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大家族
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『この後はひろこの部屋!新春スペシャル』
『見てね』
『結婚しました!』
ひろこ、聖司、大ちゃんと発言したあと大ちゃんがひろこの肩を抱いて番宣はプツリと切れた。
まるでひろこと大ちゃんが結婚したかのようだった。
例の聖司と大ちゃんのひろこの番組ゲストスペシャル回がはじまった。
イメージの問題もあってか、その一瞬の番宣のみでひろこの『結婚』のネタは出てこなかった。
双方の事務所が結婚したというイメージを極力視聴者、ファンの頭に残したくない気持ちが手に取るように分かる。
会見の翌日は双方の事務所で集まり今後の打ち合わせをしたらしい。
双方共に出てる番組では結婚生活の話、相手の話はしない。名前も出さない。そんな所だろう。
「いいな。聖司はひろの番組出れて」
「リーダーだからね。代表なの」
隣で優希の言葉に聖司がコーヒーを飲みながら言った。
「この中身のないゆるい番組進行なんなんだよ。この3人のファンしかおもしろくないぞ」
TVではパジャマパーティーと称しそれぞれ持ち前のパジャマに着替えて盛り上がっていた。
ガウン姿の大ちゃんがキャミソールに短パンのやけにセクシーな格好したひろこに抱きつきそれを止める浴衣姿の聖司にといった具合でゆるいトークを繰り広げていた。
「中身、ないね。でもうける」
優希がケラケラ笑っていた。
「ひろこちゃん、こんなセクシーな格好していつも寝てるの?」
山ちゃんの言葉に春は渋い顔をする。
「いや、パジャマというものを見た記憶がないな。これは衣装じゃない?」
「え?じゃあ何着てるの?!」
「・・・」
「ただいまー!」
バタバタと扉が開き遊井さんを連れてひろこが1番に入って来た。
「ひろ、おかえりー」
優希がいつも通りひろこに抱きつき、春は満面の笑みでおかえりーと言う。
ひろこと春が結婚してから俺たちメンバーとマネージャー達は必然的にスタジオ帰りに春の家に寄るようになった。
単なる新婚の嫌がらせのノリだったのかもしれないけど、仕事疲れの帰宅がてらひろこに会ってから帰りたいと優希が言い出し、それに山ちゃんも便乗して前より春のマンションに通っていた。
「お腹空いたね。もう食べようよ。」
「SOULにも持ってってあげろよ」
「1個だけ食べる」
遊井さんが六本木のおつな寿司のおいなりさんを箱から出してひろこがひとつ取って口にした。
打ち合わせもあるから、必然的にダイニングテーブルにはひろこと遊井さんが座り、ソファーに俺たち9人は固まって話すようになっていた。
ひろこに、過去には遊井さんと家で2人で打ち合わせをしてたのか聞いたらしてなかったと言う。
もしかしたら遊井さんもこの空間が好きだったのかもしれない。
ピンポーン
「寿司きたぞ!」
出前が到着すれば春と俺で冷蔵庫からビールを運びだすと、いつもここで遊井さんの視線を感じた。
「遊井さん、西麻布の葵寿司あるからどおですか?」
アッキーの言葉に結局俺たちの輪にひろこと遊井さんは入って来て、最後は呑んでいた。
「いやー2人が結婚してから、家近くなって呑んでも歩いて10分もしないで帰れるからサイコーだよ。」
「遊井さん、絶対アル中だよ。」
「それ言うならここにいる全員アル中じゃないか?」
深夜に笑いながら飲む生活が続いた。
「ケンのくれたトリートメント、やっぱりいいね。また欲しいよ。」
「おう。いいよ。明日持ってくるよ」
「ありがとう!そういえば、うちのプロデューサーが今度ゲストにケン呼びたいって言ってた。」
「え?まじ?」
俺は相変わらず座る時はひろこの左側にいつも陣取って座っていた。
ひろこと話したかったし、見つめていたかった。やっぱりひろこは可愛くて、春と結婚しても好きだった。
「ねぇ?今日みんな何時に帰るの?」
ビール片手に春がポツリと言った。
春は結婚してからもひろこと2人の時間が全くないと言って散々ぼやいていた。
「朝までひろといたいー!今日泊まりたい」
「俺も泊まりたーい」
優希の無邪気な言葉に山ちゃんが便乗して場を盛り上がるけど、春からしたらとんだ迷惑らしく毎日げっそりしていた。
そんな中スタジオで突然全員を前に春が言い出した。
「今後、木曜日はうちに来ないで」
「は?」
突然の春の言葉に毎日の楽しみがかき消されたようで全員肩を落とした。
「みんな楽しいんだからいいじゃん。春は結婚したんだしもう一生ひろこちゃんは春のものなんだから。」
「・・みんなそう言うけどさ、俺、結婚してからひろこと2人の時間って全然ないんだよ。夜中までみんな呑んだくれて、ひろこはすぐ寝るし朝は起きたらアッキーだし」
これにはみんなで腹を抱えて大笑いした。
そんなこんなで結婚してから前よりも俺たちはひろこと距離が縮まった。
毎晩のおしかけ飲み会ですっかり『安藤ひろこ』と『SOUL』が結婚して大所帯になった家族みたいになった。
