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2章
1
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1.
「シャム!シャム!」
なんとか男たちを気絶させて、昨日シャムが捕まっていた一軒家まで辿り着いたが誰もいない。
「くそ…」
壁に拳をぶつけて八つ当たりするが、これで何かが解決するわけでもない。薄暗くなってくる外を見て、俺は一軒家を後にする。
もしかすると、アイツらの目的はシャムだけではなく、俺も含まれているかもしれなかった。彼は確かに奇跡レベルの可愛さを放ってはいたが、彼とセットで俺が釣れる可能性があるからますます放っておかないのだろう。
そう考えると、1度家に帰ってみるべきかもしれない。銃弾が掠めて怪我をした足を気合いで動かし、家へと走る。
走る時に曲げた右手が酷い音を立てる。もう右腕の寿命がなんとなく近いことは分かっていた。
この右腕の燃料は俺の血だ。腕が壊れたが最後、接続されたチューブから俺の血が排出され、止まらないそれはあっという間に俺の命を奪うだろう。右腕を乱用するのは、あまりにリスキーだった。
無償で施すのも、彼に入れ込むのも、そのために右腕を使いすぎるのも、どれもこの街でやるにはあまりに愚かだ。そうは分かっていながら、あのふわふわとした彼の笑顔が見たくて色々と手を焼いてしまう。一応はルールに則った対価を要求してはいるが、これに関しては対価なんて彼は払えないだろう。
家にたどり着くと、玄関のドアの隙間に紙切れが差し込まれている。拾い上げると、折りたたまれたそれには「リーサルウェポンへ」と綴られていた。
リーサルウェポンというのは俺が闘犬をやっていた時の呼び名だ。忌々しい呼び名に俺は舌打ちをしながら紙を開く。
「今夜のパーティ会場に素敵な贈り物を用意させて貰った。それを引き換えに依頼したいことがあるので、良かったら来て貰えないだろうか。絶対に損はさせない」
差出人を確認すると、あの新入り狩りの名前が記されている。紙をぐちゃぐちゃに握り締め、俺はその場に投げ捨てて足で踏みにじる。
ふざけてる。元からあれは名目上は俺のものだと宣言したのに、それを奪って返すのを贈り物だなんて脳みそにウジが湧いてるとしか思えない。
彼に助けると約束した。それなら一刻も早く指定された場所に向かうしかない。
あの会場でシャムは何をされるんだろうか。他の奴らみたいに手足を切り落とされて壁に飾られてる?それとも他のこと?
ザワザワと騒ぐ胸の不快感に深く呼吸をする。落ち着いて頭に昇った血を沈めようと目を閉じる。
大丈夫、もし俺も目的に入っているならさすがにまだ四肢を切り落としたりはしないだろう。
薄暗い街が、どんどんと暗闇に沈んでいく。夜が近づくと、街灯がない俺の家の近隣は真っ暗だ。
少し離れた街の中心部へと着くころにはすっかり辺りは暗くなり、ネオンがギラギラと中心部を照らしていた。
新入り狩りに呼び出された古い劇場に向かう。行く途中でじろじろと俺に向けられる視線を感じながら、建物の中へと足を踏み入れる。
建物の中はスポットライトがあちこちに散らばり、壇上に並べられた今日入りたての踊り子を照らす。踊り子と呼べば聞こえはいいが、単純に犯される為に連れて来られた新しい人間だ。彼らのような新顔はまだ元気があるから大盛況。特に女性は取り合いだから、順番待ちしている男たちが突如乱闘を繰り広げるなんて往々にしてある光景だ。
「やあ、リーサルウェポン」
声を掛けられて振り返る。俺の背後には胡散臭い笑顔を浮かべた新入り狩りが壁に寄りかかって、俺に手を振っていた。
「来てくれて嬉しいよ。君には特別席を用意してある。2階に来て欲しい」
「言っておくが、来たからって依頼を受けると答えてるつもりはないからな」
彼を睨みつけると、新入り狩りは小さく頷いた。
「もちろん。報酬を見てから決めてよ。大丈夫、穴をシェアしたり出来ない潔癖症な君のために綺麗にしておいたから」
彼の言葉にシャムの状態がなんとなく想像できて、腹にムカムカとした怒りが込み上げる。
しかし、相手が相手なので言葉を飲み込む。怪我をした足がズキズキと痛んだ。
「…四肢は切り落としたのか?」
「全部とっておいてあるよ。君ってどちらかと言えば自分でカスタマイズする方が燃えるタイプでしょ?ちゃーんと楽しみは残してあるから安心して」
新入り狩りの言っていることが半分図星で反論が出てこない。黙って舌打ちをして、俺は歩き出す彼の後に続いた。
2階の観客席に繋がる廊下を進む。その1番奥に設置された精々5人程度しか入れないフロアはカーテンで仕切られ、廊下からでは中が見れなくなっている。
カーテンの向こうからもにゃもにゃとうわ言のようで、しかし意味をなさない声が漏れている。
「この奥に彼がいるよ。良かったら見て行って」
新入り狩りがカーテンを開く。言われるがままに中を覗き込むと、フロアの中央でシャムは目隠しをされ手だけ縛られた状態で息を荒くして横たわっていた。
彼がここに来た時から着ていたジャケットは前を大きく開かせてシャツは脱がされたのか柔らかそうな腹部が晒されている。
「遅くなってごめん、大丈夫?」
「えりお…く…?」
苦しそうな息遣いで彼は安心したような笑みを浮かべたが体が思うように動かず、体を丸めるのが精一杯のようだ。
彼の髪から漂う甘い良い香りが鼻をくすぐった。
「どう?可愛いでしょ?気に入ったなら報酬にそれあげるから、俺の依頼内容を聞くだけ聞いてみない?」
カーテンを開いたままこちらを覗き込む新入り狩りが俺に問いかける。彼に振り返るとシャムは「だめ…」と小さく震えながら首を横に振る。
シャムの様子を横目に見ながら俺は新入り狩りに向き直る。
「…なんなんだよ」
「俺たち新入り狩りのサポートを依頼したい。彼も勿論あげるし、飯も俺たちが得ている分から渡すよ。護衛と見張りをするだけでいい。悪い話じゃないでしょ?」
つまり、あの悪趣味な仕事を手伝えということだ。俺は舌打ちする。
「すぐに決めなくていい。なんなら、1回抱いてみて考えたらいいと思うよ」
新入り狩りはにっこりと笑顔を作って手を振った。
「…ちなみに、俺の仲間たちを君が傷つけたこともちゃんとツケておくし、抱いたら対価は必ず貰いに行く。よろしくね」
彼はカーテンを閉じると、どこへ向かうのか足音が遠ざかっていく。
シャムに振り返り、俺は首を横に振った。
「…あの3人はちゃんと逃げた。他に誰かが捕まえたりしてなけりゃ、今頃もまだ無事だと思う」
シャムが助けようとした3人は、俺たちの騒動でどさくさに紛れて逃げた。まだ無事だとは限らないが、弱った彼を安心させたくて笑顔を作る。
彼の前髪を整えようと、腕の中で横たわる彼の額を優しく撫でた。
「んっ…よ…かった…ぁ」
高揚したような赤い顔で微笑む彼の顔はいつも以上に可愛くて、触れるだけで手の中で小さく震える彼の肌や声が悩ましく見えてしまう。
彼は俺を誘いたいわけじゃないのに、その様子に全身に鳥肌が立つような強い欲望が湧き上がってくる。
それに負けてしまわないように彼から目をそらす。
「と、とりあえず逃げよう。動け…ないよな?抱き上げて走るのは大丈夫?」
「なんっ…とか?」
「良かった」
彼に言われて抱きあげようと体を動かすと彼はビクビクと体をふるわせて、溶けてしまいそうなほど潤ませた目を俺に向けてきた。
「っあ…まっ…待って…ごめ…やっぱり少し…休みた…」
彼の表情はあまりに色っぽくて生唾を飲む。小さく何度も頷きながら、彼を抱いたまま静かに床に座る。
「辛い?大丈夫?」
恐らく媚薬でも飲まされたのだろうが、それにしたって酷い気がする。自分では媚薬など飲んだことがないので、どんな不調か分からない。少しでも楽になればと震える彼の肩を擦る。
「っぅ…ふぁ…」
優しく肩を撫でると彼の体が大きく震えて、今までで1番なやましい声を漏らした。
その拍子に彼の肩からジャケットがするりと落ちて、上半身の大部分が露出する。
熱を帯びた白い肌はほんのり汗ばんでいるのに、まとわりつくような甘い匂いが漂う。
ピンと立ち上がった熟れた果実のような濃い桃色の乳首が目の端に入り、2度見する。女の子のようにぷっくりと立ち上がったそれから目が離せず、目を見開いたまま釘付けになった。
俺の視線に気づいたのか、彼は手でそれを隠して恥ずかしそうに目をそらす。
「ご、ごめん…あんまり…見られ…ちゃ…恥ずかしい…」
「えっ!?あっ!ごっ、ごめん!」
俺も彼から目を逸らし、慌てて謝るが心臓がおかしなくらい鳴っている。
なにあれ?どういうこと?こんな可愛くて優しくてふわふわしてて、でもシャムは男の子なのに乳首が女の子…えっ?
「はっ…エリオく…ごめ…ちょっと…離して…」
起き上がる彼の背中を支えるように手を添え、離れていく彼を見守る。
シャムは俺から隠れるように半分背を向けて何を思ったのか、そのぷっくりと膨れ上がった乳首を自分の指で優しく撫で始めた。
何を始めたのか一瞬分からず、また彼の行動に目が釘付けになる。
優しくつまんだり少し引っ張ったりする度に、彼は気持ちよさそうに荒い呼吸をして少しずつ力が抜けるように体を横たわらせていく。
ふとシャムと目が合うと、彼は爆発しそうなくらい顔を真っ赤にさせるが手をとめないまま泣きそうな声で呟いた。
「ご…ごめ…んっ…ちょっと待って…すぐ…済ませ…から…見ない…でっ…」
「えっ、あっ、えっ…」
彼の言葉に停止していた思考がようやく動き出す。
こんな汚い街に生きていて御歳今年18歳ですが、他人と汚い身体をシェアしてまで性欲処理なんかしたくなくて童貞を貫いてきた俺には相当キツい状況だ。自分の下半身が今までにないくらい熱くなっているのは分かっているが、ここで彼をおかずに抜くなんて嫌われそうでしたくない。
目を逸らして、彼に背を向けて座るが背後から甘い声と荒い呼吸が間近に聞こえて、チラチラとつい覗き見してしまう。
彼はスキニージーンズの前だけ開けて取り出した性器を控えめに擦りながら、固くなった乳首をいじる。
しかし片手を性器に添えているせいで触れないもう片方が辛いのか、乳首をいじる手を頻繁に変えながら泣きそうな顔で体を震わせていた。
「…て、手伝おうか…?」
消えそうな声で彼に話しかける。緊張で震えた声は上ずっていて、なんだか情けない声が出た。
俺の声にキュッと閉じていた目を開いたシャムは、また恥ずかしそうに目を潤ませて露出した性器を慌てて隠す。
「えっ…ええっ…な…」
「あ!ごめん!ほんとごめん!辛そうだったから…」
俺は慌てて視線を前に戻す。
あーやっちまったー。めっちゃ怒られそうだし嫌われそう。頭の中で頭を抱えるが、出した言葉は引っ込められない。
「…ここ…」
後ろからかけられた彼の声にビクリと肩が震える。恐る恐る振り返ると、あの濃い桃色の突起を白い指先で撫でながら真っ赤な顔を向けている。
「ここ…触って…ほし…」
俺はその姿に目を丸くしたまま、言葉が出ずに無言で頷く。ゆっくりと彼の背後に回ると、足の間に挟むように彼を座らせ、抱きしめるように彼の腹部に右腕を回す。
身体に密着する彼の身体からシャツ越しに体温が伝わってくる。それは久しぶりに感じる他人の体温で、暖かくて気持ちがいい。
「あの、えっと…触り方が嫌とか、こうしろとかあったら言って…?」
彼の腹をなぞるように撫でて、左手をそのまま彼の胸へと這わす。痛くないように優しく彼の乳首を指で摘み、指の間で転がした。彼も反対の乳首を指先でこね回しながら、もう片手で性器を撫でるようにしごく。
「あっ…ううっ…」
時々ビクンと身を逸らしたり俺に寄りかかったりしながらどんどん息を荒くして良さそうな声を漏らした。
「うっ…はっ…ぁ…」
彼が動く度に膨張しきった俺の股間に彼の腰や尻が擦れる。暖かくて柔らかいものを布の上から擦られて変な声が出た。
声と共に彼の耳に俺の息がかかると、彼はそれさえも気持ちよさそうに身を擦り寄せてくる。
「あっ…はあっ…息…熱い…」
首だけで少し振り返ったシャムは潤んだ瞳を細めて、半開きの唇から細く息を吐く。
思わず唇を奪いたくなるようなその表情に飛かける理性をなんとか引き止める。苦し紛れに彼の頬に自分の頬を擦ると、彼の頬は驚く程に熱かった。
「ごめ…息かかるよね…」
彼に息を掛けないようにするべきなんだろうけれど、これだけ自分も興奮していてはコントロールが難しい。
彼の汗ばんだ首元に顔を埋め、深く息をつく。
「んっ…首っ…くすぐったい…」
シャムは身を捩らせると少し腰を前に滑らせ足を立てて、俺の胸元に頭を寄せるように寝転ぶ。
彼と俺がいじり倒した胸と、物欲しそうに脈動する彼のものが一望出来てしまう。どこもかしこもまだ物足りなそうに立ち上がっているそれは、見ているだけで俺まで辛くなる。
「まだスッキリしない…よね。大丈夫?」
胸元にある彼の顔を見下ろしながら、胸の先を軽くひっぱる。
「ひぁっ…はっ…あっ…」
先程よりも大きな声で震える彼は自身でいじっていた乳首も引っ張って、そのまま控えめにクリクリと捻る。
こんなに純真無垢で可愛らしい彼が快感を貪るように自分の身体をいじっている姿が、どうしようもなく可愛くてそそられてしまう。もっと気持ちよくさせたらどうなるんだろうという興味と、自分がそれをしたいという強い欲求で思考が満たされ始めてくる。
彼を抱きしめるように引っ張りあげ、そのまま床に仰向けで優しく寝かす。
乳首から手を離したせいか、とろんと熱っぽい顔で切なげに俺を見上げるシャムは縋るように俺の左手に手を伸ばした。
「い、いかな…いで…」
「いかない、大丈夫」
彼の頭を撫でて、俺は彼の腰に跨る。そのまま彼の胸に口を付けて、弄られて膨らんだそれに舌を絡める。
「っあ…!な…にっ…熱くて…ぬるぬる…っ」
体を逸らすほど震わせて、快感に混乱しているかのように自分の指を食む。
「…俺、片手しかないから…」
口を離して小さい声で言い訳する。そのまま再び彼の胸を口に含み、唇で挟んで先端を舌で押し込んだ。
空いた左手で反対側をつまみ、ころがしたり弾いたりすると彼はいっそう甘い声で鳴きながら自身の股間を夢中で触っていた。
「あっ…んぁ…はっ…ッ…!」
高い声と共にビクビクと腰を震わせた彼はそのままくたっと力が抜けたように荒く呼吸を繰り返す。
「…出た?」
胸から顔を上げて、彼の腰に跨ったまま立ち膝で彼の顔を見下ろす。
とろんと俺を見上げながら肩で息をしていた彼はじわじわと泣きそうな顔になって、ぐずぐずと鼻を鳴らして半泣きになってしまった。
「ごめ…ごめんなさ…」
「え!?いや!ごめん、こっちこそ触って…!」
慌てて両手を上げて彼の上から降りる。何かトラウマ作ってしまったんだろうか…俺あんまイケメンでもないし、可愛くもないし…チビだし…。
俺が退いても動かない彼は涙拭いながら俺を見上げる。
「違う…違うの…全然…おさまんない…からっ…」
そう言われてちらりと彼の下半身に視線を逸らすと、確かにまだまだ物足りないと言わんばかりに反り立っている。
それを隠すように俺に背を向けて体を丸めたシャムは、スンスンとべそをかきながら再びそれを触りだしたようだった。
「ごめ…なさい…っすぐ…すぐするからっ…」
もう見ていて可哀想だし、不謹慎なことを言うとめちゃくちゃ可愛くて辛い。どうしようこれ、俺の理性が持ってくれたらいいんだけど、非常に不安だ。
「大丈夫、大丈夫だから。ゆっくりでいいよ、落ち着くまで付き合うよ」
シャムの頭を撫でて、涙を指で拭う。
実際、新入り狩りは俺たちがここで丸1日セックスに興じると思って仕組んだはずだ。恐らく、急いで逃げる必要は本当にないだろう。
「こっち向いて」
横向きで転がるシャムを優しく仰向けにすると、今度は彼の下半身に手を添える。
出した形跡のあるぬるぬるとした体液に塗れるそれを無機質な左手でなぞる。
「ひゃっ…」
火照った体を急に冷たい義手に触れられて驚いたのか、彼は可愛らしい声で小さく反応した。
「ごめん、義手だとやっぱり気持ちよくないかな…」
色々と義手で日々損しているが、今日は特に損してる。人肌の温もりと柔らかささえあれば、もうちょい良かっただろうに。
しかし、毎週3回は俺は自分でこの手で抜いているので、イけないことはない…はずだ!大丈夫、ちょっと頑張ってみようぜ!そんな気持ちで自分を奮い立たせて彼の前を優しくしごく。
俺は裏筋が好きだけれど、彼はどうだろうか。さぐるようにまんべんなく扱いて撫でる。
「ぅ…あっ…んん…」
少し心配だったが、彼はすぐに気持ちよさそうな声を漏らし初めて俺は安心した。
ツルツルとした指先を根元の方から先端に滑らせると膝をビクッと反応させて恥ずかしそうに目をそらす。
「こういう動きが好き?」
彼が悦んでくれた動きを繰り返し、徐々に速度をあげる。
気持ちよさそうにビクビクと震えていた彼は、再びそっと自身の乳首を指先で転がし始めた。
「…乳首触るの好きなの?」
聞いていいのか分からなかったが、ずっといじり続ける彼に思わず尋ねる。
「…っここ…いつも1人でっ…してて…触んないとっ…イケな…いっ…から…」
えーーー?何それ?こんな純真無垢なのに乳首で抜いてて、しかも乳首いじらないとイけないの?マジで?エロくない?
