Beloved

みのりみの

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2泊4日

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ハワイに着いたのは朝の日差しが眩しいほどに照りつける朝は10時だった。

飛行機の中では眠れる余裕もないくらい心は踊っていた。

しかし、暑い。
日焼けはしちゃいけないと分かっていてもこれはするだろう。

空港ではサングラス姿の春が私を見つけて手を振っていた。

「春ー!」

多分満面の笑みだったと思う。
でも笑顔にならない方がおかしい。大好きな人との初めての2人きりの旅行なんだ。

春もかなり無理しての旅行らしく2泊4日だった。

ハワイって2泊しかできないんだって思ったけど2泊も一緒にいれるならこれ以上の幸せはない。

「疲れた?荷物、貸して」

私のキャリーケースをガラガラと引っ張ってくれる。

「ホテル、1番良い部屋取りたかったけどもう取られてた。でもすごい広いよ。」

春も終始笑顔だ。

「本当に休み取れたの?無理してない?」
「無理でもしなきゃひろこといられないじゃん。」

私の手に持つ麦わら帽子を頭に被せてくれた。
この日の為に調達した唾の広い麦わら帽子を被って春の腕を掴んで歩く。

この時期のハワイは芸能人の年末年始の旅行も終わって日本人も少ない。みんな日本での仕事初めなんだろう。

「この時期、記者もハワイから引き払ってけっこう穴場なんだよね」

春がニコニコと笑って言った。
私は嬉しくて嬉しくてとにかく仕方なかった。

青い空と太陽が元気をくれる。
ハワイが好き、という人の気持ちが分かる。というかハワイが嫌いな人なんて世の中いないだろう。

ホテルの部屋に着いたら春が紙袋を渡してきた。

「何これ?」
「着物」

そっとあけると鮮やかなブルーのノースリーブのワンピースが入っていた。

「これ、、」
「着てみせて」

パキッとした色が鮮やかで目を疑うほど綺麗な色をしていた。

「じゃあそれ着て下のプールでランチかな」
「うん!」

すぐさま着替えるとサイズはピッタリだった。

「なんで服のサイズわかったの?」

エレベーターで1階に降りた時ちらっと聞いた。
エレベーターの鏡に映った私は広がったスカートが歩くたびになびいて膝下が細く長く見えた。

「ひろことセックスしてるから」

私はグーで春の胸をパンチした。

「俺、ひろこの事たくさん知ってるよ。」

パンチした手を春はぐっと掴んだ。

「じゃあ言って見て!」

「身長は161 センチ。体重は45キロ。足は23.5。指輪のサイズまでは知らないな。いくつなの?」
「7号。あたし指輪1個も持ってないのに調べたの」
「なんで?」
「いつか結婚するまで指輪はしたくないんだ。だからサイズは知ってても買わないの。あたしも春の事いろいろ知ってるよ!」
「言ってみて」
「好きな食べ物、魚のフライとパンとハーゲンダッツ。朝起きるの苦手。割と夜行性。寝言は主に秋元さんの事」
「え?そうなの?」
「あと、寝言でひろこって言うときもある」
「え、本当?」
「でもだいたいアッキーまだー?とかアッキーしつこいよとか。」

2人で笑い転げた。

ハワイという異国で日本と違い変装もせず羽を伸ばせる。
夢にまでみたバカンスに春がいるんだ。



「荷物は気にしなくていいよ。お店からホテルに送ってくれるから」

「でも、さっきティファニーでピアス買ってくれたのに。本当にいいよ」

「俺、稼いでるんだよ。遠慮する方が気分悪いよ」

miumiuで上下の赤いセットアップにアイスグレーのワンピースとパープルのワンピース。キャメル色のロングブーツは黒と悩んでいたら結局黒も購入。
隣のプラダで新作のバッグふたつ、シャネルでは見た事もないギラギラしたメタリックのお財布も買ってくれた。
とにかく春は何でも買ってくれた。

たまたま通りかかったROLEXで一際輝くハワイ限定の白い文字盤でダイヤが品良くぐるりと並んだペアの時計に他にはないモデルで春が見入っていた。

「2人でしようよ。同じの」
「春、これは高価すぎるよ」
「ひろこに、ゴツいの似合うと思うよ」

店員さんが来て時計をゆっくり腕につけてくれた。ダイヤがキラキラと輝き眩しいくらいだ。

「やっぱり。似合うね」

私を見て微笑んだ。
これは訳が違うと思って店員さんに戻そうとした時、もうレジに向かって購入していた。

お店を出るとすぐ2人で時計をつけた。

「あたし、時計はじめてよ」

慣れなくて箱に入った時計をまじまじと見ていた。春は箱からそっと出して私の腕につけてくれた。

「離れていても同じ時間を刻んでるから」

春に言われ、私は時計を見つめていた。どこへいても時間は同じ。
私は手で時計を大事に覆った。

「離れていてもひろこは頑張っているから」

「・・・」

私は春を見つめていた。
ねぇ、春はなんで私の気持ち、分かるの?


ハイビスカスが青い海をバックに色鮮やかに咲いている。
1つとってお団子頭につけてみた。

「かわいい?」

サングラス越しに春の笑ってる顔が分かる。
つけても落ちるハイビスカスに拾って頭につけてくれた。

ビーチで人がまわりにいるのに外人しかいないのをいい事にパラソルの下でキスをした。

「前からずっと思ってたけどひろこの腹薄いよな。本当に臓器入ってるの?」

「失礼ねー!入ってます!」

「本当に?絶対入ってないよ」

「心臓も肝臓も胃も、たくさん入ってます!」

私が口を尖らせて言うと頭を傾げて笑っていた。

「子宮は入ってるよね。俺、知ってるよ」

ドキッとした。

カンカン照りの太陽の下、多分私は顔が赤くなっていたかもしれない。

いつも、春は私をドキドキさせる。

日差しは肌をジリジリと焼き付ける。日焼け止めもつけてるけど、落ちてるし、もういい加減このバカンスで日焼けなんてどうでも良くなってくる。

「春は何考えてるのー?」
「ひろこは子供でいいなーと思って」
「子供扱いしないでよ」
「子供だよ」

ふくれっ面の私の水着が紐が緩んで浮きそうになっていた。

「ね、紐取れそう。後ろ向いて」

ビキニの紐をキツく結び直してくれた。
無意識だったけどそれが妙に彼氏なんだと思った。

「ねぇ、なんで子宮があるって分かるの?」




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