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合鍵
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小さい頃、いけないことはしちゃダメだとお母さんに言われた。
人にして嫌な事は必ず自分に返ってくるよ、と。
もし、春が私以外の女の人とキスしたら悲しい。
シャワーで髪を洗いながら顔を思いっきり洗った。洗顔フォームをたくさんつけて、唇を強く洗った。力強く擦ったせいか唇が腫れて痒みをおびてきた。頭からシャワーを浴びて口をおさえた。
なんで、慶とキスしたんだろう。
『リハ終わったから今から行くよ』
お風呂上がりに春からメールが入っていた。1時間も前に来ていたメールに私はハッとして急いでワンピースを被って髪を乾かした。
私には春がいる。春が1番大切で私の彼氏なんだ。
慶には佐奈美ちゃんがいる。慶の彼女は佐奈美ちゃんであって、
『ひろこは特別だから』
特別って何?
佐奈美ちゃんよりどの女の子より特別なの?特別の特権は何なの?
また、変な期待が湧き上がってくる。
ピンポーン
目が覚めるかのようにインターフォンが鳴った。オートロックを開けると画面にマスクをした春が映った。
慶とキスした唇が擦りすぎたのか熱を帯びているけどもう目の前に春はいる。
「わ!春おつかれ!」
扉が開いてマスクを片手に持ちながらニコリと笑った。私のワンピースの胸元をそっと直したと思ったら抱きしめた。
「あ、いたかったー!」
「それ、大阪の挨拶!」
「違うよ。本当に会いたかったよ」
「昨日も会ったのに?」
私の顔を見ると唇をソッと触った。
「どうしたの?こすった?」
「え?」
咄嗟に唇を手で隠した。不自然に擦って赤くなった唇を見られて焦った自分がいる。
「あ、アイスたくさんあるんだった。食べようよ。」
話をそらすように冷蔵庫に走って行って袋からハーゲンダッツをテーブルにバラバラと出した。
「新曲のPV、今日できたよ」
「見たい!」
2人でアイスを食べながらソファーでPVを見た。
緑鮮やかな庭園をバックに春がリズムを取りながら気持ちよさそうに歌っていた。
「春ってよく声でるねーやっぱり肺活量があるの?」
「ね。俺よく声出るよね。」
リハの後だからか、今日はいつもよりかすれた声だった。
「この歌、タイアップついたから歌詞何度も手直ししてさ、聖司死にそうになってたよ。」
『忘れられない好きな人、そんな人もいたな』
春の歌う歌詞に妙に共感している。
「本当は、喉冷やしちゃダメなんだよ。ボーカルは。」
春はアイスを食べながら隣で言った。
「でもアイスは食べるしビールもコーヒーも飲むしタバコも吸ってるじゃない」
「医者に毎月診てもらってるよ。でも問題はなくてさ。」
「身体、強いよね。風邪ひいたとか聞かないし」
隣で食べる春のアイスが妙に欲しくなって覗いた。
「春の、ちょっとちょうだい」
「抹茶ラテ味だけど、抹茶味と変わらないんだよ」
アイスを一口スプーンですくって食べてたら彼は鞄から封筒を手に取り出した。中から出てきたのは部屋の鍵だった。
「何コレ?」
「うちの、鍵」
春の部屋の鍵だ。合鍵ってやつだ。
「記者、毎日いるし来れないかもしれないけど。」
そっと受け取ると妙に重みがあった。
「ありがとう。さすが、立派な鍵だね。」
ふと、自分の合鍵を思い出していた。
「私の部屋の鍵、持ってる人遊井さんだわ」
私はおかしくて笑っていたけど、春から合鍵を渡されたのが、近くにいれてるからだと実感した。
「東京、帰って来たーってかんじ、する。春の部屋の鍵かぁ。」
鍵を手の中で見ながらギュッと握りしめた。これは恋人間では普通の事なんだ。慶だって、もう一人暮らしをしているかもしれない。そしたら当たり前に佐奈美ちゃんに渡している事だろう。付き合って3年だ。私と春よりも長い期間一緒にいるんだから当たり前だ。
2人の事を考えていたら腕を引き寄せられてキスをした。
さっきした慶とのキスを一瞬思い出したけど、記憶をかき消すかのように春の唇を吸っていた。忘れようと思った。
「ひろこに毎日、会いたい」
