妹に全てくれてやります。でも自暴自棄じゃないですわ。私は復讐を果たします!

アホアホセブン

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イザークはそう言うと、つかつかとアリシアの近くまで寄ってきた。アリシアは思わず身構え身体を強張らせた。

「あの田舎女の生徒会で見ないと思ったら、こんな所にいるのか。ハッ地味女に相応しい地味な仕事だな。」

地味な仕事、と言われカチンと来たけれど喧嘩に乗ったら負けだと思って緊張しながらも一息吸って静かに返事をする。 
落ち着いて。

「何か、ご用、だったんでしょうか。開館時間は、終わってます。」
「・・本当に可愛げのない女だな。あの妹とは大違いだ。少しは妹を見習え。」

苛立ちを隠すこともなくイザークはそう吐き捨てると、カウンターにドサッと本を置いた。どうやら本を返しに来たらしい。その後も何かしないか警戒していたが、フンッと鼻を鳴らすとアッサリ背を向けて帰って行った。

時間外に来たくせにとは思ったけれど、何事もなくてホッとしたアリシアだった。



「何もなくて良かったわ。あの王子、私に生徒会長選で負けて相当悔しがってるって噂だから。変に絡まれないよう1人になってはダメよ。」

ランチを食べながら、ヴァイオレットはそうアドバイスをした。

わかったわと頷きつつも、ヨハネス先生の体調があまり良くないから暫くは1人になるかもしれないことが頭をよぎる。
けど、あんな時間にもう来ないわよねとどこかタカを括っていた。




「なんだ、またお前か。図書館はこんな女しか働き手がいないとはとんだ人材不足だな。」

カウンターの書類作業から顔を上げると、またイザークだった。
アリシアはイザークの言葉にムッとしたが、ぎりぎりだけどまだ開館時間だったので型通りの対応をした。
 
「今日はどういったご用でしょうか。」 
「ここに書いてある本を今すぐ全部持って来い。」

そう言って数枚のメモをカウンターにパラリと落とした。本当に失礼だわと思いながらメモを拾って見ると小さなメモにびっしり書名が書き連ねられている。


「1、2・・・20冊。1人で借りることが出来るのは一度に5冊までです。この中から今日借りる分を選んで貰えますか?」

アリシアは規定に則りイザークに説明したが、イザークはそれを聞いた途端怒り出した。

「なんだと?俺はここに書いてあるもの全てだと言ったのだ。この国の王子である俺の言葉が聞けぬというのか!!」

バンッとカウンターに手を付く音がした。
そのあまりな態度にアリシアは型通りの対応で済まそうと思っていたのにとうとう言ってしまった。

「こ、こでは、それは関係ありません。ルールはルール、です。」


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