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繋がり
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5ヶ月ぶりにセックスをした。ずっと閉じ込めていた感情が開放されたかのような気がしていた。
触れる肌が気持ち良くて。唇の熱量が篭っていて、私の肌を吸うのがいつもより痛いくらいだった。
「あっ」
彼が私の身体に入る。ずっとセックスしたかったんだと身体が言っているのが分かる。子宮まで、届いているだろう感覚に身体が仰反るように私は感じていた。
「はいってるとこ、見る?」
彼はゆっくり私の両腕を引いて起き上がらせた。下を見ると私の身体に春が入っている。薄暗い照明でもしっかりと分かった。生々しいその画は本当に生々しくて、けど現実であり、セックスしているんだと言う事の証明みたいで異様にドキドキした。
「エッチなこと、してるってかんじ」
私の声は肩で息をしていた。目の前の彼ははとろんとした顔をしている。
私の首にまた強くキスをした。
「今日、たくさんしたい」
不思議と自分から言っていた。
子宮深く、私の気持ちの良いところが擦れる。また頭がおかしくなるほどの快楽がジワジワ押し寄せてくるのが分かる。
握りしめていたハズのシーツだったけど、気がついたら彼にしがみついていた。
「あっあっ」
擦れる音で、すごく濡れているのが分かる。性欲なんて自分で強いと思った事なんてなかったのに、なんでこんなに抱かれたいと思うのだろう。
「フロントで、俺の名前書けた?」
2人で全然眠れないままベッドの上で話していたら小鳥のさえずりがだんだんと聞こえてきて、朝に向かっているんだなと思っていた。
「書いたよ。小寺春臣って。」
「ひろこは?」
「安藤紘子だよ。漢字で書いたよ」
「・・・なんだ。小寺紘子って書けばよかったのに」
私の前髪をサラサラと触れながら言った。
「それ、結婚したら小寺紘子って書くんだろうなって一瞬思ったよ。子供ができたらまたその下に子供の名前が追加されるのかな、とかさ。」
春の横顔がふふふと笑っていた。
「それ、いーなー。ひろことの子供なら5人くらいほしいよ。」
「やめてよー5人も産むの大変だよ。」
「今すぐ産んでもいいのに」
「・・・今は無理にきまってるでしょ」
いつもいつもドキドキさせられる。
心がギュッと苦しくなるようなドキドキをくれる。
多分これが女にとって1番女でいられる薬なのかもしれない、と思う。
爪の先から足の先まで感じるようなセックスの快感を覚えた私はずっとこの人に抱かれ続けなきゃダメだと思ってしまう。
「ひろこ、早く歳とってよ」
歳取ったら、私はおばさんになったら。
若いままじゃなくておばさんになっても愛してくれるの?
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
このインターフォンの鳴らし方は秋元さんだと思った。
朝8時。
朝の散歩を終えて戻った直後だった。
「アッキー来たっぽい。入れてもいい?」
「あ!ファスナーしめて!」
ワンピースの後ろのファスナーをあげてもらっていたらまたしつこく鳴った。
ピンポーンピンポーンピンポーン
春は急いで玄関へ向かった。
「ひろ!」
「ゆうき!」
久々のゆうきはすぐに部屋に現れて私に抱きついた。
「ひろこ!久々!」
続いてケンも入って来た。
「ケン!久しぶり」
「すげープールもある。入っていい?」
「おじゃましまーす!」
「ひろこちゃんおはよー!」
メンバー全員と各々のマネージャー達が現れて急に忙しくなる部屋の中に間もなく朝ご飯が届いた。
「え?人数分あるけど誰が頼んだの?」
「山ちゃん。昨日頼んでたよ」
「ええ?」
ケンの言葉に笑いながらもみんなで輪になって朝食会となった。
「俺さ、昨日の占い師に30代半ばで結婚するって言われたよ。あと、ギタリストとしての地位を確立するって!」
「えー!ケン、結婚するの!」
私は春とケンの間に座り、ケンと話しで盛り上がっていた。
「ひろこも見てもらえよ!」
「結婚しないとか言われたりしたら怖いよ」
久しぶりでも当たり前のこの雰囲気が、春とその仲間たちと本当に当たり前の関係でそれも嬉しくて。
隣では春がパンをゆっくりちぎりながら少し眠そうに食べている。
「・・・」
春に、連載の話をしなきゃ、と思った。
食事を終えてすぐ、私は春のTシャツを引っ張ってキッチンに呼んだ。
「何?」
「あのね、」
私はポケットからスマホを取り出した。
「私、雑誌連載する事になったんだ。」
「連載?すごいじゃん!なんて雑誌?」
「cameraってカメラ専門誌。前に優希も出たらしいよ。4月号から。写真と文章載せるから、春が撮ってよ。」
