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43,パサール人との交流
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パーティーの翌日、シドとの魔法の練習を終えて屋敷へ戻ると、立派な馬車が止まっているのが見えた。
それを横目に最近やっと習得した転移魔法でハーブハウスへ移動すると、なぜかアルバ様ともう一人男性がソファーに座り優雅にお茶を飲んでいた。
側にはマリーとフレディが控えている。
え?なんで?ここにいるの?
私も驚いたが、私以上に皆目を見開いて固まっている。
「えっと…、こちらで何をされているのですか?」
「…失礼、私はキール・ブライソンと申します。アルバ様の護衛騎士をしております。今は騎士としての修行も兼ねて、先日の遠征にも同行させていただいたのです。昨日お聞きしたピアノが大変素晴らしく、帰国前にまた聞いておきたいと思い伺った次第です。」
先に我に返ったらしい男性が簡単にここにいる理由を説明する。
「あぁ、なるほど。こんな格好で申し訳ありません。まさか誰かがいるとは思わなくて。少しだけ待っていていただけますか?」
その後も何かと話しかけてくるキール様と話をしながら、手際よくチンキを作っていく。花は鮮度が大事だから早くやっておきたい。
摘んできた花を洗い乾燥させて、消毒した瓶に花を詰めたらアルコールを入れて完成だ。
私の手元を見ていたブライソン様が目を細めながら聞いてくる。
「素晴らしい魔法のコントロールですね。先程の転移魔法といい、いつもこのような使い方をしているのですか?」
「はい。魔法ってとっても便利ですよね。」
「ちなみにそれは何を作っているのですか?」
「後でお出ししますね。とっておきのオススメがありますので。」
◆
「エリナリーゼ嬢は魔法が使えるのですか?」
サンルームに移動すると、さっきまで黙っていたアルバ様がそう聞いてくる。
「えぇ。といっても師匠の足元にも及びませんが。」
「他にどんな魔法を使えるのですか?」
「えっと、そうですね。例えばこの部屋、段々涼しくなってきてませんか?」
「あぁ、それは先程から思っていた。一体どんな魔道具を使っているのか教えてほしいと思っていましたよ。」
「ふふっ。魔道具ではないのです。これは私の魔法なんですよ。壁全体に冷気を纏うことで部屋全体を冷やしているのです。」
「「氷魔法が使えるのですか?!」」
綺麗にハモったわね。そんなに驚くことなのかしら?フレディからもえっ!という声が聞こえる。
「はい。こんな使い方もできますよ。」
ちょうどマリーがハーブティーを持ってきてくれたので、温かいハーブティーを一気に冷やす。
さらに氷魔法でコップに氷を入れてハーブティーを注げば、夏にピッタリの涼し気な飲み物の完成だ。
「どうぞ?」
とコップを差し出す。
私が飲むのを見て二人も口をつける。
「美味しい…」
「これは何のハーブティーなのですか?」
「これはジャスミンティーですよ。上品な香りでとても気に入っているのです。最近は専らこればかり飲んでいます。」
「どこに売っているのでしょう?」
「えっと、これは私が作ったものなので売ってはいないかと思います。」
「少し譲っていただけないだろうか?」
「もちろんです。気に入ってもらえたのなら嬉しいですわ。」
マリーに頼みジャスミンのチンキと茶葉を持ってきてもらう。
ギフト用の瓶に詰め替えられたチンキと、配合したジャスミンティーの茶葉を前に美味しい淹れ方をレクチャーする。
「エリナリーゼ嬢は多才なのだな。語学も堪能だし、ピアノも上手い。魔法もできるしハーブにも精通している。」
「あら?そんなに褒めても何も出ませんよ。」
ちなみにずっとパサール語で話をしている。
そこへマリーが例の小説を持ってきてくれた。
「昨日言っていたのはこの小説なのです。恋愛小説ですからアルバ様のお気に召すかはわかりませんが。」
失礼ながらアルバ様が恋愛小説を読むのは想像できない。苦笑いで小説の内容を説明する。
城に住むお姫様が、身分を隠して街を歩いている時に心優しいが貧乏な青年と知り合う所から物語が始まる。
