35 / 78
35,生徒会に入る
しおりを挟む
本格的に学園生活が始まった。
一般教養の科目は、既に勉強した内容ばかりだったので余裕だ。薬学に関しても、既に知っている知識ばかりだった。それでも座学の授業は面白く、有意義な時間を過ごすことができていた。
実技の必修科目では苦手な刺繍の時間があったが、それ以外は概ね順調だ。
お昼はクリスお兄様とヴィーク、ユリウス様と一緒に取ることになった。
クリスお兄様とユリウス様はヴィークと行動を共にすることが多いようだ。いわゆる側近らしいことは学園に入ってから知った事実だ。
本当はユリウス様も飛び級して、ヴィークの側近として同じ学年で学ぶ予定だったようだが、なぜかはわからないが、飛び級せずに学園生活を送っているらしい。
だから授業の時間以外はヴィークと行動を共にしているということもわかった。
◆
魔法の授業は必修科目である。
この世界では皆魔力を内に秘めている。
魔力量が増えるかどうかは本人の努力次第である。
私はシドに教えてもらい、日々実践してきたので、同年代より遥かに魔力量が多かった。
魔力量を増やす訓練を毎日欠かさず行ってきたので、現在の魔力量は2万を越えている。
既に全属性習得しているので授業も楽勝だ。
3回目の授業の後、先生に呼ばれた。
魔法は誰に教わったか聞かれたのでシドという王宮魔術師、と言うと
「えっ?!あのシド様直々に?!あり得ない…」
あり得ないと言われても実際教えて貰ったしな。
そんな日々を過ごしているとすぐにテストの時期となった。
テストは、全教科満点で学年首位の成績を取ることができた。
「すごいですね、エリナリーゼ様。でも、次は負けませんよ!」
とユリウス様からのライバル宣言を受けた。この数ヶ月でユリウス様ともそんな事を言い合うくらいには仲良くなった。
「私も3位だけど、1位と2位が圧倒的すぎますね」
と言うのは同じクラスのジークハルト様だ。
ちなみに私は500点満点、ユリウス様は497点、そして3位のジークハルト様は485点という結果だ。
ジークハルト様だって十分凄いのに。
「エリナリーゼ様、さすがです!」
「本当になんでもできるのですね、エリナリーゼ様、尊敬します。」
「才能のある方は違いますのね!今度是非お勉強をご一緒させていただきたいです!」
「そんなことないわよ。ヤマが当たっただけよ。」
私はこういうことを言われるのが嫌いなので、引き攣った笑みをみせながらそう言う。
(あぁ面倒臭いな。少しは一人で何かを成し遂げる努力をしたら?)
と心の中で悪態をついていると、
「エリィは頑張り屋さんだからね。君たちの知らないところで沢山努力をしているんだよ。」
とヴィークが声を掛けてきた。
「エリィ、1位おめでとう!これでエリィも生徒会の仲間入りだね。」
その声にほっとしたのもつかの間、聞き捨てならないことを聞いたような気がする。
「ヴィークグラン殿下よ!」
「エリナリーゼ様と本当にお似合いだわ。」
「お二人はお付き合いされているのかしら?」
などと聞こえてくるがスルーだ。
「生徒会ってなんの話?」
「知らなかった?この学園では成績の上位5名は生徒会に入る決まりがあるんだよ。」
(聞いてないわよ…、生徒会なんて面倒くさそうなことやりたくないわ。他にやることも沢山あるのに。)
「えっと…、それは辞退することはできないの?」
「今まで辞退した人はいないかな。」
「……」
「じゃあ生徒会室に案内するよ。」
なんだろう、ヴィークってばすごいいい笑顔じゃない。
「ヴィークも生徒会に入ってるの?」
「そうだよ。これからはエリィと一緒にいられる時間が増えるね。あ、もちろんクリスも生徒会のメンバーだから安心して?」
そういう問題ではないのだけど……。断われなさそうな雰囲気を察した私は、ため息をつきながらも生徒会に入ることにしたのだった。
一年生なので今はそんなにやることはないらしい。
後期から本格的になるみたいだ。
学園が終わってからはハーブの研究をしたりしているし、やりたいことは沢山あるからやっぱり時間が足りない。時間を伸ばせる魔法か、眠くならない魔法とかないかな?
