天底ノ箱庭 療養所

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3章 術後経過

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1.
「結局全部でいくらしたんだよー?」
「さあ、もう忘れてしまったかな」
要との外出の後俺は買ってもらった服のタグを切って畳み直しながら問いかけた。
値段を聞いたところで金を返せるかと言うと地下にはATMが存在しないらしいからまあ無理なのだが、イマイチスッキリしない。
服を買うと言ってはいたが着替え2~3枚と思っていたら、ちょっと奮発して買うようないいジャケットやらいいジーンズ諸々…下着やストールなどの小物も合わせて10はゆうに超えているから驚いている。
「いつか出世払いすっからな…!覚えておけ!」
「いいのに」
畳み終えたTシャツやハンガーに引っ掛けたジャケットを棚にしまい要に言い放つ。奢られっぱなしは性にあわない。
「そろそろ夕飯の支度しないとね、今日は鶏肉使ってなにか…黄金くんなにか食べたいものある?」
「えっ、じゃあ…唐揚げとか…いける?」
今までは食べたいものリクエストするなんて考えられなかったのに、要は何でも作ってくれるからついつい甘えて普段食べられなかった物をリクエストしてしまう。
「それなら出来るよ、任せて」
「ほんと!?やった楽しみ!なんか手伝うよ!」
キッチンに向かう彼を追いかけるようについて行くと要は急に足を止めて振り返った。
「…油使って危ないから今日はダメ」
「えっ」
「今日はダメ。黄金くんはお皿洗い」
「ちぇーわかったよ」
要は俺に、何故か油が跳ねる時とか刃物使う手伝いは絶対にやらせない。
心配してるんかなとは思うけど小さい子供じゃあるまいし、ちょっと過保護過ぎるのでは…?
ただまあ、手伝いは押し付けるもんじゃない。俺は大人しく、今日買ってもらった漫画でも読みながら待つことにした。
部屋に唐揚げのいい匂いが漂ってくるとキッチンの方から要の呼ぶ声が聞こえた。
「もう出来上がるから食器と飲み物お願い」
「おうおう!まかせろ!」
食器棚からコップや箸、冷蔵庫からはお茶を取り出しテーブルに並べていく。
キッチンからでてきた要の手には、まだじゅわじゅわと熱そうな揚げたてのから揚げがこんもり盛られた皿があった。
「うわー!!美味そう!!」
目の前に並べられた今日の夕飯に俺の腹は待ちきれないと言わんばかりにぐうぐう鳴って催促する。
「いっただきます!!」
「いただきます」
早速熱々のから揚げに箸を伸ばし口に頬張る。カラッと揚がった衣を噛むと中から肉汁があふれて激うま、そして激熱い。
「ふぁっ!?はふぁ!!はふっ…うまあああっ!!」
「本当は前の日から漬け込んでおくともっと味が染みて美味しいんだけどね」
美味さと熱さに涙目になりながら大興奮で唐揚げと白飯をがっつく俺を見て要は、なんだか少し嬉しそうに微笑んだ。あいつのそういう顔ってなんだか珍しい気がする。
「じゃあまた作ってくれ!!すげー美味いから!!」
あっという間になくなった白飯のおかわりに席を立ちあがると要は「また作るから、ちゃんとよく噛んで食べてね」と、かーちゃんみたいなことを言った。
産みの母親の事なんてあまりたくさん覚えているわけではなかったが、要といるとなんだか産みのかーちゃんととーちゃんのことを懐かしんでいるような気持ちになる。
飯の後いつものように俺が食器を洗った。
風呂から出た後いつもなら要が仕事に行くくらいの時間だ。だが今日もまだ休みらしく、珍しくだらだらとソファベットで雑誌を読む要がいた。
「体調はだいぶ良くなった?」
「そうだね、大分いいんじゃないかな。あと数日もすれば復帰出来そうだよ」
雑誌を見ていたページのまま膝に下ろして彼は俺の方を見る。雑誌を読むためか、珍しく長い髪を耳にかけているので顔がよく見えた。
切れ長だが長い睫毛をこさえた紫色の瞳に通った鼻筋。きめ細かい白い肌はほんのり桜色で、それは遠目から見たら綺麗な女の子にも見える。言ってしまえば、さすが兄妹なだけあって楓ちゃんに良く似ている。
邪魔くさい前髪のせいで今までわからなかったが、まじまじ見つめるととても整った顔をしている気がする。こんなイケメンの部類に入るだろう男が俺を見てその気になっておっ立てちゃうんだから世の中ってわからん。
