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1章 最高にイカれた誕生日
【第3話】7月6日 15時45分
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放課後になると、昼休みに弁当を食ったばかりなのにもう腹が減っていた。朝と代わり映えしない退屈な話を担任教師がしている。
「第三次世界大戦からもう10年が経ちますが、まだまだ不景気が続きます。みんながちゃんとした企業に就職できるよう、先生たちも努力しているので、みんなも将来は立派な大人になれるよう…」
ぼんやりと俺は教室の前方上部の壁に備え付けられている針時計を見つめる。
俺がまだ7歳の時に大規模な戦争があった。別に日本が喧嘩したわけじゃないけど、別の国と別の国が大喧嘩したらしい。
その影響で日本は酷い不景気に見舞われて、俺の父親は会社からリストラ。母親は発狂。別の国同士の喧嘩のはずなのに、うちの家庭でも喧嘩が勃発するようになった。
家の中がやかましいから、俺はよく火継と外に出るようになった。俺は金成の家へ行くようになり、火継はしばらくしてからバイトを見つけて家を空けるようになった。
俺がまだ7歳ということもあって、金成家は時々俺を家に泊めてくれたりしたし、作った晩飯を分けてくれた。俺にとって当時の金成家は俺の第二の実家のような場所だったと思う。
それも、俺の父親が母親のヒステリーに耐えきれなくなって刺殺した夜に終わる。俺と火継が家を空けている間のことだった。
「来週は進路希望のプリントを配ります。就職先に困らないよう、みんな今からよく考えて下さいね。先生と一緒に相談していきましょう」
終礼で担任教師がそう言い、号令を促す。日直の号令に合わせて適当に礼をし、俺は欠伸をする。
俺の母親は死んだ。父親は自首して今も牢で服役中だ。犯罪者の子供と積極的に関わりたい人間はそういないもので、金成家も事件をきっかけに疎遠になった。
金成も本当だったら俺と積極的に関わりを持ってはいけないとか言われているのだが、アイツだけは今も俺とツルむことをやめない。事件をネタに俺を笑ったり、暴力を加える奴がいるものなら、金成と二人で返り討ちにしてやった。
二人揃って職員室に呼び出されて叱られたこともある。だけど、金成が一緒に戦ってくれたから俺はイジメに屈することもなかったし、今もこうして普通に友達をつくれてクラスに馴染めている。金成は親友でいて、戦友に近い存在なのかもしれなかった。
「藤村ー、デート楽しんでこいよー」
「ちげーわ。金成とデートするくらいなら、動物園のメスゴリラとデートするわ」
クラスの扉をくぐろうとする俺に、クラスメイトが指笛を鳴らしたりして囃し立てる。それをいつものお約束で一笑し、廊下の方を見ると、そこにはすでに金成が鞄を肩にかけて待っていた。
目が合った時、金成が一瞬だけ赤い瞳を大きくした。その表情が何を意味するのか、俺には分からなかったが、金成はすぐにいつも通り半笑いで目を細めた。
「メスゴリラじゃなくて悪かったな、オスゴリラ」
「お?なんだ?ドラミング勝負でもするか?ドラミング上手かったらメスゴリラ認定してやるぜ」
「メスゴリラはドラミングしねーよ、バーカ」
キレのある突っ込みだ。金成は俺と同じような性格をしているはずなのに、コイツは模擬テストで最上位5位圏内で成績を争っている。頭がいいだけある。本人には言ったことはないが。
「変な豆知識披露してんじゃねえぞ。ほら、買い物行くんだろ」
俺が先導して歩き出すと、金成はまた犬のように軽い足取りで後ろをついてきた。
校庭を抜け、またくだらない話をしながら駅へと向かう。改札を通り抜けてから、俺は金成に振り返った。
「そういや、今日はどこ行くんだ?またプラモデルがある電気屋か?」
「えっ、あー…今日は渋谷の駅ビルとか…」
俺の問いに少しだけ口ごもってから、笑って答える。
コイツが渋谷に行きたいなんて言ったのを俺は初めて聞く。思わず顔をしかめると、金成は慌てたように胸の前で両手を振った。
「ちっ、ちげーし!お前の服を買いに行くんだよ!」
「はあ?なんでだよ」