「・・春は忙しいのに。」
抱きしめられて、私も彼の背中に手を回した。いつものあの、安心できる胸の中でさっきまでの煮え切らない気持ちがふわんふわんと消えていくかのようだった。
「ツアーとかレコーディングとか家を空ける日もあるよ。でもそれ以外は毎日ひろこと会いたい」
「会ったら、何するの?」
「・・トランプとか。」
とぼけた春の顔がおかしくて思い切り笑った。つられて春も笑っていた。
「ツアー終わったら、今度はニューヨーク行くんだよ。しばらくバタバタしそうなんだ。」
「いつまで?」
「年末かな。」
私の胸元に思いっきりキスをした。
「あっあっ」
クーラーで冷えきった部屋で、肌質が気持ちよくてお互いの肌の擦れ合う音がする。
「なんでいつもこんなに濡れてるの?」
「・・春が、エッチだから」
私の下半身からひどく濡れた音が聞こえる。今日も彼を感じている。いつも通り感じているんだ。
「今日、排卵日、」
「それ、聞くと中で出したくなる」
「ダメ、あっ」
子宮の近くを指でわざとなぞる彼の指に私は身体がのけぞるように感じていた。
「やっ すごい、気持ちよくなっちゃう」
「もっとしていい?」
「あんっ」
慶と佐奈美ちゃんも、こうやって愛し合っているの?
固くなった彼のものが私の身体に入る。ひとつになった時キスをした。
きっと2人もこうやってキスしてるんだ。だって付き合ってるんだもん。
なんで2人の事ばかり気にしてるんだろう。
唇のキスは私の胸を優しく吸った。また、濡れてくるのが分かる。
ピリリリリリリリ
突然電話が鳴った。どちらの携帯の音か分からない。でもそんな電話も出たくないくらいの衝動に駆られていた。
「あっあっあっ」
「ここ、ひろこ気持ちいいんでしょ」
「やっ はる、あっ」
声にもならない声で感じていた。下半身の擦れ合う音が妙にリアルでもっとしたいと思ってしまう。
昨日も今日もセックスしている。快感に溺れて、身体を重ねるごとにこの人が大切だと思い知らされる。
子宮がうずくように抱かれたいと思ってしまう。東京に戻って来れて、毎日春が来てくれてセックスして。頭がおかしくなりそうだ。でも毎日抱かれて毎日この快楽に溺れたらきっともっと春とは離れられなくなる。
「毎日、会ってたら、妊娠しそう。」
彼の身体にしがみついて荒い息遣いを落ち着かせながら言った。
「中で、出したいよ」
「・・ダメだよ」
お互いの熱くなった唇が重なる。愛されている。私は春に愛されているといつも思う。
唇を重ねる音でたくさをキスしてると分かる。
「あっあっああっ」
深く子宮の近くを突かれた時私は春じゃなきゃダメだと思った。
この人に抱かれ続けなきゃダメだと思った。
「あっ」
目の前が真っ白になるかのような快楽が襲うとお腹の上で生暖かいものが広がった。
荒い息遣いがお互い収まらなかった。
「妊娠、しそうって言うから外にだしたよ。」
私に覆いかぶさりながら抱きしめた。
「でも、たまに中で出すじゃない。毎日会ってたら、妊娠しちゃうよ。」
すると私にキスをした。前髪がゆらゆらと揺れている。私の目を見つめていた。
「避妊、するよ」
「そんな事言って今まで一度もゴムした事ないじゃない。」
私が頬をつねると痛い痛いと笑って頬にかかった私の手を繋いだ。
「じゃあ、電話と一緒。夜の0時前に仕事が終わったらひろこの部屋に来る」
「分かった」
彼氏と毎日会える。
毎日会って愛を感じられる。
これって幸せなこと。
幸せなことなんだ。
人にして嫌な事は必ず自分に返ってくるよ、と。
もし、春が私以外の女の人とキスしたら悲しい。
シャワーで髪を洗いながら顔を思いっきり洗った。洗顔フォームをたくさんつけて、唇を強く洗った。力強く擦ったせいか唇が腫れて痒みをおびてきた。頭からシャワーを浴びて口をおさえた。
なんで、慶とキスしたんだろう。
『リハ終わったから今から行くよ』
お風呂上がりに春からメールが入っていた。1時間も前に来ていたメールに私はハッとして急いでワンピースを被って髪を乾かした。
私には春がいる。春が1番大切で私の彼氏なんだ。
慶には佐奈美ちゃんがいる。慶の彼女は佐奈美ちゃんであって、
『ひろこは特別だから』
特別って何?
