天底ノ箱庭 春告鳥

Life up+α

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5章 狼は彼と空に行きたくなりました

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「っだーから、してないって言ってるだろ」
下着の下にまで手をかけようとする幸樹の腕を軽く叩く。
幸樹はそれに対して下着から手を離さずに、不満そうな顔をでこちらを見る。
「だって、クリフ中に入れたものそのままにするの俺知ってるもん。次にクリフとセックスする時に中に残ってたら、俺やだなー」
「やだも何も無いもんは無い!そんなこと言って、またセクハラしたいだけだろ」
地上に帰るのに手を貸してくれるとは言ってくれたものの…ここまで他の男との繋がりが無いことを証明する必要があるんだろうかとは思う。
確かに俺の尺度で測れば恋人並み…むしろそれ以上のペースで肌を重ねているものの恋人だと言われたことは無いし、好きにも色々あるだろう…。
地下は誰彼構わず突っ込むような輩があちこちにいる、幸樹がそうとは言わないがやはりその辺を地上の常識で測るのは違うんだろう。
「そりゃセクハラだってしたいけど、確認したいのも本当だし、確認とれたら俺は満足するよ?」
自分は間違ってないとでも言いたげに彼は目を細めてこちらを見る。
「見るだけ、触るなよ」
そう言って俺は下着を下にずらす。
蓮岡とは本当に話をしただけだから、もちろんそこに中出しされた痕跡なんてあるわけもない。
「ほら、満足か」
幸樹が俺の尻をまじまじと眺める。そんなにじっくり見られるとさすがに見られ慣れたとはいえ、恥ずかしいもんは恥ずかしくなる。
「…中見えなくない?」
まるで見に来た映画が上映されない客のような言い草だ。
「外から見ればわかるだろ…」
「中出しって中に出すから中出しなんだよ?外からじゃわかんねえって」
「これ以上どうしろって言うんだ…」
呆れたように下着を履き直そうとすると、幸樹はその手を止めて穴に指を入れる。
「じゃあやっぱり俺が確認しないとだめだわ」
「あっ…こら!何も、ないって…言ってる…だろ!」
俺の呼びかけに彼はまるで答えずに2本の指で入り口を開く。まじまじと顔を寄せて中を覗き込むと、眉をひそめた。
「暗くて見えねえな…」
そのままもう片手の指を入れる。指が届く限界まで奥に押し込み、中身を掻き出すように指先で中身を確認する。
「…っ!お、おい…それやめ…ろ…!」
幸樹が俺の中を触るとすぐこうだ。俺の好きなところなんて知り尽くしてるなんて指の動きで、中を刺激されると体の力が抜けてしまう。
「うーん、今のとこ無実っぽい?」
そう言って彼はようやく指を抜くが、その代わりに口を付ける。
「あっ!お前っ!!」
口を付けられた感触にすぐさま抵抗しようと体を起こすが、中にぬるぬるとしたものが入ってくるのが分かるとまた上手く力が入らなくなってしまう。
「うぁ…馬鹿!それ…だめだって…言って…!」
俺の言葉に幸樹は口を離すと、ぺろりと唇を舐めて笑った。
「見て分からないなら味で分かるかなって」
そこまで言うと、また彼は同じ動作を再開する。
あんな場所を中まで好き勝手舐め回されてるなんて顔が爆発してしまいそうなほど恥ずかしいのに、声が出そうなほど感じているなんて思われたらと考えるとますます顔が熱くなる。
「あっ…やめっ…んんっ…」
「んー」
また少し彼は口を離すと首を傾げた。
「わかんね」
今度は舌を入れて内側を掻き出すように舐めて、音を立てて中を吸う。
「っあ!?…や…音…!音たてる…な!!」
俺の声絶対聞こえてるのに幸樹は無視して続行する。
俺の足をがっちりと捉え抵抗できないように腰をめくりあげて自分の膝に乗せてひっくり返された体勢は穴も反応し始める前の物も俺の顔も全部見えてるよと言いたげにこちらを見てニヤリと笑う。
時々口を離して両手で広げた穴の中を覗き込むように視線を向ける。自分のがパクパクと動くのが分かってしまうから尚更情けない。
「み、見るな!ばか!」
声を上げると幸樹は悪そうな笑顔をこちらに向け、また指を入れて中を掻き回す。
「うーん、ごめん蓮岡は濡れ衣だったっぽい!中ぴっかぴかだったー、安心した!」
そう言いながら彼は手を止めない。
「だから…最初からっ…そう…言っ…う…」
そんなにしつこく掻き回されると中が物足りなそうに疼くの、わかっててやってるんだろうか。
幸樹は俺の顔を長めながら指を早めたりゆっくり回して弄ぶ。
「どうしよ?クリフごめんね、もう寝る?」
絶対わざとだ。確信犯だこいつ!なのに彼がいないとこの火照ったからだはもうどうにも出来ない。
「も…おそい…って、わかっ…てるだろ…!」
俺の顔を見ながら幸樹は嬉しそうに目を細めた。
「うん、分かってるー」
がっちりと抑えていた足をベッドに寝かせると、彼は俺の頬にキスを落とす。
「ちゃんと責任取るから、どの体位がいいとかリクエストある?」
親切なように見せかけて俺にリクエストさせるっていう羞恥プレイじゃないのかこれは!
