごらん?」
ガサガサとラッピングを子供の小さな手で破っていく。
プレゼントは真四角の箱に入っていた。
そんなに重くない。
そして、箱をカパッと開けて中を覗いた。
「! バスケットボール!」
「そういう名前なのか? ノエルが書いた絵から作ってもらったんだけどね」
クリスが俺の絵から職人に頼んでくれたらしい。
しかしバスケボールは弾むかどうかだ。
箱から取り出して、ボールを弾ませてみた。
「おおおお!」
すっごい弾む! ちゃんとゴムで作ってくれてるようだった。
思わず俺はドリブルをしようとしたが、さすがに最初からめちゃくちゃドリブルが出来たら怪しまれるので控えた。
「母上、父上! ありがとうございます!」
「どういたしまして」
「気に入ってもらって良かったよ」
「早速外で遊んできます!」
微笑んでる2人にお礼を言って、俺は行儀悪くも邸の中を走って外に出た。
花壇もない、いつもクリスが鍛錬をしている場所が1番平らだったので、そこでドリブルをした。
多少、小さい手と地面が砂なこともあってドリブルのしにくさはあるが、それは仕方ない。
ゴールは邸の壁に見立ててやればいいかと思って、久しぶりにボールをゴールに向かってシュートした。
腕力がないのであまり飛ばないが、それでもボールは壁に当たって跳ね返った。
楽しくて、時間を忘れてドリブルやらシュートやら沢山した。
本当は一緒にやってくれる人が居るといいけど、俺みたいに前世の記憶を持ってるやつなんかそうそう居ないだろうし。
そもそも貴族の子供はこういうスポーツはやらないだろうしな。
だいぶ動いて、拍手の音で止まった。
「……ヴィオ様」
いつの間にか来ていたらしいヴィオレットに見られていた。
いつから居たんだ。
「凄いな、昨日今日で出来ることじゃないだろう」
「…ありがとうございます」
まさか今日プレゼントされました、とはとても言えなかった。
ヴィオレットは俺の前まで歩いてくる。俺は一瞬たじろぎそうになるが、ヴィオレットに手を捕まれて動きを封じられた。
「て!」
「手を握るくらい婚約者ならする」
「う。で、でも…」
「ノエル。誕生日おめでとう」
ヴィオレットの手から、掴まれていた俺の手に渡される。
手に収まるくらいのソレは、丁寧に包装されたプレゼントだった。
「あ…ありがとうございます……」
普通に嬉しいので、一応お礼を言った。
すると、ヴィオレットの動きがピタと止まった。
はっ、嬉しくて一瞬笑った気がする!
くっそ!
「あ、開けていいですか!」
「ああ、どうぞ」
プレゼントの包装を取ると、手のひらくらいの緑の箱が出てきた。その緑の箱をパコッと開ける。
「……? ブレスレット?」
「成長も見込んで、少し大きめに作ってある。是非つけてほしい」
「えええ……」
本気で嫌そうな顔をしてしまった。
しかし、そんな顔も面白いとばかりにヴィオレットはせせら笑う。
嫌がらせなのか?
「婚約者である証だ。私の髪色の宝石と、ブレスレット部分の色が瞳の色だ」
金色のブレスレットは、エメラルドグリーンの宝石が嵌め込まれていた。
呪いのアイテムかなんかじゃないよな…
「付けたら呪われるとかはない。それを付けていれば、大体の輩からは身を守れる」
「! なるほど…」
「付けてあげよう」
俺が身に付ける気になったと把握して、箱からブレスレットを取り出し、俺の腕に繋ぎ目をとめた。
「良く似合う」
「……どうも」
凄く良い顔で笑って俺を見ていることに、悪い気はしなかった。
俺は自身を鍛えることは怠らなかった。
しかし、セドの身体に似た俺は、明らかに筋肉が付きにくいのか腕力は上がらなかった。
脚力と体力だけはついたのは幸いだった。
ヴィオレットが変なことしてきたら全力で逃げる。捕まる前に逃げればいい話だ。
「誕生日おめでとう、ノエル」
微笑むセドに、俺も微笑んで返した。
俺は最近、実家では普通に笑ったりする。
お茶会の時に自分の本性をさらけ出した瞬間に、少しスッキリしたのだ。
なのでせめて息がつける家では、素直な感情を出そうと決めた。
1歩外に出ればすぐに無表情だが。
周りはみんな、人見知りが激しいのかな、と思っているらしい。
まさかフラグを立てないようにしている無表情だとはおもうまい。
「っぐ…可愛い……ノエル」
クリスは動悸がする胸を抑えているようだった。
俺がセドにそっくりなのも相まって、すっかり溺愛お父さんだ。
プレゼントも豪華である。
「母上、今日は体調大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、ありがとうね。ノエル」
「そろそろ安定期か? 無理せず座って」
クリスにソファに腰掛けるよう促されると、よいしょ、と言いながらセドはソファに座った。
男が太ってないのにお腹が大きい。
神秘だ…
いや! 俺は絶対にヤダ!
