3 / 37
演じる sideサシャ
しおりを挟む
サシャ=ジルヴァールは先日の中庭での事を思い出す度に心臓の位置がわかるような動悸がしていた。
その動悸の原因は、3日前のことであり人によってはたかがキスをしようと顔を近づけてきただけなのにと言われるものであった。
思い出す度に赤くなる顔を、サシャは教科書を顔の前に立てて隠した。
授業中は授業だけに集中できるが、合間の休憩時間や、家で1人で過ごしている間はどうしても思い出してしまうのであった。
嬉しくないわけがない。クラークが自分に対し性的興奮を覚えているということはサシャにとって喜ばしいことである。
しかし中庭で、誰が見ているかも分からない場所で、昼間からあんなみだらな行為をするなど、サシャにとっては信じられないことでもあった。
なんとか思い出さないようにしなくては、そう思っても、どうしてか中庭に行く勇気を持てなかった。
クラークに会いたいとは思う。けれども会いたくないとも思う。相反する気持ちにサシャは振り回されていた。
そんな落ち着かない気持ちの中、休み時間に、後ろの席の生徒達が噂をしていた。
『アーヴィン=イブリックが、銀の髪で紫の瞳を持った文官を探している』
と。 サシャは紫眼と聞いて直ぐに自分だと思い至った。
やはりぶつかったことを根に持っているのだ。恐ろしくて手が震えてきた。
見つかれば何をされるのか分からない。
陰口どころではなくなるかもしれない。
結局、友人もいないサシャは、逃げるようにお昼からでも図書館に行くしかなかった。
学園の図書館はかなり広い。
未だ紙は貴重なものだと言われているのに、1時間では歩ききれないほど広いのだ。
高さも3階建てである。そんな広大な図書館には1人2人、ポツリポツリと生徒がいるくらいで普段は殆どいないことが多い。
サシャはその図書館の奥の奥、丸いテーブルに2つの椅子がある。
窓はないが、コーヒーさえあれば優雅なカフェになりそうな雰囲気を醸し出していた。
クラークへの煩悩、アーヴィンへの怯えを払うべく、図書館に籠ることにしたサシャは、椅子に座って本を開いた。
しばらくすると、眠くなってきてしまった。静かな本をめくる音だけが響く空間に、まぶたが重くなるのは必然だった。
午後も授業はある。ここで寝ては遅刻の危険性がある。
サシャは眠い目を眼鏡の下から擦る。しかし、サシャは優雅で静かで、程よい温度に保たれた図書館の空気には抗えなかった。
「……ぃ、おい! 」
「っ!」
カシャン、という音ともにサシャは顔を起こした。眠気に抗えなかったサシャは机に突っ伏してしまっていたのだ。
誰かに声をかけられ飛び起きた。一体誰だと横を見ると、信じられない人物であった。
「起こして悪い。聞きたいことがある」
「…!」
3日前、あの中庭でぶつかったアーヴィン=イブリックであった。
やはり自分を探していたのだと、直ぐにサシャは席を立とうとした。
しかし、アーヴィンは何故かサシャの肩を掴んでいた。やはり何かぶつかった時の因縁をつけられるのかもしれない。
そう思いつつ、どうしてアーヴィンに自分がバレたのかと思った。3日間バレなかったのに、どうしてアーヴィンは自分を分かったのか。
けれども直ぐに理由は判明した。
自分の肩に乗った1つに括ってある髪を見ると、認識阻害をかけた状態の茶色ではなく白髪であったことにサシャは目を剥いた。
「お前、名前なんて言うんだ?」
アーヴィンの言葉にビクリ、と肩を揺らした。
テーブルの上を見ると眼鏡が置いてあった。
机に突っ伏した時に外れたのだ。サシャはカタカタと震えることしか出来なかった。
アーヴィンの問いに答えるということは、サシャ=ジルヴァールと答えることになる。
あの噂の平々凡々茶色の瞳を持つサシャとは違う。忌々しい紫眼を持った、あの噂のサシャ=ジルヴァールにクラスチェンジすることになるのだ。
「? 名前くらい言えるだろ?」
何も答えず、微かに震えるサシャに、名前くらい直ぐに言えるはずだとアーヴィンは訝しんだ。
「ぁ、あの、気味悪くないのか?」
「お前人の話、はぁ。何が気味が悪いんだよ」
「私の目」
「はぁ? 気味悪くない、綺麗で鮮やかなアメジストだろ」
サシャには信じ難い言葉だった。
この忌々しいとまで言われた瞳をアメジストだと例える目の前の人物が信じられなくて思わず何回も瞬きしてしまった。
アーヴィンはテーブルの向かいに、ドカッと座った。
席に座っていいか尋ねるのがマナーだが、サシャへの扱いなどそんなものか、と思うことにした。
「はーーー…ほんと、お前誰?」
「誰、とは?」
「いやお前のこと誰も知らないんだよ。そんな目立つ容姿しておいて、誰も知らないってことはないだろ」
そしてアーヴィンは信じられない言葉を放った。
「まさか、月の精?」
図書館はもともと静かだった。しかし、アーヴィンが放った言葉で更なる静寂へと変化させた。
どのくらいサシャは黙っていたのかは分からない。
