妹に全てくれてやります。でも自暴自棄じゃないですわ。私は復讐を果たします!

アホアホセブン

文字の大きさ
上 下
13 / 51

13

しおりを挟む
ヴァイオレットとの出会いはアリシアにとって大きな出来事だった。

明るいヴァイオレットにつられてアリシアも自然と笑顔になる。
何より、初めての女友達だ。嬉しくないわけがない。

学園生活に楽しみが増えたことで、憂鬱だった家での時間も苦しさが前より薄れた。
家族関係は相変わらずだったけれど・・。


さて、学園が休みで来客がない日、アリシアはせっせと王立図書館へ通っていた。

最近のアリシアのマイブームは世界の犯罪捜査。国によっていろいろな自警組織や捜査法があって面白い。
「オカッピキ」なる自警団員がいる東の果ての国の捜査法など興味津々だ。
詳しくなったところで何か役に立つわけでもないけどアリシアの知識欲は満たされるのだ。

今日もひとしきり気になる本を読むと、中庭へと足を運ぶ。

大樹の下には、ボサボサ髪に眼鏡のマックスさん。
アリシアは自然と口元が上がった。

「マックスさん。こんにちは!」

ボサボサ眼鏡が本から顔を上げて口元をもごもごと動かした。

マックスさんに会うときは、以前だったら新しい本の話題が中心だったけど、今は学園での授業や友達であるヴァイオレットのことも話すようになった。

マックスさんは相変わらずボソボソ喋って髪と眼鏡で表情が見えないけど、学園のことを話す時、ほんの少だけ口元をほころばせる。そして、アリシアにしか聞こえない小声でこう言うのだ。

「・・・・・・(楽しそうだね)」

マックスさんと喋る時と同じくらい楽しいと答えると、(それは良かった)と返事をしてくれた。


それにしてもマックスさんは自分が図書館に来る時はいつもいる気がする。服はヨレヨレで髪はボサボサ、いったい何の仕事をしてるんだろう。今度聞いてみようかな、なんて考えながらアリシアは図書館を後にした。



家の前まで来ると、チャールズが来ているらしく公爵家の馬車が門扉に横付けされていた。

最近調子をぶっこいているチャールズは、ケイトに会うのに「婚約者のアリシアに会うため」という口実すら使わなくなった。つまり、アリシアは今日チャールズがニーダム家に来るということを知らない。

家に着くと案の定、母が血相を変えてアリシアを叱る。

チャールズは、まあまあアリシアを許してやって下さいと母の機嫌を取り、ケイトはケイトで、自分に会いに来たことをわかっているくせにニヤニヤしながらお姉さまひどいわとアリシアをディスった。


目の前で起こっている状況に、たまの休みくらいゆっくりと過ごさせて欲しい、とアリシアは目を瞑った。


しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。

久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」  煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。  その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。  だったら良いでしょう。  私が綺麗に断罪して魅せますわ!  令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

私の婚約者とキスする妹を見た時、婚約破棄されるのだと分かっていました

あねもね
恋愛
妹は私と違って美貌の持ち主で、親の愛情をふんだんに受けて育った結果、傲慢になりました。 自分には手に入らないものは何もないくせに、私のものを欲しがり、果てには私の婚約者まで奪いました。 その時分かりました。婚約破棄されるのだと……。

婚約破棄?ああ、どうぞご自由に。

柚木ゆきこ
恋愛
 公爵家子息により急に始まる婚約破棄宣言。その宣言を突きつけた令嬢は婚約者ではなく、なんと別人だった。そんなちぐはぐな婚約破棄宣言を経て、最終的に全てを手に入れたのは誰なのか‥‥ *ざまぁは少なめ。それでもよければどうぞ!

2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな
恋愛
公爵令嬢アリスティアは、婚約者であるエリックに学園の卒業パーティーで冤罪で婚約破棄を言い渡され、そのまま処刑された。 そして目覚めた時、アリスティアは学園入学前に戻っていた。 今度こそは幸せになりたいと、アリスティアは婚約回避を目指すことにする。

運命の人は貴方ではなかった

富士山のぼり
恋愛
「パウラ・ ヴィンケル……君との婚約は破棄させてもらう。」 「フレド、何で……。」 「わざわざ聞くのか? もう分かっているだろう、君も。」 「……ご実家にはお話を通されたの?」 「ああ。両親とも納得していなかったが最後は認めてくれた。」 「……。」 「私には好きな女性が居るんだ。本気で愛している運命の人がな。  その人の為なら何でも出来る。」

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語── ※ご感想・ご意見につきましては、近況ボードをご覧いただければ幸いです。 《皆様のご愛読、誠に感謝致しますm(*_ _)m》

処理中です...