「結婚してから、毎日ひろこちゃんに会えてる。春が結婚してくれて大正解だったかも。」
隣で山ちゃんがご機嫌で言っていた。
『見てね』
『結婚しました!』
ひろこ、聖司、大ちゃんと発言したあと大ちゃんがひろこの肩を抱いて番宣はプツリと切れた。
まるでひろこと大ちゃんが結婚したかのようだった。
例の聖司と大ちゃんのひろこの番組ゲストスペシャル回がはじまった。
イメージの問題もあってか、その一瞬の番宣のみでひろこの『結婚』のネタは出てこなかった。
双方の事務所が結婚したというイメージを極力視聴者、ファンの頭に残したくない気持ちが手に取るように分かる。
会見の翌日は双方の事務所で集まり今後の打ち合わせをしたらしい。
双方共に出てる番組では結婚生活の話、相手の話はしない。名前も出さない。そんな所だろう。
「いいな。聖司はひろの番組出れて」
「リーダーだからね。代表なの」
隣で優希の言葉に聖司がコーヒーを飲みながら言った。
「この中身のないゆるい番組進行なんなんだよ。この3人のファンしかおもしろくないぞ」
TVではパジャマパーティーと称しそれぞれ持ち前のパジャマに着替えて盛り上がっていた。
ガウン姿の大ちゃんがキャミソールに短パンのやけにセクシーな格好したひろこに抱きつきそれを止める浴衣姿の聖司にといった具合でゆるいトークを繰り広げていた。
「中身、ないね。でもうける」
優希がケラケラ笑っていた。
「ひろこちゃん、こんなセクシーな格好していつも寝てるの?」
山ちゃんの言葉に春は渋い顔をする。
「いや、パジャマというものを見た記憶がないな。これは衣装じゃない?」
「え?じゃあ何着てるの?!」
「・・・」
「ただいまー!」
バタバタと扉が開き遊井さんを連れてひろこが1番に入って来た。
「ひろ、おかえりー」
優希がいつも通りひろこに抱きつき、春は満面の笑みでおかえりーと言う。
ひろこと春が結婚してから俺たちメンバーとマネージャー達は必然的にスタジオ帰りに春の家に寄るようになった。
単なる新婚の嫌がらせのノリだったのかもしれないけど、仕事疲れの帰宅がてらひろこに会ってから帰りたいと優希が言い出し、それに山ちゃんも便乗して前より春のマンションに通っていた。
「お腹空いたね。もう食べようよ。」
「SOULにも持ってってあげろよ」
「1個だけ食べる」
遊井さんが六本木のおつな寿司のおいなりさんを箱から出してひろこがひとつ取って口にした。
打ち合わせもあるから、必然的にダイニングテーブルにはひろこと遊井さんが座り、ソファーに俺たち9人は固まって話すようになっていた。
ひろこに、過去には遊井さんと家で2人で打ち合わせをしてたのか聞いたらしてなかったと言う。
もしかしたら遊井さんもこの空間が好きだったのかもしれない。
ピンポーン
「寿司きたぞ!」
出前が到着すれば春と俺で冷蔵庫からビールを運びだすと、いつもここで遊井さんの視線を感じた。
「遊井さん、西麻布の葵寿司あるからどおですか?」
アッキーの言葉に結局俺たちの輪にひろこと遊井さんは入って来て、最後は呑んでいた。
「いやー2人が結婚してから、家近くなって呑んでも歩いて10分もしないで帰れるからサイコーだよ。」
「遊井さん、絶対アル中だよ。」
「それ言うならここにいる全員アル中じゃないか?」
深夜に笑いながら飲む生活が続いた。
「ケンのくれたトリートメント、やっぱりいいね。また欲しいよ。」
「おう。いいよ。明日持ってくるよ」
「ありがとう!そういえば、うちのプロデューサーが今度ゲストにケン呼びたいって言ってた。」
「え?まじ?」
俺は相変わらず座る時はひろこの左側にいつも陣取って座っていた。
ひろこと話したかったし、見つめていたかった。やっぱりひろこは可愛くて、春と結婚しても好きだった。
「ねぇ?今日みんな何時に帰るの?」
ビール片手に春がポツリと言った。
春は結婚してからもひろこと2人の時間が全くないと言って散々ぼやいていた。
「朝までひろといたいー!今日泊まりたい」
「俺も泊まりたーい」
優希の無邪気な言葉に山ちゃんが便乗して場を盛り上がるけど、春からしたらとんだ迷惑らしく毎日げっそりしていた。
そんな中スタジオで突然全員を前に春が言い出した。
「今後、木曜日はうちに来ないで」
「は?」
突然の春の言葉に毎日の楽しみがかき消されたようで全員肩を落とした。
「みんな楽しいんだからいいじゃん。春は結婚したんだしもう一生ひろこちゃんは春のものなんだから。」
「・・みんなそう言うけどさ、俺、結婚してからひろこと2人の時間って全然ないんだよ。夜中までみんな呑んだくれて、ひろこはすぐ寝るし朝は起きたらアッキーだし」
これにはみんなで腹を抱えて大笑いした。
そんなこんなで結婚してから前よりも俺たちはひろこと距離が縮まった。
毎晩のおしかけ飲み会ですっかり『安藤ひろこ』と『SOUL』が結婚して大所帯になった家族みたいになった。
「結婚してから、毎日ひろこちゃんに会えてる。春が結婚してくれて大正解だったかも。」
隣で山ちゃんがご機嫌で言っていた。
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