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耐える sideアーヴィン
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アーヴィン=イブリックが辺境地区に配属されてから半年ほど経った。
サシャと仲直りして、恋人関係に戻ることができた。
アーヴィンは縋るように、半分以上ダメ元で復縁を望んだ。意外にもサシャはすぐに受け入れてくれたのだ。
サシャをこれ以上ないほど傷つけたのはアーヴィンもよく分かっている。
簡単に許して貰えないことも分かっている。
「んっ……んん、ぁん……」
けれどもこの状況は、アーヴィンの理性の限界をひたすらに試されているとしか思えない。
アーヴィンが1人で廊下を歩いていると、サシャから空き部屋へ引っ張りこまれ、こうやって首に腕を回されて積極的にキスをされる。
好きな人からそんなことをされて驚きつつも据え膳食わねばなんとやらで、アーヴィンもすぐに舌を絡めてサシャに答える。
これが、1人でいると毎回なのだ。
半年間、ずっとだ。
最初のうちは手放しで喜んだ。そもそも誠意を示すために、キスもちゃんとプランを考えてからしようと、まずは恋人らしく手を繋いでデートからと考えていたのだ。
それはそれできっと幸せだろうと柄にもなくロマンチックなことを考えていたのだ。
「っん……は、アーヴィン、もっと……んっ」
月の精のように美しい銀の髪と潤んだアメジストの瞳に上目遣いをされて、こんなことを言われ続けてみて欲しい。
これを半年間だ。
気が狂いそうになってくる。
股間も爆発してしまうのではないかと思うほどに興奮してしまう。
もう一度言う、アーヴィンの理性の限界をひたすらに試されているとしか思えないのだ。
何故ならば、そのままの雰囲気でサシャの服に手をかけようとしたアーヴィンに対し、
「結婚するまでは手を出さないんだよね?」
にっこりと極上の微笑みを見せながらサシャは、学生だった時に言ったアーヴィンの言葉を逆手に取ってきた。
この拷問のような半年間で、アーヴィンはゲッソリしていった。
それでもキスをせがまれればしてしまうのは、アーヴィンもサシャの積極的な様子が可愛くて仕方ないからで、ツライのは分かっているのに乗っかってしまう。
サシャは小悪魔になってしまったのだ。
お付き合いを再開して、最初の1ヶ月くらいは同僚にバレなかった。
しかし、廊下を歩いていると突然アーヴィンの姿が消えることが頻繁に起こる事象に、不思議に思った同僚達が面白がってアーヴィンを捜索した。
すると、サシャがアーヴィンの首に手を回し、サシャからキスをしている所が発見される。
見つかった瞬間、何故かサシャよりアーヴィンの方が顔を赤くしてしまった。
サシャはこの辺境地区の独身男どもを持ち前の美貌で軽く狂わせていたのもあり、当然同僚達からは殴られ蹴られた。
ヨリを戻すのが早すぎる、あんな美人を独り占めして殺したい、イケメンは得だな、等と吐き捨てるように言われた。
同僚達からはヤリたい放題でズルい、と言われるが、誓って清いままである。
アーヴィンは何人かと付き合ったことがあるから童貞ではないが、サシャは清い身体のままである。
これでは1ヶ月手を出さなかったクラークのことを不能や馬鹿とは二度と呼べない。
「サシャ、ストップ。頼む、ストップしてく、んぅ」
「ん……やぁ…、んん」
アーヴィンが音を上げて、懇願してもこの感じである。
繰り返すが、これを半年間だ。
まだ10代のヤリたい盛りのアーヴィンにはこの世の地獄である。
むしろ半年間我慢していることを褒めて欲しい。
「んっ、こら。サシャ、そろそろ仕事に戻るから、な?」
「アーヴィン、あと1回だけ…お願い」
「っぐ……」
何度でも言う。
潤んだアメジストの瞳に上目遣いで言われ、アーヴィンの理性の限界をひたすらに試されていて、いい加減気が狂いそうだった。
◆
王宮騎士団が遠征に来るという話が持ち上がった。
魔獣を討伐にくる目的ではなく、どちらかと言うと演習目的である。王宮から新米騎士達が来て、合同訓練を行うというものだった。
王宮騎士団員が到着し、堅苦しい挨拶も終わった後にディランが声をかけてきた。
「よ、久しぶり」
「おー。ディラン元気か?」
「元気元気、めちゃくちゃ統括騎士団長が怖ぇけどな」
アーヴィンの親友であるディランは、学園でもアーヴィンの次に成績が良かったのでエリートコースまっしぐらのようだった。
王宮には騎士団が第1から第5まであり、騎士団長もその分5人いる。
それをまとめているのが騎士団トップの統括騎士団長である。最強の強さを誇る漆黒の騎士と呼ばれている。その裏では鬼団長とも呼ばれているのだ。
