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そう呟いたイザークの翡翠色の眼は光なく暗い感じがした。
な、何、急にまた萎れてそんなこと言い出して。
どうしよう、こんな時どう話したら良いかわからない。助けてマックスさん、ヴァイオレット、ヨハネス先生・・。
「え、っと・・」
何を言えば良いかわからずアリシアの頭はぐるぐるする。
「お前は良いな。誰もが羨む加護を持ち、好きなことをやり、自由で気楽だ。」
「・・・え?」
イザークはそう言うと、横を向いたまま本を借りる手続きを早くしろとせかした。
イザークの続け様の言葉に、アリシアに強く込み上げてきたのは憐憫でも同情でもなく怒りだった。
こんなのでも一国の王子で、この人には確かに私の知らない王族なりの苦労や不自由さがあるのかもしれない。
けど・・好きなことをやってる?自由?加護が羨ましい?
私のこと、何も知らないくせに!
「・・好きなことやって自由って、私のいったい何を知ってそんな事を言うんですか?私はこの加護を欲しいと思って得たわけでも、持って幸せだなんて思ったこともただの一度もないです!こんな加護、人にあげたいくらいです。貴方の方こそ、私に好きにものを言い、婚約者がいるくせに人の妹に現を抜かして、勉強もサボって。やりたい放題の自由人そのものじゃないですか!!」
静かな図書館に響くアリシアの叫びに、イザークは翡翠色の眼を驚いたように大きく見開いた。まさか言い返してくるとは思わなかったのだろう。
「なんだと・・?貴様は本当に可愛げや優しさのない女だな。俺から見たらお前など自由そのものだ!だいたい誰の不自由の上にお前たちの平和な生活が成り立っていると思っているのだ!生まれた時から公人の俺には何一つ自由などないわ。服一つ取っても国民の納める税で買った公のものよ。加護がいらぬ?なら俺に与えよ!いじけているだけのお前などより余程有効活用してやるわ。人任せなくせに悲劇ぶりおって。」
「なんですって?!それは貴方のことでしょう?何でもあるくせに無い無い言ってるだけの無責任な我儘王子じゃない!」
「なんだと!」
「はいは~い。ケンカは終わりで~す。ここは図書館で~す。他の人に迷惑で~す。」
お互いに主張が加熱していた所に、パンパンと手を叩きヨハネス先生が入ってきた。
「いや~子のケンカに親は出ないでおこうと思ってたんですけどね~。2人とも終わらせようとする気配がなさそうだったんで。」
どうやら一部始終をずっと見ていたらしい。もっと早く入ってきてくれれば良かったのに。
「いやはや2人とも。子犬のじゃれあいみたいで可愛かったですよ。お互い痛いところを抉りあっててね~。それにしても王子の本音、久しぶりに聞きましたよ。また僕も聞きたいなあ~。アリシア君も、本当はそんなに元気なコだったんですね。生徒の素直な姿が見れて僕は嬉しいですよ。」
ヨハネス先生は、王子の借りようとした本を手渡すと、ポンポンと王子の頭を撫で、また来てくださいと笑顔でヒラヒラと手を振った。
「ヨハネス、お前わざと・・・このタヌキめ。地味・・アリシア、だったな。フン。次来る時までに、もう少し可愛げを身につけておけ。」
そう嫌味を言い、アリシアに余計なお世話よと言われながら図書館を出て行くイザークの頬は少しだけ緩んでいて、アリシアもアリシアで、自分の加護に少しだけ向かい合う気持ちになれた気がした。
な、何、急にまた萎れてそんなこと言い出して。
どうしよう、こんな時どう話したら良いかわからない。助けてマックスさん、ヴァイオレット、ヨハネス先生・・。
「え、っと・・」
何を言えば良いかわからずアリシアの頭はぐるぐるする。
「お前は良いな。誰もが羨む加護を持ち、好きなことをやり、自由で気楽だ。」
「・・・え?」
イザークはそう言うと、横を向いたまま本を借りる手続きを早くしろとせかした。
イザークの続け様の言葉に、アリシアに強く込み上げてきたのは憐憫でも同情でもなく怒りだった。
こんなのでも一国の王子で、この人には確かに私の知らない王族なりの苦労や不自由さがあるのかもしれない。
けど・・好きなことをやってる?自由?加護が羨ましい?
私のこと、何も知らないくせに!
「・・好きなことやって自由って、私のいったい何を知ってそんな事を言うんですか?私はこの加護を欲しいと思って得たわけでも、持って幸せだなんて思ったこともただの一度もないです!こんな加護、人にあげたいくらいです。貴方の方こそ、私に好きにものを言い、婚約者がいるくせに人の妹に現を抜かして、勉強もサボって。やりたい放題の自由人そのものじゃないですか!!」
静かな図書館に響くアリシアの叫びに、イザークは翡翠色の眼を驚いたように大きく見開いた。まさか言い返してくるとは思わなかったのだろう。
「なんだと・・?貴様は本当に可愛げや優しさのない女だな。俺から見たらお前など自由そのものだ!だいたい誰の不自由の上にお前たちの平和な生活が成り立っていると思っているのだ!生まれた時から公人の俺には何一つ自由などないわ。服一つ取っても国民の納める税で買った公のものよ。加護がいらぬ?なら俺に与えよ!いじけているだけのお前などより余程有効活用してやるわ。人任せなくせに悲劇ぶりおって。」
「なんですって?!それは貴方のことでしょう?何でもあるくせに無い無い言ってるだけの無責任な我儘王子じゃない!」
「なんだと!」
「はいは~い。ケンカは終わりで~す。ここは図書館で~す。他の人に迷惑で~す。」
お互いに主張が加熱していた所に、パンパンと手を叩きヨハネス先生が入ってきた。
「いや~子のケンカに親は出ないでおこうと思ってたんですけどね~。2人とも終わらせようとする気配がなさそうだったんで。」
どうやら一部始終をずっと見ていたらしい。もっと早く入ってきてくれれば良かったのに。
「いやはや2人とも。子犬のじゃれあいみたいで可愛かったですよ。お互い痛いところを抉りあっててね~。それにしても王子の本音、久しぶりに聞きましたよ。また僕も聞きたいなあ~。アリシア君も、本当はそんなに元気なコだったんですね。生徒の素直な姿が見れて僕は嬉しいですよ。」
ヨハネス先生は、王子の借りようとした本を手渡すと、ポンポンと王子の頭を撫で、また来てくださいと笑顔でヒラヒラと手を振った。
「ヨハネス、お前わざと・・・このタヌキめ。地味・・アリシア、だったな。フン。次来る時までに、もう少し可愛げを身につけておけ。」
そう嫌味を言い、アリシアに余計なお世話よと言われながら図書館を出て行くイザークの頬は少しだけ緩んでいて、アリシアもアリシアで、自分の加護に少しだけ向かい合う気持ちになれた気がした。
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