膝に置かれた彼の読んでいた雑誌は音楽特集のようだ。
「そのギターかっこいいよな、限定モデルってやつ」
要は普段仕事か家事ばかりして、それ以外は寝ているような人物だった。
だからこうして彼の読む雑誌について横から話題を滑り込ませるのは初めてなような気がする。
「限定ってことは生産が難しいのかな。人気があるなら、あるだけ売ればいいのに」
「限定って大体アーティストモデルとかじゃん。ああいうのオーダーメイドが多いからレプリカも作るの大変なんじゃね?」
心底不思議そうな声を出す彼に俺は自分なりの知識を回答しつつ隣に腰を降ろす。音楽雑誌なんか読んでるから、やっぱり音楽に詳しいのかと思ったが、そうでもないのかもしれない。
「…もしかして要の仕事も音楽関係じゃなかったり?」
弾けないギターケースを持ち歩いたりしているが、ただのファッションだったりするのかな。常々疑問だったことを尋ねると、要は俺の方を振り返って肩を竦めた。
表情は変わらずとも「観念した」というようなニュアンスが過ごす時間が長くなってきたせいかなんとなく分かる。
「そうだね。本職については詳しく話せないけど、僕は音楽について無知だから本当はまるで分からないよ」
「なんだよそれー!」
音楽についてまるで分からないのに、なんでギターケースなんか持ち歩いているのか謎は深まるばかりだが、もう嘘を吐く気もないようだった。
「じゃあなんで音楽雑誌なんか読んでんの?」
からかうように笑いながら尋ねると、要は雑誌に視線を戻して元からボソボソとして小さな声を更に小さくして呟く。
「…君が音楽を好きみたいだから」
あーなるほど?好きな人の趣味とか真似して興味持って話題作りとかデートのネタにするとかねー!わかるわかる…!
…って、それじゃあ要の好きがマジもんって事になるくね?え?そこまでマジなの??
いやまて友達として仲良くなりたくてって線だって無くはねえだろ!でも友達として仲良くなりたいからっておっ立てたりするかあ?しないよなあ??
「俺のためかあ?見た目に似合わず健気なことすんなあお前」
悶々とする気持ちを馬鹿笑いで誤魔化して彼の方をバシバシと叩いた。
そんなことを話していると、不意にインターホンが鳴る。要は雑誌をベッドに置いて立ち上がると、その画面を覗き込んで分かりやすく眉を潜めた。
「…誰だろう。知らない人だ」
「知らん人?」
インターホンの画面を見ている要を軽く押すように俺ものぞき込むと、四月一日が周囲を気にするように視線をたまに泳がせながらインターホンのカメラをのぞき込んでいた。
「四月一日だ!ほら、前に話した友達!」
特に怪我もなく元気そうな彼の姿にほっと安心しながら、インターホンの通話ボタンを押そうとする俺の手を要が掴んで止める。
「待って」
「んえ?」
「もし彼に僕について何か聞かれても詳しくは答えないでくれる?」
どうしてそんなことを言うのかわからなかったし、要について詳しく話せることなんて俺にあるんだろうかと思いつつ首を縦に振った。
「うん…?わかった」
俺が答えると要は掴んでいた手を離し文字通り気配を消すようにソファベットに静かに腰をかけ、こちらを見つめたまま声を発するのをやめた。
インターホンの画面を見ると、相変わらずソワソワした様子でもう一度チャイムを鳴らそうか迷うような素振りの四月一日に慌てて通話ボタンを押して話しかける。
「わり、お待たせ!今開けるよ!」
「あ!黄金くん!ありがとう!」
声をかけると四月一日は明るい笑顔を見せて答えた。
ややしばらくして再びインターホンが鳴る。俺が玄関に向かうのを要は後ろから足音を立てずに少し離れて着いてきた。
「よっ!久しぶり!!」
ドアを開けると四月一日はパアッと笑って俺の手を取った。
「黄金くん良かったー!あの場所、ちょっと危ないんだって後で知ってさあ。待ち合わせに君が来なかったから心配し…」
話の途中で彼の目線が俺の背後へと流れる。俺の後ろには多分、要がいるはずだ。
「あれ?飼いぬ…同居人さん?」
「初めまして」
四月一日に手を握られたまま要に振り返ると、口ぶりは淡々としているものの、珍しく要は分かりやすく不機嫌そうに腕を組んで眉間にシワを寄せていた。何をそんなに警戒してるんだろうか?