そもそもアーヴィンが何を言ったのか、理解するのに時間がかかった。
たっぷりと時間をとって、アーヴィンが首を傾げた。
「ふっ、ふふ…ふ、あははは!」
サシャはこの世に生まれてから、初めて大笑いした。
目の前に座るあのアーヴィン=イブリックが、自分に対し月の精だとのたまった事実が可笑しくて仕方なかった。
目に涙が溜まるほど一頻り笑い、指で涙を拭った。
アーヴィンの方を見ると、なんだか罰が悪そうな、なんとも言えないような、恥ずかしいような、そんな複雑な顔をしていた。
「な、なんだよ。誰も知らないんだからそう思ってもおかしくねぇよ」
「ふふ、ふは、笑わせないで」
「なぁ、名前教えてくれよ」
まだ笑いながらサシャが話すと、アーヴィンは柔らかな微笑みを携えた顔に変わって、サシャの名前を尋ねた。
目の前の男は一貫して、サシャの名前を知りたがった。
サシャは笑うのをやめた。ピタリ、と笑い声を止めてから、考えた。
サシャの名前を教えれば、サシャ=ジルヴァールの噂も知る所になる。
なんだか、アーヴィンにはサシャ=ジルヴァールだと思われたくない、と感じてしまった。
クラークの時はそんなこと思わなかった。いや、そもそもクラークはサシャの本当の忌々しい姿を見せたことがなかった。
そのままのサシャで良いと、偽りだが本当でありたい姿の茶色の瞳を持つサシャを好きだと言ってくれた。
だが目の前のアーヴィンは、それの全く逆だ。この忌々しい紫の瞳を見ても蔑んだ目で見てこないし、蔑みの言葉もない。
しかしながら、サシャ=ジルヴァールと知られれば、サシャの噂が付いてくることになる。
ともすれば、サシャがやることは1つしかない。
「私はティム。ティム=カンポス」
実在しそうな名前を拝借することだった。
アーヴィンは満足そうに爽やかな笑顔を見せた。こうしてみると、女子が騒ぐのもよく分かる。とサシャは思った。
アーヴィンは爽やかな好青年な割に、真剣になるとどこか大人びた印象をもち、目鼻立ちもよい。どこにいっても彼はモテてしまうだろう。
「ティムな。俺は、アーヴィン=イブリック、よろしくな」
「うん」
こうしてサシャは、別人を演じる学園生活を歩む羽目になってしまったのだ。
その動悸の原因は、3日前のことであり人によってはたかがキスをしようと顔を近づけてきただけなのにと言われるものであった。
思い出す度に赤くなる顔を、サシャは教科書を顔の前に立てて隠した。
授業中は授業だけに集中できるが、合間の休憩時間や、家で1人で過ごしている間はどうしても思い出してしまうのであった。
嬉しくないわけがない。クラークが自分に対し性的興奮を覚えているということはサシャにとって喜ばしいことである。
しかし中庭で、誰が見ているかも分からない場所で、昼間からあんなみだらな行為をするなど、サシャにとっては信じられないことでもあった。
なんとか思い出さないようにしなくては、そう思っても、どうしてか中庭に行く勇気を持てなかった。
クラークに会いたいとは思う。けれども会いたくないとも思う。相反する気持ちにサシャは振り回されていた。
そんな落ち着かない気持ちの中、休み時間に、後ろの席の生徒達が噂をしていた。
『アーヴィン=イブリックが、銀の髪で紫の瞳を持った文官を探している』
と。 サシャは紫眼と聞いて直ぐに自分だと思い至った。
やはりぶつかったことを根に持っているのだ。恐ろしくて手が震えてきた。
見つかれば何をされるのか分からない。
陰口どころではなくなるかもしれない。
結局、友人もいないサシャは、逃げるようにお昼からでも図書館に行くしかなかった。
学園の図書館はかなり広い。
未だ紙は貴重なものだと言われているのに、1時間では歩ききれないほど広いのだ。
高さも3階建てである。そんな広大な図書館には1人2人、ポツリポツリと生徒がいるくらいで普段は殆どいないことが多い。
サシャはその図書館の奥の奥、丸いテーブルに2つの椅子がある。
窓はないが、コーヒーさえあれば優雅なカフェになりそうな雰囲気を醸し出していた。
クラークへの煩悩、アーヴィンへの怯えを払うべく、図書館に籠ることにしたサシャは、椅子に座って本を開いた。
しばらくすると、眠くなってきてしまった。静かな本をめくる音だけが響く空間に、まぶたが重くなるのは必然だった。
午後も授業はある。ここで寝ては遅刻の危険性がある。
サシャは眠い目を眼鏡の下から擦る。しかし、サシャは優雅で静かで、程よい温度に保たれた図書館の空気には抗えなかった。
「……ぃ、おい! 」
「っ!」
カシャン、という音ともにサシャは顔を起こした。眠気に抗えなかったサシャは机に突っ伏してしまっていたのだ。
誰かに声をかけられ飛び起きた。一体誰だと横を見ると、信じられない人物であった。
「起こして悪い。聞きたいことがある」
「…!」
3日前、あの中庭でぶつかったアーヴィン=イブリックであった。
やはり自分を探していたのだと、直ぐにサシャは席を立とうとした。
