妹に全てくれてやります。でも自暴自棄じゃないですわ。私は復讐を果たします!

アホアホセブン

文字の大きさ
上 下
24 / 51

24

しおりを挟む
バァン!!

凄い音がして部屋のドアが開いたので、机に向かい本を読んでいたアリシアは驚いて音のする方へ振り向いた。

「・・・?」

開いたドアから部屋にツカツカと入って来たのはケイト。
ケイトは一目でわかるほど苛立った顔をしていた。

アリシアは何か気に食わないことがあったのだと瞬時に理解した。

「どうしたの、ケイト?突然・・。ドアはもっと優しく開けた方がよいわ。あと部屋に入る時は姉妹でも声くらい掛けなきゃ。」

耳に入ることはないと解ってはいるけれど、ケイトの為を思いアリシアはやんわり注意する。

そんな言葉はやはり聞いてもいないケイトは苛立ちを隠しもせず、口元を歪めた。

「アリシアお姉様、お節介なオバサンみたい~ウケるぅ。けどね、ケイト今日はそんなお話をしに来たんじゃないのぉ。」

そう言うと、ケイトはアリシアの部屋をぐるりと見廻した。

「ねえ、お姉様。最近、ちょっと派手になったんじゃない?」

まさか・・アリシアは嫌な予感がした。ポーチの中の白粉とリップが思い浮かぶ。けど、家では化粧をしてないのに何故。

「今日はケイト体調が良かったから、チャールズ様が是非にと言うからランチをしたの。そしたら、カフェに下品に悪目立ちした方がいてぇ。よく見たら、ソレ、お姉様だったの。」

まずい。ケイトが学園に来てたなんて。極力顔を合わせないようにしてたのに。
 
アリシアは冷や汗が出た。

ケイトの口元は心底嬉しいという風に大きく歪に弧を描いた。

「ケイトぉ、お姉様には私のように上品な淑女であって欲しいと思ってるの。そうでないとぉ、チャールズ様も恥をかくわ。」

次の言葉は聞きたくない。

「だからぁ」    

お願い。


「私がぁ、お姉様を下品にするものを貰ってあげるわぁ。」



そうケイトは言うや否やアリシアの通学用の鞄に手を掛けた。

「お願いだからやめて!大事なものなの。化粧品はケイト用に別に買ってあげるから。」

アリシアは慌てて鞄を守ろうとする。そんなアリシアの様子を見て、ケイトはさらに嬉しそうな顔をした。

「やっぱりそこに入ってたのね。」

そうして身体が弱いとは到底思えない力で鞄を引っ張ると、中身を床へぶち撒けた。アリシアは鞄を引っ張られた勢いで床に倒れて座り込んでしまった。

教科書やノートがドサドサと音を立てて床に落ち折れ曲がる。

ケイトは、床に散らばったものの中からポーチを拾い上げると、乱暴に開いて中を捌き、美しい細工物のケースとリップを取り出した。

「これ、最近王都で話題の化粧品じゃなーい!チャールズ様のツテでも手に入らなかったのに。お姉様が持ち主じゃ宝の
持ち腐れだわ。貰ってア・ゲ・ル♡」

そう上機嫌で言うと、鼻歌を歌いながらケイトは部屋から出て行った。

残されたアリシアは悲しみや怒りや情けなさが混然としてずっとただ目の前の誰もいない空間を見つめていた。
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。

西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。 私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。 それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」 と宣言されるなんて・・・

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた

婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。

久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」  煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。  その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。  だったら良いでしょう。  私が綺麗に断罪して魅せますわ!  令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?

貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。 彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。 しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。 悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。 その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。 私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。 処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。 魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

私の婚約者とキスする妹を見た時、婚約破棄されるのだと分かっていました

あねもね
恋愛
妹は私と違って美貌の持ち主で、親の愛情をふんだんに受けて育った結果、傲慢になりました。 自分には手に入らないものは何もないくせに、私のものを欲しがり、果てには私の婚約者まで奪いました。 その時分かりました。婚約破棄されるのだと……。

婚約破棄?ああ、どうぞご自由に。

柚木ゆきこ
恋愛
 公爵家子息により急に始まる婚約破棄宣言。その宣言を突きつけた令嬢は婚約者ではなく、なんと別人だった。そんなちぐはぐな婚約破棄宣言を経て、最終的に全てを手に入れたのは誰なのか‥‥ *ざまぁは少なめ。それでもよければどうぞ!

処理中です...