子供の頃からよく使っているリフレッシュという魔法は短時間しか効果がないしなぁ。何かいい魔法ないかな?
帰りの馬車の中でそんな事を考えていると、私の顔を見ていたヴィークがふと聞いてくる。
「エリィ、夏休みはどこかに行くの?」
「夏休みはルーファンに行くのよ。」
「ルーファンか。良いところだよね。」
「えぇ、とても気に入っているの。あそこにしか咲いてない花や薬草があるのよ。」
「そうなんだ?いつ頃いくの?」
「来週から2週間位行こうと思ってるの。」
「じゃあさ、その前に街へ行かない?」
「街へ?」
「うん!行ってみたいところがあるんだけど、男1人では行きにくくて。」
「えぇ、もちろん。私で良ければ是非。」
◆
ヴィークと街へ出掛ける日がやってきた。
屋敷まで迎えに来てくれて、ちゃんとエスコートまでしてくれる。本当に紳士だなぁ。
と思っていると、ハンドクリームや化粧水のお礼にとドレスを贈りたいと言い出した。
「え?いいわよ、ドレスなんて。私着ていく機会ないもの。」
自慢じゃないがパーティーには未だに苦手意識があるのでほとんど欠席している。
「これからはパーティーにも出席せざるを得なくなってくるよ?」
「ドレスなら家に沢山あるわ。お母様のドレスがいいの。」
さすがにドレスの贈り物は丁重にお断りしたい。
「私があげたいんだ。ダメかな?」
「う~ん……。ドレスは大丈夫よ」
頑なにドレスを拒むと、ヴィークは悲壮感を漂わせながら聞いてきた。
「ねぇ、エリィ。…エリィは婚約者は作らないの?」
「今のところは考えていないわ。」
「…もしかして、誰か好きな人がいるの?」
「えぇ、そうよ。」
「………っ!!…それは僕も知ってる人?」
「えぇ、知ってるわね。」
「誰か聞いても……?いや、やっぱりいい。」
わかりやすく元気がなくなったわね…。ちゃんとお父様って言った方が誤解は溶けそうだけど……。
「ねぇヴィーク、もしかして行きたかった所ってそこ?」
「うん、そうだよ。」
力なく答えるヴィークがなんだか可哀相になってきてしまった。私が悪いみたいになっているのは気のせいかしら。
「…ちょっとお茶しない?あそこのカフェずっと気になっていたの。」
「うん、もちろん。」
お花屋さんの前にあるカフェは、テラス席ではお花屋が見える。ここでゆっくりお茶をしながら店頭に置いてあるお花を眺めたいと思っていたのだ。
「いろんなお花があってきれいね。」
「うん、エリィはどの花が一番好き?」
「うーん、一番は選べないわね。どのお花もキレイだから。」
そんな話をしながらお花屋さんを眺めていると、何を買おうか迷っている人がいる。
迷っているがその姿はどこか嬉しそうだ。
「私だったら何を買おうかな?」
「エリィって、お花を買うことあるの?買うより育てる方が好きそう。」
「確かにね。でも買うこともあるわよ。」
「へぇ。僕もらったことないけど?」
「ヴィークってお花欲しかったの?」
「エリィが選んでくれるならなんでも欲しいよ?」
「じゃあ後で選んであげる!」
「ほんとに?嬉しいよ。」
「あ、出てきた。ふふっ。嬉しそう。」
「どうしたの?」
「花屋さんから出てきた人、さっきからとっても迷っていたの。10分くらい前からかな?