佐奈美ちゃんよりどの女の子より特別なの?特別の特権は何なの?
また、変な期待が湧き上がってくる。
ピンポーン
目が覚めるかのようにインターフォンが鳴った。オートロックを開けると画面にマスクをした春が映った。
慶とキスした唇が擦りすぎたのか熱を帯びているけどもう目の前に春はいる。
「わ!春おつかれ!」
扉が開いてマスクを片手に持ちながらニコリと笑った。私のワンピースの胸元をそっと直したと思ったら抱きしめた。
「あ、いたかったー!」
「それ、大阪の挨拶!」
「違うよ。本当に会いたかったよ」
「昨日も会ったのに?」
私の顔を見ると唇をソッと触った。
「どうしたの?こすった?」
「え?」
咄嗟に唇を手で隠した。不自然に擦って赤くなった唇を見られて焦った自分がいる。
「あ、アイスたくさんあるんだった。食べようよ。」
話をそらすように冷蔵庫に走って行って袋からハーゲンダッツをテーブルにバラバラと出した。
「新曲のPV、今日できたよ」
「見たい!」
2人でアイスを食べながらソファーでPVを見た。
緑鮮やかな庭園をバックに春がリズムを取りながら気持ちよさそうに歌っていた。
「春ってよく声でるねーやっぱり肺活量があるの?」
「ね。俺よく声出るよね。」
リハの後だからか、今日はいつもよりかすれた声だった。
「この歌、タイアップついたから歌詞何度も手直ししてさ、聖司死にそうになってたよ。」
『忘れられない好きな人、そんな人もいたな』
春の歌う歌詞に妙に共感している。
「本当は、喉冷やしちゃダメなんだよ。ボーカルは。」
春はアイスを食べながら隣で言った。
「でもアイスは食べるしビールもコーヒーも飲むしタバコも吸ってるじゃない」
「医者に毎月診てもらってるよ。でも問題はなくてさ。」
「身体、強いよね。風邪ひいたとか聞かないし」
隣で食べる春のアイスが妙に欲しくなって覗いた。
「春の、ちょっとちょうだい」
「抹茶ラテ味だけど、抹茶味と変わらないんだよ」
アイスを一口スプーンですくって食べてたら彼は鞄から封筒を手に取り出した。中から出てきたのは部屋の鍵だった。
「何コレ?」
「うちの、鍵」
春の部屋の鍵だ。合鍵ってやつだ。
「記者、毎日いるし来れないかもしれないけど。」
そっと受け取ると妙に重みがあった。
「ありがとう。さすが、立派な鍵だね。」
ふと、自分の合鍵を思い出していた。
「私の部屋の鍵、持ってる人遊井さんだわ」
私はおかしくて笑っていたけど、春から合鍵を渡されたのが、近くにいれてるからだと実感した。
「東京、帰って来たーってかんじ、する。春の部屋の鍵かぁ。」
鍵を手の中で見ながらギュッと握りしめた。これは恋人間では普通の事なんだ。慶だって、もう一人暮らしをしているかもしれない。そしたら当たり前に佐奈美ちゃんに渡している事だろう。付き合って3年だ。私と春よりも長い期間一緒にいるんだから当たり前だ。
2人の事を考えていたら腕を引き寄せられてキスをした。
さっきした慶とのキスを一瞬思い出したけど、記憶をかき消すかのように春の唇を吸っていた。忘れようと思った。
「ひろこに毎日、会いたい」
「・・春は忙しいのに。」
抱きしめられて、私も彼の背中に手を回した。いつものあの、安心できる胸の中でさっきまでの煮え切らない気持ちがふわんふわんと消えていくかのようだった。