口から出そうな感想をグッと飲み込む。俺の股間が爆発しそうだけど、我慢…我慢だ…。
「そっか、それじゃちょっと大変だけど、自分で触ってて貰える?俺、こっち頑張るから」
1人で盛り上がっている興奮を鎮めるために深呼吸しながら、彼の性器に顔を近づける。フェラなんかしたことないし、するとも思ってなかったから全くの初心者だが、多分自分のをシゴいたことはあるんだから多少できると思いたい。
「ぁ…」
俺が何をしようとしているかシャムは悟ったようだが、恥より性欲が勝ってしまうようで彼は無抵抗に足を広げたまま恥ずかしそうに目をそらした。
「痛かったら言って?」
根元に舌をつけ、先程彼が指で喜んだように先端まで真っ直ぐ舐める。
「っう…ああ…」
溶けてしまいそうなほど甘ったるい声を漏らしながら彼は自ら乳首を強めに押しつぶす。
彼の性器がぴくぴくと小さく反応するのが舌から直に伝わってきた。
唇でそれを食んでからゆっくりと口に押し込む。吸い上げながら舌で彼のものをしごく。根元には左手を添えて上へと親指でなぞり、舌で先端まで撫でるのを繰り返し、徐々に速度を上げていく。
慣れない動作で吸い上げる顎が疲れてくると、唇の隙間から空気が入り込んで、ジュボジュボとAVみたいな音が出てしまってなんだか俺も恥ずかしい。
「あっ…んっ…はぁ…あんっ…」
まるで音に反応するかのように甘い声を大きくさせて、気持ちよさのあまり彼の腰が逃げていく。
でも、こんなに気持ちよさそうにしている彼を見ていると興奮してしまうもので、もっと良くしてあげたくなって、口で追いかけて夢中でしゃぶった。
根元まで口に咥えこんで喉も使ってしごく。
おかしいな、俺って一生男のやつ口に入れる日なんかくると思ってなかったし、なんならこんなに興奮するって知らなかった。
だって、シャムもう女の子みたいなもんじゃない?女の子のしゃぶってるような…いや、女の子には普通付いてねえよな。あれ?なんかもうよくわかんなくなってきた。
「はっ…ああっ…も、だめぇっ…」
自分の胸を引っ張りながらビクビクする彼のものが口の中で脈動するのが分かる。
彼の甘い声をずっと聞いていた俺のはズボンの下でパンパンに膨れ上がっている。我慢が辛くなってきて、彼のを口でしごきながら自分のズボンのチャックを開けてしまう。
「…はっ、ごめ…ちょっと…抜かせて…」
耐えかねて彼のものから口を離して尋ねると彼が泣きそうな顔で俺を見る。
「ゃあっ…やめちゃ…やっ…」
俺の左手を捕まえて潤んだ眼で強請るシャムに俺は下唇を噛んで首を横に振る。
「ごめ…ほんと、そろそろキツい…」
彼の手を優しく振りほどくと切なそうな顔で涙をこぼすが、ダメなもんはダメだ。俺の頭がおかしくなってしまう。
彼のものを再び口に入れて、口でしごきながら自分の膨張しきったやつを左手で夢中でしごく。
「はっ…!あっ…!!にゃ…めっ…!!!」
仰向けのままギュッと足を縮こませて「ハッ…ハッ…」と彼が短く息を吸う。
「んぐっ…!」
急に口の中に注がれた今まで味わったことのない味に驚いて思わず変な声が喉から出る。
あ、これどうしよう。知ってる、いつも自分が出してるやつだ。本当はすぐにでも吐き出したいが、これはシャムが出したやつだ。ダラダラと俺が吐き出すのを見せたら可哀想じゃないだろうか。
できるだけ味が分からないように舌を避けながら、口にその体液を滞留させたままチラとシャムを見る。
「ううっ…ごめん…にゃ…しゃ…」
口に出してしまったことを申し訳なく思っているようで、彼はぐったりと両足を胸に引き寄せたような格好のままスンスンと小さく泣き出してしまった。
ああ、これ吐き出したら可哀想なやつだ。そう思った拍子にうっかり口の中身を飲み込んだ。
あれ?案外飲めるじゃん。
「…っ、す、スッキリした…?」
まだ中途半端になったままの自分のやつをどうしたらいいか分からずに手を添えたまま尋ねる。かなり間抜けな図になっている気もするが、シャムが落ち着いたんなら1人で落ち着くべきは俺の方だろう。
「はっ…も…もっ…とぉ…ごめ…なさ…」
彼は恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないといった様子で両腕で顔を覆いながら呟いた。
それがまたどうにも可愛くて興奮してしまう。どうせ俺も中途半端で辛いし、彼が満足するまで付き合おう。
「大丈夫、全然…」
もう一度、彼の股の間に顔を埋める。再び舌でそれを撫でるとピクピクと顔に擦り付けてくるように跳ねた。
ふと、視線を下に向けると彼の穴が目に入る。
性器を触る度にひくひくと小さく動く彼の穴がなまめかしく俺を誘惑する。
彼のももの裏を左手の指先でそっと撫でる。第一関節分しか触れないそれに彼はビクッと体を跳ねさせる。
「…ねえ、お尻は触ったらダメかな…」
彼の性器に唇を触れさせながら尋ねる。唾液と精液にまみれたそれは、俺の息が触れると気持ちいいのかビクビクと反応する。
「おし…り…?どし…て…」
「ごめん、俺が触りたいだけ…ダメ?」
不安げに身を縮ませたシャムを見ながら、彼の太ももから指先を滑らせて尻の下へと潜り込ませる。
彼の性器を唇で食んで、口の中へゆっくりと押し込む。口でそれをしごきながら、彼の穴を指先でなぞってつつく。穴の中へ指を優しく押し込むと、第一関節だけ中に侵入させる。
「っ…ひゃ…な…にっ…こえ…」
困惑と不安の入混ざったような声で鳴く彼の中は水気を含んだような小さな音がなる。
そのまま指を優しく押し込む。ゆっくり優しく中をさぐると、彼はふうふうと苦しそうに呼吸を繰り返す。
「痛くない…?」
「…いたく…な…けど…へんっ…それ…」
そう言いながらも、自身の胸を弄るのが止められないのか指先で押しつぶすようにこねながら控えめに腰を揺らした。
「良かった…」
自分のが辛いを通り越して痛い。痛みを発しているそれを先になんとかした方がいいと思いながら、俺の頭の隅で本当はしてはいけない期待が膨らみ始めていた。
彼の性器を舐めるのをやめ、右肩で彼の足を押し広げ、左手で反対側の足を固定する。まだ何も入れたことがないはずの綺麗な桜色をした彼の小さい穴に唇を近づける。
口を押し当て、舌でそれをなぞる。まだ硬いその入口を丁寧に舐め、ふやけていくそれの中に地道に舌を侵入させる。
「ああっ…しょ…しょな…とこ…だめ…」
丁寧に舌を這わせるとそれに反応するように喘ぎ声の混ざった息を吐く彼は、ダメと言いつつそれらしい抵抗をしてこない。
中からじわじわと体液が溢れ出してくるそれを吸い上げると、ジュルジュルと音がする。
「ゃ…すっちゃ…だめぇ…」
「あ、ごめ…」
口を離して謝るが、もう一度口をつけてほぐすと、どうしてもあふれてくるのでやっぱり吸い上げてしまう。吸うと音が鳴るのをどうにかする技術を俺は持ち合わせていなくて、その度彼が顔を真っ赤にさせて泣いているような声で「ゃ…」と首を横に振る。
「ごめん下手で…」
上手く出来なくて俺まで真っ赤になってしまうが、練習させてもらう気で続行する。
ほぐれてきたそれに何とか舌を奥まで差し込む。中を舐めるとそれはとても熱くて、俺の舌をぎゅうぎゅうと締めてきた。
「はっ…も…おしり…へん…」
いつの間に脱げてしまった彼のジャケットをシーツのように握りしがみついて、首を横に振るものの彼は乳首も性器もピンと固くさせている。ジャケットにしがみついていない手を使って乳首や性器を代わる代わる弄るのが止められない様子だ。
そんな様子で首を横に振られても、ちょっとブレーキがかからない。だって可愛いんだもん。
舌を入れたまま、左手の指を隙間から侵入させる。滑りがよくなったそれはスルスルと中に入り込む。奥をさぐるように撫で回すと、段差があるのがなんとなく分かった。
試しにそこを優しくつつくと彼が1層高い声で鳴いて、首を横に振る。
「それ…やめ…」
そうは言われてもどう見ても気持ちよさそうな反応は、俺の思考に残る理性を少しずつ失わせる。
もうこの先が見たくて見たくて、行為を続行してしまう。先ほどより強めに押しては力を抜き、また押してを繰り返す。
舌を抜き去り、指を増やす。出し入れを繰り返すとクチュクチュ音が鳴って、それは他でもない俺自身を勝手に興奮させてしまい、身体がどんどんあつくなる。
「はっ…だめ…それだめっ…やぁっ!」
ジャケットにしがみついたまま背中を反らせて腰をビクビクと浮かせる様子はAV女優顔負けのエロさがある。
彼の性器からは透明な液体が染み出してトロトロと下に伝って線を残していく。
指を三本に増やすが、痛がる様子もなくスルスル入る。頭が興奮で真っ白になり、無心で中を掻き乱すように指を出し入れする。酷い水音を立てながら激しく弄ると、彼は自分の意思と反するように与えられる快感に言葉にならない声で喚くように泣きだした。
「んああ…っあっ…ひぁ…むぃにゃ…のっ…らみぇっ!」
彼の普段のふわふわした話し方から想像もつかないような乱れた声に、俺の僅かに残った理性が完全に吹き飛ぶ。
指を抜いて彼の上に覆い被さる。その入口に痛いくらい膨れた自分のものを宛てがい、押し付ける。
「んんっ…せま…」
ぐぐっと中へ押し込むと、狭い道が押し広がる感覚がした。中がとろけそうに熱くて、ぎゅうぎゅうと追い出そうとするように締め上げてくるそれは未知の快感すぎて頭が痺れる。
「あっ…ひ…熱ぃ…おにゃかぁ…あちゅいぃ…!」
泣いてるのか喜んでるのかもはや分からない彼はボロボロと涙を流しながら、自分の指をしゃぶっていた。その焦点が合わない瞳が、経験したこともないような興奮を呼び込む。
「はっ…はぁっ…ごめ…きもちい…っ」
入れてしまった罪悪感はありながら、それを遥かに凌駕する快感と興奮で、押し返してくる彼の体内の奥へとグリグリと中へ押し入れてしまう。1番奥までたどり着き、引き抜くと中が俺を引き止めるように吸い付いて、再度押し込むと潰されそうなくらい締め上げてきた。
「ああっ、やばい、マジやばい…っ」
夢中で腰を振って彼の中を突き上げる。肩に引っ掛けたシャムの足がもがくようにバタつく。
「ふぁ…ああっ…やあっ…」
まるで抵抗するかのように首を横に振るのに、快感を求めるように彼の手は乳首をこね回す。
長い間いじり回されたそれは赤くなって最初に見た時より更に大きく膨れてしまったように見える。
まるで誘うように膨らんだその胸に招かれるように口をつける。彼が弄る胸の反対側を口に含んで吸い上げながら、がむしゃらに腰を打ち付けると中が激しく痙攣する。
「あっ、あっ、出る…っ!無理、出る…っ!」
中の痙攣が運ぶ快感が強すぎて全身に鳥肌が立つ。情けない声を漏らしながらも腰が止まらない。
「やらぁ…とめ…とめちゃ…イキたぃ…」
シャムが俺の口に胸を押し当てるようにしがみついてくる。
「はっ、はっ、ご、ごめ…っ」
呼吸で何とか我慢して彼の胸を吸う。すると少し収まった彼の中の痙攣が再び巻き起こる。
もう我慢なんて出来るわけもなく、彼の胸を唇で挟んで引っ張りながら1番奥に力いっぱい突き上げる。
「ふぁあっ…イっ…」
奥に届いた俺のものをシャムはぎゅうっと締め付けながら、勢いよく射精した。
「あ"ぅ"っ…」
そんな締めつけに耐えられるわけがなく、あえなく搾り取られた俺は彼の中に吐き出してしまう。彼の上に重なるように身体を預け、肩で息をする。呼吸を整えると、興奮で真っ白になっていた思考に理性がじわじわと帰ってくる。
ちょっと待てよ…今、中出ししたくね…?
バッと上体を起こして状況確認をする。俺の下で焦点の合わない溶けたような目を細めて天井を見つめるシャム、彼の下半身に繋がったままの俺の下半身、服についた白濁液。どっからどう見ても有罪判決確定だった。
「ごっ、ごごごごめん!!大丈夫!?うわ、俺なんでこんな…」
彼の中からゆっくりと自分のものを引き抜き、ズボンにしまう。興奮で熱くなっていた俺の頭が一気に寒いくらい冷える。
彼は終始やめてくれと泣いていたのに、俺は勝手に入れてしまって出すまで続行した。どっからどう見ても強姦。地上なら犯罪者だ。
シャムを抱き起こして彼の頬を撫でる。
「えり…ぉ…く…」
とろっとろの表情に乱れた髪の毛でへにゃっと微笑む彼は、まるで恋人と楽しんだみたいな雰囲気で、今度は胸が締め付けられるような痛みが走る。彼にはあちこち締め付けられすぎな気がする。
「ごめん、勝手に…。嫌だったろ?怒っていいよ…?」
不安な気持ち半分、許されないかなって甘い考えが半分。恐る恐る尋ねると、彼は俺の胸元に顔を擦り寄せ目を閉じた。
「こんなの…初め…て…凄いね…」
笑顔を浮かべたまま彼はその言葉を最後にスヤスヤと寝息を立て始める。
えっ…やっぱり許された?許されてしまった?
