上 下
31 / 35
理人×雅

side雅

しおりを挟む

「……なんで先生の家なんですか」
「ホテルが良かった?」
「違いますけど!」

  春永先生にポイッと車に乗せられ、いつの間にか着いた先は高層マンションで、ひょいと軽々持ち上げられてそのまま中に入ってしまった。

  車に乗ってる間、春永先生はずっとふんふん機嫌良さげに鼻歌を歌っていた。なんだかそれを邪魔するのも悪い気がしてしまい、そのまま連れていかれたのだ。

革張りのソファに座ったとこでようやく口を開くと、コーヒー入りのカップを俺に渡しながら聞かれた。

「あ!写真!」
「ないよ」
「は?」
「嘘だよ。撮ってない。そう言うのが趣味なら撮ってあげるけど」

  コーヒーかけたろかと思ってしまった。からかわれたことにイラッとするが、春永先生は隣に腰掛け、俺を見ながら、フッと優しく微笑んだ。

「紫桃くんいいね。全然恋人面もしないし、懐きもしない」
「恋人じゃないし、懐くわけないじゃないですか」

  誰が懐くかこんな嘘つき男に。

  喧嘩の仲裁をしてくれたり、愚痴を聞いてくれたりと良い人だと思っていたのに裏切られた気分だった。お酒に乗じて人の事をあんな辱めたり、嘘をついてきて不快とすら思う。
  ふんっとそっぽを向くとクスクスと穏やかな笑い声が聞こえる。

「……なんですか」
「そのコーヒーに媚薬入ってるって言ったら?」
「は?!」
「嘘だよ」

  本当にコーヒーをかけそうになるが、心臓外科医を火傷させる訳にはいかない。プルプルとコーヒーを持つ手が震え、キッと睨むように顔を上げた。

  けどせっかく淹れてもらったコーヒーが冷めてしまったら勿体ないので口に含んだ。

「……もう。からかわないでください」
「ごめんごめん。でも媚薬入れたいくらいエッチしたいのは本当」
「っぶ!」

  突然ぶっちゃけられ、コーヒーを吹き出した。

「な……な……」
「どう? ストレス発散に」







  これは魔が差しただけだ。

「っ、ひ……っ、ぁ、あ…」
「はーーー…、きもち。もっかい」

  ビュルビュルと奥に射精される感覚に、身体がゾクゾクする。
  萎えたはずの春永先生は、直ぐに力を取り戻してまた俺の中をとちゅっ、とちゅっと突いてきた。

「あっ、ぁ……っ、ひ、ん……っ」
「鳴き方も可愛くていいね。紫桃くんもずっと気持ちいとこから降りて来れないね?」

  突かれる度に甘イキし、トロトロと萎えて勃たない自身から白濁の液体が漏れ出している。それを目を細めて見ている男の顔は優しいはずなのに、下半身は獣のようだった。
  初めての時だってあんなに気持ちよくて頭がおかしくなっていたのに、二度目はイッたまま抜け出せず、更に高みに昇らされる。

  セックスはスポーツだ。と聞いたことがある。我が身を持って経験し、裏付けすることになろうとは。もっとセックスとは穏やかに愛を確認し合う神聖なものだと思っていたのに。

  後ろから突かれ続けて腕の力は最早入らない。自ら尻を突き出す体制に、振り返って男を見てみると舌なめずりをするようにペロリと唇を舐めている。

「や、だ……も、やぁ…っ」
「やめない」
「っ!!あ゛っ!!」

  太く逞しい男根が串刺しをされ、その刺激でまた達した。ピュッとまだほんの少しだけ出る精液と共に達したのをガン見され、その視線が羞恥心を煽ってきた。

やだと言っても止めてもらえず、もう何時間経っただろうか。春永先生は挿入する前の慣らしもゆっくり丁寧にしてくれて、痛みは全くなかった。
  前回の気持ちよさを知っているだけに、早く早くと春永先生を待ち望んでしまうくらい期待してしまっていた。

「せんせ…っ は、そこ、だめ……すぐ」
「イきそ? 良いよ」
「んっ、~~っっ!!」

  ガクガクと身体中に電流が流れて震える。腰がビクビクと揺れる度に中の春永先生の逞しい物が俺のいい所に当たった。
  後ろから頭を撫でられ、「頑張ったね」とヨシヨシ。

なんだかそれが、今日一日頑張った自分へと言ってくれていたような気がした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処女姫Ωと帝の初夜

切羽未依
BL
αの皇子を産むため、男なのに姫として後宮に入れられたΩのぼく。  七年も経っても、未だに帝に番われず、未通(おとめ=処女)のままだった。  幼なじみでもある帝と仲は良かったが、Ωとして求められないことに、ぼくは不安と悲しみを抱えていた・・・  『紫式部~実は、歴史上の人物がΩだった件』の紫式部の就職先・藤原彰子も実はΩで、男の子だった!?というオメガバースな歴史ファンタジー。  歴史や古文が苦手でも、だいじょうぶ。ふりがな満載・カッコ書きの説明大量。  フツーの日本語で書いています。

【完結】売れ残りのΩですが隠していた××をαの上司に見られてから妙に優しくされててつらい。

天城
BL
ディランは売れ残りのΩだ。貴族のΩは十代には嫁入り先が決まるが、儚さの欠片もない逞しい身体のせいか完全に婚期を逃していた。 しかもディランの身体には秘密がある。陥没乳首なのである。恥ずかしくて大浴場にもいけないディランは、結婚は諦めていた。 しかしαの上司である騎士団長のエリオットに事故で陥没乳首を見られてから、彼はとても優しく接してくれる。始めは気まずかったものの、穏やかで壮年の色気たっぷりのエリオットの声を聞いていると、落ち着かないようなむずがゆいような、不思議な感じがするのだった。 【攻】騎士団長のα・巨体でマッチョの美形(黒髪黒目の40代)×【受】売れ残りΩ副団長・細マッチョ(陥没乳首の30代・銀髪紫目・無自覚美形)色事に慣れない陥没乳首Ωを、あの手この手で囲い込み、執拗な乳首フェラで籠絡させる独占欲つよつよαによる捕獲作戦。全3話+番外2話

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

貧乏Ωの憧れの人

ゆあ
BL
妊娠・出産に特化したΩの男性である大学1年の幸太には耐えられないほどの発情期が周期的に訪れる。そんな彼を救ってくれたのは生物的にも社会的にも恵まれたαである拓也だった。定期的に体の関係をもつようになった2人だが、なんと幸太は妊娠してしまう。中絶するには番の同意書と10万円が必要だが、貧乏学生であり、拓也の番になる気がない彼にはどちらの選択もハードルが高すぎて……。すれ違い拗らせオメガバースBL。 エブリスタにて紹介して頂いた時に書いて貰ったもの

処理中です...