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理人×雅
side雅
しおりを挟む「……なんで先生の家なんですか」
「ホテルが良かった?」
「違いますけど!」
春永先生にポイッと車に乗せられ、いつの間にか着いた先は高層マンションで、ひょいと軽々持ち上げられてそのまま中に入ってしまった。
車に乗ってる間、春永先生はずっとふんふん機嫌良さげに鼻歌を歌っていた。なんだかそれを邪魔するのも悪い気がしてしまい、そのまま連れていかれたのだ。
革張りのソファに座ったとこでようやく口を開くと、コーヒー入りのカップを俺に渡しながら聞かれた。
「あ!写真!」
「ないよ」
「は?」
「嘘だよ。撮ってない。そう言うのが趣味なら撮ってあげるけど」
コーヒーかけたろかと思ってしまった。からかわれたことにイラッとするが、春永先生は隣に腰掛け、俺を見ながら、フッと優しく微笑んだ。
「紫桃くんいいね。全然恋人面もしないし、懐きもしない」
「恋人じゃないし、懐くわけないじゃないですか」
誰が懐くかこんな嘘つき男に。
喧嘩の仲裁をしてくれたり、愚痴を聞いてくれたりと良い人だと思っていたのに裏切られた気分だった。お酒に乗じて人の事をあんな辱めたり、嘘をついてきて不快とすら思う。
ふんっとそっぽを向くとクスクスと穏やかな笑い声が聞こえる。
「……なんですか」
「そのコーヒーに媚薬入ってるって言ったら?」
「は?!」
「嘘だよ」
本当にコーヒーをかけそうになるが、心臓外科医を火傷させる訳にはいかない。プルプルとコーヒーを持つ手が震え、キッと睨むように顔を上げた。
けどせっかく淹れてもらったコーヒーが冷めてしまったら勿体ないので口に含んだ。
「……もう。からかわないでください」
「ごめんごめん。でも媚薬入れたいくらいエッチしたいのは本当」
「っぶ!」
突然ぶっちゃけられ、コーヒーを吹き出した。
「な……な……」
「どう? ストレス発散に」
これは魔が差しただけだ。
「っ、ひ……っ、ぁ、あ…」
「はーーー…、きもち。もっかい」
ビュルビュルと奥に射精される感覚に、身体がゾクゾクする。
萎えたはずの春永先生は、直ぐに力を取り戻してまた俺の中をとちゅっ、とちゅっと突いてきた。
「あっ、ぁ……っ、ひ、ん……っ」
「鳴き方も可愛くていいね。紫桃くんもずっと気持ちいとこから降りて来れないね?」
突かれる度に甘イキし、トロトロと萎えて勃たない自身から白濁の液体が漏れ出している。それを目を細めて見ている男の顔は優しいはずなのに、下半身は獣のようだった。
初めての時だってあんなに気持ちよくて頭がおかしくなっていたのに、二度目はイッたまま抜け出せず、更に高みに昇らされる。
セックスはスポーツだ。と聞いたことがある。我が身を持って経験し、裏付けすることになろうとは。もっとセックスとは穏やかに愛を確認し合う神聖なものだと思っていたのに。
後ろから突かれ続けて腕の力は最早入らない。自ら尻を突き出す体制に、振り返って男を見てみると舌なめずりをするようにペロリと唇を舐めている。
「や、だ……も、やぁ…っ」
「やめない」
「っ!!あ゛っ!!」
太く逞しい男根が串刺しをされ、その刺激でまた達した。ピュッとまだほんの少しだけ出る精液と共に達したのをガン見され、その視線が羞恥心を煽ってきた。
やだと言っても止めてもらえず、もう何時間経っただろうか。春永先生は挿入する前の慣らしもゆっくり丁寧にしてくれて、痛みは全くなかった。
前回の気持ちよさを知っているだけに、早く早くと春永先生を待ち望んでしまうくらい期待してしまっていた。
「せんせ…っ は、そこ、だめ……すぐ」
「イきそ? 良いよ」
「んっ、~~っっ!!」
ガクガクと身体中に電流が流れて震える。腰がビクビクと揺れる度に中の春永先生の逞しい物が俺のいい所に当たった。
後ろから頭を撫でられ、「頑張ったね」とヨシヨシ。
なんだかそれが、今日一日頑張った自分へと言ってくれていたような気がした。
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