春に撮ってもらいたかった。他の誰でもない。恋をしている私を撮って欲しかった。
「貸して」
春は私のスマホを受け取って写真を撮った。場所を変えて庭に出てまた写真を撮ってくれた。
「笑顔。笑って。」
言わなくても、きっと春は私の気持ちを分かっているんだと思った。
「次号の分も撮っとく?」
「うん!」
最後の撮影をした時、春がニヤッと笑った。
出発の時間が刻々と近づいて来る。
長居して、全員そのまま車で会場入りだ。私はそのままタクシーで空港へ行く。
みんなが出て行った部屋に荷物をまとめて庭で外の景色を眺めていた。
別れは辛いけど別に最後の別れではない。またしばらく会えなくなるだけなんだと自分に言い聞かせながら。
庭に春が私を迎えに来た。私の目の前に来て赤い紙袋を差し出した。
「え?何これ。」
「遅い、クリスマスプレゼント。」
何も言ってないのに突然のプレゼントにビックリしたけど、赤い紙袋の中には白い包みが見えた。
そっと包みを取って箱をあけるとダイヤのネックレスが美しく大事そうに固定されて入っていた。
陽を浴びてダイヤが光った。そのネックレスを持つ腕にはお揃いの時計。
時計のダイヤも一緒にキラキラと光った。
そっと取り出してネックレスをつけてくれた。嬉しい気持ちと複雑な気分が交差した。貰ってばかり。しかも高価なものばかり。カルティエのネックレスだ。
「お誕生日も、靴あんなに送ってくれたのに。」
「あれはちゃんと選んだよ。俺がひろこに履いてほしい靴。」
私は鞄から大阪で預かったままのカードを取り出して渡した。ずっと返そうと毎日持ち歩いていたんだ。
「これで、何か買い物した?」
「何も買うわけないじゃん。貯金したら?」
私の言い方に春が笑っているから胸のポケットにカードを入れてあげた。
また、しばらく会えなくなる。
次はいつ会えるんだろう。
私は春を見つめていた。
春も私を見つめている。
2度と会えなくなる訳じゃない。しばらく会えないだけ。私達には心の繋がりがある。信じてる。ううん。春だから信じれるんだ。
悲しい言葉なんて別れ際に言いたくない。
私を引き寄せて抱きしめてくれた。
「全国ツアー、楽しみだね。」
彼の胸の中で、彼女として。
精一杯仕事に送り出してあげたくて。
触れる肌が気持ち良くて。唇の熱量が篭っていて、私の肌を吸うのがいつもより痛いくらいだった。
「あっ」
彼が私の身体に入る。ずっとセックスしたかったんだと身体が言っているのが分かる。子宮まで、届いているだろう感覚に身体が仰反るように私は感じていた。
「はいってるとこ、見る?」
彼はゆっくり私の両腕を引いて起き上がらせた。下を見ると私の身体に春が入っている。薄暗い照明でもしっかりと分かった。生々しいその画は本当に生々しくて、けど現実であり、セックスしているんだと言う事の証明みたいで異様にドキドキした。
「エッチなこと、してるってかんじ」
私の声は肩で息をしていた。目の前の彼ははとろんとした顔をしている。
私の首にまた強くキスをした。
「今日、たくさんしたい」
不思議と自分から言っていた。
子宮深く、私の気持ちの良いところが擦れる。また頭がおかしくなるほどの快楽がジワジワ押し寄せてくるのが分かる。
握りしめていたハズのシーツだったけど、気がついたら彼にしがみついていた。
「あっあっ」
擦れる音で、すごく濡れているのが分かる。性欲なんて自分で強いと思った事なんてなかったのに、なんでこんなに抱かれたいと思うのだろう。
「フロントで、俺の名前書けた?」
2人で全然眠れないままベッドの上で話していたら小鳥のさえずりがだんだんと聞こえてきて、朝に向かっているんだなと思っていた。
「書いたよ。小寺春臣って。」
「ひろこは?」
「安藤紘子だよ。漢字で書いたよ」
「・・・なんだ。小寺紘子って書けばよかったのに」
私の前髪をサラサラと触れながら言った。
「それ、結婚したら小寺紘子って書くんだろうなって一瞬思ったよ。子供ができたらまたその下に子供の名前が追加されるのかな、とかさ。」
春の横顔がふふふと笑っていた。
「それ、いーなー。ひろことの子供なら5人くらいほしいよ。」
「やめてよー5人も産むの大変だよ。」
「今すぐ産んでもいいのに」
「・・・今は無理にきまってるでしょ」
いつもいつもドキドキさせられる。
心がギュッと苦しくなるようなドキドキをくれる。
多分これが女にとって1番女でいられる薬なのかもしれない、と思う。
爪の先から足の先まで感じるようなセックスの快感を覚えた私はずっとこの人に抱かれ続けなきゃダメだと思ってしまう。
「ひろこ、早く歳とってよ」
歳取ったら、私はおばさんになったら。
若いままじゃなくておばさんになっても愛してくれるの?