しかし、アーヴィンは何故かサシャの肩を掴んでいた。やはり何かぶつかった時の因縁をつけられるのかもしれない。
そう思いつつ、どうしてアーヴィンに自分がバレたのかと思った。3日間バレなかったのに、どうしてアーヴィンは自分を分かったのか。
けれども直ぐに理由は判明した。
自分の肩に乗った1つに括ってある髪を見ると、認識阻害をかけた状態の茶色ではなく白髪であったことにサシャは目を剥いた。
「お前、名前なんて言うんだ?」
アーヴィンの言葉にビクリ、と肩を揺らした。
テーブルの上を見ると眼鏡が置いてあった。
机に突っ伏した時に外れたのだ。サシャはカタカタと震えることしか出来なかった。
アーヴィンの問いに答えるということは、サシャ=ジルヴァールと答えることになる。
あの噂の平々凡々茶色の瞳を持つサシャとは違う。忌々しい紫眼を持った、あの噂のサシャ=ジルヴァールにクラスチェンジすることになるのだ。
「? 名前くらい言えるだろ?」
何も答えず、微かに震えるサシャに、名前くらい直ぐに言えるはずだとアーヴィンは訝しんだ。
「ぁ、あの、気味悪くないのか?」
「お前人の話、はぁ。何が気味が悪いんだよ」
「私の目」
「はぁ? 気味悪くない、綺麗で鮮やかなアメジストだろ」
サシャには信じ難い言葉だった。
この忌々しいとまで言われた瞳をアメジストだと例える目の前の人物が信じられなくて思わず何回も瞬きしてしまった。
アーヴィンはテーブルの向かいに、ドカッと座った。
席に座っていいか尋ねるのがマナーだが、サシャへの扱いなどそんなものか、と思うことにした。
「はーーー…ほんと、お前誰?」
「誰、とは?」
「いやお前のこと誰も知らないんだよ。そんな目立つ容姿しておいて、誰も知らないってことはないだろ」
そしてアーヴィンは信じられない言葉を放った。
「まさか、月の精?」
図書館はもともと静かだった。しかし、アーヴィンが放った言葉で更なる静寂へと変化させた。
どのくらいサシャは黙っていたのかは分からない。
そもそもアーヴィンが何を言ったのか、理解するのに時間がかかった。
たっぷりと時間をとって、アーヴィンが首を傾げた。
「ふっ、ふふ…ふ、あははは!」
サシャはこの世に生まれてから、初めて大笑いした。
目の前に座るあのアーヴィン=イブリックが、自分に対し月の精だとのたまった事実が可笑しくて仕方なかった。
目に涙が溜まるほど一頻り笑い、指で涙を拭った。
アーヴィンの方を見ると、なんだか罰が悪そうな、なんとも言えないような、恥ずかしいような、そんな複雑な顔をしていた。
「な、なんだよ。誰も知らないんだからそう思ってもおかしくねぇよ」
「ふふ、ふは、笑わせないで」
「なぁ、名前教えてくれよ」
まだ笑いながらサシャが話すと、アーヴィンは柔らかな微笑みを携えた顔に変わって、サシャの名前を尋ねた。
目の前の男は一貫して、サシャの名前を知りたがった。
サシャは笑うのをやめた。ピタリ、と笑い声を止めてから、考えた。
サシャの名前を教えれば、サシャ=ジルヴァールの噂も知る所になる。
なんだか、アーヴィンにはサシャ=ジルヴァールだと思われたくない、と感じてしまった。
クラークの時はそんなこと思わなかった。いや、そもそもクラークはサシャの本当の忌々しい姿を見せたことがなかった。
そのままのサシャで良いと、偽りだが本当でありたい姿の茶色の瞳を持つサシャを好きだと言ってくれた。
だが目の前のアーヴィンは、それの全く逆だ。この忌々しい紫の瞳を見ても蔑んだ目で見てこないし、蔑みの言葉もない。
しかしながら、サシャ=ジルヴァールと知られれば、サシャの噂が付いてくることになる。
ともすれば、サシャがやることは1つしかない。
「私はティム。ティム=カンポス」
実在しそうな名前を拝借することだった。
アーヴィンは満足そうに爽やかな笑顔を見せた。こうしてみると、女子が騒ぐのもよく分かる。とサシャは思った。
アーヴィンは爽やかな好青年な割に、真剣になるとどこか大人びた印象をもち、目鼻立ちもよい。どこにいっても彼はモテてしまうだろう。
「ティムな。俺は、アーヴィン=イブリック、よろしくな」
「うん」
こうしてサシャは、別人を演じる学園生活を歩む羽目になってしまったのだ。
204
お気に入りに追加
1,256
あなたにおすすめの小説

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。


運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**

αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
※11/20 短編(いちまんじ)新しく書きました!
※12/14 どうしてもIF話書きたくなったので、書きました!これにて本当にお終いにします。ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる