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内出血
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結局占い師は聖司と俺を占って今日は締めた。優希と春は明日とスタッフ達に告げられるも待ち損ともいえる仕打ちに怒る暇もなく春はアッキーと途端に消えた。
「すげーよ。俺。ギタリストとしての地位を確立できて、30代半ばで結婚できるって」
俺はホテルに移動する車内でみんなに占い結果を話しながらも、ひろこの事は淡い恋、憧れ、ファンというくくりなんだと思うようにしていた。
でも心の中では全然整理なんてできていなかった。
「春はひろとどこに泊まっての?」
「俺らの泊まるホテルのすぐ横のホテルらしいよ。」
優希が運転する五十嵐と話していた。
「遊井さんと会ってからひろと会ってないし明日の朝起きたらひろに会いに行ってもいい?モーニング一緒にたべたいよ」
「!!!!!」
この発言に全員が反応した。
即座に山ちゃんが春の泊まるホテルを調べ上げ、8人分の朝ご飯の追加を電話していて俺は大笑いした。
ひろこに久々会えると思うと途端に笑顔になった。
翌朝メンバーとマネージャー全員で朝8時に2人の泊まるホテルに向かった。春のチョイスはこれまた大きな敷地内にあるオシャレなヴィラだった。
「まだ寝てるよね?」
「服はまだ着てないんじゃないか?」
男8人でニヤニヤしながら想像していたけど、間もなく会えると思うと俺は心が踊った。
ピンポーンピンポーンとインターフォンを何度もアッキーが押すと春がTシャツにデニム姿で出てきた。
俺たち8人を見るとげっそりした顔をした。
「・・・なんで全員で来るの?」
俺はお構いなしに部屋にあがった。俺よりも先に優希は中にあがりすでにひろこに抱きついていた。
「ひろー久しぶりー!」
「わ、優希!」
抱き合って笑い合うひろこが俺に気づいて目が合った。
「ケン!おはよー!久しぶり!」
この笑顔に勝てるものはないって思った。
久々に会うひろこは本当に本当に可愛くて、眩しかった。
以前会った時よりもさらに磨きがかかったような可愛さで見惚れているのに気づいた。
優希がひろこから離れてひろこの肩を抱いていた時俺は目が点になった。
ひろこの首から胸元から内出血だらけだった。腕にもついていた。
何個だろう。分からない。もう身体の柄のように痛々しくついていた。
「ひろ、これすっごいね」
横から優希が鎖骨についた跡をちょっと触っていた。触れる優希はうらやましいけど、ひろこは静かに!と言わんばかりに指を口元で1本かざした。
セックスした残骸とも言えるような生々しい証拠なんだろうけど、その内出血の色の濃さや数が春の気持ちが反映されているかのようでたまらない気持ちになった。
庭には大きなプールもあって、その庭を眺めるかんじで大きなテーブルに朝ご飯が届いてみんなで食べた。
俺はすぐひろこの左隣に座ったら間もなく春がやって来てひろこの右隣に座った。
近くで見ると、内出血は顎にもあった。
「ケン、髪の色いつもキレイだねー!よく痛まないね。」
ひろこが隣で俺の髪を見ながら言った。
「美容院のトリートメントつかってるんだよ。よくある青いやつ」
「青いやつ?」
「今度あげるよ。」
すると反対側から春がひろこに自分が飲まないのかリンゴジュースを渡してきた。
「ケンの髪質いいよね。今度トリートメントくれるって。」
受けとりながら春に話しかけると春はニコッと笑った。
「ひろこのうちのトリートメントもいいよ。いい香りするし」
「そお?じゃあうちのケンにあげるから交換こしようよ」
『交換こ』って言葉にまた嬉しくなった。
俺はこうやって、ひろこの言葉に嬉しくなったりするんだ。
「俺さ、昨日の占い師に30代半ばで結婚するって言われたよ。あと、ギタリストとしての地位を確立するって!」
「えー!ケン、結婚するの!」
「ひろこも見てもらえよ!」
「結婚しないとか言われたりしたら怖いよ」
隣で春がそれは絶対ないって思ってるだろう表情をしてパンを食べていた。
絶対そう。
春はひろこと結婚する。
俺には分かる。
無理矢理にでも結婚する。
朝ご飯を食べ終わった後、広い庭のプールの脇に南国らしい木々が並んでいて春がひろこの写真を撮っていた。俺はその光景をぼんやり見つめていた。
「ひろこちゃんのキスマーク、俺数えちゃったよ。」
隣で山ちゃんがやって来てボソッと言った。
何個?って聞きたくないのに山ちゃんはあっさり答えた。
「21個。あの肺活量で吸われるからそりゃすごいにしても、春も気持ちむき出しだな。想像したくないけど。」
「・・・」
どんなセックスしてんだとか想像は俺だってしたくない。けど、ひろこと久々会えて話せて、2人きりじゃないけど純粋に嬉しくて。
ただのひろこのファン。俺はそうゆう気持ちなのだろうか。
「先、車で待っててよ」
ホテルを出る時春が俺達に言った。別れ際、2人で何か話したい事でもあるんだろうな、と思った。
「あ、ケン!次会う時トリートメント持ってくね!」
「わかった!」
ひろこが笑いながら俺に手を振った。
鼓動が早くなったのが分かった。ひろこの笑顔がまた瞼から離れなくなる。
「別れ際に一発やるのか聞いたら違った」
聖司が俺の横に来て言った。
「聖司、春っていつも女1年毎に変えてたよな?ひろことはもう1年半くらいか?更新したよな。」