浮つく気持ちを抑えて、俺はキョロキョロと周囲を見回す。とりあえず彼が着ていた服を裸の彼の身体に乗せる。俺の腕じゃ彼を着替えさせてあげられないが、とりあえず動かせるようになったなら早々に退散だ。
両腕で彼を抱き抱え、カーテンから顔だけ覗かせて廊下の様子を伺う。廊下には2人の男が巡回しているようで、今はまだこちらを見ていない。
隙をついて廊下から階段へ抜ける。幸い、足音を立てないのは比較的得意だ。階段を降りると、1番人間が多いフロアにたどり着く。見張りがあるまま正面から抜けるだなんて、そんなことは馬鹿でもしないだろう。
ふと、壇上を見ると踊り子のうちの1人が死んでしまったようでブーイングが飛んでいる。それに対応してるのは幸いなことに新入り狩りのアイツだ。
シャムを抱えたままフロアを抜ける。アイツが気づく前に出られれば逃げ切れる。
「おい、それ踊り子か?独り占めとはいい度胸だな」
出口を前に肩を掴まれる。俺声を掛けてきた男に振り返り、睨みつける。
「これは俺の連れだ」
「ヤりました~って全身から出てる。そんなのが連れなわけねえだろ!」
徐々に声を大きくする彼に、俺は周囲を見回す。まだ新入り狩りはこちらに気付いていない。
シャムを抱いたまま、右腕の切っ先を男の腹に突きつける。男はその感触で初めて俺の腕に気付いたのか、青ざめて後ずさる。
「ひっ…もしかして…リーサル…」
「分かったらどっか行け」
眉をしかめて顎で会場を指すと、彼はこくこくと頷いて引き下がった。
何とか新入り狩りもこちらに気付かなかったようで、無事に会場を抜ける。しかし、新入り狩りを騙すということは、そのバックについた勢力も敵に回るということだ。
恐らく、あの新入り狩りは俺が逃げることを前提に今回のことを仕組んでるはずだ。これは数日以内にでも引っ越さないといけないだろう。
シャムを抱き抱えたまま家へと走る。その日、シャムの意識は戻らなかったので、家の狭いベッドで全裸の彼と一緒に寝ることになった。
朝、いつも通りの時間に目が覚める。シャワーを浴びて用を足してダイニングに戻ると、いつの間に目覚めたのかシャムが服を着て窓の外を見ていた。
「あっ、お、おはよ…」
果たして俺から声をかけていいものなのか分からないが、無視も感じ悪いし嫌なので、おずおずと声をかける。
「あっ…」
俺の声に振り返ったシャムは丸い瞳でじっと俺を見るが、それだけでは彼が何を考えているのかは判断できない。
「えっと…おはよう」
困ったように眉を八の字にして彼は微笑みかける。なんだか恥ずかしそうに視線を泳がせながらもじもじと手を弄りつつ彼は呟く。
「き、昨日…ごめんね…助けに来てくれたのに…あんなこと…」
「え!?いや!俺こそなんて言うか…後半は本当に申し訳ないというかなんと言うか…」
正直めちゃくちゃ楽しんだ。もう忘れられないし、あの思い出をオカズに100回は抜けるが、シャムはそうじゃないだろう。
彼は俺が俯いて手持ち無沙汰に頭のてっぺんの髪をいじっているのをじーっと見つめると、ふふっと笑い声を漏らして目を細めた。
「…どうだった?」
「はえっ!?」
シャムは頬を赤く染めて恥ずかしそうに下を向く。
「えっと…なんて言うか…僕1人で楽しんじゃってたんじゃないかって思ってて…だからその…」
「あっ、そ、それはその…」
モジモジしているシャムが可愛い。彼の様子に俺は笑みを作りながら目を泳がす。髪を弄る手が無意味に緊張で早くなる。
「きっ、気持ちよくて…大分たのしかった…です!楽しみました!すみません!シャムが可愛かったです!」
開き直って声を大にして謝罪する。頭を下げて謝ると、シャムも楽しそうな笑みを浮かべたまま真似して頭を下げる。
「助けに来てくれてありがとう。なのに、恥ずかしいところ沢山見せちゃってごめんね」
彼は少し顔を上げて悪戯っぽく目を細める。
「お互い様…ね?」
俺は彼の言葉に顔をあげる。これは女神だ。強姦を「お互い様」で許してくれるのは女神以外何でもない。
「ありがとう…!これからも、仲良くしてほしい…」
彼の手を握って安堵の笑みを浮かべる。安心で胸がスッと晴れた。
「…あ!そうそう、今日は朝飯食ったら引越しの準備をしようと思うんだ」
安心した瞬間に思い出した今日のスケジュールを発表する。
彼を朝食に誘おうと思って手を繋いだまま食卓へと招く。
俺に手を引かれるままシャムはテーブルまで歩いてくると、椅子を引いてそこに腰を下ろした。
「…引越し?」
彼がテーブルにつくのを確認し、俺は食品棚から2人分の今日の朝食を選び、それを持ってテーブルに座る。
「はい、これシャムの」
彼の目の前に缶詰を差し出す。
シャムは差し出された缶詰と昨日置いていった缶詰を交互に見てから、昨日置いていった方の缶詰を指さした。
「自分のあるよ…?」
「いいよ、とっとけ。今日はあげる」
俺も彼の正面に座って缶詰を開ける。 缶詰を開くと、肉の良い香りがした。
無償に施すなんて、どんなに好きな相手だろうとやるべきではないのだが、俺的には強姦を許されたのは大きな借りだ。彼はそう思っていないだろうが、それを食料で地道に埋めさせて貰いたい。
何よりやっぱり気持ちよかったし、楽しかったし。やっぱりお礼はしたいよね。
「そうなの…?ふふっ、じゃあありがたく貰っちゃうね」
彼は不思議そうに首を傾げたが、柔らかく笑うと受け取った缶詰の蓋を開けた。
「でも、どうして引っ越すの?ここもいい所だと思うんだけど」
鯖の味噌煮をつつきながら彼が尋ねる。
「昨日の一件で新入り狩りが悪さしそうなんだ。新入り狩りを殺したり、大怪我をさせるのはバックについている組織の関係でリスキーだ。だから、争いになる前に身を隠そうと思って」
フォークで缶詰の中身をほじる。フォークに絡ませたそれを口に運んで食べるのを彼はじっと見つめている。
『新入り狩り』たちはこの街の最大勢力である『バビロン』の配下にあたる。バビロンはこの街を牛耳ってるギャングのようなもので、暴力にものを言わせて中央部を支配している。
性的なエンターテインメントを中心に提供し、それを元手に物資を巻き上げている。道端に縛り付けられた肉便器たちもバビロンの出し物で、何も知らずに使うと後で対価をせびられるので大変な目に遭う。
バビロンの言うことはこの街の絶対で、逆らえば多勢に無勢で死ぬまで搾取される。この街はそういう仕組みで成り立っていた。
「そ、そっか…ごめんね僕のせいで…」
責任を感じているようで、彼は申し訳なさそうにしゅんと肩を竦めてしまう。俺はテーブルに頬杖をついて、彼の顔を覗き込んで笑った。
「代わりに3人救ったんだろ?お前も無事だから、もうそれでいいよ」
「…みんなエリオくんのお陰だけどね。ありがとう」
少し肩の荷が降りたように微笑んだ彼は、手元の缶詰から最後の1切れを口に運ぶ。
あの3人はどうせ助ける価値もないようなゴミクズだっただろうが、そんな彼を見ていると気分が良くなる俺もチョロい。缶詰を完食し、ゴミ箱に放る。フォークを洗って布で拭いた。
「引越しするから荷物まとめつつ、次の家探さないといけないんだ。良かったら俺が家探してる間に荷物まとめて貰えないかな?」
テーブルから立ち上がりながら彼に微笑みかけると、シャムはなぜだか嬉しそうに自分の胸をドンと叩いた。
「まかせて!片付けは…あんま得意じゃないけど…お手伝いなら!」
笑うシャムはいつでも可愛いが、今日も可愛い。
俺は彼の言葉を聞きながら、キッチンの下にある棚から袋やダンボールを引っ張り出す。ダンボールをダイニングに運んで組み立て、それを食品棚の傍に置いた。
「じゃあ、任せた。これに食品詰めて欲しいんだ。一応、この街では資産だから大事にお願い」
「うん、任せて!大事にしまうね!」
彼は棚にしまわれた大量の缶や瓶をひとつひとつ手に取って丁寧に箱へ移していく。
「あ、これお手伝いの報酬ね。良かったら貯蓄するなり、食べるなりして」
棚から缶詰を1つ取り出して、彼が自分の分としてテーブルに避けてあった食料に詰んだ。
「え、いいよそんな!だって僕のせいで引っ越すようなものなのに…受け取れないよ!」
彼は慌てて俺が詰んだ缶詰を取って俺に返そうと後を追ってくる。
「いーから!お前も多少持っとかないと、俺がいない時になんかあったら大変だろ?多少あれば命乞いする機会くらい貰えるだろうし、報酬貰う文化に慣れといた方がいい」
追いかけて来た彼の身体を180度回転させて食品棚へと優しく追い返す。
シャムは少し不満げに眉を顰めてから観念したように眉尻を下げた。
「もー…エリオくんが甘やかすから僕はいつまで経ってもここの文化に馴染めないかもよ?…でもありがとう。そういうことなら受け取らせて貰うね」
「そうしてくれ」
彼と笑いあってから俺は革ジャケットを羽織る。昨日のコートは昨日のお楽しみの跡がいっぱいついてしまってて、絶賛洗濯&乾燥中だ。
「誰か来ても開けなくていいし、寧ろ常に留守でいてくれ。静かにいないふり!おっけー?」
玄関で靴を履き、つま先を床にとんとんと叩きつける。
「そうなの?それで大丈夫?」
そう言いながら彼は見送ってくれるのか玄関まで着いてきた。居留守に罪悪感を抱けるくらいまだ彼が純真なままなのが嬉しくもあり、不安だ。
「大丈夫!シャムはめちゃくちゃ可愛いから、見つかったら危ないの!胸に刻んで!」
「エリオくんは僕のことちょっと過大評価し過ぎだと思うんだけどな…?気持ちはとっても嬉しいけどね」
はにかんだように微笑む彼の胸を指先でとんとんとつついてニヤりと笑う。玄関の戸を開けて、俺は外に出た。
「ノックはゆっくり3回する。それを3セットやったら鍵開けて。内鍵は5つ付けてあるから、絶対他の時は開けんなよ」
「わかった。ゆっくり3回を3セットね」
シャムはおっとりとした顔をキリッと引き締めてうんうんと頷いた。
「うん、じゃあまた後で」
彼に手を振って俺は家を出る。
「行ってらっしゃい」
彼の声に振り返ると、玄関から顔を覗かせたシャムが可愛らしい笑顔で手を振っていた。俺は立ち止まってそれをポカンと見つめる。
うわ~、なんか嫁にもらったみてえ~。全然付き合ってないし、相手は俺に全く気なんてないだろうけどキスしてえ~。
思いの丈を全てを全て飲み込んで手を振り返す。
「いってきます!」
アパートの階段をかけ下りる俺の足取りは軽い。
1人で長いこと暮らしていて、こうやって誰かに見送られるなんて日が来るとは思わなかった。大分ひとりぼっちも慣れたものだと思ったが、やっぱり心が満たされているのは間違いなかった。
シャムの純真さは擦れた生活ばかり送っていた俺にとって、オアシスであり救いだった。誰も信じちゃいけないのだと、荒みきっていたのに、そんな世界とまるで無縁な性格の彼を見ているとうんと昔に戻った気持ちになる。
こんな街にいるべき人じゃないんだろうなとは思う。だけど、俺に出来ることは彼をここで守ることくらいで、他に出来ることは何も無い。
そもそも、大量殺人鬼としてこの街に落とされた俺はラプラス認定の危険人物だ。俺がこの街を出られる日は来ない。
シャムに留守番を頼んで新しい根城を求めて郊外を練り歩く。中心部はバビロンに属するチームが多く住んでいるから、絶対に近寄りたくない。彼らは俺にツケを払わせるなんて名目で絡んでくるだろうし、シャムを狙っているのは考えなくても分かる。
安全で手近な場所を探したが、今日はイマイチ良い場所が見つからないまま日が落ちてしまった。
真っ暗な帰り道、とぼとぼと歩いて家路に着く。昨日怪我した足が痛むし、ちょっと歩き疲れた。
アパートの部屋の前に立ち、トントントンとゆっくりノックする。間を開けてそれを更に2回繰り返すと、ガチャガチャと内鍵を開ける音の後玄関扉が開かれてシャムの嬉しそうな笑顔が視界に飛び込んだ。
「おかえりなさい」
はあ~キスしてえ~。頭の中でそんな煩悩を浮かべながら俺は笑う。
「ただいま。何事もなく?」
「うん!」
彼に招かれるままに部屋に上がり、靴を脱ぐ。
ジャケットを脱いで椅子に引っ掛けると、そのまま食品棚へと向かった。
棚は3分の2ほど片付いており、まだ仕舞われていない部分から缶詰をチョイスする。
「すごい片付いてんじゃん!今日の晩飯何にしよっか?頑張ったし、なんか好きな物…」
話しながらシャムに振り返ると、彼は玄関扉を開いたまま少し身を乗り出して何かを見ているようだった。
「なしたの?」
シャムを後ろから覗き込む。彼の視線の先には、少し前からこの辺りに住み着いている物乞いの男がシャムと見つめ合うように座り込んでいた。
「あっ、お前…また来やがったのか」
男に睨みをきかせると、彼は怯えたように身をすくませる。
「す、すみません…!食料が欲しくて…」
「何度来てもお前にやる食料はない。早く立ち去れ」
右手の銃口を彼の頭に向けると、怯えたように彼は頭を覆って蹲る。
「まってエリオくん!この人困ってるの、少しだけ分けてあげようよ?」
シャムは俺と泥棒男の間に立つと悲しそうな顔で俺の右手を下ろすように手を添えた。
「でも…!コイツは自分でゴミ拾いすらしないで人にせびってばかりの怠け者だぞ!」
「お腹が空いてゴミを拾いに行くことも出来ないんだって、だから少しだけ。そしたら今度は自分で頑張れるって…ね?」
シャムが男に微笑みかけると、男はブンブンとすごい勢いで首を縦に振る。
「あげるのは僕の持ってる分からにするから…それでもダメ…?」
じっと潤んだ瞳で俺の目を見つめてくる彼に俺は下唇を噛む。
お腹がいっぱいになったら頑張るだなんて絶対嘘だ。コイツが頑張る日なんかない。頑張らないから毎日物乞いして回ってるんだ。
「…俺は…お前が騙されるためにあげたわけじゃ…」
そこまで言うと、シャムは泣きそうな顔をしだす。そんな顔をされると困る。泣きたいのはこっちだ。
「…金輪際、二度とコイツに渡さないなら…」
「…それなら、いい?」
確認するように俺の顔を覗き込むシャムに俺は口を尖らせて目をそらす。
「絶対だぞ」
「ありがとう!やっぱりエリオくんは優しい。待っててね、今食べるもの持ってくるから!」
嬉しそうにシャムは男に声をかけると、自分の食料をしまったダンボールに缶詰を取りにその場を離れる。
その間、俺は男に殺意の念を目線でひたすら送り続けた。
「お待たせ。これで明日は頑張れる?」
シャムは男に缶詰を3つ差し出す。
魚2つに貴重なフルーツ缶だ。俺はシャムに食べて欲しくて渡したのに、なんでそんなフルーツ缶まで渡してしまうんだ。
湧き上がる憎悪を全身から放ちながら男を睨むが、やはり図太いらしく男は俺に見向きもしない。いつか殺してやりたい。
「い、いいんですか…?」
「うん、困った時はお互い様だから。明日から頑張ろうね!」
あの天使のような彼の笑みを物乞い男に向けると、男は目を潤ませて何度も頷いた。
「ありがとうございます…ありがとうございます…」
立ち上がり、彼はその缶詰を手にアパートの階段を駆け下りていく。少し遠くで彼は振り返ると、またシャムに礼をして去っていった。
「あんな走れるもん。絶対動けないとか嘘だもん」
腕を組んだまま俺は口を尖らせて俺は文句を垂れる。
「でもほら…あのゴミ山とっても歩くの大変だし、それにあの人すごく痩せてたでしょ?」
シャムは俺の手を引いて部屋の中へと戻ってきた。彼に促されるままに部屋に戻り、玄関の内鍵を厳重に締めた。
「シャムは優しすぎ。あんな無償に施したら絶対食い物にされる。お前の食料ほとんどなくなっちゃったじゃん」
「エリオくん程じゃないよ?僕ならあそこまで拾いにいけるからまだまだ心配ないから大丈夫!」
シャムが1人でゴミ拾いに行くなんて、攫われるか犯されるか、粗大ゴミに潰されて死ぬかの3択しか浮かばない。
俺はため息を吐いて首を横に振る。
「ダメダメ!外出は絶対に俺同伴!お外に1人で行かせません!」
「もー過保護だなぁ、そんなに心配しなくても大丈夫なのに」
相変わらず柔らかい笑みを絶やさない彼は俺の心配を他所にくすくすと小さく笑った。
その後は2人で夕食を取った。飯はもちろん俺のをあげた。シャムの資産なんかほとんどないのに、放っておけるわけがない。
シャムに先にシャワーを浴びて、あとから俺もシャワーを浴びる。ベッドに座って上半身裸のままでいつものように頭を拭いていたら、後ろからタオルを取られて振り返る。
「片手じゃ拭きづらいでしょ?やろうか?」
タオルを両手で持ったシャムは俺の答えを待たずに、それを再び頭にかぶせてわしゃわしゃと優しい手つきで拭き始めた。
あ~なんだこれ、至福じゃない?目を細めて彼に身を委ねてしまう。
さっきまで物乞いの一件が忘れられなくてイライラしてたのが、どうでもよくなる。今めちゃくちゃ幸せだから、なんかもういいかなって。