「ツアーとかレコーディングとか家を空ける日もあるよ。でもそれ以外は毎日ひろこと会いたい」
「会ったら、何するの?」
「・・トランプとか。」
とぼけた春の顔がおかしくて思い切り笑った。つられて春も笑っていた。
「ツアー終わったら、今度はニューヨーク行くんだよ。しばらくバタバタしそうなんだ。」
「いつまで?」
「年末かな。」
私の胸元に思いっきりキスをした。
「あっあっ」
クーラーで冷えきった部屋で、肌質が気持ちよくてお互いの肌の擦れ合う音がする。
「なんでいつもこんなに濡れてるの?」
「・・春が、エッチだから」
私の下半身からひどく濡れた音が聞こえる。今日も彼を感じている。いつも通り感じているんだ。
「今日、排卵日、」
「それ、聞くと中で出したくなる」
「ダメ、あっ」
子宮の近くを指でわざとなぞる彼の指に私は身体がのけぞるように感じていた。
「やっ すごい、気持ちよくなっちゃう」
「もっとしていい?」
「あんっ」
慶と佐奈美ちゃんも、こうやって愛し合っているの?
固くなった彼のものが私の身体に入る。ひとつになった時キスをした。
きっと2人もこうやってキスしてるんだ。だって付き合ってるんだもん。
なんで2人の事ばかり気にしてるんだろう。
唇のキスは私の胸を優しく吸った。また、濡れてくるのが分かる。
ピリリリリリリリ
突然電話が鳴った。どちらの携帯の音か分からない。でもそんな電話も出たくないくらいの衝動に駆られていた。
「あっあっあっ」
「ここ、ひろこ気持ちいいんでしょ」
「やっ はる、あっ」
声にもならない声で感じていた。下半身の擦れ合う音が妙にリアルでもっとしたいと思ってしまう。
昨日も今日もセックスしている。快感に溺れて、身体を重ねるごとにこの人が大切だと思い知らされる。
子宮がうずくように抱かれたいと思ってしまう。東京に戻って来れて、毎日春が来てくれてセックスして。頭がおかしくなりそうだ。でも毎日抱かれて毎日この快楽に溺れたらきっともっと春とは離れられなくなる。
「毎日、会ってたら、妊娠しそう。」
彼の身体にしがみついて荒い息遣いを落ち着かせながら言った。
「中で、出したいよ」
「・・ダメだよ」
お互いの熱くなった唇が重なる。愛されている。私は春に愛されているといつも思う。
唇を重ねる音でたくさをキスしてると分かる。
「あっあっああっ」
深く子宮の近くを突かれた時私は春じゃなきゃダメだと思った。
この人に抱かれ続けなきゃダメだと思った。
「あっ」
目の前が真っ白になるかのような快楽が襲うとお腹の上で生暖かいものが広がった。
荒い息遣いがお互い収まらなかった。
「妊娠、しそうって言うから外にだしたよ。」
私に覆いかぶさりながら抱きしめた。
「でも、たまに中で出すじゃない。毎日会ってたら、妊娠しちゃうよ。」
すると私にキスをした。前髪がゆらゆらと揺れている。私の目を見つめていた。
「避妊、するよ」
「そんな事言って今まで一度もゴムした事ないじゃない。」
私が頬をつねると痛い痛いと笑って頬にかかった私の手を繋いだ。
「じゃあ、電話と一緒。夜の0時前に仕事が終わったらひろこの部屋に来る」
「分かった」
彼氏と毎日会える。
毎日会って愛を感じられる。
これって幸せなこと。
幸せなことなんだ。
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