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17,精油を抽出してみよう
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お父様が私のために改装してくれた離れは、ハーブハウスと呼ぶことにした。
そのハーブハウスに早速器具を設置する。ここは厨房のあった場所だ。壁を取り払い、ダイニングスペースも見渡せるような広々とした部屋になっている。
これで準備は整った。頬が緩みっぱなしだ。
あとは上手くできればいいけど。
早速実験を開始する。
まずは鉄板のラベンダーから始めよう。
鍋に少し精製水を入れ、洗って魔法で乾燥させたラベンダーを入れる。
冷却装置には水と氷を入れる。もちろん魔法を使っている。本当に便利。このために頑張ったと言っても過言ではない。つくづく努力はしておくべきなのだ。
魔導コンロに火を付け、蒸留されるのを待ちながら、冷却装置にどんどん溶けていく氷を追加していく。
そしてだんだん水蒸気が冷却され液体となり、フローラルウォーターと精油が抽出されてきた。
「やった!!成功だわ!!!」
鼻歌を歌いながら氷を追加していく。
「その歌ってなんの歌ですか?」
「ん?これは、ちょっと今思いついたのよ。」
側にいたアンナが聞いてくる。
まさか前世で好きだった曲とは言えない。
鍋いっぱいにラベンダーを入れて抽出できたのは精油は少量だが、フローラルウォーターは500mlくらいできた。
うん、上出来だわ。
嬉しすぎて顔が自然に綻ぶ。
「本当にいい香りですね。」
アンナの顔もいい笑顔だ。
「そうでしょ?とってもいい香りよね。癒されるわ」
これからハーブだけではなく、花でもいろいろ試してみよう、と思うとワクワクが止まらない。
「この浮いているものが精油なのですね。」
と抽出されたものを見ている。
「そうよ、これだけやっても少ししか取れないから根気が必要なの。」
「精油以外のものはどうするのですか?」
「これはフローラルウォーターといって、化粧水やルームスプレーにも使えるのよ。ハーブによっては化粧水に適さないものもあるから注意が必要なんだけど、ラベンダーは何にでも使えるの。
今回は化粧水にしてみようかしら。」
先日イーサンから購入した精製水とグリセリンと合わせて早速作ってみる。混ぜ合わせるだけなのでとても簡単だ。
香りもとても良い。
「初めて作ったからとりあえず自分で試してみようかな。問題なさそうだったらアンナにも使ってもらおうかと思ってるわ。」
「本当ですか?興味あります。」
そう言うアンナは嬉しそうだ。
「ふふっ、よかったわ。」
「お嬢様、本当に楽しそうですね。」
「えぇ、だって楽しいもの!」
エリナリーゼが久しぶりに見せた年齢相応の笑顔ではしゃぐ姿はとても新鮮で、アンナは頬を緩ませた。
◆
「ねぇねぇアンナ、最近肌の調子が良くなってきた気がするの。どうかしら?」
「相変わらずお美しいですよ。お嬢様。」
アンナは最近とっても機嫌が良い。何かいい事あったのかな?専属の侍女が笑顔だと私も嬉しくなる。
「じゃあアンナ、はいこれ。」
プレゼント用にラッピングした化粧水をアンナに渡す。
「えっいいのですか?貴重なものなのでは?」
「アンナにはいつもお世話になってるからね。それにこれはそんなに日持ちしないのよ。嫌でなければ使ってみて。でも肌に合わなければすぐ使うのは止めてね。あと、できれば感想も教えてくれると嬉しいわ。」
「ありがとうございます。お嬢様。大切に使いますね。」
「いや、これから沢山できるようになるから、そんなに大切に使わなくても大丈夫よ!バシャバシャ使ってみてちょうだい!」
そう言うとアンナはとても嬉しそうに言った。
「はい、かしこまりました。」
その笑顔を見てると私もとても嬉しくなり、前向きな気分になれた。
「お嬢様、いただいた化粧水を使うようになってから、肌の調子がとても良いです!