なんで金成の買い物なのに俺の服を買いに行くんだ。ますます膨らむ謎に俺が声を上げると、金成は俺の胸を軽くドついた。
「お前、今日誕生日だろ!プレゼントだよ!そのダセー服の代わりに何か買ってやるから選べよ!あっでも、あんま高いもんはダメだぞ!」
呆然としている俺に金成は捲し立てるように言葉を羅列させる。俺はしばらく黙ってそれを聞いていたが、じわじわと言葉が脳に浸透してくる。
「…あれ?今日っていつ?」
「7月6日!誕生日無頓着マンか」
そう言って金成は俺の額にチョップを入れる。相変わらずキレがある。俺はコイツのノリツッコミが凄く好きなので、思わずボケたくもなる。
「そっか、7月6日って誕生日だったっけか」
お金がないせいであんまり祝われたこともないし、別に俺の誕生日を周囲に言って回ったりもしないから、毎年結構忘れる。祝ってくれるのは金成と火継くらいか。火継、今日の朝は何も言ってなかったけどな。
「そんなすげーもんくれなくてもいいよ。ビックバーガー二つで手ェ打ってやるよ」
「お前そのTシャツもズボンも中学の頃から着てんだろ。物持ちいいのは立派だけど、もうズボンの裾足りてねえし、Tシャツちっちゃくて屈むとチラチラ背中見えるんだよ。何とかしろ!」
笑いながら金成は俺のTシャツをめくってから、渋谷方面のホームへと向かった。
そんなに不格好だったかな。たしかにズボンは裾足りなくて、ごまかしてずっとロールアップにしてたけど。俺は自分のTシャツの胸元を引っ張って見てから、金成の後に続いた。
「渋谷って俺初めて行く気がするわ」
少し混雑した電車に乗りながら、俺は呟く。人混みの中で座席の脇を陣取り、金成を座席側へと通す。金成は座席脇の手すりに寄り掛かると、驚いたように目を開いて笑った。
「まー?その年で?普通デートとか…あ、そっか彼女いないもんなお前。ドンマイ」
「っせ!関係ねえわ!カラオケとかゲーセンなら渋谷に行かなくてもあるし、格安ブランドなら地元に沢山あるか行く機会ないだけだわ!」
「超言い訳すんじゃん。童貞か?」
「ど、どどど童貞ちゃうわ!」
発車した電車の中で軽口を叩きながらゲラゲラ笑う。
ま、童貞なんですけどね。彼女とか出来たことないし、欲しいと思ったこともあんまない。エッチなことには大変興味はありますが。
「そういや、火継はああ見えてめちゃくちゃ美人の彼女いるんだよな…大人の階段上ったのかな。23歳なら、大人になって当たり前なのか?」
ふと、脳を解さずに言葉が口から漏れた。金成は苦笑いする。
「え、何、急に。結(ゆい)さんの話?」
「いやーあれくらい美人な彼女いるのってどんな気持ちなのかなって」
火継の彼女は赤糸(あかし) 結という名前で、ザ・女子って感じの人だ。甘栗みたいな茶色の長い髪で、それを緩く毛先巻いてたりして、ブラウスにリボンなんか付けてたりする。あとはおっぱいがデカい。
「あーまあ、美人だよなー…咲凪もああいうのタイプ?」
「そりゃまあ?可愛いに越したこたねえよな」
金成に尋ねられ、俺は首を捻る。彼女を作ろうと思ったことがないから、自分の好みとかはよく分からないが、グラビアモデルとかはみんなふわふわヒラヒラしてて可愛いなとは思う。自分も彼女を作るんなら、火継の彼女みたいな感じなんだろうなと、ずっと漠然と思っていた。
火継の彼女はいいとこのお嬢様らしくて、身なりが綺麗でいつも良い匂いがする。何度か俺も金成も会ったことがあるが、金成もああいうのがタイプなんだろうか。
「金成はどういうのがタイプなん?ふわふわ系?ひらひら系?ボーイッシュ?」
「えっ…ま、可愛い系かな…?」
「だよなー」
何故か少し困惑しているが、金成もやっぱり可愛いものが好きらしい。可愛いは正義って言うもんな。
そんな会話をしていると、電車が新宿駅で扉を開く。人がぞろぞろと降りたと思ったら、降りた以上に人が乗ってきた。急に押し寄せる人並に押され、金成の方へと押し出される。自分の胸に金成の頭がぶつかり、金成がよろけた。
「あ、わり」
よろけた金成の肩を支え、もう片手で壁を掴んで互いの間にスペースを作る。それを金成はポカンとした顔で見ていて、俺は首を傾げた。
「なに?そんな痛かった?俺の胸板が硬いばっかりに…」
「…ほ、ほんとだよ!結さんみたいにお前が巨乳だったら良かったのに」
「デカいよなー、あれ」
俺の渾身のジョークを前に金成がいつもの笑顔に戻る。一緒に笑ってから俺は金成の肩から手を離した。
「第三次世界大戦からもう10年が経ちますが、まだまだ不景気が続きます。みんながちゃんとした企業に就職できるよう、先生たちも努力しているので、みんなも将来は立派な大人になれるよう…」
ぼんやりと俺は教室の前方上部の壁に備え付けられている針時計を見つめる。
俺がまだ7歳の時に大規模な戦争があった。別に日本が喧嘩したわけじゃないけど、別の国と別の国が大喧嘩したらしい。
その影響で日本は酷い不景気に見舞われて、俺の父親は会社からリストラ。母親は発狂。別の国同士の喧嘩のはずなのに、うちの家庭でも喧嘩が勃発するようになった。
家の中がやかましいから、俺はよく火継と外に出るようになった。俺は金成の家へ行くようになり、火継はしばらくしてからバイトを見つけて家を空けるようになった。
俺がまだ7歳ということもあって、金成家は時々俺を家に泊めてくれたりしたし、作った晩飯を分けてくれた。俺にとって当時の金成家は俺の第二の実家のような場所だったと思う。
それも、俺の父親が母親のヒステリーに耐えきれなくなって刺殺した夜に終わる。俺と火継が家を空けている間のことだった。
「来週は進路希望のプリントを配ります。就職先に困らないよう、みんな今からよく考えて下さいね。先生と一緒に相談していきましょう」
終礼で担任教師がそう言い、号令を促す。日直の号令に合わせて適当に礼をし、俺は欠伸をする。
俺の母親は死んだ。父親は自首して今も牢で服役中だ。犯罪者の子供と積極的に関わりたい人間はそういないもので、金成家も事件をきっかけに疎遠になった。
金成も本当だったら俺と積極的に関わりを持ってはいけないとか言われているのだが、アイツだけは今も俺とツルむことをやめない。事件をネタに俺を笑ったり、暴力を加える奴がいるものなら、金成と二人で返り討ちにしてやった。
二人揃って職員室に呼び出されて叱られたこともある。だけど、金成が一緒に戦ってくれたから俺はイジメに屈することもなかったし、今もこうして普通に友達をつくれてクラスに馴染めている。金成は親友でいて、戦友に近い存在なのかもしれなかった。
「藤村ー、デート楽しんでこいよー」
「ちげーわ。金成とデートするくらいなら、動物園のメスゴリラとデートするわ」
クラスの扉をくぐろうとする俺に、クラスメイトが指笛を鳴らしたりして囃し立てる。それをいつものお約束で一笑し、廊下の方を見ると、そこにはすでに金成が鞄を肩にかけて待っていた。
目が合った時、金成が一瞬だけ赤い瞳を大きくした。その表情が何を意味するのか、俺には分からなかったが、金成はすぐにいつも通り半笑いで目を細めた。
「メスゴリラじゃなくて悪かったな、オスゴリラ」
「お?なんだ?ドラミング勝負でもするか?ドラミング上手かったらメスゴリラ認定してやるぜ」
「メスゴリラはドラミングしねーよ、バーカ」
キレのある突っ込みだ。金成は俺と同じような性格をしているはずなのに、コイツは模擬テストで最上位5位圏内で成績を争っている。頭がいいだけある。本人には言ったことはないが。
「変な豆知識披露してんじゃねえぞ。ほら、買い物行くんだろ」
俺が先導して歩き出すと、金成はまた犬のように軽い足取りで後ろをついてきた。
校庭を抜け、またくだらない話をしながら駅へと向かう。改札を通り抜けてから、俺は金成に振り返った。
「そういや、今日はどこ行くんだ?またプラモデルがある電気屋か?」
「えっ、あー…今日は渋谷の駅ビルとか…」
俺の問いに少しだけ口ごもってから、笑って答える。
コイツが渋谷に行きたいなんて言ったのを俺は初めて聞く。思わず顔をしかめると、金成は慌てたように胸の前で両手を振った。
「ちっ、ちげーし!お前の服を買いに行くんだよ!」
「はあ?なんでだよ」
なんで金成の買い物なのに俺の服を買いに行くんだ。ますます膨らむ謎に俺が声を上げると、金成は俺の胸を軽くドついた。
「お前、今日誕生日だろ!プレゼントだよ!そのダセー服の代わりに何か買ってやるから選べよ!あっでも、あんま高いもんはダメだぞ!」