「1年半、だね。クリスマスプレゼント、ネックレス買ったんだって。これでプレゼントしてないアクセサリーは残すはブレスレットと指輪らしいぞ。リーチ近いよな」
「まさか。」
結婚は絶対まだできないって思っていた。
「すげーよ。俺。ギタリストとしての地位を確立できて、30代半ばで結婚できるって」
俺はホテルに移動する車内でみんなに占い結果を話しながらも、ひろこの事は淡い恋、憧れ、ファンというくくりなんだと思うようにしていた。
でも心の中では全然整理なんてできていなかった。
「春はひろとどこに泊まっての?」
「俺らの泊まるホテルのすぐ横のホテルらしいよ。」
優希が運転する五十嵐と話していた。
「遊井さんと会ってからひろと会ってないし明日の朝起きたらひろに会いに行ってもいい?モーニング一緒にたべたいよ」
「!!!!!」
この発言に全員が反応した。
即座に山ちゃんが春の泊まるホテルを調べ上げ、8人分の朝ご飯の追加を電話していて俺は大笑いした。
ひろこに久々会えると思うと途端に笑顔になった。
翌朝メンバーとマネージャー全員で朝8時に2人の泊まるホテルに向かった。春のチョイスはこれまた大きな敷地内にあるオシャレなヴィラだった。
「まだ寝てるよね?」
「服はまだ着てないんじゃないか?」
男8人でニヤニヤしながら想像していたけど、間もなく会えると思うと俺は心が踊った。
ピンポーンピンポーンとインターフォンを何度もアッキーが押すと春がTシャツにデニム姿で出てきた。
俺たち8人を見るとげっそりした顔をした。
「・・・なんで全員で来るの?」
俺はお構いなしに部屋にあがった。俺よりも先に優希は中にあがりすでにひろこに抱きついていた。
「ひろー久しぶりー!」
「わ、優希!」
抱き合って笑い合うひろこが俺に気づいて目が合った。
「ケン!おはよー!久しぶり!」
この笑顔に勝てるものはないって思った。
久々に会うひろこは本当に本当に可愛くて、眩しかった。
以前会った時よりもさらに磨きがかかったような可愛さで見惚れているのに気づいた。
優希がひろこから離れてひろこの肩を抱いていた時俺は目が点になった。
ひろこの首から胸元から内出血だらけだった。腕にもついていた。
何個だろう。分からない。もう身体の柄のように痛々しくついていた。
「ひろ、これすっごいね」
横から優希が鎖骨についた跡をちょっと触っていた。触れる優希はうらやましいけど、ひろこは静かに!と言わんばかりに指を口元で1本かざした。
セックスした残骸とも言えるような生々しい証拠なんだろうけど、その内出血の色の濃さや数が春の気持ちが反映されているかのようでたまらない気持ちになった。
庭には大きなプールもあって、その庭を眺めるかんじで大きなテーブルに朝ご飯が届いてみんなで食べた。
俺はすぐひろこの左隣に座ったら間もなく春がやって来てひろこの右隣に座った。
近くで見ると、内出血は顎にもあった。
「ケン、髪の色いつもキレイだねー!よく痛まないね。」
ひろこが隣で俺の髪を見ながら言った。
「美容院のトリートメントつかってるんだよ。よくある青いやつ」
「青いやつ?」
「今度あげるよ。」
すると反対側から春がひろこに自分が飲まないのかリンゴジュースを渡してきた。
「ケンの髪質いいよね。今度トリートメントくれるって。」
受けとりながら春に話しかけると春はニコッと笑った。
「ひろこのうちのトリートメントもいいよ。いい香りするし」
「そお?じゃあうちのケンにあげるから交換こしようよ」
『交換こ』って言葉にまた嬉しくなった。
俺はこうやって、ひろこの言葉に嬉しくなったりするんだ。
「俺さ、昨日の占い師に30代半ばで結婚するって言われたよ。あと、ギタリストとしての地位を確立するって!」
「えー!ケン、結婚するの!」
「ひろこも見てもらえよ!」
「結婚しないとか言われたりしたら怖いよ」
隣で春がそれは絶対ないって思ってるだろう表情をしてパンを食べていた。
絶対そう。
春はひろこと結婚する。
俺には分かる。
無理矢理にでも結婚する。
朝ご飯を食べ終わった後、広い庭のプールの脇に南国らしい木々が並んでいて春がひろこの写真を撮っていた。俺はその光景をぼんやり見つめていた。
「ひろこちゃんのキスマーク、俺数えちゃったよ。」
隣で山ちゃんがやって来てボソッと言った。
何個?って聞きたくないのに山ちゃんはあっさり答えた。
「21個。あの肺活量で吸われるからそりゃすごいにしても、春も気持ちむき出しだな。想像したくないけど。」
「・・・」
どんなセックスしてんだとか想像は俺だってしたくない。けど、ひろこと久々会えて話せて、2人きりじゃないけど純粋に嬉しくて。
ただのひろこのファン。俺はそうゆう気持ちなのだろうか。
「先、車で待っててよ」
ホテルを出る時春が俺達に言った。別れ際、2人で何か話したい事でもあるんだろうな、と思った。
「あ、ケン!次会う時トリートメント持ってくね!」
「わかった!」
ひろこが笑いながら俺に手を振った。
鼓動が早くなったのが分かった。ひろこの笑顔がまた瞼から離れなくなる。
「別れ際に一発やるのか聞いたら違った」
聖司が俺の横に来て言った。
「聖司、春っていつも女1年毎に変えてたよな?ひろことはもう1年半くらいか?更新したよな。」
「1年半、だね。クリスマスプレゼント、ネックレス買ったんだって。これでプレゼントしてないアクセサリーは残すはブレスレットと指輪らしいぞ。リーチ近いよな」
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