気のせいか少し白くなったような気がしますし、手についた擦り傷も治りが早く感じます!!」
ある日、アンナがとても嬉しそうに言ってきた。
「ほんと?よかったわ!ちゃんと効果が出ているのね!!」
「はい。とてもいい香りですし、今まで使っていたものと比べても肌のなじみが全然違います。」
「嬉しいわ!また作るわね!やっぱり大人に使ってみてもらったほうが効果はわかりやすいわね。」
「えぇ!私も手伝います!」
とアンナがやる気満々だ。
そのハーブハウスに早速器具を設置する。ここは厨房のあった場所だ。壁を取り払い、ダイニングスペースも見渡せるような広々とした部屋になっている。
これで準備は整った。頬が緩みっぱなしだ。
あとは上手くできればいいけど。
早速実験を開始する。
まずは鉄板のラベンダーから始めよう。
鍋に少し精製水を入れ、洗って魔法で乾燥させたラベンダーを入れる。
冷却装置には水と氷を入れる。もちろん魔法を使っている。本当に便利。このために頑張ったと言っても過言ではない。つくづく努力はしておくべきなのだ。
魔導コンロに火を付け、蒸留されるのを待ちながら、冷却装置にどんどん溶けていく氷を追加していく。
そしてだんだん水蒸気が冷却され液体となり、フローラルウォーターと精油が抽出されてきた。
「やった!!成功だわ!!!」
鼻歌を歌いながら氷を追加していく。
「その歌ってなんの歌ですか?」
「ん?これは、ちょっと今思いついたのよ。」
側にいたアンナが聞いてくる。
まさか前世で好きだった曲とは言えない。
鍋いっぱいにラベンダーを入れて抽出できたのは精油は少量だが、フローラルウォーターは500mlくらいできた。
うん、上出来だわ。
嬉しすぎて顔が自然に綻ぶ。
「本当にいい香りですね。」
アンナの顔もいい笑顔だ。
「そうでしょ?とってもいい香りよね。癒されるわ」
これからハーブだけではなく、花でもいろいろ試してみよう、と思うとワクワクが止まらない。
「この浮いているものが精油なのですね。」
と抽出されたものを見ている。
「そうよ、これだけやっても少ししか取れないから根気が必要なの。」
「精油以外のものはどうするのですか?」
「これはフローラルウォーターといって、化粧水やルームスプレーにも使えるのよ。ハーブによっては化粧水に適さないものもあるから注意が必要なんだけど、ラベンダーは何にでも使えるの。
今回は化粧水にしてみようかしら。」
先日イーサンから購入した精製水とグリセリンと合わせて早速作ってみる。混ぜ合わせるだけなのでとても簡単だ。
香りもとても良い。
「初めて作ったからとりあえず自分で試してみようかな。問題なさそうだったらアンナにも使ってもらおうかと思ってるわ。」
「本当ですか?興味あります。」
そう言うアンナは嬉しそうだ。
「ふふっ、よかったわ。」
「お嬢様、本当に楽しそうですね。」
「えぇ、だって楽しいもの!」
エリナリーゼが久しぶりに見せた年齢相応の笑顔ではしゃぐ姿はとても新鮮で、アンナは頬を緩ませた。
◆
「ねぇねぇアンナ、最近肌の調子が良くなってきた気がするの。どうかしら?」
「相変わらずお美しいですよ。お嬢様。」
アンナは最近とっても機嫌が良い。何かいい事あったのかな?専属の侍女が笑顔だと私も嬉しくなる。
「じゃあアンナ、はいこれ。」
プレゼント用にラッピングした化粧水をアンナに渡す。
「えっいいのですか?貴重なものなのでは?」
「アンナにはいつもお世話になってるからね。それにこれはそんなに日持ちしないのよ。嫌でなければ使ってみて。でも肌に合わなければすぐ使うのは止めてね。あと、できれば感想も教えてくれると嬉しいわ。」
「ありがとうございます。お嬢様。大切に使いますね。」
「いや、これから沢山できるようになるから、そんなに大切に使わなくても大丈夫よ!バシャバシャ使ってみてちょうだい!」
そう言うとアンナはとても嬉しそうに言った。
「はい、かしこまりました。」
その笑顔を見てると私もとても嬉しくなり、前向きな気分になれた。
「お嬢様、いただいた化粧水を使うようになってから、肌の調子がとても良いです!
気のせいか少し白くなったような気がしますし、手についた擦り傷も治りが早く感じます!!」
ある日、アンナがとても嬉しそうに言ってきた。
「ほんと?よかったわ!ちゃんと効果が出ているのね!!」
「はい。とてもいい香りですし、今まで使っていたものと比べても肌のなじみが全然違います。」
「嬉しいわ!また作るわね!やっぱり大人に使ってみてもらったほうが効果はわかりやすいわね。」
「えぇ!私も手伝います!」
とアンナがやる気満々だ。
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