天底ノ箱庭 白南風

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6章

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3.ヴィクトール視点
ベロアによるパルクールレッスンを得て、別荘から実家に戻った。車の中で爆睡する子供たちをそれぞれの部屋に運び、自室にベロアと2人で戻ろうとしていると偶然にもばったり俺の父親と出くわす。
彼の周りには珍しく誰もおらず、俺たちを見て元からしわの寄った眉間にさらに深いしわを刻む。
「…どこへ行くんだ?」
父親が発した言葉の意味が汲み取れず、俺も眉をしかめる。
「どこって…部屋に戻るだけだけど」
「じゃあ、時間あるな。ちょっと付き合いなさい」
そう言ってから父親はベロアに視線を投げて不機嫌そうに見上げた。
「ベロアくん、君もだ」
「ヴィルが行くなら俺も行くのは当然だ。」
父親の不機嫌そうな顔に対して、何故かベロアはどこか誇らしげに鼻を鳴らしてニヤリと笑う。
父親はフンと鼻を鳴らすが、特に何も言わずに歩き出す。ちゃっかりベロアを「くん」付けで呼ぶあたり、何か心境に変化があったのだろう。父親は本来、認めた人間にしか敬称を付けない。犬なら尚更、有り得ない話だった。
父親に言われるがまま付いていくと、そこはリビングだった。家族バラバラで過ごすようになってからはめっきり来ることがなかったその部屋は、妙な懐かしさを呼び起こす。70インチのテレビと、その向かいに置かれた牛革のソファ。黒い木目のフローリングには白熊と呼ばれる生き物の毛皮の絨毯が敷かれ、隅には暖炉が設置されていた。
幼い頃には入ったはずだが、あまり記憶にない内装にキョロキョロと見回す俺を後目に、父親は一足先にソファに腰を降ろした。テーブルにはワインとチーズが置かれている。晩酌するつもりだったのだろう。
俺より先にベロアが父親に続いて、父親と間を空けてソファに座った。俺ばかりが立っているわけにもいかないので、遅れて俺も彼らの間に座る。
父親は予備のグラス1つにワインを注ぐと、それをベロアに差し出した。
「飲みたければ飲みなさい」
ベロアは受け取ったグラスの中身を確認するようにそれを少し揺らしてから匂いを嗅ぐ。香りを楽しむというよりは怪しいものを調べるかのようなその素振りの後グラスの中身を一気に飲み干し、ペロリと口の端を舐めた。
俺は高校生だから飲ませる気はないようで、もう1つグラスはあるが、ワインを注ぐ素振りは見せない。俺もワインは嫌いなので、別にいらなかった。
「…さて、本題に入るが、ヴィクトールを誘拐した者は捕まえたよ」
俺は無言で顔を上げる。父親はワインを一口飲むと、渋い顔のまま自分の腕時計を差し出した。
「私も不思議だとは思うが、数日前に差出人不明のメールが私宛に届いた。犯人特定に繋がる決定的な証拠写真の数々と、事件当時の動画が数点。何の文章もなくファイルのみ添付されて送られて来たんだ」
父親に差し出された腕時計には、俺が誘拐犯の野良犬たちにボコボコにされた後のベロアのヒーローショーが映し出されていて、俺は目を丸くする。
「俺だ。なんでだ?」
隣りにいるベロアが首を傾げる。父親は小さくため息をつくと、腕時計を下げた。
「分からない。色々と調べたものの、差出人はまるで分からない。目的も分からない。こんなに大量の証拠など、情報屋をいくら当たっても出てこなかった」
確かにそんな映像をどこから入手して、どうしてうちに、何のためにやったのかがまるで分からない。俺たちに恩を売るなら謝礼の1つでも要求しなければ勿体ない話だ。
そこまで考えて、ふと思いつく。俺たちに利になること難題を一方的に解決し、何の謝礼も必要なくしてくれる人間…1人だけ思いつく。
ラプラスだ。俺がボコボコにされたことを、彼は腹が立ったと言っていた。
「…ちょっと心当たりあるかも」
俺の言葉に父親はますますしわを深くして怪訝な顔をする。