彼が来てからまだ3日だが、俺は完全に彼が好きだった。紛れもなく好きだし、多分初恋だ。今更こんな場所に来て恋する機会なんてあるもんだなと逆に感心する。
「…シャム、誰にでも優しすぎない?」
タオルで頭を拭かれながら、ちらとシャムに振り返る。
「え、そうかな?そんな事ないと思うけど…それを言うならエリオくんだって優しすぎになっちゃうよ?」
冗談っぽく笑う彼は相変わらず最高に可愛い。
「俺が優しいのは…シャムにだけだよ」
「そうなの?ふふっ、ありがとね」
もごもごと口ごもる俺にシャムは意に介する様子もなく、優しく右から左へ受け流す。まるで近所の子供に告白されたお姉さんのようだ。悔しい。
「ねえ、俺がシャムのこと好きで、今すぐキスしないと死ぬってなったらキスしてくれんの?」
もうヤケになってめちゃくちゃなことを言ってみる。
「死んじゃうの?それならキスしちゃうかなぁ…エリオくんに死なれちゃったら悲しいからね」
髪の乾き具合を確かめるように時々髪に触れながら、シャムはふわふわとした可愛らしい声で笑って答えた。
「じゃあ、キスしないと多分俺死ぬよ。シャムのこと好きだもん」
冗談交じりにストレートに伝える。まあ、この様子じゃ俺のことなんかまるで意識してないんだろうし、この先も多分ないだろ。俺の初恋終了。お疲れ様でした、はい解散。
「…本当に僕でいいの?命にかかわるそんなに大事なキスなのに」
彼は俺の頭にタオルをかけたまま覗き込むように顔を寄せてきた。丸い瞳と優しげに微笑んだ口元で、彼は俺の答えを待っている。
「えっ?いや、好きなのはシャム以外いないし…」
てっきり「大袈裟だなあアハハ」みたいなノリで流されて終了だと思っていたので、面白い返しが咄嗟に出てこない。尻すぼみになっていく言葉でぼそぼそ思ったことをそのまま伝えた。
すると彼は目を細めて、静かに俺に顔を寄せてくる。
突然のことで脳の処理が追いつかず、目を開いたまま彼の行動をガン見する。
彼は俺の額に唇を寄せてきて、頭にかかっていたタオルの上から額にキスを落とされた。
「まだ足りない?」
ニコッと悪戯っぽく笑った彼に俺は下唇をを噛み締めて1度上を向いて深呼吸する。
危ない、今また強姦一直線だった。からかわれてるだけならマジで嫌われる。
気持ちを落ち着けて、その場に正座してシャムに向き直る。
「く…口じゃないと…死ぬので、唇にしてもいいでしょうか!」
どこを見たらいいか分からず目線を泳がせていたが、途中で腹をくくって彼の目を見つめる。
顔に熱が集まってて、真っ赤になってるのが自分でも分かるから恥ずかしい。
「…うん、いいよ」
そう答えた彼は先程の悪戯っぽい笑みから打って変わった、照れたような赤い顔で俺から少し視線を逸らす。
その様子に心臓がバクバクする。会ってまだ3日で、成り行きで寝てしまって、そんで好きですって冷静に考えたら酷い流れだが、本当にいいんだろうか。
俺は彼の顔に静かに顔を寄せる。顔を傾けて薄く目を閉じるも、ドッキリでしたなんてオチがあるのではと警戒して止める。
シャムは俺をじっと見つめていた瞳にゆっくりと瞼を下ろした。
ああ、これ本当にしていいんだ。そんな気持ちに背中を押されて彼の唇に自分の口を押し付ける。
触れるだけのキスをして、離れようとしたけど惜しくなってまた重ねる。
彼の下唇を俺の唇で挟んで食べるように味わう。そのまま彼の腰に腕を回して抱き寄せ、彼の唇の隙間から舌を差し込んだ。
「んぅ…!?」
彼の驚いたような小さな声が耳をくすぐる。
抱き寄せられる腰に合わせて、彼の手が肩に添えられていた。
戸惑うような唇は俺を拒まず、俺に判断を委ねるかのように唇の力だけがスっと消えた。
そのまま彼の口の中へ舌を入れ、彼の歯を舐め、舌を撫でる。
彼の舌は俺に答えるように絡みついて、甘くふわふわとした快感を俺に運んだ。
唾液を絡ませ合って、我慢していた分を取り戻すようにひたすら彼の唇を貪った。何度も何度も長いキスをしては、呼吸を挟んでまた唇を塞ぐ。長いこと続けているうちに興奮で身体が熱くなり、ズボンの下で自分のものが酷く膨張し始めていた。
「…っ、シャム…」
口を離して彼の顔を見つめる。
シャムの赤くなった頬はほんのり汗ばみ、半開きの唇からは熱い吐息をこぼす。
潤んだ瞳を覗き込むと、赤くなった顔で真っ直ぐ彼を見つめる俺の顔が映りこんでいた。
もう一度、彼の唇に触れるだけのキスをする。そのまま額に落とし、頬へ、首へと唇を下へとずらす。鎖骨を舐めて吸い、開いた服の胸元へスライドさせ、昨日の余韻でかまだ少し膨らみが残る彼の胸へと落とした。
乳首からそう遠くない位置にキスをして、舌を這わせた。
「エリオくん…僕、その気になっちゃう」
困ったように小さく笑いながら、彼は身をよじらせて俺を胸から遠ざける。
「…その気にさせたいって言ったら怒る?」
恐る恐る彼の表情を伺いながら尋ねる。左手で彼の胸をふにふにと優しく手のひらで揉む。手に触覚がなくても、彼の胸が女の子のように柔らかく膨らんでいるのがなんとなく分かった。
「怒らないって本当はわかってるんじゃないの?」
彼は俺の手を引いてゆっくりベッドへ倒れ込む。
少し恥ずかしそうに、なのにどこか期待したような顔で俺を見上げる彼のジャケットのファスナーを一番下まで下ろした。
ぷっくりと濃い桃色の先端は触らなくてもわかるくらいに固く上を向いて、それを中心に柔らかそうな白い肌はほんのりと膨らみを帯びている。
目の前の彼はやっぱり女の子なんじゃないかという錯覚を頭が起こし始めるが、それよりも早く彼のその胸に触れたくて、彼に被さって片方の胸を口に付ける。舌で絡めてこねなが、左手の指や手のひらで反対側も弄る。
「んっ…はあっ…エリオくん…」
ぴくぴくと小さな反応を返しながら彼は吐息に混ざった細い声をこぼす。
「名前…呼び捨てがいい」
彼の胸を指で摘んで優しく引っ張る。彼の口の端に何度もキスを落とし、俺は小さく笑う。
「なんか…くん付けだと俺が幼稚園児に戻った気持ちになるから…恥ずかしい」
彼の目を覗き込んではにかむと、潤んだ瞳を手で隠しながら唇だけを覗かせた。
「っ…り…エリ…オっ…」
微かに届いた彼の声が恥じらいを滲ませてて可愛い。
「もっと呼んで」
可愛すぎて更に要求してしまう。彼の胸に口を戻し、手を休めずに吸い上げる。
股間が張って辛くなり、思わず腰が動く。それが彼の膨らんだ局部に擦られて身体が痺れるように気持ちいい。
「ふぁ…あっ…エリオっ…舌…好き…」
胸に埋めた俺の顔を押し付けるように抱き込んで、俺と擦り合うように彼の腰は微かに浮き上がる。
彼に引き寄せられるままに胸に軽く歯を立てて口の中で転がす。コリコリと固くなった先端を舌で押し込むと、身をよじらせて甘い声を漏らした。
腰を落として彼の股にするように動かす。布越しにもどかしく擦り合うそれは尚更興奮を誘った。
「シャムかわいい…」
興奮で徐々に白くなる思考で呟き、彼の胸に息がかかる位置で囁いた。彼のズボンに手をかけて、下に引っ張ると、シャムは脱ぐのを手伝うように腰を浮かせてくれた。
彼を脱がせて俺もファスナーのないズボンを脱ぎ去る。
「…四つん這いになってもらってもいい?」
「これ…お尻突き出すみたいで…ちょっと恥ずかしいな…」
恥じらいながら向けられた彼の尻に指を這わせ、唇を寄せた。穴の表面を丁寧に舐め、ふやけて来たそこに優しく指を入れる。まだ受け入れることに慣れていないそれの入口に指で隙間を開け、舌をねじ込んだ。
「はぁっ…うう…くすぐったい…」
相変わらず舐めて柔らかくなってくると、中から彼の体液が漏れだし、それを吸うと下品な音がしてしまう。
音が嫌だと言っていたシャムは首だけでこちらを振り返って、困ったような顔で潤んだ目を向けてくる。音を立てるのはやめた方がいいんだろうと思いつつ、そんな顔をされると興奮してやめたくなくなってしまう。
舌で解す間に彼の前を左手でもどかしく撫でる。もどかしくしたいつもりはないのだが、この体勢だと触りにくかった。反省。
「それぇ…ゃん…」
ぴくぴくと体を震わせて、もどかしくされるのが辛いのか俺の手から逃れるように腰を揺らす。
「なんかそれ…逆にそそられるんだけど…」
揺れる彼の腰を肩で押さえ込んで前を撫で続ける。
舌で彼の中を舐めて、出し入れがスムーズになるまでしつこく解す。舌に伝わる彼の体温が熱くなっていくのが可愛くて、執拗に彼がよがる場所を舐め続けた。
「エリ…オ…」
腰を浮かせたままシーツに沈ませた上半身を少しだけ起こして、彼は催促するように名前を呼んでくる。
舌を入れていた場所に金属の指先を入れる。
熱い彼の中に急に冷たいもの入れられて、少し驚いたように「ぁぅ…」と鳴いた。
「冷たくてごめんね」
毎回自分の義手を恨む。痛覚が芯の部分にしかないのは嬉しいが、こういう場面に遭遇すると最低すぎる。いや、遭遇する機会があるとは思ってなかったけど。
執拗に舐めて解した穴はヒクヒクと物欲しそうに小さな入口を開けていて指を2本入れてもすんなりと受け入れる。
「中ちょっとまだキツいね、痛くない?」
舌が届かなかった場所まで指が到達すると、奥に強い圧迫感があって、押し込むと中が開いていく感覚がする。
「痛く…な…きもちっ…」
彼が好きな場所を指先でとんとんと弾く。分かりやすく身を跳ねさせる姿を見ながら、指先で中を掻き回し、徐々に速度をあげる。
「あっ…やんっ…かき…まわしちゃ…やめっ…!!」
「かわいい…」
興奮でぼんやりしてくる頭が、目の前のシャムがかわいいってことしか処理してくれなくなる。うわ言のように呟きながら、指を増やして激しく中を出し入れさせる。
掻き出すように指を出すと彼の体液が滴るほど指にまとわりついてぐじゅぐじゅと音が鳴る。この音を聞いてると、やっぱりブレーキが緩み始めてやめられない。ずっと続けたくなってしまう。
「シャムかわいい…すごいかわいい…」
手を休めずに彼の背中にキスをして、彼の肌を舐めた。鳥肌の立った彼の肌は、少し汗ばんでいてしょっぱいのに甘い香りがした。
「ひぁあっ…やっやあっ!音っ…だめっ…!」
「なんで?すごいかわいいよ…」
語彙力が崩壊してて、頭に浮かび上がる感情が上手く言葉にならない。より大きな音が鳴るように空気を中に含ませて掻き回す。
頬に伝わる彼の体温が暖かい。
「はぁっ…!ぁぁいやっ!ゆう…してぇ!」
じたじたと足をばたつかせて逃げていく彼の腰を右腕で怪我をさせないように掴み、追いかけるように身体を寄せる。
「ううっ…はぁっ…も…も…イきたいっ…のっ…おね…が…エリオ…っ」
逃げられないとわかったのか抵抗をやめたシャムは、身を隠すように上半身をシーツに押し付けてせり上がった腰をビクつかせながら強請り始めた。
彼の様子に飽和してた脳みそに、俺が無意識にシャムを焦らしていた疑惑が浮かび上がる。これは可哀想なことをしたのでは?可哀想なシャムは可哀想可愛いから可愛い。
「ご、ごめん!」
彼の中から手を引き抜いて上に覆い被さる。シャムの背中に自分の胸を密着させ、自分のを彼の入口に押し当てる。
胸から伝わる彼の体温がすでに気持ちいいのに、体内へ入るとさらに気持ちいい。先程までしつこく中を掻き回していたせいか、中に空気が残っていてやっぱり下品な音が鳴ってしまう。
こんなに可愛いシャムから下品な音がするっていうギャップが凄すぎて、入れた自分のがますます膨張するのが分かる。
「んんっ…はぁ…ううっ音…なってごめ…なさ…」
耳まで真っ赤に染めたシャムの横顔から相当恥ずかしかったという彼の心情が伝わった。
音がなったのは控えめに言って9.8割くらい俺のせいなのだが、もう可愛いすぎるのでシャムのせいにしたい。恥じらう彼は最高に可愛い。
「いいよ、めちゃくちゃ気持ちいいし…シャム可愛いすぎて無理…」
根元まで彼の中に沈め、彼の首筋に顔を埋めて深く息をつく。意識して我慢しないと、中が搾り取るようにうねって熱い内側を目一杯押し付けてくるように締めつけるので、すぐ出てしまいそうだ。
彼の好きな乳首を左手の指でふにふにと摘んで捏ねる。弄りながら腰をゆっくり動かすと、やっぱりまだキツい中身が抜かれるのを惜しむようにまとわりついてくる。
「っは、はっ…シャム…」
呼吸をしながら彼のうなじを舐める。
「はぅ…むね…すきっ…」
乳首をこね回すと彼の足から力が抜けていくようによろけて、へなへなと腰が落ちていく。
彼の中から出たくなくて、落ちていく腰を追いかけるように押し込む。完全にベッドに寝そべってしまった彼の中に真上から落とすように中を押し込むと、ただでさえキツい彼の中に壁のように閉じた場所に当たる。
「な、何これ…?」
困惑しながらも興味が沸いて、その狭まった場所をグリグリと強く押す。昨日も、さっきまでもこんな場所に行き着かなかった気がするのに、不思議だ。
「…っひぁ!?」
突然シャムが高い声でビクリと体を大きく跳ねさせた。
「痛い?」
そう言いながらもその狭く閉じた箇所にグイグイと自分のものを押し付けると、息を吐くのも忘れたようにひいひいと鳴きながら彼の足がブルブルと震える。
それは何だかとても気持ちよさそうで、なんなら中も彼がイきそうな時に起きた痙攣に似た動きを見せていた。
「嫌だったら…言って…」
先に果ててしまわないように呼吸を整えながら奥へ強く押し込む。狭まったそこはじわじわと道を開け、俺の侵入を少しずつ許してくれる。
少し進んだところで、一度腰を引いて、一気に一番奥まで力いっぱい押し込んだ。
「いっ…きゃぁ…!!」
彼は上半身を大きく反らせ中はぎゅうっと強く俺を締め付ける。
シャムは涙目で舌を垂らしてぜーぜーと荒く呼吸をしながらへなへなと崩れてシーツに倒れ込む。
「気持ちいい?」
中が締め付けてくるのが気持ちよくて、彼の乳首を左手で軽く引っ張りながら腰を振る。徐々に速度を上げていくと、中で熱とヌルヌルとした体液が絡みついてふわふわとした内側が抱きしめるように俺のものを包み込む。
「あっ、きもち…やば…っ」
快感で頭が回らなくなり、思ったことが荒い呼吸に混ざってこぼれ落ちる。
先に出さないようにと思っているのに、気持ちよすぎて腰を止められない。夢中で下で倒れている彼に腰を叩きつけて、中を抉るようにかき混ぜる。
「あ"…だめ"…くらくら…する"っ…!」
下で呻くように泣く彼の口から苦しそうな声が漏れ、助けを求めるかのように腕は前に投げ出されている。
彼の胸を揉みながらひたすらに腰を打ち付けていると、中が酷く痙攣する。
「ん"ぅっ…!」
まだシャムがイッてないのにイくわけにいかない。歯を食いしばって堪えると、シャムの中は一瞬締め付ける力が弱くなる。
「らめ…も…むいなの…」
泣いているようにも聞こえる彼の中で自身のものを動かすと再びキュッと縋るように中が絡みついて離したがらない。
「ご、ごめ…シャム、イけるようにするから…」
呼吸を整えてクールダウンさせ、再び一番奥へと押し込む。
右腕を彼の腹に回して腰を持ち上げさせると、さらに奥に入り込むのが分かった。
乳首を摘んで、さっきよりもつよく引っ張る。引っ張ては離し、指先で弾いて強めの刺激を与える。
「や"っ…それ"っだめっ…へん…なる"っ」
彼に沈めた先端が食いちぎられてしまいそうなほど狭まった部分が締め付けて離さない。
最奥の行き止まりを押し広げるように突きつけると、頭が真っ白になりそうなくらい先端をぎゅうぎゅう締め上げる。
「う"っ、あっ、やば…なに、これ…っ」
あんまり気持ちよくていよいよ爆発しそうだが、まだシャムはイってないだろうし、ここで暴発させるわけには…。呻きながら最奥をズブズブと突き上げ、抜いて、緩急をつけるように一気に押し上げた。
「はっ、はっ…」
快感で何も考えられなくなって、ひたすらシャムの乳首を引っ張りながら最奥に腰を叩きつける。身体がぶつかる音が部屋に鳴り響いて、それに混ざってシャムの悲鳴のような声が聞こえた。
「はあっ…やっ…ま、たっ…イぎゅ…っ」
彼の悲鳴と共にまた中が大きく痙攣して、それを耐えようとしたが仕上げのようにぎゅうっと締め上げる。
「うあぁっ、む"り"っ…」
我慢が効かずに中で勢いよく射精する。どくどくとシャムの中に注いだそれは、我慢しすぎて絶え間なく出続ける。漏らすようでなんだか恥ずかしかったが、それは長い快感と余韻を運んできて最高に気持ちいい。
「はっ、ぁっ…ごめ…気持ちよすぎて…出た…」
シャムの背中に被さるように倒れ、彼の腰に腕を回す。熱くなった彼の背中が気持ちよくて、止まらない射精を感じながら頬を擦り付ける。
「い、イけてないとかない…?気持ちよかった…?」
シャムを抱きしめたまま背後から尋ねると、彼はぴくぴくと小さく体を痙攣させるだけで何も答えない。
えっ、無視するほど酷かった?あんなに優しいシャムが無視ってそれもう下手の極みでは?