ムッとした顔で睨むと幸樹は心底嬉しそうに。
「好きなの選んでいいよ」
と、にこやかに笑う。
「……せ…い…じょうい…」
火照りが既に辛いのに今更我慢なんてきかない…俺は幸樹に踊らされてる気がする…。
絞り出すような俺の言葉に幸樹はにんまりと笑う。
「俺もそれ好き!」
幸樹は俺の足を肩にかけて、いつものように上体に体重を乗せる。すぐ近くまで顔を寄せると、額と額をくっつけた。
「いつも後ろと前どっちが好きなのかなって思ってたから、いい話聞けた」
「忘れといてくれ…」
幸樹の顔が近い…こうして真っ直ぐに見つれられると顔が熱くなって鼓動がうるさい。
顔が赤くなっていたら困る…幸樹を友達以上に見ようとしているのを見透かされてしまいそうで…。
「も…早く…」
熱の集まる顔を隠すように背けて彼に囁く。
「じゃあ、こっち向いて欲しいなー」
そう言いながら、彼は自分の物を入り口に押し当てるともどかしいくらいゆっくりと中へ押し込んでくる。
「ちゅーしてくれたら頑張れるなー?」
こんなにゆっくりなのにもう声が出そうだ。
顔を見ながらなんて…そう思いながら視線だけ彼に向ける。
彼はじっとこちらを期待したような目で見つめている。キスがくるのを今か今かと待っているようだ。
ゆっくりと入ってくるものがいつも幸樹が押し込む前につついたりして弄ぶ壁までとどく。
「この先に入るエネルギーくーださい」
「ふざけ…てる…だろ…」
「だってちゅーしてくれないじゃん。してくれないなら、この先は諦めよ」
そう言って彼は壁の手前で出し入れを始める。向こうへいかない程度の強さで壁を突き上げては戻し、徐々に速度を上げていく。
「あっ…なん…ううっ」
奥まで入れないままそんな刺激をされては辛すぎる。
腹の奥が切なくもきゅうと何も無い空間を締め上げるのが辛い。
俺は幸樹の両頬に手を添え自身の顔に引き寄せる。
「んっ…ふぁ…んん…」
いつも唇を食んだり歯をなぞるようなキスをするのに、いきなり食べるように舌を絡ませてくる。
脳まで溶かされそうな舌使いに思わず息が漏れてしまう。
幸樹は口を離さずに肩に掛けていた俺の足をゆっくりと下ろすと、腕を腰の下に入れて抱き寄せる。
固定された腰に彼はゆっくりと自分の腰を寄せていく。壁にゆっくりと力をかけて1番奥へと押し込んできた。
「んむっ…ふぅぅ…」
欲しかった場所を埋められた心地良さに声を漏らすも、彼に食まれた口がこの声を阻んだ。
幸樹は名残惜しそうに俺の唇に舌を這わせながらゆっくりと口を離す。
「…声めっちゃ可愛い」
もう一度、彼は口を近付けて再び舌を絡ませる。
「き、かれたくな…ん…」
薄く目を開くと幸樹の顔がまつ毛がぶつかりそうなほどすぐそこにあって、彼の目を閉じた表情に心臓が痛いほど高鳴ってしまうのを感じる。
「みあ…ひ…」
不意に漏れた声に、彼がまた口を離す。
「…幸樹じゃないの?」
耳元でそう言いながら、幸樹は俺の耳を優しく噛む。舌で輪部をなぞられると身体中をくすぐられるようなぞくぞくとした感覚に体が小さく震える。押し当てられた彼の腹部も自分のもの優しく擦るようで、身体中から与えられ続ける微弱な快感に息を着く暇もなく俺は声をあげてしまう。
「あっ…こう…こうき…それ…だめだっ…」
「もしかして耳弱い?」
また耳元で囁く。今度は舌を耳の輪部から内側へと滑らせていく。耳の内側に舌先が入り込み、水気を含んだ音が聴覚を支配する。
「よわ…くな…んっ…」
別に耳なんて弱くなかった。幸樹にそうやって囁かれる度に食まれ、舌を這わせながら熱い息を吹きかけられるせいですっかり感じるようになっていた。