「あー…こんばんは!いつも黄金くんにお世話になっております、四月一日です」
「宮間 要です。下の名前をお伺いしても?」
明るい四月一日の言葉に要は静かに返答する。言われてみれば彼の下の名前を俺も聞いたことがない。
彼はにこやかな笑みを浮かべたまま少し黙ると、取ったままの俺の手を離して肩を竦めた。
「四月一日 柊(しゅう)です。よろしくね、要くん」
今度は要に手を差し出す四月一日に、要はそっとそれを取った。
「よろしく。何も出せないけど、ごゆっくり」
要は本当に何も構う気がないのか、さっさと彼の手を離すとソファベッドへと戻り、雑誌を広げる。
四月一日は少し気まずそうに笑うと俺に視線を投げた。
「…ごめんね。お邪魔だったかな?」
「えっ!?いやいやいや!要ってちょっとほら…なんてんだ…コミュ障!そう!ちょっとコミュ障だからさ!気にしないで!今お茶入れるからさ、座っててよ!」
そう言って俺はいつも食事の際に座るテーブルの椅子を引いて見せる。四月一日は「ありがとう」と柔らかく笑った。
「…要くんも一緒にどう?」
「僕は大丈夫」
俺がお茶を入れようとキッチンの棚を見ていると、リビングの方で四月一日が控えめに要に同席を勧める声が聞こえたが、要はそれを即答で断っている。理由付けにコミュ障とは言ったが、コイツこんなにコミュ力低かったっけ。それともまだ疲れが抜けきってないのかな。
お客さん用のティーポット何処だっけな…戸棚をぱかぱかと開けて見まわすがそれらしいものが見当たらない。この前楓ちゃんが来た時に使っていたからどこかにしまってあるはずなんだけど…。
「要ー、ティーセットどこにしまってあるんだっけ?」
俺が尋ねるとリビングの向こう側から要が足早に寄ってくる。俺の隣で食器棚の1番上の段に手を伸ばし、手に取ったそれを俺に差し出す。
「お茶入れられる?手伝おうか?」
「お、サンキュー!じゃあ、茶葉の方お願い!俺お湯沸かすから」
ケトルに水を入れてスイッチを入れる間に要は紅茶の缶からスプーンでポットに茶葉を入れる。
「なんかごめんね!アレだったら何もいらないよ!」
少し焦ったように四月一日もリビングからキッチンへと寄ってくる。1人だけテーブルについているのが忍びなくなったのかもしれない。
要は四月一日に対して特にリアクションを見せずに紅茶用のミルクや砂糖を準備している。
「ああ!だいじょぶだいじょぶ!!ほら、コミュ障だから!!見慣れない人いたらちょっと緊張しちゃうからコイツ!」
キッチンへと寄ってきた四月一日の両肩をつかみテーブルのほうへと連れ戻す。
紅茶の方、あとは要に託そう…俺は彼と一緒に席に着き話し始めた。
「あの待ち合わせの日ほんっとごめんな!あのあとちょっとチンピラに絡まれちゃって…あ、でも直ぐに知り合いが助けてくれたから大事には至らなかったからほんと!」
大事には至らなかったというのは半分くらい嘘な気もする。命だって危なかっただろうし、なんならケツは死んだ。大ごとだよ。
「そうなの…?よかった~、黄金くんいなかったから用事でも入ったのかなってのんびり構えていたけど、後で結構危ない場所って知ってさ…なんかあったんじゃないかって今日慌てて来たんだ~」
四月一日はホッとした様子で胸を撫で下ろし、目尻を下げて笑う。その様子から四月一日は無事だったのだろうと安心した。
「紅茶出来たよ」
いつの間に傍に来ていたのか、要が紅茶の入ったカップを両手に立っていた。
それを俺と四月一日の前にそれぞれ置くと、要はまたソファベッドに戻って雑誌を広げる。
「あれ、要はお茶飲まないの?」
「大丈夫」
俺の言葉にも要は即答する。紅茶嫌いだっけか…この前は飲んでいたような気がするんだけど。要の様子に少し後ろ髪をひかれつつ俺は四月一日に向き直る。
「四月一日はなんも無かった?大丈夫?」
「うん、大丈夫!むしろ黄金くんが大丈夫だった?その頬とか、チンピラのせい?」
四月一日が気がついたように眉をしかめ、俺の頬の傷を指先で撫でる。まだ少し治りかけ特有の痒みはあったが、痛みはすっかり消えていた。
四月一日の言葉にソファベッドにいる要が少しだけこちらに振り返ったが、少し眉間にしわを寄せただけで再び雑誌に目を落とすのが見えた。
「ちょっと喧嘩に巻き込まれちゃってさ、でも他は何も!」
ケツは死んだけどな。いっそネタにして言ってしまいたい気持ちと、この事実はそっと胸にしまって墓まで持って行きたい気持ちがないまぜになっていた。
「そっかあ、ほっぺた傷残ったらごめんね!次はちゃんと場所考えるから!」
パンッと両手を顔の前で合わせて彼は申し訳なさそうに目をつぶった。
「そうだ!またどっか一緒に食事に行こうよ!美味しいご飯屋さん、最近また開拓したんだ~。いつ空いてる?」
「あーえっと…」
飯に行くんなら要が仕事の時か要も一緒じゃないとちょっと可哀想な気もするが…そもそも外出を許してくれるのかも怪しい。俺は要の方を振り返り声をかけた。
「ねえ、要。今度四月一日と飯行こうかって話なんだけど…」
「いつ?」
要もこちらを振り返る。話は聞いていたのか、聞き返すでもなく直ぐに質問が返ってきた。
「僕が仕事のない日ならいいよ。この間のことがあったばかりだし、君1人は心配だよ」
「えっと、四月一日と一緒に…待ち合わせすんならそこまでは一人になるかもだけど…」
てっきりハナから駄目だと言われると思っていたが、条件はあれど案外すんなり承諾してくれそうな雰囲気だ。
「じゃあ、3人で行ったらどうだろう。それとも、僕がいると話しずらい?」
じっとこちらを見ながら彼はいつもと変わらない口調で言う。でもなんか言いたげな目で俺を見ている気がした。
「俺は全然かまわないけど、四月一日は?」
「うん?いいよ!要くんがいいなら歓迎!」
少し驚いたようではあったが、四月一日はいつも通り明るく笑う。
「じゃあ、明日か明後日でどうだろう」
「早速明日行っちゃう?」
要の提案に俺は笑顔で手を挙げた。そういえば明日か明後日ということはその後は仕事に復帰するんだろうか。まあいつまでも休んではいられないだろうし当然と言えば当然かと思いつつ、こうして要とだらだら過ごす日が減るのはなんだか残念なような気もした。
「明日ね!オッケー!空けとく!じゃあ21時にこのマンションの傍にあるコンビニの前で待ってるよ!」
四月一日は前にやったようにウィンクをしてみせる。そういえば、四月一日もそこそこ整った顔をしてるし、地上ではチャラチャラしてたんかなとか、陽キャっぽいし。地上で出会っていたらこんな風に飯に誘われることもなかったんだろうなとか思うと、地下も悪いことばかりじゃない。
彼は紅茶に添えられたミルクを全部紅茶に入れると、時間が少し経って冷めつつあるそれを一気に飲み干した。
「じゃ、そろそろお暇しようかな」
四月一日は立ち上がると、俺の方に近づいて耳元に顔を寄せた。
「ねえ、結局あの人は大丈夫なの?変なことされてない?」
小声でヒソヒソと聞いてくるあたり、要を気にしてなのだろう。
「へ、変なこと!?ないない!大丈夫!!アイツは正真正銘のいいやつだ!」
一瞬この前のおっ立て事件を思い出してしまったがそんなこと口が裂けても言えん!
俺のために、そして要のメンツのためにも!
「そう…?なんかあったら相談乗るからね」
そう言って四月一日は顔を上げて玄関に向かって歩き出す。要はさっき外食の約束を取り付けたばかりだと言うのに見送りに来る気配はなかった。
四月一日に続いて玄関までついていく。彼は靴を履いて立ち上がると片手を上げて別れを告げる。
「またね!要くんもー!」
俺の背後に向かって彼が叫ぶと、要は申し訳程度に「また明日」とだけ返事をする。
「なんかごめんな?本当はもうちょい気さくなんだよ、もうちょいだけ…」
要には聞こえないくらいの声量で四月一日に苦笑いで伝えると、彼は肩を竦めた。
「地下の人ってみんなこんなもんだよ。気にしないで」
玄関の扉を開けて彼は「また明日!」と笑う。
「おうよ、またな」
手を振りながら歩いていく彼に俺も手を振り返しながら四月一日の姿が見えなくなるまで見送って家に入った。
部屋に戻ると、てっきり雑誌に夢中なんだと思っていた要がソファベッドの背もたれに上半身を乗り上げてこちらを見ていた。
「…2人はよく遊ぶの?」
「えっ…えっと…まあちょこちょこ会ってた…かな」
四月一日と会っていたのはいつも要の目を盗んだ無断外出の時だった。無断外出の件はもうバレたことなので今更隠しはしないが、堂々と「勝手に出て遊んでました!」とはなかなか言いづらい。
「そっか。黄金くんの友達なら、僕も仲良くした方がいいんだろうね」
そこまで言うと、要はソファベッドから立ち上がってダイニングテーブルのカップをまとめ始める。
「あ!!洗い物は俺の担当!」
要の肩を押しやって彼がまとめたカップをひょいと取り上げる。
ニッと笑うと要はカップを取り返すでもなく、こちらをじっと見ていた。
カップを洗いにそのままシンクへ向かうと、彼は何故か後ろをついてくる。てっきりキッチンに用事があるのかと思いきや、そういうわけでもなくただ隣で俺の手元を眺めていた。
要はいつもぼんやりしているように見えるけど、今のはいつになくぼんやりって感じだ。
「…どした?」
尋ねると、要は俺の顔を少し見てから再び俺の手元に視線を戻すと首を傾げた。
「なんだろうね。僕もよく分からない」
「わからないって…風邪まだ治りきってない?大丈夫か?」
「体調はもう大丈夫だけど…あんまり今日みたいな経験がないから、言語化するのが難しいなと思って」
そこまで言うと要はまた俺の隣で黙ってしまう。
「今日みたいなって、複数人でワイワイ…的な?」
申し訳ないが確かに要は友達が多いようには見えないなあ、なんて思った。
「自分の友達に別の友達がいることが、なんだか嫌な気持ちになるという表現で合っているのかな…理不尽な感情が出てきて、上手く整理できなかったんだ」
心底不思議そうに彼は首を傾げて腕を組んだ。
あーうん、わからんでもないよ。漫画とかでそういう展開見たことある。
仲良くしてた女の子が別の男と親し気にしてるとこ見ちゃってさ、それがお兄ちゃんだとかってオチ付きで…ってそれじゃあなんだか要が俺にヤキモチ妬いてるみたいじゃねえか?
え、ヤキモチなの?俺に??何で??いや好きとは言われた、言われたけど!!
まってよ、なんかどんどん要が俺を好きだって言う裏付け的なアレソレが立ち並んでいくじゃないかどうしたらいいんだよ俺は!!
発する言葉が見つからなくて要の目を見たまま固まった。ああなんかちょっと顔が熱い気がする。要の風邪移ったの?移っちゃった奴なのこれ?
「黄金くん大丈夫?」
「はひいっ!」
「なんか変なこと言ってしまったかな」
「いや全然!!普通!!うん!あるあるだよそういうの!!」
笑ってごまかしながら洗いかけのまま止めていた手をあたふたと動かして洗い物を片付けた。
「あ、明日、楽しみだね!」
「そう…かな。そうかもね」
話を振ってみても上手く続く事なく要の曖昧な返事で静かに会話が終わる。何緊張してるんだ俺は。会話ってこんなに難しかったか?
要がこうして家で暇を持て余しているのも今だけなのだから折角なら親睦を深めたい。彼の隠し事については待つとは言ったが、そりゃ聞けるもんなら早く聞き出したい。だって普通に気になるもん。
「さて、夜更かししては体に触るよ。そろそろ寝ようか」
次の話題を考えているうちに要に先手を取られた。