「多分、それ俺の友達だ。めっちゃ賢くて、めっちゃ良い奴。だから多分、安心していいと思う。今度、お礼のメール送っとく」
「ヴィクトールの友人なぞ信じられんな。股を開いた人間からとか言わないだろうな?」
あからさまに疑る父親に俺は苦笑いする。まあ、今までの俺の人間関係を見ていればそうなっても仕方ない。
「それは違う。ヴィルはもう俺としかセックスしてない。俺が1番気持ちよくて俺ででしか満足出来ないって言ってた」
てっきり素直に弁解を申し出てくれたのかと思いきや、ちょっと余計な情報まで付けてベロアは自信満々に鼻を鳴らした。
勝ち誇ったような彼に父親は咳払いをすると、少し気まずそうにワインを再び口につける。
「…まあ、いい。わかった、信じよう」
俺とベロアの詳しい性事情など知りたくないのか、父親は早々に話題を切り替える。
「ベロアくんがいかに強いのかも、どれだけヴィクトールを大事にしているかも、動画を見てよくわかった。本当は犬になど息子を渡したくないが…」
そう言って父親は渋い顔のままベロアを睨むと、ベロアは「くれないと無理やり貰いに行くかもしれない」と困ったように首を傾げた。その様子に父親も釣り上げていた眉を下げて、深くため息を吐く。
「全く…君にまた息子を攫われても困る。それに、身分が違うとは言え、これだけ息子を大事にする人間を無視して別の人間とくっつけるほど、私も愚かではないよ」
意外な父親の言葉に俺は目を丸くしたまま父親を見つめる。俺と目を合わせると、父親はまた眉を釣り上げて、いつもの気難しい表情に戻った。
「犬と籍など入れたらあちこちで叩かれるし、それに乗じてブラウンシュヴァイクの評判を貶める輩が必ず出てくる。それでも、恐らくは経営に差支えはしないだろう。世間の冷たい声に、お前は耐えられるんだな?」
父親の言葉に俺は歯を見せて笑う。
叩かれるとか、悪く言われるなんて俺のネームバリューじゃ日時茶飯事だ。その数が増えて、ネットが炎上しようが所詮は負け犬の遠吠え。何も怖くはない。
「ベロアがいるなら大丈夫。ちゃんとやる」
父親は俺の様子を見て深くため息をつくが、彼は観念したように口元だけで笑った。彼の笑顔を見るのは、随分と幼い頃に見たきりな気がした。
「…わかった。許嫁の話はなしにする。自分の意思で決めたんだ。ちゃんとやり抜きなさい」
ベロアの方を見て、父親は首を傾げる。
「本当に任せて大丈夫なんだろうな?犬に出来ることは限られているし、お前が原因でヴィクトールが悪く言われることが増えるんだ。それをカバーできると言ってくれないと、ヴィクトールが良くても私が安心できない」
「ヴィルの敵は全員返り討ちにする。さっきの映像よりもっとすごい喧嘩はいっぱいしてきた。藤崎にだって負けないぞ」
彼は自信ありげに手のひらに拳をパンッと殴りつける。さっきのよりすごいってバウンティのことだろうか。あまりつつくと可哀想だから、今回は黙っておくことにした。
「君が言うと、物理的に敵を消し去りそうだ」
「わるいのか?」
「いや、それくらいでいい。安心だ」
何やら不敵な笑みを浮かべる父親をみて、ベロアも納得した様子で笑みを浮かべてソファに座りなおした。
俺からすれば何だか嫌な予感しかしない。この2人は俺が相手になると過激派になるあたり、もしかしたら馬が合うのかもしれないが、俺からすれば是非とも穏便にして頂きたいところだ。
「全く、ヴィクトールもわざわざ面倒な人生を行く。苦労しないようにレールを敷いたのだが」
ワインを揺らしながら、父親はグラスを見つめる。伏せた目で呟く父親はどこか安心したような、それでいて呆れているようにも見えた。
「レール?犬を殺させるのがヴィクトールのためだったのか?」
「ベロアくんは本当に痛いところを突いてくる。君は少し、配慮を覚えなさい」
悪びれる様子もなくテーブルに置かれていたチーズをひとかけ口に放り入れるベロアに父親はまた渋い顔をする。
「…別に殺すまでさせる気はなかった。それでも、犬に対して冷徹でいる方が私たちの家は生きやすい。犬は売り物。私たちが情を抱いて良いものではないからね」
ふうと父親は息を吐く。
「私の祖父は犬に優しくしたことで世間から冷たい声を浴びせられ、心を病んで自殺してしまった。私の父はその反動でか、犬に酷く当たる人だった。私はそれが嫌で…この家業を継ぐことに反発した時期があったよ。お前のようにね」
グラスに投げていた視線を父親は俺に向ける。相変わらず気難しい顔をする彼の表情は、俺には感情が読めなかった。
「じゃあ、なんで父さんは継いだんだよ」
「私がやめれば、別の人間が継ぐだろう。継ぎたい人間はたくさんいるが、今まで円滑だった経済には大きな動揺が広がるはずだ。そうなれば、多くの人間が変化に戸惑い、揺らぎ、金の流れに大きな影響が出る。もし、それが悪く働けば、私1人のせいで大勢が路頭に迷ってもおかしくない。私にはそれを見る覚悟がなかった」
そう言って父親はチーズを口に運ぶ。咀嚼する彼の表情はいつもと変わりはないが、言っていることはどれも初めて聞く内容だ。
父親の言葉はどれも分かる。俺が感じていたことそのままだ。継ぎたくないけど、継がないと大勢が困る。だから、継ぐことをバッサリと拒否できない。
「だから、ヴィクトールは幼い頃から犬は犬なのだと、物のように扱えと教えてきたはずだ。それが、いつもこそこそ会話をして影で彼らを人間として慈しむ。それは正しい行いだが、私たちの家では正しくない」
「…だから、あの愛玩用の犬を殺したのか?」
父親を睨む。ベロアの前にいた愛玩用の女奴隷は、俺の体調を崩す要因になったからと殺された。俺が父親から守らなかったからだと、ずっとずっと後悔してきた。
父親は俺をまっすぐに見つめ返す。彼は表情も変えずに口を開いた。
「そうだ。彼女だけでなく、お前が必要としなかったから捨てた少女もそうだ。お前がこの環境を当然とすれば、きっとこの先は悩まずに犬を犬として扱えるようになると思ったからだ。それなら、私が手本を見せなくてどうする」
そう言う言葉は力強かったが、先程父親の口から出てきた彼の生い立ちが頭をよぎる。
ずっと犬の扱いに違和感を覚えたまま家を継いだ父親が、本当に俺のためを思って手本として冷たく扱い、殺してきたなら…父親だって心を痛めたはずだ。
「でも、ヴィルはそうしたくないんだろ?無理強いするのは同意できない」
不意にベロアが口を挟む。俺と父親の視線を浴びながら眉間にシワをよせる。
「ヴィルが優しいから俺は救われたし、ヴィルも今とても幸せだって言ってる。それに俺もヴィルの考え方の方が好きだ。それでもダメだって言うなら俺は怒る」
父親を見据えたまま少し怒ったような顔で彼を睨むが、その口調は落ち着いているあたり彼も人間として成長してきているのだと感じる。前はすぐに拳が出たのに凄いことだ。
父親は肩を竦め、ベロアのグラスにワインのお代わりを注ぐ。
「もう強制はしない。するだけ無駄だ。野良犬を配偶者に選んだ時点で諦めたよ」
ワインボトルをワインクーラーに戻し、父親は膝の上で手を組んだ。
「だから、ベロアくんに息子を託すが、条件がある。絶対にヴィクトールを裏切ったり、失望させたり、もしくはヴィクトールを危険な目に合わせたりしないことだ。守れないとは言わせない」
「当たり前だ。そんなこと頼まれたってやらない。俺は全てをかけてヴィルを守る」
1点の曇りもない赤い瞳はまっすぐに父親に向けられた。迷うことなく答えたベロアは注がれたワインを、今度は躊躇いなく飲み干した。
父親の前で堂々と口説かれているようで、俺は少し照れくさくて顔を伏せる。こんな時、どんな顔をしたらいいか分からない。
「じゃあ、今からベロアくんは正式に息子の婚約者だ。乾杯しようか」
そう言って父親は少し笑ってグラスを手に取るが、ベロアのすでに空いたグラスを見てもう一度テーブルにグラスを置いた。再度、ベロアのグラスにワインを注いで改める姿は少し面白い。
「乾杯」
グラスを掲げた父親にベロアも真似してグラスを手に取る。
誕生日会の時に教えた通りに、父親のグラスに自分のグラスをカランと軽くぶつけた。
「乾杯だ」
そう言ってまたグラスに口をつけて勢いよく飲み始めたベロアの手を引っ張って止める。
「なんだ?」
「飲みすぎ。あんま強くないんだから、潰れる前にやめとけ」
ベロアは勢いよく飲めるが、免疫は常人なのでハイペースで飲ますと大概すぐ潰れてしまう。こんな父親がいい感じに話を受け入れた矢先に、そんな失態を見せるのは避けたい。
「潰れる…?これ酒だったのか、うまかったぞ」
ベロアは手元のグラスに半分ほど残ったワインをまじまじと見つめてから、それも一気に飲み干した。
「俺はそんなに弱くない。ヴィルは心配しすぎだ」
そうは言うが、彼の手はもう俺の腰に回されている。ベロアの浅黒い肌では、顔で酔い具合がわかりにくい。
彼の手を軽く叩き落とそうと払うと、ベロアは俺の腰を強く掴み直して抱き寄せる。頬にキスをしてくる彼の顔を手で押し返し、俺は父親に苦笑いする。
「ね、眠くなってきたみたいだから、そろそろ自室戻るわ…」
動揺で震えた声を出す俺をますます抱き込んで、ソファに押し倒そうと体重が乗ってくるのを感じた。
彼の手がシャツの中に入ろうと腹の当たりを探り始めたのを見て、それを手で押し返してガードする。
父親がじっとりとした目でこちらを睨んでいる。大変気まずい。
「…どうせそれくらいの方が、お前が不貞を働かなくても満足できる釣り合いのとれた関係なんだろうが…ちゃんと泥酔しないように話しなさい」
大きなため息を吐いて父親が席を立つ。
ベロアはもう父親など見えていないのか、抵抗してもしても強行突破で体重を乗せ、ソファに俺を押し倒す。逆さまの視界に映る父親の背中に、俺はふと思い出して声を掛ける。
「あ!話したいことある!新しいビジネスの話!今度時間ください!」
ベロアに抵抗しつつも完全にソファに転がされている俺を見て、父親は呆れたように笑った。
「…じゃあ、また明日にでも。あまり夜更かししないように」
父親が部屋を出ると2人きりになる。
ベロアは抵抗する俺の両手の手首を片手でまとめ上げて空いた手で腹や胸を撫でた。
「ねえ、人が抵抗して、やめろって言ってんの聞こえてます?」
苦笑いしながら尋ねると、いつか見たような笑みを浮かべて「本当に嫌そうには見えない」と囁く。
「じゃあ、今から本気で抵抗するけど無理やりするの?」
両手を頭の上で束ねられたまま、膝を折ってベロアと自分の身体の隙間にスペースを作る。
正直このまま致されても全く問題はないし、たまには違う場所でヤるのは楽しそうだ。子供たちは寝ただろうし、こんな時間帯にリビングに来るのは父親くらい。せいぜい来て使用人だろう。
でも、ベロアには酔った勢いで襲うなと教えるべきだろうし…抵抗して、それでも無駄なら強姦プレイが楽しめる。とか考えるから、俺もダメだ。
「恋人同士で嫌も何も無い。俺はしたい、だからする」
首にキスをしてそのまま食むように舐めながら、シャツの下に手を忍ばせてくる。せっかく作ったスペースも押しつぶすように覆い被さるベロアは全く引く気が無いようだ。
これは1度、ちゃんと嫌がってみよう。
「恋人同士だからって自分の欲望ばっかり押し付けたら強姦だぜ?レイプで虐待だ。そんなことするつもり?」
曲げた膝を伸ばしてベロアの身体を引き離す。俺の全力を掛けて足で押し返すとベロアは少し楽しげに口元を吊り上げた。
「それでもヴィルは俺を嫌いになったりしないだろ」
シャツに忍ばせていた手を引き抜くと、俺を押さえていた手も使って俺のシャツをビッともはや聞きなれた音を立てて軽く引き裂く。
ベロアはあらわになった腹から胸にかけてを手のひらで撫でるように触ってくる。
「だから破くなって…あと、ここはリビングだからダメ。ちゃんと場所考えてくれ」
本当は別に構わないが、まあ躾みたいなもんだ。誰かに本当に強姦されていると思われないように小声で嗜める。ベロアの手を振り払って身体を起こし、ソファから立ち上がろうと床に足を下ろす。
「ダメじゃない。子供たちはここにいない」
ベロアは俺の手を後ろに引いて自分の股の間に座らせて、逃げられないように抱き込んだ。
後ろから首元を食みながら、両手で胸を探るように撫でられたり、揉まれたりする。このない胸を揉んで楽しいのかは今も俺の中の永遠のテーマだ。
「さっきは父親がいて、真面目な話をしてただろ。父さん呆れて出てっちゃったぞ」
力ずくで腕から抜け出そうともがき、胸を触る彼の手を両手で下に押す。腰まで下がった彼の腕から立ち上がり、再びソファからの脱出をはかる。
「いいや。お前の父親はこのくらいの方がいいって言った。だから逃げるな」
立ち上がった俺を難なく引き戻してソファに組み敷くと今度は逃がさないと言わんばかりに俺に跨り覆い被さる。
首元を食んでいた唇を下に滑らせ、胸の先端の手前で止まりもどかしい場所ばかりを舌でなぞった。
「やめろって言ってんの。ダメったらダメ!」
手で彼の顔を押し返すと、ベロアは少しムッとした顔で俺のシャツの袖を引っ張った。そのままぐちゃぐちゃに袖を結んでがっちりと絡まった腕を見て、納得した様子で舌の動きを再開させる。
絡まった袖ががっちりと手首を拘束して抜け出せない。抵抗ができなくなると、途端に彼の舌の動きが気になって、ぞわぞわするような弱い快感が肌を泡立たせる。気持ちよくなる場所をわざと外されているせいで、その先が欲しくなる。ベロアは多分、確信犯だろう。
「やめ…ろ」
足をバタつかせて、膝でベロアの背中を小突く。
彼は最早それに答えることもせず、焦らすように先端の周りばかりを舐め続ける。
時々、確信犯だとでも言うように俺に目を向けてニヤリと笑いながら見せつけるように舌を這わせた。
「ここは、やめよう…部屋帰ったら、同意で相手するから…」
焦らされているうちに下腹部が痛くなってくる。性欲に関してはガバガバだから仕方ないとは言え、やっぱり意思が弱い。このままちょっと意地悪なベロアを楽しみたい気持ちと、もう早く気持ちよくなりたい気持ちの板挟み。どっちかと言えば後者が優勢だ。
「移動するの面倒だ。ヴィルの家は広すぎる」
焦らされて固くなった先端を不意に彼の舌がべろりと舐め上げる。身体が仰け反り、思わず大きな声が出る。
さすがにあまり大きい声を出したら人が来る。俺の部屋は防音だが、ここはそうじゃない。真面目に声は抑えないといけないので、焦りで周囲を見回す。
「き、急にやるな…!人が来たらどうすんだ」
もじもじと腕を縛られたまま身をよじらせ、仰向けから身体を横に向けて逃れようとする。
「だから逃げるな。どうして今日ばかりそんなに嫌がるんだ」
そうは言いつつベロアにやめる気配はない。横を向いた俺の胸をぺちゃぺちゃと音を立てて舐めたり吸ったりし始めた。
いよいよ与えられた強めの刺激に身体が熱くなり、息が上がってくる。声が出ないように息で殺すと、脳が酸欠を起こすようにフワフワしてくる。たまに小さく声を漏らしつつも、ついに言葉が発せなくなった俺を見て不敵に笑ったベロアは舐めるのを辞めないまま俺のスキニーに手をかけた。
片手で俺の体を抑えたままベルトをカチャカチャと手探りでこじ開けようとするが、上手くいかずに1度身体を起こした彼は何かを見つけたらしくふと視線を下に向ける。
「なんだこれは?」
そう言ってベロアはスキニーズボンの背面に付けられたチャックを手でなぞる。
本当はベロアと外に出た時にワンチャンいい感じになったら、野外プレイに誘おうかと思って履いていたズボンだ。尻にいつでも入れられるようにチャックがついている。
正直ここで彼に披露することになると思っていなかったが、どうやらそれに気付いたのだろう。
小さな音を立てて下げられたチャックから彼の指が探りに来たのがすぐに分かった。
ベロアもそこから侵入出来ることに気づいたのかそのまま指先を穴に這わせてきた。
ビクンと身体が跳ねる。誘うこと前提だったので下着を履いていない。直に触れた彼の指先が温かくて、身体がどんどんと熱を持った。
「やっぱり。こんな服で、最初からするつもりだっただろ」
クリクリと穴に指を推し進めながらまた舌を胸に戻す。水気をもった中はいとも簡単に指の侵入を許す。
「本当は気持ちい。そうだろ」
ベロアは忍ばせた指で俺の好きなところをくいくいと押し上げ、軽く乳首に歯を立てる。
「ぃ…っ、やめ…」
気持ちよくて声が震えた。うっかりちゃんと嫌がるってことを忘れて、いつも通りによがってしまいそうになるのにブレーキをかける。
彼が指を押し込んで、好きなところを刺激する度に膝がガクガクと震えて、良くなっていることが隠しきれない。声を殺して息をするので手一杯な口はあっという間に閉まらなくなり、視界の焦点が合わなくなった。
彼に吸われ、優しく歯を立てて引っ張られる胸は微かに赤く膨らんでいる。ベロアがよくいじるようになってから、胸がどんどん感度が上がって困っている。
「こ、え…出るかっら…やめ…」
喘ぎ声をなんとか抑えながら伝える。
「いい。俺は声聞きたい」
ベロアはお構いなしに穴の中の指を増やしてゆっくり、しかし先ほどよりも強めに一点を押し込む。
指の動きに合わせるように吸い上げられる乳首を舌先で撫でてはまた吸ってを繰り返して、少しずつ指の動きは激しさを増す。
「はっ…ぁ…、だ、だめ…っ… 」
気持ちよくて語彙力が少しずつ脳から消えてなくなる。拒絶するのがプレイだとしても、これではプレイにならなくなる。
でも、もう俺の身体を知り尽くしているベロアの行為一つ一つがどれも抗いようのない快感を運んでくる。口ではダメだと言いながら、腰を浮かせて彼の指が出入りしやすいようにしてしまうし、彼の口が胸から離れれば、彼の顔を手で引き寄せて呼び戻そうとする。もう言ってることとやってることが何一つ噛み合っていなかった。
「もっとして欲しそうだな、どこが嫌なんだか」
フンと鼻で笑った彼は俺の浮いた腰を捕まえて、既にグズグズの穴や反り勃った俺のものに舌を這わせ吸い付くようなキスを落とす。
吸い上げてくる舌の感触に前から精液が滲み始めるのが分かる。もう出してしまいたいが、舌と指だけでは達せない。昔は自分で穴を触るだけでイけたのに、ベロアとのセックスに慣れてしまった今ではこれだけ触られても出せない不便な体質になってしまった。
「あっ、はっ…嫌、じゃない…っ、もうむり、だから…イかせ、て…」
「最初からそう言えばいいのにな」
にやりと笑ったベロアは体を起こすと自分のズボンをさっさと脱ぎ散らかして再び覆いかぶさってくる。
ずるずると俺の中に熱くて重量感のある彼の物が侵入してくる感覚に口からは歓喜の悲鳴が漏れ出した。
「ひっ、あ…あっ」
全身が痙攣するようにガクガクと震えて、彼が中に入っただけなのに、彼が奥へ押し進むと同時に少しずつ前から精液が吹き出して止まらない。
ああ、これ、このまま本格的に動かれたらヤバいやつだ。頭の片隅に生まれる危機感に、自分の口を自分で塞ごうと試みるが、腕が縛り上げられてて頭の上から動かせない。
「くち、ふさいで…」
「必要ない」
俺の言葉に構わず、ベロアが本格的に動き出すと、僅かに残っていた理性が全て溶けてなくなった。ずっと焦らされていたところにもたらされた強い快感は、全てをどうでもよくさせるくらい気持ちがいい。
尻をめくられるように押しつぶされ、奥を掻き回される。腕が縛られたままなので、俺はベロアにしがみつくことも出来ずに身体を反らして震えることしかできない。
「おなか、きもちいっ、べろぁ…っ」
「あんなに嫌がってたのに結局同じじゃないか」
彼はフッと勝ち誇ったように鼻で笑って、なおも強く腰を打ち付けた。
中がぎゅうぎゅうと彼を抱きしめて、もっと先をせがんでいる。中に出してほしいと言っていた。
昔は中出しが大嫌いで、誰かに出されたらブチ切れて行為中でも帰ったし、快感で脳みそなくなって山盛り出すのを許した日は事後にシャワーでやけくそに掻き出していた。