幸樹のせいで何ともなかった部分が弱くなされられて、このままじゃ身体中を性感帯に帰られてしまいそうだ…。
「そう?弱くない?」
彼は耳から口を離すと、悪そうな笑顔を浮かべる。
「どこ触っても気持ちよさそうに見えるんだけどな」
首にキスを落として彼は今度は鎖骨を舐める。空いた手で胸の先を弄りながら、味わうように腰を動かす速度を上げた。
「クリフが全然感じないとこ知りたいなあ」
「はっ…あ…やめ…いちどに…あっ…」
色んな所から快感が与えられ、俺の膨張しきったものから我慢しきれずにヌルヌルとしたしずくが滲むのがわかる。
鎖骨から少しずつ下に唇を滑らせ、固くなった胸の先端を舌で遊ばれる。空いた手が俺の腹から腰骨をくすぐるように撫でる。
「どこ触っても中が締め付けてくるんだけど、気持ちいい場所しかなくない?」
胸から口を離して、目線だけで俺を見て幸樹は笑う。彼の熱い息が濡れた胸にかかる。
「んんっ…ふあ…あ…」
「今、息かかっただけだけど、感じた?」
また口を胸に近づけ、優しく吸い上げてから口を離す時に彼はわざと息をかけるように吐く。
「あっ…やめっ…」
「絶対感じてるもん」
確信したように言いながら、彼は舌先で乳輪をもどかしくなぞる。あえて強い刺激を与えないように調整しているようだ。
「そ、そういうの…やめて…くれっ…」
触れて貰えない胸の先端が切なく固くなっていくのを感じると同時に、自身の前のものも我慢がきかなくなっていく。
耐えきれすに幸樹の腹部に擦り付けるように勝手に腰が浮き上がり動いてしまう。
彼はその浮いた腰の下に腕を入れると、わざと擦れるように身体を落とす。それでも強く擦ると彼は意地悪く身体を上げてよける。
「腰動くくらい気持ちいい?もっと長く楽しんでもいいんだよ?」
「う……い、いき…たい…」
ハアハアと息を荒らげながら擦るものが無くなったのいうのに腰が動くのが止められない。幸樹に見られている、止めたいのに自分ではどうにも止められない…。
その様子を楽しそうに幸樹は眺めていたが、顔を近付けるように上体を近付ける。
「…そんなに求められたら答えないわけにはいかないかー」
唇を重ねて舌を差し込んでくる。背中に回された腕で抱き寄せられると、彼の腹部に前がぎゅっと強く押し付けられた。
再び前を擦り付ける場所を与えられると俺は自分の腰を夢中で擦りつけてしまう。
もっと強くと思ううちに幸樹の腰に足をかけていた。
「あっ…はあっ…あっ、あっ!」
自分の中が締まり中に収まった幸樹のものに密着すると、彼のものも大きく痙攣しているのを感じる。
目の前にある幸樹の顔をふと見ると、彼は余裕なく眉間にしわを寄せて荒く息をしていた。
「やば…もう出る…っ」
彼がグッと1番奥へと押し込んでくる。
「あ…んっ…!!」
腹の中に熱くヌルヌルしたものが吐き出されると同時に俺と幸樹の腹の間にも熱いのもがぶちまけられる。
「はあっ…はあっ…」
ベッドの上で脱力する俺から幸樹は少し身体を起こすと、自分の腹を見て笑った。
「へへ…ベトベトだ」
ベトベトと言う癖に彼はそのまま俺にまた被さると、抱きしめて横に転がった。
「なんかぬるぬるしてて、あったかくて、これはこれでいいかも」
「やめろ…言うな…」
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
幸樹はそれを知ってか知らずか、いつものように俺の頭に頬ずりをしている。最近は終わった後、毎回こうだ。
「めっちゃ動いてもらった…超きもちかった」
「だから言うな…!」
幸樹の頭を軽く小突く。「あでっ」と口で言いつつ、彼は別に痛そうでもない。