ディランは要領が良いので、王宮騎士団でも上手くやっているだろうな、とあまり心配はしていない。
ディランはキョロキョロ周囲を見回すと、アーヴィンにコソコソと話し始めた。
「おい、サシャ=ジルヴァールとはどうなったんだ?」
「ヨリを戻した」
「はぁ?! お前、すげぇな。いや、サシャ=ジルヴァールの懐が広いのか?」
ディランには相当世話になったが、サシャと関係が戻ったことは言っていなかった。
「完全には許されてないけどな」
「ほー…ヤったのか?」
こうやって面白がられることが分かっていたからだ。
アーヴィンは溜息をつきながら、同僚にも相談できなかった半年間の拷問内容を愚痴ることにした。
案の定、ディランは大爆笑した。
「ははは! お前、それは全然許されてねぇな! いやー、サシャ=ジルヴァールは意外と良い性格してやがる!」
「うるせぇよ。 俺のチンコが死ぬか、理性が死ぬかの瀬戸際なんだよ」
「はははは! 俺だったらもう襲ってるわ! いやお前すげぇよ!」
ディランは笑いながらアーヴィンの背中をバシバシ叩く。
ディランの軽口に少しだけアーヴィンの気持ちも軽くなる。
「まぁヨリ戻ってんなら良かったわ。今回クラークも来てるからな」
「あ? クラークも王宮騎士団に入ってんのか」
「おま、クラークも成績上位者だったんだぞ」
サシャの元彼であるクラークの姿を探すが、王宮からかなりの人数が来ている中で探すのは骨が折れそうだった。
アーヴィンは、クラークがサシャを追いかけなかったことに実は驚いていた。
クラークは本気でサシャのことを好きだったようだったし、アーヴィンの嘘のせいでサシャを誤解していたのならば、やり直すことは簡単なはずだったからだ。
「けどお前と付き合ってんなら平気だろ」
いや、これはまずいのではないか。
クラークの誤解はアーヴィンのせいであり、サシャが思い直して心変わりする可能性は十分にある。
しかも相手はアーヴィンとは真逆の性格だ。
誠実だし穏やか、髪型や目は地味な印象だがそれでも優しげな印象をもった男に惹かれる人間はそれなりにいるだろう。
軽くなったはずの心に、クラークという重い石が乗っかる。
「平気と思うか?」
「再会して燃え上がる恋もあるだろうな…」
「やめろ想像するな殺すぞ」
アーヴィンは、サシャとクラークの2人がこの合同演習中に会わないことを神に祈るしかなかった。
サシャと仲直りして、恋人関係に戻ることができた。
アーヴィンは縋るように、半分以上ダメ元で復縁を望んだ。意外にもサシャはすぐに受け入れてくれたのだ。
サシャをこれ以上ないほど傷つけたのはアーヴィンもよく分かっている。
簡単に許して貰えないことも分かっている。
「んっ……んん、ぁん……」
けれどもこの状況は、アーヴィンの理性の限界をひたすらに試されているとしか思えない。
アーヴィンが1人で廊下を歩いていると、サシャから空き部屋へ引っ張りこまれ、こうやって首に腕を回されて積極的にキスをされる。
好きな人からそんなことをされて驚きつつも据え膳食わねばなんとやらで、アーヴィンもすぐに舌を絡めてサシャに答える。
これが、1人でいると毎回なのだ。
半年間、ずっとだ。
最初のうちは手放しで喜んだ。そもそも誠意を示すために、キスもちゃんとプランを考えてからしようと、まずは恋人らしく手を繋いでデートからと考えていたのだ。
それはそれできっと幸せだろうと柄にもなくロマンチックなことを考えていたのだ。
「っん……は、アーヴィン、もっと……んっ」
月の精のように美しい銀の髪と潤んだアメジストの瞳に上目遣いをされて、こんなことを言われ続けてみて欲しい。
これを半年間だ。
気が狂いそうになってくる。
股間も爆発してしまうのではないかと思うほどに興奮してしまう。
もう一度言う、アーヴィンの理性の限界をひたすらに試されているとしか思えないのだ。
何故ならば、そのままの雰囲気でサシャの服に手をかけようとしたアーヴィンに対し、
「結婚するまでは手を出さないんだよね?」
にっこりと極上の微笑みを見せながらサシャは、学生だった時に言ったアーヴィンの言葉を逆手に取ってきた。
この拷問のような半年間で、アーヴィンはゲッソリしていった。
それでもキスをせがまれればしてしまうのは、アーヴィンもサシャの積極的な様子が可愛くて仕方ないからで、ツライのは分かっているのに乗っかってしまう。
サシャは小悪魔になってしまったのだ。
お付き合いを再開して、最初の1ヶ月くらいは同僚にバレなかった。
しかし、廊下を歩いていると突然アーヴィンの姿が消えることが頻繁に起こる事象に、不思議に思った同僚達が面白がってアーヴィンを捜索した。