呆然としている俺に金成は捲し立てるように言葉を羅列させる。俺はしばらく黙ってそれを聞いていたが、じわじわと言葉が脳に浸透してくる。
「…あれ?今日っていつ?」
「7月6日!誕生日無頓着マンか」
そう言って金成は俺の額にチョップを入れる。相変わらずキレがある。俺はコイツのノリツッコミが凄く好きなので、思わずボケたくもなる。
「そっか、7月6日って誕生日だったっけか」
お金がないせいであんまり祝われたこともないし、別に俺の誕生日を周囲に言って回ったりもしないから、毎年結構忘れる。祝ってくれるのは金成と火継くらいか。火継、今日の朝は何も言ってなかったけどな。
「そんなすげーもんくれなくてもいいよ。ビックバーガー二つで手ェ打ってやるよ」
「お前そのTシャツもズボンも中学の頃から着てんだろ。物持ちいいのは立派だけど、もうズボンの裾足りてねえし、Tシャツちっちゃくて屈むとチラチラ背中見えるんだよ。何とかしろ!」
笑いながら金成は俺のTシャツをめくってから、渋谷方面のホームへと向かった。
そんなに不格好だったかな。たしかにズボンは裾足りなくて、ごまかしてずっとロールアップにしてたけど。俺は自分のTシャツの胸元を引っ張って見てから、金成の後に続いた。
「渋谷って俺初めて行く気がするわ」
少し混雑した電車に乗りながら、俺は呟く。人混みの中で座席の脇を陣取り、金成を座席側へと通す。金成は座席脇の手すりに寄り掛かると、驚いたように目を開いて笑った。
「まー?その年で?普通デートとか…あ、そっか彼女いないもんなお前。ドンマイ」
「っせ!関係ねえわ!カラオケとかゲーセンなら渋谷に行かなくてもあるし、格安ブランドなら地元に沢山あるか行く機会ないだけだわ!」
「超言い訳すんじゃん。童貞か?」
「ど、どどど童貞ちゃうわ!」
発車した電車の中で軽口を叩きながらゲラゲラ笑う。
ま、童貞なんですけどね。彼女とか出来たことないし、欲しいと思ったこともあんまない。エッチなことには大変興味はありますが。
「そういや、火継はああ見えてめちゃくちゃ美人の彼女いるんだよな…大人の階段上ったのかな。23歳なら、大人になって当たり前なのか?」
ふと、脳を解さずに言葉が口から漏れた。金成は苦笑いする。
「え、何、急に。結(ゆい)さんの話?」
「いやーあれくらい美人な彼女いるのってどんな気持ちなのかなって」
火継の彼女は赤糸(あかし) 結という名前で、ザ・女子って感じの人だ。甘栗みたいな茶色の長い髪で、それを緩く毛先巻いてたりして、ブラウスにリボンなんか付けてたりする。あとはおっぱいがデカい。
「あーまあ、美人だよなー…咲凪もああいうのタイプ?」
「そりゃまあ?可愛いに越したこたねえよな」
金成に尋ねられ、俺は首を捻る。彼女を作ろうと思ったことがないから、自分の好みとかはよく分からないが、グラビアモデルとかはみんなふわふわヒラヒラしてて可愛いなとは思う。自分も彼女を作るんなら、火継の彼女みたいな感じなんだろうなと、ずっと漠然と思っていた。
火継の彼女はいいとこのお嬢様らしくて、身なりが綺麗でいつも良い匂いがする。何度か俺も金成も会ったことがあるが、金成もああいうのがタイプなんだろうか。
「金成はどういうのがタイプなん?ふわふわ系?ひらひら系?ボーイッシュ?」
「えっ…ま、可愛い系かな…?」
「だよなー」
何故か少し困惑しているが、金成もやっぱり可愛いものが好きらしい。可愛いは正義って言うもんな。
そんな会話をしていると、電車が新宿駅で扉を開く。人がぞろぞろと降りたと思ったら、降りた以上に人が乗ってきた。急に押し寄せる人並に押され、金成の方へと押し出される。自分の胸に金成の頭がぶつかり、金成がよろけた。
「あ、わり」
よろけた金成の肩を支え、もう片手で壁を掴んで互いの間にスペースを作る。それを金成はポカンとした顔で見ていて、俺は首を傾げた。
「なに?そんな痛かった?俺の胸板が硬いばっかりに…」
「…ほ、ほんとだよ!結さんみたいにお前が巨乳だったら良かったのに」
「デカいよなー、あれ」
俺の渾身のジョークを前に金成がいつもの笑顔に戻る。一緒に笑ってから俺は金成の肩から手を離した。
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