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
このインターフォンの鳴らし方は秋元さんだと思った。
朝8時。
朝の散歩を終えて戻った直後だった。
「アッキー来たっぽい。入れてもいい?」
「あ!ファスナーしめて!」
ワンピースの後ろのファスナーをあげてもらっていたらまたしつこく鳴った。
ピンポーンピンポーンピンポーン
春は急いで玄関へ向かった。
「ひろ!」
「ゆうき!」
久々のゆうきはすぐに部屋に現れて私に抱きついた。
「ひろこ!久々!」
続いてケンも入って来た。
「ケン!久しぶり」
「すげープールもある。入っていい?」
「おじゃましまーす!」
「ひろこちゃんおはよー!」
メンバー全員と各々のマネージャー達が現れて急に忙しくなる部屋の中に間もなく朝ご飯が届いた。
「え?人数分あるけど誰が頼んだの?」
「山ちゃん。昨日頼んでたよ」
「ええ?」
ケンの言葉に笑いながらもみんなで輪になって朝食会となった。
「俺さ、昨日の占い師に30代半ばで結婚するって言われたよ。あと、ギタリストとしての地位を確立するって!」
「えー!ケン、結婚するの!」
私は春とケンの間に座り、ケンと話しで盛り上がっていた。
「ひろこも見てもらえよ!」
「結婚しないとか言われたりしたら怖いよ」
久しぶりでも当たり前のこの雰囲気が、春とその仲間たちと本当に当たり前の関係でそれも嬉しくて。
隣では春がパンをゆっくりちぎりながら少し眠そうに食べている。
「・・・」
春に、連載の話をしなきゃ、と思った。
食事を終えてすぐ、私は春のTシャツを引っ張ってキッチンに呼んだ。
「何?」
「あのね、」
私はポケットからスマホを取り出した。
「私、雑誌連載する事になったんだ。」
「連載?すごいじゃん!なんて雑誌?」
「cameraってカメラ専門誌。前に優希も出たらしいよ。4月号から。写真と文章載せるから、春が撮ってよ。」
春に撮ってもらいたかった。他の誰でもない。恋をしている私を撮って欲しかった。
「貸して」
春は私のスマホを受け取って写真を撮った。場所を変えて庭に出てまた写真を撮ってくれた。
「笑顔。笑って。」
言わなくても、きっと春は私の気持ちを分かっているんだと思った。
「次号の分も撮っとく?」
「うん!」
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別れは辛いけど別に最後の別れではない。またしばらく会えなくなるだけなんだと自分に言い聞かせながら。
庭に春が私を迎えに来た。私の目の前に来て赤い紙袋を差し出した。
「え?何これ。」
「遅い、クリスマスプレゼント。」
何も言ってないのに突然のプレゼントにビックリしたけど、赤い紙袋の中には白い包みが見えた。
そっと包みを取って箱をあけるとダイヤのネックレスが美しく大事そうに固定されて入っていた。
陽を浴びてダイヤが光った。そのネックレスを持つ腕にはお揃いの時計。
時計のダイヤも一緒にキラキラと光った。
そっと取り出してネックレスをつけてくれた。嬉しい気持ちと複雑な気分が交差した。貰ってばかり。しかも高価なものばかり。カルティエのネックレスだ。
「お誕生日も、靴あんなに送ってくれたのに。」
「あれはちゃんと選んだよ。俺がひろこに履いてほしい靴。」
私は鞄から大阪で預かったままのカードを取り出して渡した。ずっと返そうと毎日持ち歩いていたんだ。
「これで、何か買い物した?」
「何も買うわけないじゃん。貯金したら?」
私の言い方に春が笑っているから胸のポケットにカードを入れてあげた。
また、しばらく会えなくなる。
次はいつ会えるんだろう。
私は春を見つめていた。
春も私を見つめている。
2度と会えなくなる訳じゃない。しばらく会えないだけ。私達には心の繋がりがある。信じてる。ううん。春だから信じれるんだ。
悲しい言葉なんて別れ際に言いたくない。
私を引き寄せて抱きしめてくれた。
「全国ツアー、楽しみだね。」
彼の胸の中で、彼女として。
精一杯仕事に送り出してあげたくて。
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