「えっ、ごめん!ごめんね!俺、下手すぎ!?」
焦って起き上がり、彼を仰向けに転がす。
仰向けになったシャムは力なく腕をシーツに投げたして、半分気を失ったような焦点の合わない目を細めている。
彼の腹部には1度とは思えない量の白濁液が散らばって、力が抜けてしまったかのようにぴくぴくと小さな痙攣を繰り返す。
これは…逆に凄く良かった時のやつでは…?思い上がりかもしれないが、少なくとも下手すぎて萎えた風には見えなかった。
「…付き合ってくれてありがと、おやすみ」
思わずニヤける顔で、呆けた彼の口にキスをする。裸のまま並んで横になり、毛布を被る。抱き枕のように彼を抱き込んで寝たら、久しぶりの人肌を感じながらの眠りは最高に幸せだった。
「シャム!シャム!」
なんとか男たちを気絶させて、昨日シャムが捕まっていた一軒家まで辿り着いたが誰もいない。
「くそ…」
壁に拳をぶつけて八つ当たりするが、これで何かが解決するわけでもない。薄暗くなってくる外を見て、俺は一軒家を後にする。
もしかすると、アイツらの目的はシャムだけではなく、俺も含まれているかもしれなかった。彼は確かに奇跡レベルの可愛さを放ってはいたが、彼とセットで俺が釣れる可能性があるからますます放っておかないのだろう。
そう考えると、1度家に帰ってみるべきかもしれない。銃弾が掠めて怪我をした足を気合いで動かし、家へと走る。
走る時に曲げた右手が酷い音を立てる。もう右腕の寿命がなんとなく近いことは分かっていた。
この右腕の燃料は俺の血だ。腕が壊れたが最後、接続されたチューブから俺の血が排出され、止まらないそれはあっという間に俺の命を奪うだろう。右腕を乱用するのは、あまりにリスキーだった。
無償で施すのも、彼に入れ込むのも、そのために右腕を使いすぎるのも、どれもこの街でやるにはあまりに愚かだ。そうは分かっていながら、あのふわふわとした彼の笑顔が見たくて色々と手を焼いてしまう。一応はルールに則った対価を要求してはいるが、これに関しては対価なんて彼は払えないだろう。
家にたどり着くと、玄関のドアの隙間に紙切れが差し込まれている。拾い上げると、折りたたまれたそれには「リーサルウェポンへ」と綴られていた。
リーサルウェポンというのは俺が闘犬をやっていた時の呼び名だ。忌々しい呼び名に俺は舌打ちをしながら紙を開く。
「今夜のパーティ会場に素敵な贈り物を用意させて貰った。それを引き換えに依頼したいことがあるので、良かったら来て貰えないだろうか。絶対に損はさせない」
差出人を確認すると、あの新入り狩りの名前が記されている。紙をぐちゃぐちゃに握り締め、俺はその場に投げ捨てて足で踏みにじる。
ふざけてる。元からあれは名目上は俺のものだと宣言したのに、それを奪って返すのを贈り物だなんて脳みそにウジが湧いてるとしか思えない。
彼に助けると約束した。それなら一刻も早く指定された場所に向かうしかない。
あの会場でシャムは何をされるんだろうか。他の奴らみたいに手足を切り落とされて壁に飾られてる?それとも他のこと?
ザワザワと騒ぐ胸の不快感に深く呼吸をする。落ち着いて頭に昇った血を沈めようと目を閉じる。
大丈夫、もし俺も目的に入っているならさすがにまだ四肢を切り落としたりはしないだろう。
薄暗い街が、どんどんと暗闇に沈んでいく。夜が近づくと、街灯がない俺の家の近隣は真っ暗だ。
少し離れた街の中心部へと着くころにはすっかり辺りは暗くなり、ネオンがギラギラと中心部を照らしていた。
新入り狩りに呼び出された古い劇場に向かう。行く途中でじろじろと俺に向けられる視線を感じながら、建物の中へと足を踏み入れる。
建物の中はスポットライトがあちこちに散らばり、壇上に並べられた今日入りたての踊り子を照らす。踊り子と呼べば聞こえはいいが、単純に犯される為に連れて来られた新しい人間だ。彼らのような新顔はまだ元気があるから大盛況。特に女性は取り合いだから、順番待ちしている男たちが突如乱闘を繰り広げるなんて往々にしてある光景だ。
「やあ、リーサルウェポン」
声を掛けられて振り返る。俺の背後には胡散臭い笑顔を浮かべた新入り狩りが壁に寄りかかって、俺に手を振っていた。
「来てくれて嬉しいよ。君には特別席を用意してある。2階に来て欲しい」
「言っておくが、来たからって依頼を受けると答えてるつもりはないからな」
彼を睨みつけると、新入り狩りは小さく頷いた。
「もちろん。報酬を見てから決めてよ。大丈夫、穴をシェアしたり出来ない潔癖症な君のために綺麗にしておいたから」
彼の言葉にシャムの状態がなんとなく想像できて、腹にムカムカとした怒りが込み上げる。
しかし、相手が相手なので言葉を飲み込む。怪我をした足がズキズキと痛んだ。
「…四肢は切り落としたのか?」
「全部とっておいてあるよ。君ってどちらかと言えば自分でカスタマイズする方が燃えるタイプでしょ?ちゃーんと楽しみは残してあるから安心して」
新入り狩りの言っていることが半分図星で反論が出てこない。黙って舌打ちをして、俺は歩き出す彼の後に続いた。
2階の観客席に繋がる廊下を進む。その1番奥に設置された精々5人程度しか入れないフロアはカーテンで仕切られ、廊下からでは中が見れなくなっている。
カーテンの向こうからもにゃもにゃとうわ言のようで、しかし意味をなさない声が漏れている。
「この奥に彼がいるよ。良かったら見て行って」
新入り狩りがカーテンを開く。言われるがままに中を覗き込むと、フロアの中央でシャムは目隠しをされ手だけ縛られた状態で息を荒くして横たわっていた。
彼がここに来た時から着ていたジャケットは前を大きく開かせてシャツは脱がされたのか柔らかそうな腹部が晒されている。
「遅くなってごめん、大丈夫?」
「えりお…く…?」
苦しそうな息遣いで彼は安心したような笑みを浮かべたが体が思うように動かず、体を丸めるのが精一杯のようだ。
彼の髪から漂う甘い良い香りが鼻をくすぐった。
「どう?可愛いでしょ?気に入ったなら報酬にそれあげるから、俺の依頼内容を聞くだけ聞いてみない?」
カーテンを開いたままこちらを覗き込む新入り狩りが俺に問いかける。彼に振り返るとシャムは「だめ…」と小さく震えながら首を横に振る。
シャムの様子を横目に見ながら俺は新入り狩りに向き直る。
「…なんなんだよ」
「俺たち新入り狩りのサポートを依頼したい。彼も勿論あげるし、飯も俺たちが得ている分から渡すよ。護衛と見張りをするだけでいい。悪い話じゃないでしょ?」
つまり、あの悪趣味な仕事を手伝えということだ。俺は舌打ちする。
「すぐに決めなくていい。なんなら、1回抱いてみて考えたらいいと思うよ」
新入り狩りはにっこりと笑顔を作って手を振った。
「…ちなみに、俺の仲間たちを君が傷つけたこともちゃんとツケておくし、抱いたら対価は必ず貰いに行く。よろしくね」
彼はカーテンを閉じると、どこへ向かうのか足音が遠ざかっていく。
シャムに振り返り、俺は首を横に振った。
「…あの3人はちゃんと逃げた。他に誰かが捕まえたりしてなけりゃ、今頃もまだ無事だと思う」
シャムが助けようとした3人は、俺たちの騒動でどさくさに紛れて逃げた。まだ無事だとは限らないが、弱った彼を安心させたくて笑顔を作る。
彼の前髪を整えようと、腕の中で横たわる彼の額を優しく撫でた。
「んっ…よ…かった…ぁ」
高揚したような赤い顔で微笑む彼の顔はいつも以上に可愛くて、触れるだけで手の中で小さく震える彼の肌や声が悩ましく見えてしまう。
彼は俺を誘いたいわけじゃないのに、その様子に全身に鳥肌が立つような強い欲望が湧き上がってくる。
それに負けてしまわないように彼から目をそらす。
「と、とりあえず逃げよう。動け…ないよな?抱き上げて走るのは大丈夫?」
「なんっ…とか?」
「良かった」
彼に言われて抱きあげようと体を動かすと彼はビクビクと体をふるわせて、溶けてしまいそうなほど潤ませた目を俺に向けてきた。
「っあ…まっ…待って…ごめ…やっぱり少し…休みた…」
彼の表情はあまりに色っぽくて生唾を飲む。小さく何度も頷きながら、彼を抱いたまま静かに床に座る。
「辛い?大丈夫?」
恐らく媚薬でも飲まされたのだろうが、それにしたって酷い気がする。自分では媚薬など飲んだことがないので、どんな不調か分からない。少しでも楽になればと震える彼の肩を擦る。
「っぅ…ふぁ…」
優しく肩を撫でると彼の体が大きく震えて、今までで1番なやましい声を漏らした。
その拍子に彼の肩からジャケットがするりと落ちて、上半身の大部分が露出する。
熱を帯びた白い肌はほんのり汗ばんでいるのに、まとわりつくような甘い匂いが漂う。
ピンと立ち上がった熟れた果実のような濃い桃色の乳首が目の端に入り、2度見する。女の子のようにぷっくりと立ち上がったそれから目が離せず、目を見開いたまま釘付けになった。
俺の視線に気づいたのか、彼は手でそれを隠して恥ずかしそうに目をそらす。
「ご、ごめん…あんまり…見られ…ちゃ…恥ずかしい…」
「えっ!?あっ!ごっ、ごめん!」
俺も彼から目を逸らし、慌てて謝るが心臓がおかしなくらい鳴っている。
なにあれ?どういうこと?こんな可愛くて優しくてふわふわしてて、でもシャムは男の子なのに乳首が女の子…えっ?
「はっ…エリオく…ごめ…ちょっと…離して…」
起き上がる彼の背中を支えるように手を添え、離れていく彼を見守る。
シャムは俺から隠れるように半分背を向けて何を思ったのか、そのぷっくりと膨れ上がった乳首を自分の指で優しく撫で始めた。
何を始めたのか一瞬分からず、また彼の行動に目が釘付けになる。
優しくつまんだり少し引っ張ったりする度に、彼は気持ちよさそうに荒い呼吸をして少しずつ力が抜けるように体を横たわらせていく。
ふとシャムと目が合うと、彼は爆発しそうなくらい顔を真っ赤にさせるが手をとめないまま泣きそうな声で呟いた。
「ご…ごめ…んっ…ちょっと待って…すぐ…済ませ…から…見ない…でっ…」
「えっ、あっ、えっ…」
彼の言葉に停止していた思考がようやく動き出す。
こんな汚い街に生きていて御歳今年18歳ですが、他人と汚い身体をシェアしてまで性欲処理なんかしたくなくて童貞を貫いてきた俺には相当キツい状況だ。自分の下半身が今までにないくらい熱くなっているのは分かっているが、ここで彼をおかずに抜くなんて嫌われそうでしたくない。
目を逸らして、彼に背を向けて座るが背後から甘い声と荒い呼吸が間近に聞こえて、チラチラとつい覗き見してしまう。
彼はスキニージーンズの前だけ開けて取り出した性器を控えめに擦りながら、固くなった乳首をいじる。
しかし片手を性器に添えているせいで触れないもう片方が辛いのか、乳首をいじる手を頻繁に変えながら泣きそうな顔で体を震わせていた。
「…て、手伝おうか…?」
消えそうな声で彼に話しかける。緊張で震えた声は上ずっていて、なんだか情けない声が出た。
俺の声にキュッと閉じていた目を開いたシャムは、また恥ずかしそうに目を潤ませて露出した性器を慌てて隠す。
「えっ…ええっ…な…」
「あ!ごめん!ほんとごめん!辛そうだったから…」
俺は慌てて視線を前に戻す。
あーやっちまったー。めっちゃ怒られそうだし嫌われそう。頭の中で頭を抱えるが、出した言葉は引っ込められない。
「…ここ…」
後ろからかけられた彼の声にビクリと肩が震える。恐る恐る振り返ると、あの濃い桃色の突起を白い指先で撫でながら真っ赤な顔を向けている。
「ここ…触って…ほし…」
俺はその姿に目を丸くしたまま、言葉が出ずに無言で頷く。ゆっくりと彼の背後に回ると、足の間に挟むように彼を座らせ、抱きしめるように彼の腹部に右腕を回す。
身体に密着する彼の身体からシャツ越しに体温が伝わってくる。それは久しぶりに感じる他人の体温で、暖かくて気持ちがいい。
「あの、えっと…触り方が嫌とか、こうしろとかあったら言って…?」
彼の腹をなぞるように撫でて、左手をそのまま彼の胸へと這わす。痛くないように優しく彼の乳首を指で摘み、指の間で転がした。彼も反対の乳首を指先でこね回しながら、もう片手で性器を撫でるようにしごく。
「あっ…ううっ…」
時々ビクンと身を逸らしたり俺に寄りかかったりしながらどんどん息を荒くして良さそうな声を漏らした。
「うっ…はっ…ぁ…」
彼が動く度に膨張しきった俺の股間に彼の腰や尻が擦れる。暖かくて柔らかいものを布の上から擦られて変な声が出た。
声と共に彼の耳に俺の息がかかると、彼はそれさえも気持ちよさそうに身を擦り寄せてくる。
「あっ…はあっ…息…熱い…」
首だけで少し振り返ったシャムは潤んだ瞳を細めて、半開きの唇から細く息を吐く。
思わず唇を奪いたくなるようなその表情に飛かける理性をなんとか引き止める。苦し紛れに彼の頬に自分の頬を擦ると、彼の頬は驚く程に熱かった。
「ごめ…息かかるよね…」
彼に息を掛けないようにするべきなんだろうけれど、これだけ自分も興奮していてはコントロールが難しい。
彼の汗ばんだ首元に顔を埋め、深く息をつく。
「んっ…首っ…くすぐったい…」
シャムは身を捩らせると少し腰を前に滑らせ足を立てて、俺の胸元に頭を寄せるように寝転ぶ。
彼と俺がいじり倒した胸と、物欲しそうに脈動する彼のものが一望出来てしまう。どこもかしこもまだ物足りなそうに立ち上がっているそれは、見ているだけで俺まで辛くなる。
「まだスッキリしない…よね。大丈夫?」
胸元にある彼の顔を見下ろしながら、胸の先を軽くひっぱる。
「ひぁっ…はっ…あっ…」
先程よりも大きな声で震える彼は自身でいじっていた乳首も引っ張って、そのまま控えめにクリクリと捻る。
こんなに純真無垢で可愛らしい彼が快感を貪るように自分の身体をいじっている姿が、どうしようもなく可愛くてそそられてしまう。もっと気持ちよくさせたらどうなるんだろうという興味と、自分がそれをしたいという強い欲求で思考が満たされ始めてくる。
彼を抱きしめるように引っ張りあげ、そのまま床に仰向けで優しく寝かす。
乳首から手を離したせいか、とろんと熱っぽい顔で切なげに俺を見上げるシャムは縋るように俺の左手に手を伸ばした。
「い、いかな…いで…」
「いかない、大丈夫」
彼の頭を撫でて、俺は彼の腰に跨る。そのまま彼の胸に口を付けて、弄られて膨らんだそれに舌を絡める。
「っあ…!な…にっ…熱くて…ぬるぬる…っ」
体を逸らすほど震わせて、快感に混乱しているかのように自分の指を食む。
「…俺、片手しかないから…」
口を離して小さい声で言い訳する。そのまま再び彼の胸を口に含み、唇で挟んで先端を舌で押し込んだ。
空いた左手で反対側をつまみ、ころがしたり弾いたりすると彼はいっそう甘い声で鳴きながら自身の股間を夢中で触っていた。
「あっ…んぁ…はっ…ッ…!」
高い声と共にビクビクと腰を震わせた彼はそのままくたっと力が抜けたように荒く呼吸を繰り返す。
「…出た?」
胸から顔を上げて、彼の腰に跨ったまま立ち膝で彼の顔を見下ろす。
とろんと俺を見上げながら肩で息をしていた彼はじわじわと泣きそうな顔になって、ぐずぐずと鼻を鳴らして半泣きになってしまった。
「ごめ…ごめんなさ…」
「え!?いや!ごめん、こっちこそ触って…!」
慌てて両手を上げて彼の上から降りる。何かトラウマ作ってしまったんだろうか…俺あんまイケメンでもないし、可愛くもないし…チビだし…。
俺が退いても動かない彼は涙拭いながら俺を見上げる。
「違う…違うの…全然…おさまんない…からっ…」
そう言われてちらりと彼の下半身に視線を逸らすと、確かにまだまだ物足りないと言わんばかりに反り立っている。
それを隠すように俺に背を向けて体を丸めたシャムは、スンスンとべそをかきながら再びそれを触りだしたようだった。
「ごめ…なさい…っすぐ…すぐするからっ…」
もう見ていて可哀想だし、不謹慎なことを言うとめちゃくちゃ可愛くて辛い。どうしようこれ、俺の理性が持ってくれたらいいんだけど、非常に不安だ。
「大丈夫、大丈夫だから。ゆっくりでいいよ、落ち着くまで付き合うよ」
シャムの頭を撫でて、涙を指で拭う。
実際、新入り狩りは俺たちがここで丸1日セックスに興じると思って仕組んだはずだ。恐らく、急いで逃げる必要は本当にないだろう。
「こっち向いて」
横向きで転がるシャムを優しく仰向けにすると、今度は彼の下半身に手を添える。
出した形跡のあるぬるぬるとした体液に塗れるそれを無機質な左手でなぞる。
「ひゃっ…」
火照った体を急に冷たい義手に触れられて驚いたのか、彼は可愛らしい声で小さく反応した。
「ごめん、義手だとやっぱり気持ちよくないかな…」
色々と義手で日々損しているが、今日は特に損してる。人肌の温もりと柔らかささえあれば、もうちょい良かっただろうに。
しかし、毎週3回は俺は自分でこの手で抜いているので、イけないことはない…はずだ!大丈夫、ちょっと頑張ってみようぜ!そんな気持ちで自分を奮い立たせて彼の前を優しくしごく。
俺は裏筋が好きだけれど、彼はどうだろうか。さぐるようにまんべんなく扱いて撫でる。
「ぅ…あっ…んん…」
少し心配だったが、彼はすぐに気持ちよさそうな声を漏らし初めて俺は安心した。
ツルツルとした指先を根元の方から先端に滑らせると膝をビクッと反応させて恥ずかしそうに目をそらす。
「こういう動きが好き?」
彼が悦んでくれた動きを繰り返し、徐々に速度をあげる。
気持ちよさそうにビクビクと震えていた彼は、再びそっと自身の乳首を指先で転がし始めた。
「…乳首触るの好きなの?」
聞いていいのか分からなかったが、ずっといじり続ける彼に思わず尋ねる。
「…っここ…いつも1人でっ…してて…触んないとっ…イケな…いっ…から…」
えーーー?何それ?こんな純真無垢なのに乳首で抜いてて、しかも乳首いじらないとイけないの?マジで?エロくない?
口から出そうな感想をグッと飲み込む。俺の股間が爆発しそうだけど、我慢…我慢だ…。
「そっか、それじゃちょっと大変だけど、自分で触ってて貰える?俺、こっち頑張るから」
1人で盛り上がっている興奮を鎮めるために深呼吸しながら、彼の性器に顔を近づける。フェラなんかしたことないし、するとも思ってなかったから全くの初心者だが、多分自分のをシゴいたことはあるんだから多少できると思いたい。
「ぁ…」
俺が何をしようとしているかシャムは悟ったようだが、恥より性欲が勝ってしまうようで彼は無抵抗に足を広げたまま恥ずかしそうに目をそらした。
「痛かったら言って?」
根元に舌をつけ、先程彼が指で喜んだように先端まで真っ直ぐ舐める。
「っう…ああ…」
溶けてしまいそうなほど甘ったるい声を漏らしながら彼は自ら乳首を強めに押しつぶす。
彼の性器がぴくぴくと小さく反応するのが舌から直に伝わってきた。
唇でそれを食んでからゆっくりと口に押し込む。吸い上げながら舌で彼のものをしごく。根元には左手を添えて上へと親指でなぞり、舌で先端まで撫でるのを繰り返し、徐々に速度を上げていく。
慣れない動作で吸い上げる顎が疲れてくると、唇の隙間から空気が入り込んで、ジュボジュボとAVみたいな音が出てしまってなんだか俺も恥ずかしい。
「あっ…んっ…はぁ…あんっ…」
まるで音に反応するかのように甘い声を大きくさせて、気持ちよさのあまり彼の腰が逃げていく。
でも、こんなに気持ちよさそうにしている彼を見ていると興奮してしまうもので、もっと良くしてあげたくなって、口で追いかけて夢中でしゃぶった。
根元まで口に咥えこんで喉も使ってしごく。
おかしいな、俺って一生男のやつ口に入れる日なんかくると思ってなかったし、なんならこんなに興奮するって知らなかった。
だって、シャムもう女の子みたいなもんじゃない?女の子のしゃぶってるような…いや、女の子には普通付いてねえよな。あれ?なんかもうよくわかんなくなってきた。
「はっ…ああっ…も、だめぇっ…」
自分の胸を引っ張りながらビクビクする彼のものが口の中で脈動するのが分かる。
彼の甘い声をずっと聞いていた俺のはズボンの下でパンパンに膨れ上がっている。我慢が辛くなってきて、彼のを口でしごきながら自分のズボンのチャックを開けてしまう。
「…はっ、ごめ…ちょっと…抜かせて…」
耐えかねて彼のものから口を離して尋ねると彼が泣きそうな顔で俺を見る。
「ゃあっ…やめちゃ…やっ…」
俺の左手を捕まえて潤んだ眼で強請るシャムに俺は下唇を噛んで首を横に振る。
「ごめ…ほんと、そろそろキツい…」
彼の手を優しく振りほどくと切なそうな顔で涙をこぼすが、ダメなもんはダメだ。俺の頭がおかしくなってしまう。
彼のものを再び口に入れて、口でしごきながら自分の膨張しきったやつを左手で夢中でしごく。
「はっ…!あっ…!!にゃ…めっ…!!!」
仰向けのままギュッと足を縮こませて「ハッ…ハッ…」と彼が短く息を吸う。
「んぐっ…!」
急に口の中に注がれた今まで味わったことのない味に驚いて思わず変な声が喉から出る。
あ、これどうしよう。知ってる、いつも自分が出してるやつだ。本当はすぐにでも吐き出したいが、これはシャムが出したやつだ。ダラダラと俺が吐き出すのを見せたら可哀想じゃないだろうか。
できるだけ味が分からないように舌を避けながら、口にその体液を滞留させたままチラとシャムを見る。
「ううっ…ごめん…にゃ…しゃ…」
口に出してしまったことを申し訳なく思っているようで、彼はぐったりと両足を胸に引き寄せたような格好のままスンスンと小さく泣き出してしまった。
ああ、これ吐き出したら可哀想なやつだ。そう思った拍子にうっかり口の中身を飲み込んだ。
あれ?案外飲めるじゃん。
「…っ、す、スッキリした…?」
まだ中途半端になったままの自分のやつをどうしたらいいか分からずに手を添えたまま尋ねる。かなり間抜けな図になっている気もするが、シャムが落ち着いたんなら1人で落ち着くべきは俺の方だろう。
「はっ…も…もっ…とぉ…ごめ…なさ…」
彼は恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないといった様子で両腕で顔を覆いながら呟いた。
それがまたどうにも可愛くて興奮してしまう。どうせ俺も中途半端で辛いし、彼が満足するまで付き合おう。
「大丈夫、全然…」
もう一度、彼の股の間に顔を埋める。再び舌でそれを撫でるとピクピクと顔に擦り付けてくるように跳ねた。
ふと、視線を下に向けると彼の穴が目に入る。
性器を触る度にひくひくと小さく動く彼の穴がなまめかしく俺を誘惑する。
彼のももの裏を左手の指先でそっと撫でる。第一関節分しか触れないそれに彼はビクッと体を跳ねさせる。
「…ねえ、お尻は触ったらダメかな…」
彼の性器に唇を触れさせながら尋ねる。唾液と精液にまみれたそれは、俺の息が触れると気持ちいいのかビクビクと反応する。
「おし…り…?どし…て…」
「ごめん、俺が触りたいだけ…ダメ?」
不安げに身を縮ませたシャムを見ながら、彼の太ももから指先を滑らせて尻の下へと潜り込ませる。
彼の性器を唇で食んで、口の中へゆっくりと押し込む。口でそれをしごきながら、彼の穴を指先でなぞってつつく。穴の中へ指を優しく押し込むと、第一関節だけ中に侵入させる。
「っ…ひゃ…な…にっ…こえ…」
困惑と不安の入混ざったような声で鳴く彼の中は水気を含んだような小さな音がなる。
そのまま指を優しく押し込む。ゆっくり優しく中をさぐると、彼はふうふうと苦しそうに呼吸を繰り返す。
「痛くない…?」
「…いたく…な…けど…へんっ…それ…」
そう言いながらも、自身の胸を弄るのが止められないのか指先で押しつぶすようにこねながら控えめに腰を揺らした。
「良かった…」
自分のが辛いを通り越して痛い。痛みを発しているそれを先になんとかした方がいいと思いながら、俺の頭の隅で本当はしてはいけない期待が膨らみ始めていた。
彼の性器を舐めるのをやめ、右肩で彼の足を押し広げ、左手で反対側の足を固定する。まだ何も入れたことがないはずの綺麗な桜色をした彼の小さい穴に唇を近づける。
口を押し当て、舌でそれをなぞる。まだ硬いその入口を丁寧に舐め、ふやけていくそれの中に地道に舌を侵入させる。
「ああっ…しょ…しょな…とこ…だめ…」
丁寧に舌を這わせるとそれに反応するように喘ぎ声の混ざった息を吐く彼は、ダメと言いつつそれらしい抵抗をしてこない。
中からじわじわと体液が溢れ出してくるそれを吸い上げると、ジュルジュルと音がする。
「ゃ…すっちゃ…だめぇ…」
「あ、ごめ…」
口を離して謝るが、もう一度口をつけてほぐすと、どうしてもあふれてくるのでやっぱり吸い上げてしまう。吸うと音が鳴るのをどうにかする技術を俺は持ち合わせていなくて、その度彼が顔を真っ赤にさせて泣いているような声で「ゃ…」と首を横に振る。
「ごめん下手で…」
上手く出来なくて俺まで真っ赤になってしまうが、練習させてもらう気で続行する。
ほぐれてきたそれに何とか舌を奥まで差し込む。中を舐めるとそれはとても熱くて、俺の舌をぎゅうぎゅうと締めてきた。
「はっ…も…おしり…へん…」
いつの間に脱げてしまった彼のジャケットをシーツのように握りしがみついて、首を横に振るものの彼は乳首も性器もピンと固くさせている。ジャケットにしがみついていない手を使って乳首や性器を代わる代わる弄るのが止められない様子だ。
そんな様子で首を横に振られても、ちょっとブレーキがかからない。だって可愛いんだもん。
舌を入れたまま、左手の指を隙間から侵入させる。滑りがよくなったそれはスルスルと中に入り込む。奥をさぐるように撫で回すと、段差があるのがなんとなく分かった。
試しにそこを優しくつつくと彼が1層高い声で鳴いて、首を横に振る。
「それ…やめ…」
そうは言われてもどう見ても気持ちよさそうな反応は、俺の思考に残る理性を少しずつ失わせる。
もうこの先が見たくて見たくて、行為を続行してしまう。先ほどより強めに押しては力を抜き、また押してを繰り返す。
舌を抜き去り、指を増やす。出し入れを繰り返すとクチュクチュ音が鳴って、それは他でもない俺自身を勝手に興奮させてしまい、身体がどんどんあつくなる。
「はっ…だめ…それだめっ…やぁっ!」
ジャケットにしがみついたまま背中を反らせて腰をビクビクと浮かせる様子はAV女優顔負けのエロさがある。
彼の性器からは透明な液体が染み出してトロトロと下に伝って線を残していく。
指を三本に増やすが、痛がる様子もなくスルスル入る。頭が興奮で真っ白になり、無心で中を掻き乱すように指を出し入れする。酷い水音を立てながら激しく弄ると、彼は自分の意思と反するように与えられる快感に言葉にならない声で喚くように泣きだした。
「んああ…っあっ…ひぁ…むぃにゃ…のっ…らみぇっ!」
彼の普段のふわふわした話し方から想像もつかないような乱れた声に、俺の僅かに残った理性が完全に吹き飛ぶ。
指を抜いて彼の上に覆い被さる。その入口に痛いくらい膨れた自分のものを宛てがい、押し付ける。
「んんっ…せま…」
ぐぐっと中へ押し込むと、狭い道が押し広がる感覚がした。中がとろけそうに熱くて、ぎゅうぎゅうと追い出そうとするように締め上げてくるそれは未知の快感すぎて頭が痺れる。
「あっ…ひ…熱ぃ…おにゃかぁ…あちゅいぃ…!」
泣いてるのか喜んでるのかもはや分からない彼はボロボロと涙を流しながら、自分の指をしゃぶっていた。その焦点が合わない瞳が、経験したこともないような興奮を呼び込む。
「はっ…はぁっ…ごめ…きもちい…っ」
入れてしまった罪悪感はありながら、それを遥かに凌駕する快感と興奮で、押し返してくる彼の体内の奥へとグリグリと中へ押し入れてしまう。1番奥までたどり着き、引き抜くと中が俺を引き止めるように吸い付いて、再度押し込むと潰されそうなくらい締め上げてきた。
「ああっ、やばい、マジやばい…っ」
夢中で腰を振って彼の中を突き上げる。肩に引っ掛けたシャムの足がもがくようにバタつく。
「ふぁ…ああっ…やあっ…」
まるで抵抗するかのように首を横に振るのに、快感を求めるように彼の手は乳首をこね回す。
長い間いじり回されたそれは赤くなって最初に見た時より更に大きく膨れてしまったように見える。
まるで誘うように膨らんだその胸に招かれるように口をつける。彼が弄る胸の反対側を口に含んで吸い上げながら、がむしゃらに腰を打ち付けると中が激しく痙攣する。
「あっ、あっ、出る…っ!無理、出る…っ!」
中の痙攣が運ぶ快感が強すぎて全身に鳥肌が立つ。情けない声を漏らしながらも腰が止まらない。
「やらぁ…とめ…とめちゃ…イキたぃ…」
シャムが俺の口に胸を押し当てるようにしがみついてくる。
「はっ、はっ、ご、ごめ…っ」
呼吸で何とか我慢して彼の胸を吸う。すると少し収まった彼の中の痙攣が再び巻き起こる。
もう我慢なんて出来るわけもなく、彼の胸を唇で挟んで引っ張りながら1番奥に力いっぱい突き上げる。
「ふぁあっ…イっ…」
奥に届いた俺のものをシャムはぎゅうっと締め付けながら、勢いよく射精した。
「あ"ぅ"っ…」
そんな締めつけに耐えられるわけがなく、あえなく搾り取られた俺は彼の中に吐き出してしまう。彼の上に重なるように身体を預け、肩で息をする。呼吸を整えると、興奮で真っ白になっていた思考に理性がじわじわと帰ってくる。
ちょっと待てよ…今、中出ししたくね…?
バッと上体を起こして状況確認をする。俺の下で焦点の合わない溶けたような目を細めて天井を見つめるシャム、彼の下半身に繋がったままの俺の下半身、服についた白濁液。どっからどう見ても有罪判決確定だった。
「ごっ、ごごごごめん!!大丈夫!?うわ、俺なんでこんな…」
彼の中からゆっくりと自分のものを引き抜き、ズボンにしまう。興奮で熱くなっていた俺の頭が一気に寒いくらい冷える。
彼は終始やめてくれと泣いていたのに、俺は勝手に入れてしまって出すまで続行した。どっからどう見ても強姦。地上なら犯罪者だ。
シャムを抱き起こして彼の頬を撫でる。
「えり…ぉ…く…」
とろっとろの表情に乱れた髪の毛でへにゃっと微笑む彼は、まるで恋人と楽しんだみたいな雰囲気で、今度は胸が締め付けられるような痛みが走る。彼にはあちこち締め付けられすぎな気がする。
「ごめん、勝手に…。嫌だったろ?怒っていいよ…?」
不安な気持ち半分、許されないかなって甘い考えが半分。恐る恐る尋ねると、彼は俺の胸元に顔を擦り寄せ目を閉じた。
「こんなの…初め…て…凄いね…」
笑顔を浮かべたまま彼はその言葉を最後にスヤスヤと寝息を立て始める。
えっ…やっぱり許された?許されてしまった?