すると、サシャがアーヴィンの首に手を回し、サシャからキスをしている所が発見される。
見つかった瞬間、何故かサシャよりアーヴィンの方が顔を赤くしてしまった。
サシャはこの辺境地区の独身男どもを持ち前の美貌で軽く狂わせていたのもあり、当然同僚達からは殴られ蹴られた。
ヨリを戻すのが早すぎる、あんな美人を独り占めして殺したい、イケメンは得だな、等と吐き捨てるように言われた。
同僚達からはヤリたい放題でズルい、と言われるが、誓って清いままである。
アーヴィンは何人かと付き合ったことがあるから童貞ではないが、サシャは清い身体のままである。
これでは1ヶ月手を出さなかったクラークのことを不能や馬鹿とは二度と呼べない。
「サシャ、ストップ。頼む、ストップしてく、んぅ」
「ん……やぁ…、んん」
アーヴィンが音を上げて、懇願してもこの感じである。
繰り返すが、これを半年間だ。
まだ10代のヤリたい盛りのアーヴィンにはこの世の地獄である。
むしろ半年間我慢していることを褒めて欲しい。
「んっ、こら。サシャ、そろそろ仕事に戻るから、な?」
「アーヴィン、あと1回だけ…お願い」
「っぐ……」
何度でも言う。
潤んだアメジストの瞳に上目遣いで言われ、アーヴィンの理性の限界をひたすらに試されていて、いい加減気が狂いそうだった。
◆
王宮騎士団が遠征に来るという話が持ち上がった。
魔獣を討伐にくる目的ではなく、どちらかと言うと演習目的である。王宮から新米騎士達が来て、合同訓練を行うというものだった。
王宮騎士団員が到着し、堅苦しい挨拶も終わった後にディランが声をかけてきた。
「よ、久しぶり」
「おー。ディラン元気か?」
「元気元気、めちゃくちゃ統括騎士団長が怖ぇけどな」
アーヴィンの親友であるディランは、学園でもアーヴィンの次に成績が良かったのでエリートコースまっしぐらのようだった。
王宮には騎士団が第1から第5まであり、騎士団長もその分5人いる。
それをまとめているのが騎士団トップの統括騎士団長である。最強の強さを誇る漆黒の騎士と呼ばれている。その裏では鬼団長とも呼ばれているのだ。
ディランは要領が良いので、王宮騎士団でも上手くやっているだろうな、とあまり心配はしていない。
ディランはキョロキョロ周囲を見回すと、アーヴィンにコソコソと話し始めた。
「おい、サシャ=ジルヴァールとはどうなったんだ?」
「ヨリを戻した」
「はぁ?! お前、すげぇな。いや、サシャ=ジルヴァールの懐が広いのか?」
ディランには相当世話になったが、サシャと関係が戻ったことは言っていなかった。
「完全には許されてないけどな」
「ほー…ヤったのか?」
こうやって面白がられることが分かっていたからだ。
アーヴィンは溜息をつきながら、同僚にも相談できなかった半年間の拷問内容を愚痴ることにした。
案の定、ディランは大爆笑した。
「ははは! お前、それは全然許されてねぇな! いやー、サシャ=ジルヴァールは意外と良い性格してやがる!」
「うるせぇよ。 俺のチンコが死ぬか、理性が死ぬかの瀬戸際なんだよ」
「はははは! 俺だったらもう襲ってるわ! いやお前すげぇよ!」
ディランは笑いながらアーヴィンの背中をバシバシ叩く。
ディランの軽口に少しだけアーヴィンの気持ちも軽くなる。
「まぁヨリ戻ってんなら良かったわ。今回クラークも来てるからな」
「あ? クラークも王宮騎士団に入ってんのか」
「おま、クラークも成績上位者だったんだぞ」
サシャの元彼であるクラークの姿を探すが、王宮からかなりの人数が来ている中で探すのは骨が折れそうだった。
アーヴィンは、クラークがサシャを追いかけなかったことに実は驚いていた。
クラークは本気でサシャのことを好きだったようだったし、アーヴィンの嘘のせいでサシャを誤解していたのならば、やり直すことは簡単なはずだったからだ。
「けどお前と付き合ってんなら平気だろ」
いや、これはまずいのではないか。
クラークの誤解はアーヴィンのせいであり、サシャが思い直して心変わりする可能性は十分にある。
しかも相手はアーヴィンとは真逆の性格だ。
誠実だし穏やか、髪型や目は地味な印象だがそれでも優しげな印象をもった男に惹かれる人間はそれなりにいるだろう。
軽くなったはずの心に、クラークという重い石が乗っかる。
「平気と思うか?」
「再会して燃え上がる恋もあるだろうな…」
「やめろ想像するな殺すぞ」
アーヴィンは、サシャとクラークの2人がこの合同演習中に会わないことを神に祈るしかなかった。
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