それでね、やっと出てきたんだけど嬉しそうな顔でキレイな花束を持っていたの。幸せそうでなによりだわ。」
「ふふっ。そうだね。」
そう笑ったヴィークの笑顔はとても柔らかく私を見ていた。
なんとなく気まずくなってきた。
話を変えよう。
「そういえば、生徒会の仕事って何をすればいいの?」
あぁ、それはね~と生徒会の役割や仕事についていろいろと教えてもらった。
その後お花屋さんに寄りお互いに花を贈りあう。
ドレスはなんとか断ることができたが、ヴィークは悲しそうな顔をしていてなんだか罪悪感を感じた。
楽しかったけど、屋敷に着いた頃にはいつも以上に疲れてしまっていた。
馬車から降りる時、ヴィークは必ずエスコートしてくれる。そして最近は、手にキスをした後抱き締めてくる。
「この挨拶をされるのは嫌?」
以前泣きそうな顔でそう言われてしまったので、それ以来受け入れている。
ヴィークにとっては挨拶かもしれないけど、私は変にドキドキしてしまうからやめてもらいたいけど、やっぱり抱き締めて欲しいような複雑な気持ちを抱えていた。
一般教養の科目は、既に勉強した内容ばかりだったので余裕だ。薬学に関しても、既に知っている知識ばかりだった。それでも座学の授業は面白く、有意義な時間を過ごすことができていた。
実技の必修科目では苦手な刺繍の時間があったが、それ以外は概ね順調だ。
お昼はクリスお兄様とヴィーク、ユリウス様と一緒に取ることになった。
クリスお兄様とユリウス様はヴィークと行動を共にすることが多いようだ。いわゆる側近らしいことは学園に入ってから知った事実だ。
本当はユリウス様も飛び級して、ヴィークの側近として同じ学年で学ぶ予定だったようだが、なぜかはわからないが、飛び級せずに学園生活を送っているらしい。
だから授業の時間以外はヴィークと行動を共にしているということもわかった。
◆
魔法の授業は必修科目である。
この世界では皆魔力を内に秘めている。
魔力量が増えるかどうかは本人の努力次第である。
私はシドに教えてもらい、日々実践してきたので、同年代より遥かに魔力量が多かった。
魔力量を増やす訓練を毎日欠かさず行ってきたので、現在の魔力量は2万を越えている。
既に全属性習得しているので授業も楽勝だ。
3回目の授業の後、先生に呼ばれた。
魔法は誰に教わったか聞かれたのでシドという王宮魔術師、と言うと
「えっ?!あのシド様直々に?!あり得ない…」
あり得ないと言われても実際教えて貰ったしな。
そんな日々を過ごしているとすぐにテストの時期となった。
テストは、全教科満点で学年首位の成績を取ることができた。
「すごいですね、エリナリーゼ様。でも、次は負けませんよ!」
とユリウス様からのライバル宣言を受けた。この数ヶ月でユリウス様ともそんな事を言い合うくらいには仲良くなった。
「私も3位だけど、1位と2位が圧倒的すぎますね」
と言うのは同じクラスのジークハルト様だ。
ちなみに私は500点満点、ユリウス様は497点、そして3位のジークハルト様は485点という結果だ。
ジークハルト様だって十分凄いのに。
「エリナリーゼ様、さすがです!」
「本当になんでもできるのですね、エリナリーゼ様、尊敬します。」
「才能のある方は違いますのね!今度是非お勉強をご一緒させていただきたいです!」
「そんなことないわよ。ヤマが当たっただけよ。」
私はこういうことを言われるのが嫌いなので、引き攣った笑みをみせながらそう言う。
(あぁ面倒臭いな。少しは一人で何かを成し遂げる努力をしたら?)