浮つく気持ちを抑えて、俺はキョロキョロと周囲を見回す。とりあえず彼が着ていた服を裸の彼の身体に乗せる。俺の腕じゃ彼を着替えさせてあげられないが、とりあえず動かせるようになったなら早々に退散だ。
両腕で彼を抱き抱え、カーテンから顔だけ覗かせて廊下の様子を伺う。廊下には2人の男が巡回しているようで、今はまだこちらを見ていない。
隙をついて廊下から階段へ抜ける。幸い、足音を立てないのは比較的得意だ。階段を降りると、1番人間が多いフロアにたどり着く。見張りがあるまま正面から抜けるだなんて、そんなことは馬鹿でもしないだろう。
ふと、壇上を見ると踊り子のうちの1人が死んでしまったようでブーイングが飛んでいる。それに対応してるのは幸いなことに新入り狩りのアイツだ。
シャムを抱えたままフロアを抜ける。アイツが気づく前に出られれば逃げ切れる。
「おい、それ踊り子か?独り占めとはいい度胸だな」
出口を前に肩を掴まれる。俺声を掛けてきた男に振り返り、睨みつける。
「これは俺の連れだ」
「ヤりました~って全身から出てる。そんなのが連れなわけねえだろ!」
徐々に声を大きくする彼に、俺は周囲を見回す。まだ新入り狩りはこちらに気付いていない。
シャムを抱いたまま、右腕の切っ先を男の腹に突きつける。男はその感触で初めて俺の腕に気付いたのか、青ざめて後ずさる。
「ひっ…もしかして…リーサル…」
「分かったらどっか行け」
眉をしかめて顎で会場を指すと、彼はこくこくと頷いて引き下がった。
何とか新入り狩りもこちらに気付かなかったようで、無事に会場を抜ける。しかし、新入り狩りを騙すということは、そのバックについた勢力も敵に回るということだ。
恐らく、あの新入り狩りは俺が逃げることを前提に今回のことを仕組んでるはずだ。これは数日以内にでも引っ越さないといけないだろう。
シャムを抱き抱えたまま家へと走る。その日、シャムの意識は戻らなかったので、家の狭いベッドで全裸の彼と一緒に寝ることになった。
朝、いつも通りの時間に目が覚める。シャワーを浴びて用を足してダイニングに戻ると、いつの間に目覚めたのかシャムが服を着て窓の外を見ていた。
「あっ、お、おはよ…」
果たして俺から声をかけていいものなのか分からないが、無視も感じ悪いし嫌なので、おずおずと声をかける。
「あっ…」
俺の声に振り返ったシャムは丸い瞳でじっと俺を見るが、それだけでは彼が何を考えているのかは判断できない。
「えっと…おはよう」
困ったように眉を八の字にして彼は微笑みかける。なんだか恥ずかしそうに視線を泳がせながらもじもじと手を弄りつつ彼は呟く。
「き、昨日…ごめんね…助けに来てくれたのに…あんなこと…」
「え!?いや!俺こそなんて言うか…後半は本当に申し訳ないというかなんと言うか…」
正直めちゃくちゃ楽しんだ。もう忘れられないし、あの思い出をオカズに100回は抜けるが、シャムはそうじゃないだろう。
彼は俺が俯いて手持ち無沙汰に頭のてっぺんの髪をいじっているのをじーっと見つめると、ふふっと笑い声を漏らして目を細めた。
「…どうだった?」
「はえっ!?」
シャムは頬を赤く染めて恥ずかしそうに下を向く。
「えっと…なんて言うか…僕1人で楽しんじゃってたんじゃないかって思ってて…だからその…」
「あっ、そ、それはその…」
モジモジしているシャムが可愛い。彼の様子に俺は笑みを作りながら目を泳がす。髪を弄る手が無意味に緊張で早くなる。
「きっ、気持ちよくて…大分たのしかった…です!楽しみました!すみません!シャムが可愛かったです!」
開き直って声を大にして謝罪する。頭を下げて謝ると、シャムも楽しそうな笑みを浮かべたまま真似して頭を下げる。
「助けに来てくれてありがとう。なのに、恥ずかしいところ沢山見せちゃってごめんね」
彼は少し顔を上げて悪戯っぽく目を細める。
「お互い様…ね?」
俺は彼の言葉に顔をあげる。これは女神だ。強姦を「お互い様」で許してくれるのは女神以外何でもない。
「ありがとう…!これからも、仲良くしてほしい…」
彼の手を握って安堵の笑みを浮かべる。安心で胸がスッと晴れた。
「…あ!そうそう、今日は朝飯食ったら引越しの準備をしようと思うんだ」
安心した瞬間に思い出した今日のスケジュールを発表する。
彼を朝食に誘おうと思って手を繋いだまま食卓へと招く。
俺に手を引かれるままシャムはテーブルまで歩いてくると、椅子を引いてそこに腰を下ろした。
「…引越し?」
彼がテーブルにつくのを確認し、俺は食品棚から2人分の今日の朝食を選び、それを持ってテーブルに座る。
「はい、これシャムの」
彼の目の前に缶詰を差し出す。
シャムは差し出された缶詰と昨日置いていった缶詰を交互に見てから、昨日置いていった方の缶詰を指さした。
「自分のあるよ…?」
「いいよ、とっとけ。今日はあげる」
俺も彼の正面に座って缶詰を開ける。 缶詰を開くと、肉の良い香りがした。
無償に施すなんて、どんなに好きな相手だろうとやるべきではないのだが、俺的には強姦を許されたのは大きな借りだ。彼はそう思っていないだろうが、それを食料で地道に埋めさせて貰いたい。
何よりやっぱり気持ちよかったし、楽しかったし。やっぱりお礼はしたいよね。
「そうなの…?ふふっ、じゃあありがたく貰っちゃうね」
彼は不思議そうに首を傾げたが、柔らかく笑うと受け取った缶詰の蓋を開けた。
「でも、どうして引っ越すの?ここもいい所だと思うんだけど」
鯖の味噌煮をつつきながら彼が尋ねる。
「昨日の一件で新入り狩りが悪さしそうなんだ。新入り狩りを殺したり、大怪我をさせるのはバックについている組織の関係でリスキーだ。だから、争いになる前に身を隠そうと思って」
フォークで缶詰の中身をほじる。フォークに絡ませたそれを口に運んで食べるのを彼はじっと見つめている。
『新入り狩り』たちはこの街の最大勢力である『バビロン』の配下にあたる。バビロンはこの街を牛耳ってるギャングのようなもので、暴力にものを言わせて中央部を支配している。
性的なエンターテインメントを中心に提供し、それを元手に物資を巻き上げている。道端に縛り付けられた肉便器たちもバビロンの出し物で、何も知らずに使うと後で対価をせびられるので大変な目に遭う。
バビロンの言うことはこの街の絶対で、逆らえば多勢に無勢で死ぬまで搾取される。この街はそういう仕組みで成り立っていた。
「そ、そっか…ごめんね僕のせいで…」
責任を感じているようで、彼は申し訳なさそうにしゅんと肩を竦めてしまう。俺はテーブルに頬杖をついて、彼の顔を覗き込んで笑った。
「代わりに3人救ったんだろ?お前も無事だから、もうそれでいいよ」
「…みんなエリオくんのお陰だけどね。ありがとう」
少し肩の荷が降りたように微笑んだ彼は、手元の缶詰から最後の1切れを口に運ぶ。
あの3人はどうせ助ける価値もないようなゴミクズだっただろうが、そんな彼を見ていると気分が良くなる俺もチョロい。缶詰を完食し、ゴミ箱に放る。フォークを洗って布で拭いた。
「引越しするから荷物まとめつつ、次の家探さないといけないんだ。良かったら俺が家探してる間に荷物まとめて貰えないかな?」
テーブルから立ち上がりながら彼に微笑みかけると、シャムはなぜだか嬉しそうに自分の胸をドンと叩いた。
「まかせて!片付けは…あんま得意じゃないけど…お手伝いなら!」
笑うシャムはいつでも可愛いが、今日も可愛い。
俺は彼の言葉を聞きながら、キッチンの下にある棚から袋やダンボールを引っ張り出す。ダンボールをダイニングに運んで組み立て、それを食品棚の傍に置いた。
「じゃあ、任せた。これに食品詰めて欲しいんだ。一応、この街では資産だから大事にお願い」
「うん、任せて!大事にしまうね!」
彼は棚にしまわれた大量の缶や瓶をひとつひとつ手に取って丁寧に箱へ移していく。
「あ、これお手伝いの報酬ね。良かったら貯蓄するなり、食べるなりして」
棚から缶詰を1つ取り出して、彼が自分の分としてテーブルに避けてあった食料に詰んだ。
「え、いいよそんな!だって僕のせいで引っ越すようなものなのに…受け取れないよ!」
彼は慌てて俺が詰んだ缶詰を取って俺に返そうと後を追ってくる。
「いーから!お前も多少持っとかないと、俺がいない時になんかあったら大変だろ?多少あれば命乞いする機会くらい貰えるだろうし、報酬貰う文化に慣れといた方がいい」
追いかけて来た彼の身体を180度回転させて食品棚へと優しく追い返す。
シャムは少し不満げに眉を顰めてから観念したように眉尻を下げた。
「もー…エリオくんが甘やかすから僕はいつまで経ってもここの文化に馴染めないかもよ?…でもありがとう。そういうことなら受け取らせて貰うね」
「そうしてくれ」
彼と笑いあってから俺は革ジャケットを羽織る。昨日のコートは昨日のお楽しみの跡がいっぱいついてしまってて、絶賛洗濯&乾燥中だ。
「誰か来ても開けなくていいし、寧ろ常に留守でいてくれ。静かにいないふり!おっけー?」
玄関で靴を履き、つま先を床にとんとんと叩きつける。
「そうなの?それで大丈夫?」
そう言いながら彼は見送ってくれるのか玄関まで着いてきた。居留守に罪悪感を抱けるくらいまだ彼が純真なままなのが嬉しくもあり、不安だ。
「大丈夫!シャムはめちゃくちゃ可愛いから、見つかったら危ないの!胸に刻んで!」
「エリオくんは僕のことちょっと過大評価し過ぎだと思うんだけどな…?気持ちはとっても嬉しいけどね」
はにかんだように微笑む彼の胸を指先でとんとんとつついてニヤりと笑う。玄関の戸を開けて、俺は外に出た。
「ノックはゆっくり3回する。それを3セットやったら鍵開けて。内鍵は5つ付けてあるから、絶対他の時は開けんなよ」
「わかった。ゆっくり3回を3セットね」
シャムはおっとりとした顔をキリッと引き締めてうんうんと頷いた。
「うん、じゃあまた後で」
彼に手を振って俺は家を出る。
「行ってらっしゃい」
彼の声に振り返ると、玄関から顔を覗かせたシャムが可愛らしい笑顔で手を振っていた。俺は立ち止まってそれをポカンと見つめる。
うわ~、なんか嫁にもらったみてえ~。全然付き合ってないし、相手は俺に全く気なんてないだろうけどキスしてえ~。
思いの丈を全てを全て飲み込んで手を振り返す。
「いってきます!」
アパートの階段をかけ下りる俺の足取りは軽い。
1人で長いこと暮らしていて、こうやって誰かに見送られるなんて日が来るとは思わなかった。大分ひとりぼっちも慣れたものだと思ったが、やっぱり心が満たされているのは間違いなかった。
シャムの純真さは擦れた生活ばかり送っていた俺にとって、オアシスであり救いだった。誰も信じちゃいけないのだと、荒みきっていたのに、そんな世界とまるで無縁な性格の彼を見ているとうんと昔に戻った気持ちになる。
こんな街にいるべき人じゃないんだろうなとは思う。だけど、俺に出来ることは彼をここで守ることくらいで、他に出来ることは何も無い。
そもそも、大量殺人鬼としてこの街に落とされた俺はラプラス認定の危険人物だ。俺がこの街を出られる日は来ない。
シャムに留守番を頼んで新しい根城を求めて郊外を練り歩く。中心部はバビロンに属するチームが多く住んでいるから、絶対に近寄りたくない。彼らは俺にツケを払わせるなんて名目で絡んでくるだろうし、シャムを狙っているのは考えなくても分かる。
安全で手近な場所を探したが、今日はイマイチ良い場所が見つからないまま日が落ちてしまった。
真っ暗な帰り道、とぼとぼと歩いて家路に着く。昨日怪我した足が痛むし、ちょっと歩き疲れた。
アパートの部屋の前に立ち、トントントンとゆっくりノックする。間を開けてそれを更に2回繰り返すと、ガチャガチャと内鍵を開ける音の後玄関扉が開かれてシャムの嬉しそうな笑顔が視界に飛び込んだ。
「おかえりなさい」
はあ~キスしてえ~。頭の中でそんな煩悩を浮かべながら俺は笑う。
「ただいま。何事もなく?」
「うん!」
彼に招かれるままに部屋に上がり、靴を脱ぐ。
ジャケットを脱いで椅子に引っ掛けると、そのまま食品棚へと向かった。
棚は3分の2ほど片付いており、まだ仕舞われていない部分から缶詰をチョイスする。
「すごい片付いてんじゃん!今日の晩飯何にしよっか?頑張ったし、なんか好きな物…」
話しながらシャムに振り返ると、彼は玄関扉を開いたまま少し身を乗り出して何かを見ているようだった。
「なしたの?」
シャムを後ろから覗き込む。彼の視線の先には、少し前からこの辺りに住み着いている物乞いの男がシャムと見つめ合うように座り込んでいた。
「あっ、お前…また来やがったのか」
男に睨みをきかせると、彼は怯えたように身をすくませる。
「す、すみません…!食料が欲しくて…」
「何度来てもお前にやる食料はない。早く立ち去れ」
右手の銃口を彼の頭に向けると、怯えたように彼は頭を覆って蹲る。
「まってエリオくん!この人困ってるの、少しだけ分けてあげようよ?」
シャムは俺と泥棒男の間に立つと悲しそうな顔で俺の右手を下ろすように手を添えた。
「でも…!コイツは自分でゴミ拾いすらしないで人にせびってばかりの怠け者だぞ!」
「お腹が空いてゴミを拾いに行くことも出来ないんだって、だから少しだけ。そしたら今度は自分で頑張れるって…ね?」
シャムが男に微笑みかけると、男はブンブンとすごい勢いで首を縦に振る。
「あげるのは僕の持ってる分からにするから…それでもダメ…?」
じっと潤んだ瞳で俺の目を見つめてくる彼に俺は下唇を噛む。
お腹がいっぱいになったら頑張るだなんて絶対嘘だ。コイツが頑張る日なんかない。頑張らないから毎日物乞いして回ってるんだ。
「…俺は…お前が騙されるためにあげたわけじゃ…」
そこまで言うと、シャムは泣きそうな顔をしだす。そんな顔をされると困る。泣きたいのはこっちだ。
「…金輪際、二度とコイツに渡さないなら…」
「…それなら、いい?」
確認するように俺の顔を覗き込むシャムに俺は口を尖らせて目をそらす。
「絶対だぞ」
「ありがとう!やっぱりエリオくんは優しい。待っててね、今食べるもの持ってくるから!」
嬉しそうにシャムは男に声をかけると、自分の食料をしまったダンボールに缶詰を取りにその場を離れる。
その間、俺は男に殺意の念を目線でひたすら送り続けた。
「お待たせ。これで明日は頑張れる?」
シャムは男に缶詰を3つ差し出す。
魚2つに貴重なフルーツ缶だ。俺はシャムに食べて欲しくて渡したのに、なんでそんなフルーツ缶まで渡してしまうんだ。
湧き上がる憎悪を全身から放ちながら男を睨むが、やはり図太いらしく男は俺に見向きもしない。いつか殺してやりたい。
「い、いいんですか…?」
「うん、困った時はお互い様だから。明日から頑張ろうね!」
あの天使のような彼の笑みを物乞い男に向けると、男は目を潤ませて何度も頷いた。
「ありがとうございます…ありがとうございます…」
立ち上がり、彼はその缶詰を手にアパートの階段を駆け下りていく。少し遠くで彼は振り返ると、またシャムに礼をして去っていった。
「あんな走れるもん。絶対動けないとか嘘だもん」
腕を組んだまま俺は口を尖らせて俺は文句を垂れる。
「でもほら…あのゴミ山とっても歩くの大変だし、それにあの人すごく痩せてたでしょ?」
シャムは俺の手を引いて部屋の中へと戻ってきた。彼に促されるままに部屋に戻り、玄関の内鍵を厳重に締めた。
「シャムは優しすぎ。あんな無償に施したら絶対食い物にされる。お前の食料ほとんどなくなっちゃったじゃん」
「エリオくん程じゃないよ?僕ならあそこまで拾いにいけるからまだまだ心配ないから大丈夫!」
シャムが1人でゴミ拾いに行くなんて、攫われるか犯されるか、粗大ゴミに潰されて死ぬかの3択しか浮かばない。
俺はため息を吐いて首を横に振る。
「ダメダメ!外出は絶対に俺同伴!お外に1人で行かせません!」
「もー過保護だなぁ、そんなに心配しなくても大丈夫なのに」
相変わらず柔らかい笑みを絶やさない彼は俺の心配を他所にくすくすと小さく笑った。
その後は2人で夕食を取った。飯はもちろん俺のをあげた。シャムの資産なんかほとんどないのに、放っておけるわけがない。
シャムに先にシャワーを浴びて、あとから俺もシャワーを浴びる。ベッドに座って上半身裸のままでいつものように頭を拭いていたら、後ろからタオルを取られて振り返る。
「片手じゃ拭きづらいでしょ?やろうか?」
タオルを両手で持ったシャムは俺の答えを待たずに、それを再び頭にかぶせてわしゃわしゃと優しい手つきで拭き始めた。
あ~なんだこれ、至福じゃない?目を細めて彼に身を委ねてしまう。
さっきまで物乞いの一件が忘れられなくてイライラしてたのが、どうでもよくなる。今めちゃくちゃ幸せだから、なんかもういいかなって。
彼が来てからまだ3日だが、俺は完全に彼が好きだった。紛れもなく好きだし、多分初恋だ。今更こんな場所に来て恋する機会なんてあるもんだなと逆に感心する。
「…シャム、誰にでも優しすぎない?」
タオルで頭を拭かれながら、ちらとシャムに振り返る。
「え、そうかな?そんな事ないと思うけど…それを言うならエリオくんだって優しすぎになっちゃうよ?」
冗談っぽく笑う彼は相変わらず最高に可愛い。
「俺が優しいのは…シャムにだけだよ」
「そうなの?ふふっ、ありがとね」
もごもごと口ごもる俺にシャムは意に介する様子もなく、優しく右から左へ受け流す。まるで近所の子供に告白されたお姉さんのようだ。悔しい。
「ねえ、俺がシャムのこと好きで、今すぐキスしないと死ぬってなったらキスしてくれんの?」
もうヤケになってめちゃくちゃなことを言ってみる。
「死んじゃうの?それならキスしちゃうかなぁ…エリオくんに死なれちゃったら悲しいからね」
髪の乾き具合を確かめるように時々髪に触れながら、シャムはふわふわとした可愛らしい声で笑って答えた。
「じゃあ、キスしないと多分俺死ぬよ。シャムのこと好きだもん」
冗談交じりにストレートに伝える。まあ、この様子じゃ俺のことなんかまるで意識してないんだろうし、この先も多分ないだろ。俺の初恋終了。お疲れ様でした、はい解散。
「…本当に僕でいいの?命にかかわるそんなに大事なキスなのに」
彼は俺の頭にタオルをかけたまま覗き込むように顔を寄せてきた。丸い瞳と優しげに微笑んだ口元で、彼は俺の答えを待っている。
「えっ?いや、好きなのはシャム以外いないし…」
てっきり「大袈裟だなあアハハ」みたいなノリで流されて終了だと思っていたので、面白い返しが咄嗟に出てこない。尻すぼみになっていく言葉でぼそぼそ思ったことをそのまま伝えた。
すると彼は目を細めて、静かに俺に顔を寄せてくる。
突然のことで脳の処理が追いつかず、目を開いたまま彼の行動をガン見する。
彼は俺の額に唇を寄せてきて、頭にかかっていたタオルの上から額にキスを落とされた。
「まだ足りない?」
ニコッと悪戯っぽく笑った彼に俺は下唇をを噛み締めて1度上を向いて深呼吸する。
危ない、今また強姦一直線だった。からかわれてるだけならマジで嫌われる。
気持ちを落ち着けて、その場に正座してシャムに向き直る。
「く…口じゃないと…死ぬので、唇にしてもいいでしょうか!」
どこを見たらいいか分からず目線を泳がせていたが、途中で腹をくくって彼の目を見つめる。
顔に熱が集まってて、真っ赤になってるのが自分でも分かるから恥ずかしい。
「…うん、いいよ」
そう答えた彼は先程の悪戯っぽい笑みから打って変わった、照れたような赤い顔で俺から少し視線を逸らす。
その様子に心臓がバクバクする。会ってまだ3日で、成り行きで寝てしまって、そんで好きですって冷静に考えたら酷い流れだが、本当にいいんだろうか。
俺は彼の顔に静かに顔を寄せる。顔を傾けて薄く目を閉じるも、ドッキリでしたなんてオチがあるのではと警戒して止める。
シャムは俺をじっと見つめていた瞳にゆっくりと瞼を下ろした。
ああ、これ本当にしていいんだ。そんな気持ちに背中を押されて彼の唇に自分の口を押し付ける。
触れるだけのキスをして、離れようとしたけど惜しくなってまた重ねる。
彼の下唇を俺の唇で挟んで食べるように味わう。そのまま彼の腰に腕を回して抱き寄せ、彼の唇の隙間から舌を差し込んだ。
「んぅ…!?」
彼の驚いたような小さな声が耳をくすぐる。
抱き寄せられる腰に合わせて、彼の手が肩に添えられていた。
戸惑うような唇は俺を拒まず、俺に判断を委ねるかのように唇の力だけがスっと消えた。
そのまま彼の口の中へ舌を入れ、彼の歯を舐め、舌を撫でる。
彼の舌は俺に答えるように絡みついて、甘くふわふわとした快感を俺に運んだ。
唾液を絡ませ合って、我慢していた分を取り戻すようにひたすら彼の唇を貪った。何度も何度も長いキスをしては、呼吸を挟んでまた唇を塞ぐ。長いこと続けているうちに興奮で身体が熱くなり、ズボンの下で自分のものが酷く膨張し始めていた。
「…っ、シャム…」
口を離して彼の顔を見つめる。
シャムの赤くなった頬はほんのり汗ばみ、半開きの唇からは熱い吐息をこぼす。
潤んだ瞳を覗き込むと、赤くなった顔で真っ直ぐ彼を見つめる俺の顔が映りこんでいた。
もう一度、彼の唇に触れるだけのキスをする。そのまま額に落とし、頬へ、首へと唇を下へとずらす。鎖骨を舐めて吸い、開いた服の胸元へスライドさせ、昨日の余韻でかまだ少し膨らみが残る彼の胸へと落とした。
乳首からそう遠くない位置にキスをして、舌を這わせた。
「エリオくん…僕、その気になっちゃう」
困ったように小さく笑いながら、彼は身をよじらせて俺を胸から遠ざける。
「…その気にさせたいって言ったら怒る?」
恐る恐る彼の表情を伺いながら尋ねる。左手で彼の胸をふにふにと優しく手のひらで揉む。手に触覚がなくても、彼の胸が女の子のように柔らかく膨らんでいるのがなんとなく分かった。
「怒らないって本当はわかってるんじゃないの?」
彼は俺の手を引いてゆっくりベッドへ倒れ込む。
少し恥ずかしそうに、なのにどこか期待したような顔で俺を見上げる彼のジャケットのファスナーを一番下まで下ろした。
ぷっくりと濃い桃色の先端は触らなくてもわかるくらいに固く上を向いて、それを中心に柔らかそうな白い肌はほんのりと膨らみを帯びている。
目の前の彼はやっぱり女の子なんじゃないかという錯覚を頭が起こし始めるが、それよりも早く彼のその胸に触れたくて、彼に被さって片方の胸を口に付ける。舌で絡めてこねなが、左手の指や手のひらで反対側も弄る。
「んっ…はあっ…エリオくん…」
ぴくぴくと小さな反応を返しながら彼は吐息に混ざった細い声をこぼす。
「名前…呼び捨てがいい」
彼の胸を指で摘んで優しく引っ張る。彼の口の端に何度もキスを落とし、俺は小さく笑う。
「なんか…くん付けだと俺が幼稚園児に戻った気持ちになるから…恥ずかしい」
彼の目を覗き込んではにかむと、潤んだ瞳を手で隠しながら唇だけを覗かせた。
「っ…り…エリ…オっ…」
微かに届いた彼の声が恥じらいを滲ませてて可愛い。
「もっと呼んで」
可愛すぎて更に要求してしまう。彼の胸に口を戻し、手を休めずに吸い上げる。
股間が張って辛くなり、思わず腰が動く。それが彼の膨らんだ局部に擦られて身体が痺れるように気持ちいい。
「ふぁ…あっ…エリオっ…舌…好き…」
胸に埋めた俺の顔を押し付けるように抱き込んで、俺と擦り合うように彼の腰は微かに浮き上がる。
彼に引き寄せられるままに胸に軽く歯を立てて口の中で転がす。コリコリと固くなった先端を舌で押し込むと、身をよじらせて甘い声を漏らした。
腰を落として彼の股にするように動かす。布越しにもどかしく擦り合うそれは尚更興奮を誘った。
「シャムかわいい…」
興奮で徐々に白くなる思考で呟き、彼の胸に息がかかる位置で囁いた。彼のズボンに手をかけて、下に引っ張ると、シャムは脱ぐのを手伝うように腰を浮かせてくれた。
彼を脱がせて俺もファスナーのないズボンを脱ぎ去る。
「…四つん這いになってもらってもいい?」
「これ…お尻突き出すみたいで…ちょっと恥ずかしいな…」
恥じらいながら向けられた彼の尻に指を這わせ、唇を寄せた。穴の表面を丁寧に舐め、ふやけて来たそこに優しく指を入れる。まだ受け入れることに慣れていないそれの入口に指で隙間を開け、舌をねじ込んだ。
「はぁっ…うう…くすぐったい…」
相変わらず舐めて柔らかくなってくると、中から彼の体液が漏れだし、それを吸うと下品な音がしてしまう。
音が嫌だと言っていたシャムは首だけでこちらを振り返って、困ったような顔で潤んだ目を向けてくる。音を立てるのはやめた方がいいんだろうと思いつつ、そんな顔をされると興奮してやめたくなくなってしまう。
舌で解す間に彼の前を左手でもどかしく撫でる。もどかしくしたいつもりはないのだが、この体勢だと触りにくかった。反省。
「それぇ…ゃん…」
ぴくぴくと体を震わせて、もどかしくされるのが辛いのか俺の手から逃れるように腰を揺らす。
「なんかそれ…逆にそそられるんだけど…」
揺れる彼の腰を肩で押さえ込んで前を撫で続ける。
舌で彼の中を舐めて、出し入れがスムーズになるまでしつこく解す。舌に伝わる彼の体温が熱くなっていくのが可愛くて、執拗に彼がよがる場所を舐め続けた。
「エリ…オ…」
腰を浮かせたままシーツに沈ませた上半身を少しだけ起こして、彼は催促するように名前を呼んでくる。
舌を入れていた場所に金属の指先を入れる。
熱い彼の中に急に冷たいもの入れられて、少し驚いたように「ぁぅ…」と鳴いた。
「冷たくてごめんね」
毎回自分の義手を恨む。痛覚が芯の部分にしかないのは嬉しいが、こういう場面に遭遇すると最低すぎる。いや、遭遇する機会があるとは思ってなかったけど。
執拗に舐めて解した穴はヒクヒクと物欲しそうに小さな入口を開けていて指を2本入れてもすんなりと受け入れる。
「中ちょっとまだキツいね、痛くない?」
舌が届かなかった場所まで指が到達すると、奥に強い圧迫感があって、押し込むと中が開いていく感覚がする。
「痛く…な…きもちっ…」
彼が好きな場所を指先でとんとんと弾く。分かりやすく身を跳ねさせる姿を見ながら、指先で中を掻き回し、徐々に速度をあげる。
「あっ…やんっ…かき…まわしちゃ…やめっ…!!」
「かわいい…」
興奮でぼんやりしてくる頭が、目の前のシャムがかわいいってことしか処理してくれなくなる。うわ言のように呟きながら、指を増やして激しく中を出し入れさせる。
掻き出すように指を出すと彼の体液が滴るほど指にまとわりついてぐじゅぐじゅと音が鳴る。この音を聞いてると、やっぱりブレーキが緩み始めてやめられない。ずっと続けたくなってしまう。
「シャムかわいい…すごいかわいい…」
手を休めずに彼の背中にキスをして、彼の肌を舐めた。鳥肌の立った彼の肌は、少し汗ばんでいてしょっぱいのに甘い香りがした。
「ひぁあっ…やっやあっ!音っ…だめっ…!」
「なんで?すごいかわいいよ…」
語彙力が崩壊してて、頭に浮かび上がる感情が上手く言葉にならない。より大きな音が鳴るように空気を中に含ませて掻き回す。
頬に伝わる彼の体温が暖かい。
「はぁっ…!ぁぁいやっ!ゆう…してぇ!」
じたじたと足をばたつかせて逃げていく彼の腰を右腕で怪我をさせないように掴み、追いかけるように身体を寄せる。
「ううっ…はぁっ…も…も…イきたいっ…のっ…おね…が…エリオ…っ」
逃げられないとわかったのか抵抗をやめたシャムは、身を隠すように上半身をシーツに押し付けてせり上がった腰をビクつかせながら強請り始めた。
彼の様子に飽和してた脳みそに、俺が無意識にシャムを焦らしていた疑惑が浮かび上がる。これは可哀想なことをしたのでは?可哀想なシャムは可哀想可愛いから可愛い。
「ご、ごめん!」
彼の中から手を引き抜いて上に覆い被さる。シャムの背中に自分の胸を密着させ、自分のを彼の入口に押し当てる。
胸から伝わる彼の体温がすでに気持ちいいのに、体内へ入るとさらに気持ちいい。先程までしつこく中を掻き回していたせいか、中に空気が残っていてやっぱり下品な音が鳴ってしまう。
こんなに可愛いシャムから下品な音がするっていうギャップが凄すぎて、入れた自分のがますます膨張するのが分かる。
「んんっ…はぁ…ううっ音…なってごめ…なさ…」
耳まで真っ赤に染めたシャムの横顔から相当恥ずかしかったという彼の心情が伝わった。
音がなったのは控えめに言って9.8割くらい俺のせいなのだが、もう可愛いすぎるのでシャムのせいにしたい。恥じらう彼は最高に可愛い。
「いいよ、めちゃくちゃ気持ちいいし…シャム可愛いすぎて無理…」
根元まで彼の中に沈め、彼の首筋に顔を埋めて深く息をつく。意識して我慢しないと、中が搾り取るようにうねって熱い内側を目一杯押し付けてくるように締めつけるので、すぐ出てしまいそうだ。
彼の好きな乳首を左手の指でふにふにと摘んで捏ねる。弄りながら腰をゆっくり動かすと、やっぱりまだキツい中身が抜かれるのを惜しむようにまとわりついてくる。
「っは、はっ…シャム…」
呼吸をしながら彼のうなじを舐める。
「はぅ…むね…すきっ…」
乳首をこね回すと彼の足から力が抜けていくようによろけて、へなへなと腰が落ちていく。
彼の中から出たくなくて、落ちていく腰を追いかけるように押し込む。完全にベッドに寝そべってしまった彼の中に真上から落とすように中を押し込むと、ただでさえキツい彼の中に壁のように閉じた場所に当たる。
「な、何これ…?」
困惑しながらも興味が沸いて、その狭まった場所をグリグリと強く押す。昨日も、さっきまでもこんな場所に行き着かなかった気がするのに、不思議だ。
「…っひぁ!?」
突然シャムが高い声でビクリと体を大きく跳ねさせた。
「痛い?」
そう言いながらもその狭く閉じた箇所にグイグイと自分のものを押し付けると、息を吐くのも忘れたようにひいひいと鳴きながら彼の足がブルブルと震える。
それは何だかとても気持ちよさそうで、なんなら中も彼がイきそうな時に起きた痙攣に似た動きを見せていた。
「嫌だったら…言って…」
先に果ててしまわないように呼吸を整えながら奥へ強く押し込む。狭まったそこはじわじわと道を開け、俺の侵入を少しずつ許してくれる。
少し進んだところで、一度腰を引いて、一気に一番奥まで力いっぱい押し込んだ。
「いっ…きゃぁ…!!」
彼は上半身を大きく反らせ中はぎゅうっと強く俺を締め付ける。
シャムは涙目で舌を垂らしてぜーぜーと荒く呼吸をしながらへなへなと崩れてシーツに倒れ込む。
「気持ちいい?」
中が締め付けてくるのが気持ちよくて、彼の乳首を左手で軽く引っ張りながら腰を振る。徐々に速度を上げていくと、中で熱とヌルヌルとした体液が絡みついてふわふわとした内側が抱きしめるように俺のものを包み込む。
「あっ、きもち…やば…っ」
快感で頭が回らなくなり、思ったことが荒い呼吸に混ざってこぼれ落ちる。
先に出さないようにと思っているのに、気持ちよすぎて腰を止められない。夢中で下で倒れている彼に腰を叩きつけて、中を抉るようにかき混ぜる。
「あ"…だめ"…くらくら…する"っ…!」
下で呻くように泣く彼の口から苦しそうな声が漏れ、助けを求めるかのように腕は前に投げ出されている。
彼の胸を揉みながらひたすらに腰を打ち付けていると、中が酷く痙攣する。
「ん"ぅっ…!」
まだシャムがイッてないのにイくわけにいかない。歯を食いしばって堪えると、シャムの中は一瞬締め付ける力が弱くなる。
「らめ…も…むいなの…」
泣いているようにも聞こえる彼の中で自身のものを動かすと再びキュッと縋るように中が絡みついて離したがらない。
「ご、ごめ…シャム、イけるようにするから…」
呼吸を整えてクールダウンさせ、再び一番奥へと押し込む。
右腕を彼の腹に回して腰を持ち上げさせると、さらに奥に入り込むのが分かった。
乳首を摘んで、さっきよりもつよく引っ張る。引っ張ては離し、指先で弾いて強めの刺激を与える。
「や"っ…それ"っだめっ…へん…なる"っ」
彼に沈めた先端が食いちぎられてしまいそうなほど狭まった部分が締め付けて離さない。
最奥の行き止まりを押し広げるように突きつけると、頭が真っ白になりそうなくらい先端をぎゅうぎゅう締め上げる。
「う"っ、あっ、やば…なに、これ…っ」
あんまり気持ちよくていよいよ爆発しそうだが、まだシャムはイってないだろうし、ここで暴発させるわけには…。呻きながら最奥をズブズブと突き上げ、抜いて、緩急をつけるように一気に押し上げた。
「はっ、はっ…」
快感で何も考えられなくなって、ひたすらシャムの乳首を引っ張りながら最奥に腰を叩きつける。身体がぶつかる音が部屋に鳴り響いて、それに混ざってシャムの悲鳴のような声が聞こえた。
「はあっ…やっ…ま、たっ…イぎゅ…っ」
彼の悲鳴と共にまた中が大きく痙攣して、それを耐えようとしたが仕上げのようにぎゅうっと締め上げる。
「うあぁっ、む"り"っ…」
我慢が効かずに中で勢いよく射精する。どくどくとシャムの中に注いだそれは、我慢しすぎて絶え間なく出続ける。漏らすようでなんだか恥ずかしかったが、それは長い快感と余韻を運んできて最高に気持ちいい。
「はっ、ぁっ…ごめ…気持ちよすぎて…出た…」
シャムの背中に被さるように倒れ、彼の腰に腕を回す。熱くなった彼の背中が気持ちよくて、止まらない射精を感じながら頬を擦り付ける。
「い、イけてないとかない…?気持ちよかった…?」
シャムを抱きしめたまま背後から尋ねると、彼はぴくぴくと小さく体を痙攣させるだけで何も答えない。
えっ、無視するほど酷かった?あんなに優しいシャムが無視ってそれもう下手の極みでは?
「えっ、ごめん!ごめんね!俺、下手すぎ!?」
焦って起き上がり、彼を仰向けに転がす。
仰向けになったシャムは力なく腕をシーツに投げたして、半分気を失ったような焦点の合わない目を細めている。
彼の腹部には1度とは思えない量の白濁液が散らばって、力が抜けてしまったかのようにぴくぴくと小さな痙攣を繰り返す。
これは…逆に凄く良かった時のやつでは…?思い上がりかもしれないが、少なくとも下手すぎて萎えた風には見えなかった。
「…付き合ってくれてありがと、おやすみ」
思わずニヤける顔で、呆けた彼の口にキスをする。裸のまま並んで横になり、毛布を被る。抱き枕のように彼を抱き込んで寝たら、久しぶりの人肌を感じながらの眠りは最高に幸せだった。
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