女の子と結婚して、女の子に産んで欲しい!
そして俺がいるのにイチャイチャするのもやめてくれ。
セドのお腹に手を当てたり声掛けたりするのは微笑ましいが、キスするのは息子の居ない部屋でやってくれ。
「そうだ、プレゼント開けた?」
「まだ。開けていい?」
「早く開けてごらん?」
ガサガサとラッピングを子供の小さな手で破っていく。
プレゼントは真四角の箱に入っていた。
そんなに重くない。
そして、箱をカパッと開けて中を覗いた。
「! バスケットボール!」
「そういう名前なのか? ノエルが書いた絵から作ってもらったんだけどね」
クリスが俺の絵から職人に頼んでくれたらしい。
しかしバスケボールは弾むかどうかだ。
箱から取り出して、ボールを弾ませてみた。
「おおおお!」
すっごい弾む! ちゃんとゴムで作ってくれてるようだった。
思わず俺はドリブルをしようとしたが、さすがに最初からめちゃくちゃドリブルが出来たら怪しまれるので控えた。
「母上、父上! ありがとうございます!」
「どういたしまして」
「気に入ってもらって良かったよ」
「早速外で遊んできます!」
微笑んでる2人にお礼を言って、俺は行儀悪くも邸の中を走って外に出た。
花壇もない、いつもクリスが鍛錬をしている場所が1番平らだったので、そこでドリブルをした。
多少、小さい手と地面が砂なこともあってドリブルのしにくさはあるが、それは仕方ない。
ゴールは邸の壁に見立ててやればいいかと思って、久しぶりにボールをゴールに向かってシュートした。
腕力がないのであまり飛ばないが、それでもボールは壁に当たって跳ね返った。
楽しくて、時間を忘れてドリブルやらシュートやら沢山した。
本当は一緒にやってくれる人が居るといいけど、俺みたいに前世の記憶を持ってるやつなんかそうそう居ないだろうし。
そもそも貴族の子供はこういうスポーツはやらないだろうしな。
だいぶ動いて、拍手の音で止まった。
「……ヴィオ様」
いつの間にか来ていたらしいヴィオレットに見られていた。
いつから居たんだ。
「凄いな、昨日今日で出来ることじゃないだろう」
「…ありがとうございます」
まさか今日プレゼントされました、とはとても言えなかった。
ヴィオレットは俺の前まで歩いてくる。俺は一瞬たじろぎそうになるが、ヴィオレットに手を捕まれて動きを封じられた。
「て!」
「手を握るくらい婚約者ならする」
「う。で、でも…」
「ノエル。誕生日おめでとう」
ヴィオレットの手から、掴まれていた俺の手に渡される。
手に収まるくらいのソレは、丁寧に包装されたプレゼントだった。
「あ…ありがとうございます……」
普通に嬉しいので、一応お礼を言った。
すると、ヴィオレットの動きがピタと止まった。
はっ、嬉しくて一瞬笑った気がする!
くっそ!
「あ、開けていいですか!」
「ああ、どうぞ」
プレゼントの包装を取ると、手のひらくらいの緑の箱が出てきた。その緑の箱をパコッと開ける。
「……? ブレスレット?」
「成長も見込んで、少し大きめに作ってある。是非つけてほしい」
「えええ……」
本気で嫌そうな顔をしてしまった。
しかし、そんな顔も面白いとばかりにヴィオレットはせせら笑う。
嫌がらせなのか?
「婚約者である証だ。私の髪色の宝石と、ブレスレット部分の色が瞳の色だ」
金色のブレスレットは、エメラルドグリーンの宝石が嵌め込まれていた。
呪いのアイテムかなんかじゃないよな…
「付けたら呪われるとかはない。それを付けていれば、大体の輩からは身を守れる」
「! なるほど…」
「付けてあげよう」
俺が身に付ける気になったと把握して、箱からブレスレットを取り出し、俺の腕に繋ぎ目をとめた。
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「……どうも」
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