と心の中で悪態をついていると、
「エリィは頑張り屋さんだからね。君たちの知らないところで沢山努力をしているんだよ。」
とヴィークが声を掛けてきた。
「エリィ、1位おめでとう!これでエリィも生徒会の仲間入りだね。」
その声にほっとしたのもつかの間、聞き捨てならないことを聞いたような気がする。
「ヴィークグラン殿下よ!」
「エリナリーゼ様と本当にお似合いだわ。」
「お二人はお付き合いされているのかしら?」
などと聞こえてくるがスルーだ。
「生徒会ってなんの話?」
「知らなかった?この学園では成績の上位5名は生徒会に入る決まりがあるんだよ。」
(聞いてないわよ…、生徒会なんて面倒くさそうなことやりたくないわ。他にやることも沢山あるのに。)
「えっと…、それは辞退することはできないの?」
「今まで辞退した人はいないかな。」
「……」
「じゃあ生徒会室に案内するよ。」
なんだろう、ヴィークってばすごいいい笑顔じゃない。
「ヴィークも生徒会に入ってるの?」
「そうだよ。これからはエリィと一緒にいられる時間が増えるね。あ、もちろんクリスも生徒会のメンバーだから安心して?」
そういう問題ではないのだけど……。断われなさそうな雰囲気を察した私は、ため息をつきながらも生徒会に入ることにしたのだった。
一年生なので今はそんなにやることはないらしい。
後期から本格的になるみたいだ。
学園が終わってからはハーブの研究をしたりしているし、やりたいことは沢山あるからやっぱり時間が足りない。時間を伸ばせる魔法か、眠くならない魔法とかないかな?
子供の頃からよく使っているリフレッシュという魔法は短時間しか効果がないしなぁ。何かいい魔法ないかな?
帰りの馬車の中でそんな事を考えていると、私の顔を見ていたヴィークがふと聞いてくる。
「エリィ、夏休みはどこかに行くの?」
「夏休みはルーファンに行くのよ。」
「ルーファンか。良いところだよね。」
「えぇ、とても気に入っているの。あそこにしか咲いてない花や薬草があるのよ。」
「そうなんだ?いつ頃いくの?」
「来週から2週間位行こうと思ってるの。」
「じゃあさ、その前に街へ行かない?」
「街へ?」
「うん!行ってみたいところがあるんだけど、男1人では行きにくくて。」
「えぇ、もちろん。私で良ければ是非。」
◆
ヴィークと街へ出掛ける日がやってきた。
屋敷まで迎えに来てくれて、ちゃんとエスコートまでしてくれる。本当に紳士だなぁ。
と思っていると、ハンドクリームや化粧水のお礼にとドレスを贈りたいと言い出した。
「え?いいわよ、ドレスなんて。私着ていく機会ないもの。」
自慢じゃないがパーティーには未だに苦手意識があるのでほとんど欠席している。
「これからはパーティーにも出席せざるを得なくなってくるよ?」
「ドレスなら家に沢山あるわ。お母様のドレスがいいの。」
さすがにドレスの贈り物は丁重にお断りしたい。
「私があげたいんだ。ダメかな?」
「う~ん……。ドレスは大丈夫よ」
頑なにドレスを拒むと、ヴィークは悲壮感を漂わせながら聞いてきた。
「ねぇ、エリィ。…エリィは婚約者は作らないの?」
「今のところは考えていないわ。」
「…もしかして、誰か好きな人がいるの?」
「えぇ、そうよ。」
「………っ!!…それは僕も知ってる人?」
「えぇ、知ってるわね。」
「誰か聞いても……?いや、やっぱりいい。」
わかりやすく元気がなくなったわね…。ちゃんとお父様って言った方が誤解は溶けそうだけど……。
「ねぇヴィーク、もしかして行きたかった所ってそこ?」
「うん、そうだよ。」
力なく答えるヴィークがなんだか可哀相になってきてしまった。私が悪いみたいになっているのは気のせいかしら。
「…ちょっとお茶しない?あそこのカフェずっと気になっていたの。」
「うん、もちろん。」
お花屋さんの前にあるカフェは、テラス席ではお花屋が見える。ここでゆっくりお茶をしながら店頭に置いてあるお花を眺めたいと思っていたのだ。
「いろんなお花があってきれいね。」
「うん、エリィはどの花が一番好き?」
「うーん、一番は選べないわね。どのお花もキレイだから。」
そんな話をしながらお花屋さんを眺めていると、何を買おうか迷っている人がいる。
迷っているがその姿はどこか嬉しそうだ。
「私だったら何を買おうかな?」
「エリィって、お花を買うことあるの?買うより育てる方が好きそう。」
「確かにね。でも買うこともあるわよ。」
「へぇ。僕もらったことないけど?」
「ヴィークってお花欲しかったの?」
「エリィが選んでくれるならなんでも欲しいよ?」
「じゃあ後で選んであげる!」
「ほんとに?嬉しいよ。」
「あ、出てきた。ふふっ。嬉しそう。」
「どうしたの?」
「花屋さんから出てきた人、さっきからとっても迷っていたの。10分くらい前からかな?
