妹に全てくれてやります。でも自暴自棄じゃないですわ。私は復讐を果たします!

アホアホセブン

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ケイトがアリシアから略奪していったもの。

挙げていくとキリがないけれど、まずは5歳の時に両親から貰った靴。可愛いお花の飾り細工がついていた。
ケイトがこれが欲しいと泣き叫び、なし崩しにケイトのものになった。

次は、6歳の時に貰ったブローチ。体調の悪い演技をしたケイトが、ベッドの中で手に握り込んだまま離さなかったためケイトのものになった。

そして、7歳の時の例のくまのぬいぐるみ。自分の物にならないとわかると盛大に汚してアリシアの手に渡らないようにした。

8歳、お父様からのお土産のガラス細工。
9歳、婚約祝いの薔薇色のドレス。
10歳、誕生日に貰った宝石のついた髪飾りとネックレス。
11歳、お母様から貰ったクリスタルの胸かざり。
12歳~ ブレスレット、ショール、レースのハンカチ、ビスクドール 、ティーカップ、イヤリングetc.

ありすぎて思い出せないくらい、ケイトはありとあらゆる手を尽くして欲しい物をアリシアから奪っていった。

それなのに奪った物にはすぐに飽きて、クローゼットの奥に無造作に放り込まれるのだ。

年齢が上がるにつれケイトは病弱の演技に磨きがかかり、さらに元々の幸薄そうな風貌も手伝って両親ばかりか兄まですっかりケイトの演技に騙され、ケイトの我儘を叱るどころかアリシアは健康なんだから病弱なケイトに譲るべきだとさえ言うようになった。

あんなに肉食う病人いるわけないだろうとアリシアは突っ込みたかったが、恐るべきことにケイトは健気な娘だとすら両親や兄は思っているようで、言えば言うほど「身体の弱い妹への配慮の足りない姉」という扱いをされた。そして12歳を過ぎる頃になるとアリシアは反論することすら面倒くさくなり、黙ってケイトの欲しがるものを差し出し、ドレスも靴もアクセサリーもケイトの欲しがらなさそうな型の古いものを身に着けるようになっていた。


「お前はなんてセンスがないんだ。あの美しく健気な妹を見習え!」

婚約者のチャールズは、会うたびにそんなセリフを吐き、そして将来の妹の見舞いだとアリシアをほっぽり出してケイトの部屋に籠った。チャールズの言う美しさやセンス、素敵なドレスやアクセサリーや髪飾り、は元々はアリシアのものなのだが。
そんなチャールズを両親は、義妹思いの良い婚約者と信じて疑わなかった。



さて、、アリシアがピカリング家からぜひ婚約者にと望まれたのは、家格も勿論あるが、生来の賢さや能力によるものが大きかった。


アリシアには、生まれてきた時に与えられた、ある力があった。

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