その青年は、お姫様を様々な場所に連れ出し色々な世界を見せてくれる。次第にお互い惹かれ合うが、様々な壁が立ちはだかる。
青年は願いが一つだけ叶うという魔道具を手に入れて、紆余曲折がありながらも最後は大円団のハッピーエンドで終わる。
簡単に言うとそんな話で、私は既に3回は読んでいる。
パサール語で書かれた小説なので、勉強にもなっているのだ。異国の文化や地理を学ぶのはとても楽しい。
「そういえばピアノでしたよね?」
「あぁそうだった!他に魅力的な事がありすぎてすっかり忘れてしまっていたよ。是非もう一度聴かせてほしい。ピアノも素晴らしかったが歌も聴きたいんだ。昨日は歌詞がよくわからなかったからな。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
これは起承転結をはっきりさせた4 章構成の曲だ。
街で出会う1章、壁に立ち向かう2章、お姫様を迎えに行く3章、二人は再び出会いハッピーエンドの最終章。最終章はパサール語の歌詞付きだ。
やっぱり思い切り歌うのは気持ちがいいな。
「我が国の小説からこのような曲を作るとは本当に素晴らしいですね。」
「曲もそうだが、澄み渡る歌声はとても素晴らしい。」
「いいえ、とんでもないです。私も思い切り歌えて楽しいので。」
ピアノが聞こえたからか、いつの間にかお父様がサンルームに来ていた。
「アルバ様、キール殿。いついらしていたのですか?」
あれ?お父様知らなかったのかな?てっきりお父様を通していたのかと思っていたけど。
チラリと二人を見ると、気まずそうな顔をしている。
「申し訳ない。その、昨日のピアノがどうしてもまた聞きたくなってしまって。急な来訪失礼した。公爵、少し話したいのだがよろしいだろうか?」
お父様は苦虫を噛み潰したような表情だ。
「…承知しました。ではこちらへ。エリィはもう部屋へ戻っていなさい。」
「エリナリーゼ嬢、今日はどうもありがとう。また会おう。」
敢えて空気を読まないのだろうか。楽しげなアルバ様と正反対にお父様が不機嫌になってくる。
どうして?
三人はそのまま退出し、私は一人残ったハーブティーを飲みお父様離れの計画に耽ったのだった。
それを横目に最近やっと習得した転移魔法でハーブハウスへ移動すると、なぜかアルバ様ともう一人男性がソファーに座り優雅にお茶を飲んでいた。
側にはマリーとフレディが控えている。
え?なんで?ここにいるの?
私も驚いたが、私以上に皆目を見開いて固まっている。
「えっと…、こちらで何をされているのですか?」
「…失礼、私はキール・ブライソンと申します。アルバ様の護衛騎士をしております。今は騎士としての修行も兼ねて、先日の遠征にも同行させていただいたのです。昨日お聞きしたピアノが大変素晴らしく、帰国前にまた聞いておきたいと思い伺った次第です。」
先に我に返ったらしい男性が簡単にここにいる理由を説明する。
「あぁ、なるほど。こんな格好で申し訳ありません。まさか誰かがいるとは思わなくて。少しだけ待っていていただけますか?」
その後も何かと話しかけてくるキール様と話をしながら、手際よくチンキを作っていく。花は鮮度が大事だから早くやっておきたい。
摘んできた花を洗い乾燥させて、消毒した瓶に花を詰めたらアルコールを入れて完成だ。
私の手元を見ていたブライソン様が目を細めながら聞いてくる。
「素晴らしい魔法のコントロールですね。先程の転移魔法といい、いつもこのような使い方をしているのですか?」
「はい。魔法ってとっても便利ですよね。」
「ちなみにそれは何を作っているのですか?」
「後でお出ししますね。とっておきのオススメがありますので。」
◆
「エリナリーゼ嬢は魔法が使えるのですか?」
サンルームに移動すると、さっきまで黙っていたアルバ様がそう聞いてくる。
「えぇ。といっても師匠の足元にも及びませんが。」
「他にどんな魔法を使えるのですか?」
「えっと、そうですね。例えばこの部屋、段々涼しくなってきてませんか?」
「あぁ、それは先程から思っていた。一体どんな魔道具を使っているのか教えてほしいと思っていましたよ。」
「ふふっ。魔道具ではないのです。これは私の魔法なんですよ。壁全体に冷気を纏うことで部屋全体を冷やしているのです。」
「「氷魔法が使えるのですか?!」」
綺麗にハモったわね。そんなに驚くことなのかしら?フレディからもえっ!という声が聞こえる。
「はい。こんな使い方もできますよ。」
ちょうどマリーがハーブティーを持ってきてくれたので、温かいハーブティーを一気に冷やす。
さらに氷魔法でコップに氷を入れてハーブティーを注げば、夏にピッタリの涼し気な飲み物の完成だ。
「どうぞ?」
とコップを差し出す。
私が飲むのを見て二人も口をつける。
「美味しい…」
「これは何のハーブティーなのですか?」
「これはジャスミンティーですよ。上品な香りでとても気に入っているのです。最近は専らこればかり飲んでいます。」
「どこに売っているのでしょう?」
「えっと、これは私が作ったものなので売ってはいないかと思います。」
「少し譲っていただけないだろうか?」
「もちろんです。気に入ってもらえたのなら嬉しいですわ。」
マリーに頼みジャスミンのチンキと茶葉を持ってきてもらう。
ギフト用の瓶に詰め替えられたチンキと、配合したジャスミンティーの茶葉を前に美味しい淹れ方をレクチャーする。
「エリナリーゼ嬢は多才なのだな。語学も堪能だし、ピアノも上手い。魔法もできるしハーブにも精通している。」
「あら?そんなに褒めても何も出ませんよ。」
ちなみにずっとパサール語で話をしている。
そこへマリーが例の小説を持ってきてくれた。
「昨日言っていたのはこの小説なのです。恋愛小説ですからアルバ様のお気に召すかはわかりませんが。」
失礼ながらアルバ様が恋愛小説を読むのは想像できない。苦笑いで小説の内容を説明する。
城に住むお姫様が、身分を隠して街を歩いている時に心優しいが貧乏な青年と知り合う所から物語が始まる。
その青年は、お姫様を様々な場所に連れ出し色々な世界を見せてくれる。次第にお互い惹かれ合うが、様々な壁が立ちはだかる。
青年は願いが一つだけ叶うという魔道具を手に入れて、紆余曲折がありながらも最後は大円団のハッピーエンドで終わる。
簡単に言うとそんな話で、私は既に3回は読んでいる。
パサール語で書かれた小説なので、勉強にもなっているのだ。異国の文化や地理を学ぶのはとても楽しい。
「そういえばピアノでしたよね?」
「あぁそうだった!他に魅力的な事がありすぎてすっかり忘れてしまっていたよ。是非もう一度聴かせてほしい。ピアノも素晴らしかったが歌も聴きたいんだ。昨日は歌詞がよくわからなかったからな。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
これは起承転結をはっきりさせた4 章構成の曲だ。
街で出会う1章、壁に立ち向かう2章、お姫様を迎えに行く3章、二人は再び出会いハッピーエンドの最終章。最終章はパサール語の歌詞付きだ。
やっぱり思い切り歌うのは気持ちがいいな。
「我が国の小説からこのような曲を作るとは本当に素晴らしいですね。」
「曲もそうだが、澄み渡る歌声はとても素晴らしい。」
「いいえ、とんでもないです。私も思い切り歌えて楽しいので。」
ピアノが聞こえたからか、いつの間にかお父様がサンルームに来ていた。
「アルバ様、キール殿。いついらしていたのですか?」
あれ?お父様知らなかったのかな?てっきりお父様を通していたのかと思っていたけど。
チラリと二人を見ると、気まずそうな顔をしている。
「申し訳ない。その、昨日のピアノがどうしてもまた聞きたくなってしまって。急な来訪失礼した。公爵、少し話したいのだがよろしいだろうか?」
お父様は苦虫を噛み潰したような表情だ。
「…承知しました。ではこちらへ。エリィはもう部屋へ戻っていなさい。」
「エリナリーゼ嬢、今日はどうもありがとう。また会おう。」
敢えて空気を読まないのだろうか。楽しげなアルバ様と正反対にお父様が不機嫌になってくる。
どうして?
三人はそのまま退出し、私は一人残ったハーブティーを飲みお父様離れの計画に耽ったのだった。
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