Beloved

みのりみの

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成人式

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ビーチの帰りにホテルの敷地内を抜けると教会があった。

「ずいぶんオシャレな教会だね」

私がチラチラと見ていたら春がそっと歩み寄って窓を見ていた。

「誰もいないよ」

2人で教会の重い扉をぐーっと押し開けた。

結婚式場にも使われているだろうその教会は潮の香りがして重厚感があり壁に描かれた美しい絵を見ながら、2人でしばらく黙って見とれていた。

「2人でこんな突っ立ってると結婚式みたいって思うけど、今は成人式って事にしとこうか」
「教会で成人式?」

私は笑って言った。

「成人式って何するんだっけ?お祓いとかするんだっけ?」

春のよく分からない意見に私がまたケラケラと笑う。

マリア像が美しく立ちはだかり2人でお祈りでもしようかと話していたら思い出したかのように春が言った。

「そうそう!SOULの歌で次出す曲のマリアって知ってる?」
「?あ、新曲?テンポ早いやつだよね。」
「そう。あの歌、タイアップ決まったんだよ。ファニーダイアモンドのCM。知ってる?」
「知ってる!」

ファニーダイアモンドはトレンドなアーティストの楽曲にのせて外人女性が出演するCMだ。妖艶でどこか見入る外人女性に流行りのアーティストの曲がマッチして昔からあるCM。
私はミーハーに少し興奮した。

「あ、SOULっぽいかも!すごいね。決まったんだ!」

「しかも本社が大阪なんだよ。2月入ってすぐ挨拶に行くからひろこに会えるといいな」

窓から夕暮れの光が射し込み、マリア様を照らす。
それがたまらなく美しかった。

「じゃあ、次会えるの2月だね」
「こればかりはアッキーに感謝だよ。みんな喜んでたよ」
「SOULっていいなースポンサーたくさんついて。」
「たくさんじゃないよ。片手で数えるくらい。CMはなかなか難しいよな」

マリア像を見つめながら敬虔な気持ちになる。

マリア様。

私は幸せになれるの?
私は東京に戻れるの?
答えを今すぐ教えてほしいよ。


教会を出てもう夕暮れのピンクと紫が混ざりかかった空の彼方、そのグラデーションが美しすぎて私は遠く海の先を見つめていた。
ぴょんぴょんと跳ねる大きな魚が数匹見える。

「どうしたの?」
「あそこにいるの、イルカかな?」

海の先のずっと向こうの魚が飛び跳ねる様を春に指を指して言った。

「イルカもハワイにいるの?」
「いるよ」

何故だかその光景に目が離せなかった。
イルカは、この美しい海で飛び跳ねる事が幸せ。
私の幸せは、幸せって何?
さっきマリア様に聞いた。

春と一緒にいれる事。
そして、東京に戻って仕事が出来る事。
遊井さんの言葉がまた蘇る。

『見返すくらいのつもりでやるんだ!』

東京に戻りたいのは春の近くにいれるから。これは揺るぎない想いだけど、慶を見返すという事をバネにここまでやってきたんだ。
慶に成長した私を見てもらいたいといえばそれは本音であって。
じゃあ私まだ慶の事気になってるの?
もし東京に戻って慶が私の前に現れたら、私はどうなるの?

イルカは一向に飛び跳ねたままだった。

ううん。私は春といるはずだ。


白いシーツにお互いの日焼けした肌が映える。

「焼けたね。」

そう言うと私の着ているバスローブを脱がせた。

「水着の跡すごいよ。仕事大丈夫?」
「うーん。怒られそう。」

お互い全裸でベッドにいるのをいい事に、私の身体を彼は見つめていた。
なんだか恥ずかしくなってきたら左の胸をそっと触った。
その手つきが色っぽくて多分もう濡れてきていたと思う。

「・・エッチ」

「ひろこ、左の胸の方が感じるでしょ?」

すると左の乳首を少し噛んだ。

「あんっ」

すごく、エッチな気分になってきた。

「今、噛んだの?」
「・・痛くしないから」

そっと腕を引かれてベッドに倒れた。その時にはもう私の胸を優しく触りながらキスをしていた。

舌を使う音がエッチで、音を立てて吸う。
たまに噛まれるのが、痛いんじゃなくて敏感になってて私はもう既に濡れていた。
それがタラリと流れ太腿につたって垂れていくのが分かった。

たまらなく恥ずかしかった。
恥ずかしいと思うとなおさら濡れてくる。

身体は正直なんだ。

お腹にキスをしていると私の太腿からつたう体液に気付いて触った。

「今日、すごい濡れてるね」

かすれた声はいつもよりセクシーに聞こえる。

「・・だって、たくさんエッチな事するから」

私は恥ずかしくて目をそらした。

「こっち、見てよ」

キスをして、その流れで首に思いっきりキスマークをつけたのが分かった。

「もっと気持ちよくなって」

そう言うと指で私の中の気持ちの良いところを刺激する。

私の、気持ちの良いところを知っている。

「あんっ」

初めて春とセックスした時に感じた、あのお腹がギュッとなるなんとも言えない快楽だ。普通じゃない、あの気持ちいいなんて言葉を越えるかのようなあの感覚。
頭が真っ白になるかのようなあの感覚。

俗に言う「イク」ってやつだ。

私はセックスで「イク」事をこの人から知った。
セックスに溺れるって言葉の意味が分かるような、たまらない感覚だ。

高揚して私はいつもよりエッチな声がでているのが分かった。

「あんっ そこ、やっ ああっ」

「もっと、していい?」

「ああっあんっ」

セックスって2人の秘事。

秘事って、名前からしてなんかやらしい。
友達にはこんな感じてる顔なんて見せないし、気持ち良いところなんて知らないし。
2人しか知らない事。

あぁ、そうだ。
だから慶は友達なんだ。

「・・すごい、固くなっちゃった」

太腿に、彼の固くなったものが当たる。もう指とかキスとかじゃなくて、彼のモノで気持ちよくなりたいって思う。

「・・もう、ダメだ。春以外の人とはセックスできないかも。」

荒い呼吸を整えながら、私は彼の背中に手を回した。

「気持ち良いから?」

「うん。」

「言ったじゃん。俺以外の人と絶対しないで。」

唇が重なった。
深く深く、キスをした。

「春ので、春ので気持ちよくさせて」

頭の中が、また真っ白になるくらい絶頂に溺れたい自分がいる。

荒い息遣いで虚ろな意識の中で固くなったものが私の身体に入る。

「あ」

奥まで、入っているのが分かる。

「これ、子宮だね」

子宮と言われドキッとした。

奥の方を突かれながら私は彼の背中に手を回した。

意識が朦朧とするくらい、気持ちのいいところは、子宮の近くなんだ。

そう思った。

私の中で擦れる音に余計興奮する。

好き。
春が好き。
身体が抱かれて喜んでいるのが分かる。

私は春が好き。

好き、と思うたびに私の身体に触れる箇所が反応する。
指で私の胸に触れてキスをする。

「あっああんっ」

もっと触れられたい。
もっと今は感じたい。

「中で、出していい?」

虚ろな意識の中で聞こえた。

「あっ」

その瞬間私の体内に温かいものがぶわっと広がった。
それはみるみるうちに身体に浸透するかのように、子宮にまるで絡みついていくかのような感触だった。


春は私に覆い被さったままだった。

これが、中で出すという事なんだと思った。

初めての経験だった。



「なんで、中で出したの?」

2人で荒い呼吸のまま抱き合いながら聞いた。

「子供ができたら、遊井さんと社長に謝ってよ。遊井さん泣いちゃうかも」



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