それでね、やっと出てきたんだけど嬉しそうな顔でキレイな花束を持っていたの。幸せそうでなによりだわ。」
「ふふっ。そうだね。」
そう笑ったヴィークの笑顔はとても柔らかく私を見ていた。
なんとなく気まずくなってきた。
話を変えよう。
「そういえば、生徒会の仕事って何をすればいいの?」
あぁ、それはね~と生徒会の役割や仕事についていろいろと教えてもらった。
その後お花屋さんに寄りお互いに花を贈りあう。
ドレスはなんとか断ることができたが、ヴィークは悲しそうな顔をしていてなんだか罪悪感を感じた。
楽しかったけど、屋敷に着いた頃にはいつも以上に疲れてしまっていた。
馬車から降りる時、ヴィークは必ずエスコートしてくれる。そして最近は、手にキスをした後抱き締めてくる。
「この挨拶をされるのは嫌?」
以前泣きそうな顔でそう言われてしまったので、それ以来受け入れている。
ヴィークにとっては挨拶かもしれないけど、私は変にドキドキしてしまうからやめてもらいたいけど、やっぱり抱き締めて欲しいような複雑な気持ちを抱えていた。
77
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
公爵家の家族ができました。〜記憶を失くした少女は新たな場所で幸せに過ごす〜
月
ファンタジー
記憶を失くしたフィーは、怪我をして国境沿いの森で倒れていたところをウィスタリア公爵に助けてもらい保護される。
けれど、公爵家の次女フィーリアの大切なワンピースを意図せず着てしまい、双子のアルヴァートとリティシアを傷付けてしまう。
ウィスタリア公爵夫妻には五人の子どもがいたが、次女のフィーリアは病気で亡くなってしまっていたのだ。
大切なワンピースを着てしまったこと、フィーリアの愛称フィーと公爵夫妻から呼ばれたことなどから双子との確執ができてしまった。
子どもたちに受け入れられないまま王都にある本邸へと戻ることになってしまったフィーに、そのこじれた関係のせいでとある出来事が起きてしまう。
素性もわからないフィーに優しくしてくれるウィスタリア公爵夫妻と、心を開き始めた子どもたちにどこか後ろめたい気持ちを抱いてしまう。
それは夢の中で見た、フィーと同じ輝くような金色の髪をした男の子のことが気になっていたからだった。
夢の中で見た、金色の花びらが舞う花畑。
ペンダントの金に彫刻された花と水色の魔石。
自分のことをフィーと呼んだ、夢の中の男の子。
フィーにとって、それらは記憶を取り戻す唯一の手がかりだった。
夢で会った、金色の髪をした男の子との関係。
新たに出会う、友人たち。
再会した、大切な人。
そして成長するにつれ周りで起き始めた不可解なこと。
フィーはどのように公爵家で過ごしていくのか。
★記憶を失くした代わりに前世を思い出した、ちょっとだけ感情豊かな少女が新たな家族の優しさに触れ、信頼できる友人に出会い、助け合い、そして忘れていた大切なものを取り戻そうとするお話です。
※前世の記憶がありますが、転生のお話ではありません。
※一話あたり二千文字前後となります。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる