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2章 ハッピーイースター!
【第10話】8月7日 20時05分
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「だからー!決めゼリフはやっぱり『お前の時代、終わったな!』だろ!」
「いやーそろそろ新しい風ほしくね?ワンパターンはマンネリ化するぞ?」
8月7日、夜8時過ぎ。俺は金成の家にあがりこんでヒーローの決めゼリフについて、炭酸ジュースを片手に熱く語り合っていた。
あのコンビニの一件で、俺はお手柄高校生として警察から表彰を受けた。金成の方が貢献していたと思うのだが、夜に出歩いていたのがバレるとマズイからと名乗りを上げなかった。なんだか申し訳ないような気もしたが、一応あの男は俺が捕まえたことになっている。
あの時の不思議な能力は今もある。どんなに怪我をしても俺の傷は蝶や蛾になるだけで、それを体内に戻せば元通りになる。痛みこそあれ、今の俺は体力的な意味ではほぼ無敵に近いようだった。
それを知ってからの俺たちは強かった。俺が注意を引き付け、金成が背後から打てば、どんな悪漢もチンピラも返り討ちに出来る。幼い日に夢見ていたヒーローのような生活がそこにはあった。
コンビニバイトの一件で心配性の火継が、俺のバイト先に勝手に辞表を叩きつけたので、今の俺は学生業だけだ。火継の稼ぎも日に日に良くなり、食う物に困ることもなくなった。なんなら小遣いまで出る。第三次世界大戦が終わった直後くらいの激動の時代を、俺個人が1人で迎えていた。
学校も夏休みに入り、時間が増えた。宿題をそこそこに、同棲してんのかと思うくらい金成の家に入り浸っている。金成は宿題も一緒にやってくれるから、もはや家に帰る目的は飯と寝起きくらいなものだ。
火継だって、休みの日は結とイチャイチャしたいだろう。アイツの趣味は結って言ってもいいくらいなのだ。ここは金成も部屋を貸してくれるのに甘んじて、俺があの薄汚えワンルームを熱いお二人に貸してやろうってもんだ。
「咲凪~、そろそろニュース21が始まるぞ!チャンネル変えろ~!」
「うーす」
炭酸ジュースが入ったペットボトルを口にくわえたまま、俺はテレビのチャンネルを回す。
俺たちが最近夢中になっているのは、自分たちがヒーローになれそうな事件を見つけることだ。宿題をやりながらニュースを見て、面白そうな事件を見つけたら首を突っ込みに現地に飛んだ。おかげで引ったくり犯を捕まえたり、痴漢を捕まえたり、裏路地でスケベなことをしようとする奴をとっちめたり、結構色々やった。なんて真面目な学生生活なんだろうか。
「最近は新宿付近がアツいな~」
ニュースを見ながらニヤニヤと笑う。
よく分からないが、最近は本当に犯罪係数が格段に上がっているらしかった。強盗、強姦、殺人、誘拐…どれも年の後半に入ってから二倍以上に跳ね上がっていた。
もしかしたら、なんか大変なことが起きているのかもしれない。それでも、テレビやネットを通して知らない人が大変だと言われると、どこか漫画やアニメを見ているような気持ちになってしまう。
ニュースを見ていて出てくる感想は「面白い」だ。他人事だから、ヒーローの真似をして飛び出して行ける。感謝されたらラッキー、上手くいかなかったらドンマイ。それだけだ。
もはや無敵の俺たちはどう転んでも「楽しかった」で終わるのだから、ノーリスクの遊びと化していた。
「続いて、女子高校生行方不明事件についてお伝えします。東京都、渋谷区在住の金成マリアさん18歳の行方が分からなくなっています。警察は誘拐の可能性を…」
そんな気持ちで見ていたニュースキャスターの言葉に俺は目を見開く。
テロップを確認する。一字一句、間違いないようにゆっくり目で追った。
金成マリア。そんなにいる名前じゃない。金城ならまだしも、金成はかなり珍しい苗字だろう。マリアだって日本じゃ多くない。
18歳、高校生。全部同じだ。俺たちがジュース飲んで騒いでいるここの最寄りは代々木。渋谷区だ。金成は渋谷区に住んでいる。
俺が隣にいる金成を見る。俺の顔を見た金成も少し驚いたような顔をしていたが、直ぐに吹き出すように笑いだした。
「…なんだよ、そんなわけねえだろ!ここにいんのに!」
金成の言葉には嘘を吐いてるような焦りみたいなものはなく、本当にニュースで驚いていただけのように聞こえた。驚きで口を半開きにしていた俺は金成に釣られるように口の端を上げ、安堵から乾いた笑いが出た。
「は、はは…そうだよな?そりゃそうだ!ずっと一緒にいんのに、行方不明なわけねえよな?」
「だろ?ほら、どっからどう見てもお前が知ってる金成だろ?」
金成は俺を茶化すように身を乗り出して俺の両頬を挟むように両手で捕まえる。そのまま自分の鼻先に引き寄せて「ほら」といたずらっぽく笑って見せた。
暖かくて柔らかい手の平。俺と違って骨ばっていない、少し丸みを帯びた指。眼前に迫った金成の顔に心臓が狂ったみたいに鳴り出して、身体が熱くなった。
「金成マリアさんの写真がこちらになります」
ニュースキャスターの声が右から左に通過する。ニュースの画面に写った顔はどんな顔だったんだろうか。俺の視界にはもう目の前の金成しか映っていなかった。
男みてえな顔だって思ってたのに、こうしてみるとまつ毛が長くて肌が白くてきめ細かい。金成はクラスの女子みたいに人工的なほど赤い唇とかピンクの頬とかではないけど、血色のいい薄桃色の頬と唇がふっくらしている。それを見ていると、自然と顔が引き寄せられた。
金成の鼻と自分の鼻がぶつかりそうになって、俺は我に返る。バッと顔を背け、込み上げる照れを隠したくなって鼻の下をゴシゴシと擦ると、金成は目を線にしてヘラヘラと笑った。
「なんだよそんな赤くなってー、意識しちゃったか?」
「ちっ、ちげーし!顔にゴミついてたぞ…じっくり見ちゃっただろ!顔洗ってんのか?」
「えー、毎朝洗ってっけどなあ…?鏡みてくる」
金成は笑いながら首を傾げると、立ち上がって洗面所へと消えていった。
照れ隠しが勢いづきすぎて、思わず傷つけそうなことを口走ってしまったが、金成は気にしていないようだった。さすが寛大だ。昔からこういうことは度々あるが、金成の心の広さには俺が言うのも変だが感心する。
ふと、テレビに目をやると渋谷区在住の同姓同名の金成マリアのニュースは終わっていた。俺は漠然と次のニュースを伝える画面を見つめた。
本当に同姓同名で同じ場所に住んでいる、同い年の女子高校生なんているんだろうか。あの時、ニュースでやっていた顔写真を見ておけば良かったのかもしれない。
そういえば、金成が駅ビルで怒ったのはなんでだったんだろう。元から金成は優しかったが、最近の金成はますます、俺のやること成すことをみんな笑って許してくれるようになったする。
いや、もはや考えが全く一緒と言うべきなのかもしれない。前みたいに男扱いしたって驚いたりしないし、前より下ネタも言うようになって…前より世話を焼いてくれなくなった。
むしろ、頼られている。買い出しの荷物持ちを任されたり、一緒に食器を洗ったり、洗濯ものもやるようになった。前はこんなに金成の家のことを任されることはなかった。だから、同棲しているような気持ちになるのかもしれない。
「ゴミなんて付いてねえじゃん!一応顔洗ってきたけどさあ」
明るい口調で文句を言いながら金成が廊下から戻ってきた。屈託ないその笑顔を見上げ、俺は口元だけ釣り上げて笑う。
「なあ、金成がどうして駅ビルで怒ってたのか、やっぱり聞いてもいいか?」
何となく聞きたくなくて、聞かずにいた質問を改めて金成に問いかける。
本当は、何となく心当たりがあるんだ。俺は金成との関係が変わるのが怖くて、たくさん予防線を張った。たくさん傷つけるようなことも言った。
廊下で会った時、見開いた金成の瞳が悲しそうだったのも見て見ぬふりをした。知っていたら自分の都合が悪いから、わざとその情報をシャットアウトしただけだ。
「駅ビル…」
金成は一瞬悲しそうに笑った気がした。そして、いつものように茶化した態度で俺を小突いた。
「なんだっけ?忘れちゃったけど、そんな怖かったかあ?そんなしょげんなよ!もう怒ってねーし?」
「あー…まあ、過ぎたことだもんな」
「そうだそうだ!咲凪は先のことだけ考えとけ?馬鹿なんだから」
ケラケラと笑う金成に俺も釣られて笑った。
金成はまだ答えをくれない。
「いやーそろそろ新しい風ほしくね?ワンパターンはマンネリ化するぞ?」
8月7日、夜8時過ぎ。俺は金成の家にあがりこんでヒーローの決めゼリフについて、炭酸ジュースを片手に熱く語り合っていた。
あのコンビニの一件で、俺はお手柄高校生として警察から表彰を受けた。金成の方が貢献していたと思うのだが、夜に出歩いていたのがバレるとマズイからと名乗りを上げなかった。なんだか申し訳ないような気もしたが、一応あの男は俺が捕まえたことになっている。
あの時の不思議な能力は今もある。どんなに怪我をしても俺の傷は蝶や蛾になるだけで、それを体内に戻せば元通りになる。痛みこそあれ、今の俺は体力的な意味ではほぼ無敵に近いようだった。
それを知ってからの俺たちは強かった。俺が注意を引き付け、金成が背後から打てば、どんな悪漢もチンピラも返り討ちに出来る。幼い日に夢見ていたヒーローのような生活がそこにはあった。
コンビニバイトの一件で心配性の火継が、俺のバイト先に勝手に辞表を叩きつけたので、今の俺は学生業だけだ。火継の稼ぎも日に日に良くなり、食う物に困ることもなくなった。なんなら小遣いまで出る。第三次世界大戦が終わった直後くらいの激動の時代を、俺個人が1人で迎えていた。
学校も夏休みに入り、時間が増えた。宿題をそこそこに、同棲してんのかと思うくらい金成の家に入り浸っている。金成は宿題も一緒にやってくれるから、もはや家に帰る目的は飯と寝起きくらいなものだ。
火継だって、休みの日は結とイチャイチャしたいだろう。アイツの趣味は結って言ってもいいくらいなのだ。ここは金成も部屋を貸してくれるのに甘んじて、俺があの薄汚えワンルームを熱いお二人に貸してやろうってもんだ。
「咲凪~、そろそろニュース21が始まるぞ!チャンネル変えろ~!」
「うーす」
炭酸ジュースが入ったペットボトルを口にくわえたまま、俺はテレビのチャンネルを回す。
俺たちが最近夢中になっているのは、自分たちがヒーローになれそうな事件を見つけることだ。宿題をやりながらニュースを見て、面白そうな事件を見つけたら首を突っ込みに現地に飛んだ。おかげで引ったくり犯を捕まえたり、痴漢を捕まえたり、裏路地でスケベなことをしようとする奴をとっちめたり、結構色々やった。なんて真面目な学生生活なんだろうか。
「最近は新宿付近がアツいな~」
ニュースを見ながらニヤニヤと笑う。
よく分からないが、最近は本当に犯罪係数が格段に上がっているらしかった。強盗、強姦、殺人、誘拐…どれも年の後半に入ってから二倍以上に跳ね上がっていた。
もしかしたら、なんか大変なことが起きているのかもしれない。それでも、テレビやネットを通して知らない人が大変だと言われると、どこか漫画やアニメを見ているような気持ちになってしまう。
ニュースを見ていて出てくる感想は「面白い」だ。他人事だから、ヒーローの真似をして飛び出して行ける。感謝されたらラッキー、上手くいかなかったらドンマイ。それだけだ。
もはや無敵の俺たちはどう転んでも「楽しかった」で終わるのだから、ノーリスクの遊びと化していた。
「続いて、女子高校生行方不明事件についてお伝えします。東京都、渋谷区在住の金成マリアさん18歳の行方が分からなくなっています。警察は誘拐の可能性を…」
そんな気持ちで見ていたニュースキャスターの言葉に俺は目を見開く。
テロップを確認する。一字一句、間違いないようにゆっくり目で追った。
金成マリア。そんなにいる名前じゃない。金城ならまだしも、金成はかなり珍しい苗字だろう。マリアだって日本じゃ多くない。
18歳、高校生。全部同じだ。俺たちがジュース飲んで騒いでいるここの最寄りは代々木。渋谷区だ。金成は渋谷区に住んでいる。
俺が隣にいる金成を見る。俺の顔を見た金成も少し驚いたような顔をしていたが、直ぐに吹き出すように笑いだした。
「…なんだよ、そんなわけねえだろ!ここにいんのに!」
金成の言葉には嘘を吐いてるような焦りみたいなものはなく、本当にニュースで驚いていただけのように聞こえた。驚きで口を半開きにしていた俺は金成に釣られるように口の端を上げ、安堵から乾いた笑いが出た。
「は、はは…そうだよな?そりゃそうだ!ずっと一緒にいんのに、行方不明なわけねえよな?」
「だろ?ほら、どっからどう見てもお前が知ってる金成だろ?」
金成は俺を茶化すように身を乗り出して俺の両頬を挟むように両手で捕まえる。そのまま自分の鼻先に引き寄せて「ほら」といたずらっぽく笑って見せた。
暖かくて柔らかい手の平。俺と違って骨ばっていない、少し丸みを帯びた指。眼前に迫った金成の顔に心臓が狂ったみたいに鳴り出して、身体が熱くなった。
「金成マリアさんの写真がこちらになります」
ニュースキャスターの声が右から左に通過する。ニュースの画面に写った顔はどんな顔だったんだろうか。俺の視界にはもう目の前の金成しか映っていなかった。
男みてえな顔だって思ってたのに、こうしてみるとまつ毛が長くて肌が白くてきめ細かい。金成はクラスの女子みたいに人工的なほど赤い唇とかピンクの頬とかではないけど、血色のいい薄桃色の頬と唇がふっくらしている。それを見ていると、自然と顔が引き寄せられた。
金成の鼻と自分の鼻がぶつかりそうになって、俺は我に返る。バッと顔を背け、込み上げる照れを隠したくなって鼻の下をゴシゴシと擦ると、金成は目を線にしてヘラヘラと笑った。
「なんだよそんな赤くなってー、意識しちゃったか?」
「ちっ、ちげーし!顔にゴミついてたぞ…じっくり見ちゃっただろ!顔洗ってんのか?」
「えー、毎朝洗ってっけどなあ…?鏡みてくる」
金成は笑いながら首を傾げると、立ち上がって洗面所へと消えていった。
照れ隠しが勢いづきすぎて、思わず傷つけそうなことを口走ってしまったが、金成は気にしていないようだった。さすが寛大だ。昔からこういうことは度々あるが、金成の心の広さには俺が言うのも変だが感心する。
ふと、テレビに目をやると渋谷区在住の同姓同名の金成マリアのニュースは終わっていた。俺は漠然と次のニュースを伝える画面を見つめた。
本当に同姓同名で同じ場所に住んでいる、同い年の女子高校生なんているんだろうか。あの時、ニュースでやっていた顔写真を見ておけば良かったのかもしれない。
そういえば、金成が駅ビルで怒ったのはなんでだったんだろう。元から金成は優しかったが、最近の金成はますます、俺のやること成すことをみんな笑って許してくれるようになったする。
いや、もはや考えが全く一緒と言うべきなのかもしれない。前みたいに男扱いしたって驚いたりしないし、前より下ネタも言うようになって…前より世話を焼いてくれなくなった。
むしろ、頼られている。買い出しの荷物持ちを任されたり、一緒に食器を洗ったり、洗濯ものもやるようになった。前はこんなに金成の家のことを任されることはなかった。だから、同棲しているような気持ちになるのかもしれない。
「ゴミなんて付いてねえじゃん!一応顔洗ってきたけどさあ」
明るい口調で文句を言いながら金成が廊下から戻ってきた。屈託ないその笑顔を見上げ、俺は口元だけ釣り上げて笑う。
「なあ、金成がどうして駅ビルで怒ってたのか、やっぱり聞いてもいいか?」
何となく聞きたくなくて、聞かずにいた質問を改めて金成に問いかける。
本当は、何となく心当たりがあるんだ。俺は金成との関係が変わるのが怖くて、たくさん予防線を張った。たくさん傷つけるようなことも言った。
廊下で会った時、見開いた金成の瞳が悲しそうだったのも見て見ぬふりをした。知っていたら自分の都合が悪いから、わざとその情報をシャットアウトしただけだ。
「駅ビル…」
金成は一瞬悲しそうに笑った気がした。そして、いつものように茶化した態度で俺を小突いた。
「なんだっけ?忘れちゃったけど、そんな怖かったかあ?そんなしょげんなよ!もう怒ってねーし?」
「あー…まあ、過ぎたことだもんな」
「そうだそうだ!咲凪は先のことだけ考えとけ?馬鹿なんだから」
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