時計を見るとまだ11時を回ったばかりだ。地上にいた頃は家に居ずらくて何となくフラフラと散歩しているような時間だし、要が仕事の日も雑誌か映画でも見ながらだらけてるような時間だ。だから本音を言えばまだまだ眠くなる時間では無いのだが、要の健康志向は凄まじい。おじいちゃんかあいつ。
あいつの仕事が休みの日は、こうしてそうそうにベッドに連行されるのだ。やましい意味ではなく。
「はーい」
例に漏れず要もこの時間に眠る。普段は朝方まで仕事してたりするのに休みの日は器用に夜寝てるの地味にスゴイよな。部屋の明かりを消して静かに眠る要の隣の部屋で、煌々と明かりをつけ騒がしく起きているのも忍びないので俺も大人しくベッドに横になった。
「おやすみ」
そう言うと要も「おやすみ」と言葉を返し俺の部屋の明かりを消してドアを音を立てずに閉めた。なんかお母さんみてえ。
眠くなくとも目を閉じて横になっていると案外眠れるもので、そのうち俺の意識は深い眠りの中に入っていった。


「おはよう」
「…うん」
朝って不思議だよな。
前の日にどんだけ早く寝ても朝は眠いし、寝起きはだるい。
「黄金くん?起きて」
「…おー」
部屋の明かりとはまた違った、まだ慣れない窓からの光に顔を顰めながら俺はよろよろと起き上がる。
「朝ごはん出来てるよ。顔洗っておいで」
「あい…」
俺はまだ働かない頭で返事をすると、腹をボリボリと掻きながらベッドから降りて洗面台へ向かった。
冷たい水で顔を洗うとさすがに目が覚めて、朝飯のメニューを考察する脳が働き出す。
「朝飯なーんだ」
顔を拭きながら食卓に向かう。テーブルには炊きたてのご飯と香ばしい匂いを放つ焼き鮭とワカメたっぷりの味噌汁。Theニッポンの朝ごはんって感じ。
「うまそ!やっぱ朝は米だよな!」
まあ俺、アレルギーだからパンとかシリアルとか食えないし必然的に米みたいなとこあるけど…米好きだからいいよ!米アレルギーにだけはなりたくないな。なったら俺は一体何を主食に生きていけばいいんだ。
「お米は腹持ちも良いし、血糖値も上がりすぎない上にエネルギー効率もいいからね。朝食にはうってつけだと思うよ」
お茶を出しながら要は健康うんちくを披露する。多分、要って健康オタクなんだろうな。
「いっただきまーす」
要のうんちくに軽く相槌を返しつつ朝飯を頬張る。
「今日もうまいわ」
「ありがとう」
飯作ってる側からすると感想もらえる方が嬉しいって聞くけど、要もそうだろうか。
と言っても俺はいつも「うまい」しか言葉が出てこない。うまいもんはうまいとはいいつつ、もっと気の利いた感想の一つでも言えた方がいいのかな。どうせ作ってもらうなら、気持ちよく作ってもらいたいもんだ。
「今日、21時でいいんだったっけ」
「たぶん?こういう時に確認とれたら便利なんだけどなあ」
地下世界に来てしまったという現実にはそこそこ腰が座ってきたが、スマホ的なツールがないという状況にはいまだに慣れない。
四月一日しかり、要しかり…ふとした時に連絡が取れないのは不便なもんだ。
四月一日から教えてもらったが、地下での連絡手段と言ったらもっぱら腕時計なんだと。
といっても普通の腕時計じゃなくて、液晶ディスプレイを操作してメールとか電話とか支払いまでもそれでやるんだとか。通りでATMも無ければ現金もつかえないわけだ。
その腕時計が一体いくらで手に入るのかわからんが、俺の全財産はたいても到底買えそうにないだろうとは思う。
「彼は地上から来たと、黄金くんは言っていたよね。外に一緒に出掛けた時、買い物とかは一緒にしたことあるのかい?」
米を頬張ったりすることなく、一口ずつ丁寧に噛んで飲み込むと要は茶碗に目を落としたまま疑問を口にする。
「うん、奢ってもらう形になって悪かったなあとは思うんだけど…」
「つまり彼は腕時計を持っていたんだね」
要が茶碗に落としていた視線をこちらに投げる。いつもと変わらないようでいて、その語気はいつもよりも強くも感じられた。
「え、まあ…だって、あれじゃないと支払いできないんだろ?」
「そうだね。だから不自然なんだよ」
よそ者の俺にはその不自然さはちょっとよく分からない。
「そんな変?あの腕時計は確かに高そうだけど、地上から来た人間も買うことが出来るんだろ?」
「できないよ」
俺の言葉に要は即答する。食べていた茶碗を机に置き、彼は俺に自分の左腕を差し出した。
彼の手首には、四月一日と同じ形状の腕時計。画面に表示されているのは要の名前や年齢。よく分からない「A5ランク」という項目を覗けば地上の身分証明書に近いもののように見えた。
「ここに『人間』って書かれているだろう?」
A5ランクの項目の隣を要は指さす。人間の身分証明に人間って書くほど無意味なことがあるかとは思うが、これが何を意味してるんだろう。
「うん。そりゃ要は人間だもんな」
「この世界の人間はみんな人間とは限らないよ。人間だけが腕時計を所持できるし、そもそも腕時計は購入するものではなくて国からの支給品だ。貧富の差は関係ない」
「え?なに?なぞかけ?」
まるで何を言っているのか分からない。そう思っているのが顔に出ていたのか、要は俺があれこれ質問をする前に静かに話し出した。
「地下には奴隷制度があるんだ。その奴隷は人間だけれど『犬』と呼称される。この項目は『正真正銘の人権を持つ人間である』ということが国のデーベースで確認できている証なんだ」
確かに四月一日から人身売買が地下では横行しているとは聞いていたし、俺がペットなんじゃないかという話もあった。人身売買で売られてきた人間たちが『犬』に当たるんだろうか。
「普通、地上の人間が地下に来る時は犬として登録されている。だから、腕時計を持つ権利をそもそも持たないはずだ。柊くんが本当に地上の人間なら腕時計を持てるはずがない」
「いや、でもアイツは売られる前に逃げてきたって…」
「逃げた犬は野良犬って呼ばれていて、所詮は犬のまま。それは決して人間になり得ないよ。そもそもSから…地上で言う政府からの支給されるんだから、登録が犬なら政府がくれるわけがないんだ」
なるほど理屈はわかった。でも高価なものに見えたってたかだか腕時計だ。
窃盗なり強奪なり色々やりようはあるだろう。…いや四月一日がそんなことするとは思いたくはないが…。
「あんま考えたくないけど盗むとか…そんなちっこいの、サッとポケットに隠せそうじゃん…あ!それか誰かから貰ったとか!」
「それもあり得ないかな」
いやいやいやだって地下世界なんて、こんなに無法地帯で不条理な世の中じゃん。盗みどころか暴行強姦、殺人だって日常茶飯事なのに盗みがないなんてあり得るかよ。
そう口にしようとするが要は俺が口を開くより先に「実際に見てもらった方が早いかな」と言って自分がつけていた腕時計を外して俺に手渡す。
「操作してごらん」
外された腕時計の画面を軽く触ってみるが画面は消えたまま反応しない。要や四月一日は画面を触って起動させていたような気がしたが何か別にスイッチがあるのかと思い、くるくると側面や裏面を確認するがスイッチのようなものは見当たらない。
「これスイッチどこ?画面をタップしても反応しねえけど…あ、ロックかけてんのか」
「そうだね、生体認証式だから登録した人間以外が触っても動かないんだ」
スマホも指紋認証とか顔認証とかあるもんな。支払いも身分証明も全部入ってるってんならそのくらい厳重だって何らおかしくはないのに、何がそんなに特別なことなんだろうか。
「まあ、勝手に操作されたら色々まずいもんな、でも登録なんていくらでも上書きできるんじゃねえの?」
「この登録ってのは少し特殊でね。この都市全体を管理しているコンピュータが絡んでいるんだ。偽装も出来なくはないんだろうけど…地上から来て逃げ出してきた人ひとりになせることではないんじゃないかな」
そんなに難しいことなのかって軽はずみに聞いたら専門用語と難しい話のオンパレードが始まって、頭が痛くなりそうだったので俺は途中で要の目の前に手の平を突き出し「なんか難しいってことはわかった…からもういいや…」とギブアップした。
「じゃあ…逃げ出して一人で何とかやってるってのは嘘で、他に仲間がいるってことか」
「どちらかというと、元々地下の人間だって可能性のほうが高いと思うけど」
「ええ…でもあいつめっちゃ地上の事知ってたし…」
しかしそうは言っても、どっちに転んだって四月一日は嘘をついているし何か隠してるのは明白なのだ。
あー!!!ったくもう!要も要だったけど四月一日も嘘つきか!俺そんな騙しやすそうなのか!地下の人間みんな嘘つきか!!!
別に怒るとか憎むとかそういうのじゃないけど、なんかすっきりしない。
「あれ、じゃあ俺は?腕時計が人間の身分証明書みたいなもんなら持ってない俺って…犬?俺やっぱ犬なの…?要に買われたの…??」
うすうす感づいてはいたさ。四月一日からも言われていたし…でも処理用とかだったらどうしよう…俺を見てああなっちゃうってことは無くはない話だから非常に複雑ってやつだ。
要はいつもよりも分かりやすく眉を寄せて視線を逸らした。
「…君は特別なんだ。犬じゃない。でも、地下の人間でもない。だから、外に出したくなかった」
「え、じゃあ要に買われたわけではないの?」
俺が尋ねると、要はテーブルの上で手を組んで頷いた。
「そうだね、君は僕の所有物ではない。君は地上の人間だ。だから、僕が君の人権や自由を侵す道理はないよ。今まで軟禁状態にしてしまってごめんね」
俺は犬でもなければ地下の人間ですらない。
「そ、なんだ…」
予想の斜め上を行く答えに喜ぶとか驚くとか色々通り越して漏れた言葉はあっけなかった。
地下の人間は地上の人間を奴隷とかペットや家畜同然に思ってるのだと四月一日は言っていた。ここの人らが言ってる野良犬ってのがどんな扱いを受けているかも知っている。
だからようやくひとつ合点がいった。
「なんだ、守ってただけじゃん。最初からそう言えばよかったのに、対等な友達だったみたいで安心したわ」
安堵したせいか、自然と笑いが漏れる。
要は少し拍子抜けした素振りを見せたが、彼もまた少し安堵したのか、無表情ではあったが肩から力を抜いて座り直した。
「でもそんな事ってあり得るの?」
「いいや、あり得ないから『特別』なんだ。そうだな…不法入国、と言えば黄金くんには分かりやすいだろうか」
「それ思いっきり犯罪じゃねーか」と突っ込みたくなる気持ちをぐっと飲み込み、俺は質問を続ける。
「でもなんでそんなことに?俺、ついこの前までシェルターの地下にこんな都市があるなんて事すら知らなかった一般人だぞ?」
「それは…」
要は少し困ったように首をかしげて目線をゆらゆらと動かし、一呼吸置いてから答えた。
「…まだ話せないかな」
「そこは内緒なのかよ」
「ごめんね」
この謎に迫れるのかなとちょっと期待してからの内緒はめちゃめちゃ気になる…。
しかし「待つ」と言ったのだから待つほかあるまい。男に二言は許されないんだぜ。
「ま、まあいいよ。いつかで」
「ありがとう」
要の発したその口調はとても穏やかで、すこし細めた目元は微笑んでいるように見えた。
「君は優しいね」
…どうしてだろうか。共に暮らしているとはいえ、俺と要は知り合ってからまだ日は浅い。
なのになぜだかその口ぶりが、話し方が、なんだか懐かしく思えるような気がした。遠い親戚だったことも、昔に会ったことがあるというのも彼の嘘であったはずなのに…。
少し頭をひねらせて、懐かしさの正体を突き止めようと記憶を遡る。
そうか…似ているんだ。ちょっと空気読めないところとか、妙に淡々と落ち着いた口ぶりとか。
初めて、本当の意味での友達になれたガスマスクに。
そういえばあいつは要の事をよく知ってる人だと言っていた。もしかして要はガスマスクが何処にいるか知ってるんじゃないのか?
「あ、ねえ要。ガスマスクのこと知ってたりする…?えっと…いつも黒い服でガスマスク付けてる男なんだけど。歳は要と同じくらい」
あいつは正真正銘、地上の友達だ。だけどあの晩、彼は地下にいる俺の目の前に現れた。
地上から連れてこられた人間は全員「犬」として地下に閉じ込められるなら、ガスマスクも誰かの犬になってしまったのかもしれない。
要みたいな優しい奴のとこにいるならいいんだが、全員がそうとは限らないから心配だ。
花屋と呼ばれる男から受けたであろう傷は大丈夫だろうか。
「うん、知ってる。よく知ってるよ」
はにかむように笑う要の顔はあまり見たことがない種類の笑顔で、古い友人を懐かしむようなものにも見えた。
「彼なら元気にしているよ。多分、黄金くんが思っているよりは強い人だからね」
「そう…?なんか花…じゃなくてえーっと…怪我したって聞いてさ。心配してて」
要には花屋ってやつらに襲われた…なんならケツのバージン取られたとかって話はできれば伏せておきたい。プライドも大いにあるが、仮にも俺を好きだって言うんならなおさら知られたくないな。
「もうほとんど治ったと聞いているよ。比較的軽症だったんじゃないかな」
「そっか、ならよかった。けど、要ってアイツとどういう関係なん?俺、本名はおろか顔すら見たことないんだけど…あ、もしかして兄弟とか?」
兄弟なんだとしたら雰囲気に面影を感じるのも納得だ。
要は俺の質問にすぐ口を開くが、声を出さずに口を閉じて首を傾げる。何か思案するように視線を宙に漂わせ、また困ったように肩を竦めた。
「近いような遠いような…詳しくはまだ答えられないけど」
「まーた内緒か!!!」
ガスマスクも大概、内緒内緒の多い奴だった。これは兄弟で決まりだな、内緒兄弟め。
となるとどっちが兄ちゃん何だろうとか、何で兄弟で地下と地上に別れてんのかなとか色々気になりはした。しかし複雑な家庭事情とか出てきたらフォローに困るし、兄弟であることも隠すくらい何だから聞いたって内緒なんだろう。
「ごめんね、いつか話せる時が来たら…」
「あいあい、待ってますー」
わざとらしく口をとがらせて答えると、俺たちはまたどちらからともなく笑みを漏らした。
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