「…なんか、今こういう話するのもなんだけどさ」
しばらく俺を抱きしめたまま満足そうにしていたが、不意に思い出したように彼は話し出す。少し気まずそうな声色だ。
「…なんだ?」
「あーいや、その…ご存知の通り、俺って性欲強いじゃん…?」
今更何を言い出すかと思えば…そう思いつつ彼の話に耳を傾ける。
「以前、クリフに家出されてガチギレした時に夜通しぶち犯したことがあると思うんだけど…あの時は本当に申し訳なかったというか…俺も後味悪かったというか…」
たしかにそんなこともあったな…。怒るのも無理はない話だとは思うがまさか夜通し致されるとは思わなかった。というか申し訳ないとか思っていたのか…意外だ。
幸樹は俺の背中に回していた腕を解いて、自分の顔の前に合わせる。
「でも、本当はクリフと一晩中楽しんでみたいです!1日だけでいいから!休みの日に!今度は同意の上で!優しくするし痛くしないし無理はさせないからどうかお願いだから1回チャンスくれませんか…!」
突然の丁寧語で彼は早口で言う。目をぎゅっとつぶって叱られないことを祈っているようだった。
「そんなに必死にお願いされると、だめって言いづらいだろ」
こんなことで必死になってしまう彼がなんだかおもしろくて、俺はつい吹き出してしまう。
「その条件なら一回くらいいいよ」
「ほんと…?」
彼は驚いたように目を開いてから、そのままパッと笑顔になる。
「やったー!!次のお休み楽しみにしてる!」
ばっと再び俺の背中に腕を回して力強く抱きしめ、俺の額に何度もキスをする。
「わーかったわかったから!」
幸樹を軽く押しかえすが彼はそのまま強制的に俺を抱き込んで頬ずりまでする。
なんだか本当に大きな犬みたいで少し可愛いなと思う。
しかし、一生一緒にいたいなんて言われて友人でいられるかどうかわからないってどうなんだぞれ…?言われた時一気に体温が下がったような冷や汗をかいたじゃないか。
地上に行ってからも友人でいてほしいという俺の言葉は確かに本心ではある…あるのだが、ちょっと見栄を張った部分はある。
こんなに好きとか可愛いとか言われてしまうと地上の常識で育った俺からすれば、やっぱり恋愛のそれを思い浮かべてしまうが地下のそれとは多分違うんだろう。
「本当にお前にはかなわない」
頭にハテナを浮かべる彼のぐしゃぐしゃとなでてやると、よくわかんないけど嬉しそうな顔で俺の手に頭をすりつけてくる。
「お前は犬か」
「犬だ!」
悪戯っぽい笑顔を浮かべると俺の頬を控えめに舐めた。
「クリフにしか従わないけどね!」
「それはよかった」
今日は体中舐めまわされた気がする。朝起きたらシャワー浴びないと…。
じょじょに重くなってくる瞼をなんとか持ち上げて俺は彼をつつく。
「幸樹…なんか拭くもの」
「え?今拭かなくても明日風呂入れば良くね?」
「乾いたら腹がパリパリになるだろ、いいから」
先ほどよりも強めに押し返すと、彼は「えー」と不満そうな声を出しながら離れて起き上がる。枕元にあるティッシュ箱から何枚か中身を引き抜き、俺の腹の上についたものから丁寧に拭き去っていく。
「ん…ありがとう」
不服そうな顔をしている幸樹の頭を撫でると、への字に曲げていた彼の口元がゆっくりと上に上がる。
「どーいたしまして」
彼は再び俺の腕の中に潜り込み自分からも抱き寄せる。
「おやすみ」
触れ合う肌の熱が温かくて心地いい。最近こうしているとすぐに眠くなる。
沈む瞼に身を預けて幸樹に寄り添った。
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