でも、ベロアに出されるのはすっかり慣れてしまい、その上で腹がタプタプになるまで出されてから続けてもらうと、下腹部全体が波打つように動いて気持ちがいいと知ってしまった。
「出してぇ、中に出してぇっ!おねが、い…」
腕が動かせなくて、しがみつけないベロアの顔が遠い。あまり騒ぐと使用人が来ると思いつつ、そんなことに配慮できるほどの思考はもう残ってなかった。
ベロアの腰に足を絡め、腰を浮かせて大きめの声で強請る。
「そんなにお願いされたら断りづらいな」
ベロアはしがみつけない俺に顔をよせてキスをし、唇や口の中を舐めて舌と舌を絡ませる。
「こぼすなよ。ソファを汚したら大変だろ?」
そう言って彼は俺の腰を掴み、一気に根元まで自身のもの沈め奥の奥にどぶどぶと吐き出した。
複数回の波に分けて大量に注がれたそれを、彼はこぼさないように繋がったまま俺の尻を捲り持ち上げる。
液体を奥に押し込むようにゆっくりピストンさせると、中の熱いものがドロドロと広がっていくのを感じる。
「んぉ…なか、あつ…しゅご…」
中に注がれていく感覚に足がつっぱる。ぼんやりする頭で零れる笑みは酷くだらしないものだっただろうが、自分の表情のコントロールなんかもう出来ない。
唇を重ねてくるベロアを逃がしたくなくて、腕が使えない分、彼の舌に自分の舌を絡めて引き留める。奥へと流れ込んでくるどろどろとした液体の存在に、腹の中を痙攣させながらベロアの耳元で囁くように強請る。
「おなか、いっぱいにして…?」
「1回2回じゃ足りないんだもんな」
出したばかりとは思えない程中で膨張している彼のものの凹凸に俺の中が絡まって引っ張りだされそうなほどぐちゃぐちゃに掻き回す。
「ああ…ヴィルっ…離したくない」
溶けてしまいそうなほどの熱が繰り返し中に吐き出される度に、首に顔を埋めた彼が歯を立てる。その光景を頭の隅では認識しているのに泡立つような快感に身も心も支配された状態では、噛みつかれる痛みすらもっと欲しくなるほど気持ちがいい。
「もう4回目だ。これ以上したら溢れてしまうかもしれないが、どうする?」
仰向けの俺に覆いかぶさったベロアがニヤリとした顔で俺を見下ろす。
「もっと…まだ、はいる…」
腹の中がいっぱいになりつつあるのがなんとなく分かるのに、頭が馬鹿になってしまうともっと欲しくなってしまう。
ベロアのもので腹が満たされるのは、いつだってどうしようもなく嬉しいのだ。欲張ってしまうのは仕方ないと思う。
彼に噛まれた痕がジワジワと熱を持つ。それは恐らく痛みなのだろうが、甘く痺れるような余韻がある。彼の口に肌を擦り付けて、続きを強請る。
「もっとするぅ…」
「欲張り」
ベロアはフッと笑って擦り付けられた肌に舌を這わす。
ゆっくり立てた歯に少しずつ力を加えながら腰を揺らすと、中のものがまた固くなり始めた。
「ソファ汚れても知らないぞ」
歯を立てられると、肌がざわざわと騒いであの心地よい痛みを期待する。ベロアの頬に自分の頬を重ねたまま頷いた。後先のことを考えている余裕なんかない。
彼は俺の軽く腰を持ち上げるとそのまま180度回して俺を四つん這いにさせる。
体の大きいベロアに合わせて腰が高く持ち上げられ、自然と尻を突き出したような姿勢になった。
ゆっくり動き始めたと思った彼の腰は、ある程度引き抜かれると勢いを付けて一気に奥を突き上げるように押し込まれる。
「凄い。中が熱くて狭くて、まだ何回でも出せそうだ」
荒い息をつきながら夢中で為されるその刺激に
足が震えて何度も力が抜ける。それでも、その快楽を貪りたくて足に力を入れて腰を持ち上げると、ベロアは俺の腰を持ち上げて支えてくれた。
突かれる度に頭の中が真っ白になって、大きな喘ぎ声が無遠慮に口から出ていく。ソファに顔を擦り付けて、ただ呼吸を夢中で繰り返す。呼吸すら忘れてしまいそうなほど気持ちよかった。
動き回る腹の中と、ベロアの体温だけに意識が集中する。腹の中で暴れる彼の体液が徐々に漏れだし、足を伝い始めたのがわかった。
腰を激しく打ち付けながら覆い被さったベロアは何度もうなじに軽く歯を立てて、時折マーキングするかのように一際強く噛み付いて痕を舐めとる。
「ふぁ…あっ…」
噛み跡を舌でなぞられると、熱くジンジンとした痛みがそこから広がる。湿ったその場所は、彼の息がかかるだけで痛むが、その痛みを脳が快楽として認識するせいで、されればされるほど頭が痺れてだらしない声が出た。
腹はもう入り切らないほどベロアのものを蓄えていて、中に注がれて動かれるのは苦しいのに、やめて欲しいとは思えなかった。
ソファに俺とベロアが出したもので水溜まりが出来ている。それがなんだかとても勿体ない。
「もっと、いれたい…はいんない…」
増えていく水溜まりをぼんやりと見ながら、うわ言のように呟く。
「こんなに溢れてるのにまだ欲しがるのか」
そう言いながら彼からまた新しく注がれるのを感じた。
はいりきらずに同じ分だけ吹き出すように溢れるそれが辺りをドロドロに汚していくのをぼんやり眺めていた。
気が付いたら汚れきったソファの上で、ベロアに抱き抱えられるようにして眠っていた。リビングの窓から朝日が差し込んでいて、慣れた身体の痛みを感じながら身体を伸ばす。
「やば…ベロア、起きろ」
夜が明けたということは、そろそろ誰かしらか来るだろう。ベロアの頬にキスをして、肩を揺する。
破けたシャツを拾い、脱ぎ散らかした下着やズボンを身につける。腹の中に大量に入ったままで、動くと出てしまうが、四の五は言ってられない。起きる様子のないベロアの服を手に取って、彼の腹の上にのせる。さらに肩をゆするが「うーん…」と呻き声を挙げて迷惑そうに顔を背けるだけで起きる気配がない。知っていた。ベロアは大体寝起きが悪い。
彼を起こそうと四苦八苦したものの、ようやく起こした直後に使用人がリビングの中へ入って来てしまい、ソファの惨状に絶句させてしまうことになった。
これはいっそお掃除のプロに頼んでしまう方が早いし、俺の部屋がこうなってたことは往々にしてあった。使用人の内情は知らぬところだが、彼女たちに掃除を任せて俺たちは自室へと戻った。
「なんで昨日はあんなに嫌がったんだ?こうして人に見つかるからか?」
自室のベッドに腰を下ろす俺に、ベロアがふと思い出したように尋ねる。そんな彼に俺は口元に当てた指の隙間からギザギザの歯を見せて笑った。
「本当は別に嫌じゃないよ?たまには強引な狼さんに襲われるのも楽しいかな~って。ベロアもたまには嫌がる俺とするの、盛り上がらない?理由付けるのにいい場所だったから、抵抗してみた」
「…なんだそんな理由でいつもと違う反応をしてくれるのか?それならまた抵抗していい。無理やりするのもちょっと楽しかった」
悪そうな笑みを浮かべながら目を細める彼は、思いのほか昨日のプレイが楽しかったらしい。
子供たちに見つかったら大変だが、お互い同意の上のプレイでやる分には良いスパイスだ。
羽織るだけになったシャツを脱ぎ、ズボンも脱ぐ。少し膨らんだ下腹部から漏れ出すベロアの精液でズボンも下着も濡れてしまった。
「とまあ、色々不完全燃焼だから仕切り直しする?俺、たまにはベロアと丸1日セックスで潰してみたいと思ってたんだよね」
下着も脱いでベッドに横になる。彼の前で軽く尻を振って誘うと、ベロアは「ヴィルは本当に仕方ないやつだな」と満更でもなさそうに覆い被さってきた。
「高校卒業したら結婚、絶対約束だから」
上にのしかかってるベロアの顔に頬を擦り付けて呟く。
「そんなに待ちきれない。早く俺だけのヴィルにしたいのに」
彼は少し冗談めかしく笑うと、俺に数回キスを落として俺の期待した場所に暖かい手を滑らせていった。
ベロアと出会わなかったら、きっとこんな焼き菓子みたいに甘い日々は来なかっただろう。毎日リボルバーを持ち歩いて、次に殺す誰かを想像して、自分が死ぬ日を待ちづける日々は終わった。
窓から差す微かな明かりが、少しずつ明るくなっていく。
俺の長い夏休みが終わる。
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