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5章 狼は彼と空に行きたくなりました
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幸せの小さな青い鳥が虹の彼方に飛ぶのなら
なんで自分はそうなれないんでしょう。
…だっけ?
英語の語感だけで口ずさんでいるいつもの音楽をMDプレイヤーで流す。単語の意味を知っているわけじゃないから、昔父親が何度も言い聞かせるように俺に聞かせた和訳でしか意味を知らない。
1日で6回もセックスしたのでさすがにちょっと疲れて俺はベットで大の字になっていた。広いベッドはこんなに手足が伸びるんだなとしみじみ感じる。
父親がいた頃は父親とあの小さな部屋の隅の檻に入れられて地べたで寝てたし、2人一緒じゃ狭くてずっと丸まって眠っていた。自分の部屋もあの狭さだから丸まって寝るのが当たり前すぎて、未だに気付くとこのベッドでも丸まっている。
あれやると朝起きた時に老人ばりに関節ギシギシになるので、クリフに身体を伸ばせと注意されるがまだ直りそうもない。
大の字で天井を眺めていると、不意にベッドが揺れて横を見る。両耳にイヤホンを入れていたせいで気付かなかったが、俺のすぐ隣でクリフが横座りでこちらを見下ろしていた。
クリフが何か話すように口を動かしているが聞こえない。俺はイヤホンを片耳からとる。
「だから、今日は俺を抱きしめて寝ろ」
「…え、なんて?」
前の部分が聞き取れなかったせいかもしれないが、ちょっとクリフの言ってることが分からない。
俺は聞き返すが、クリフはそれについて返事をするでもなくもぞもぞと俺の腕に頭を乗せて横になる。
「ほら、手はここ」
クリフの頭の下に入っていない方の手を乗せろと言う意味なのか、彼は自分の腰を軽く叩いて示す。
「え…?おう…」
脈絡が繋がっていないので俺はよく分からないままクリフに向き合って腰に手を回す。細いくびれと大きすぎない腰骨が華奢で可愛らしい。
すぐ目の前に彼の顔がある。話せば吐息がかかる距離だ。
…え?なんでこんなことになってんの?
しばらく不思議な沈黙が流れたが、不意にクリフは俺の背中に思い出したように手を回した。
「抱きしめられるの好きなんだろ?」
ぎゅっと肩に俺の顔を埋めるようにクリフは俺を抱きしめる。
子供をあやすような手つきで時々ポンポンと俺を頭を撫でながら優しく体を密着させる。
最近、よくクリフが俺を抱きしめてくれることが増えた。なんでなのか、やっぱり俺にはよく分からない。
今日も相手から挑発されたようなものではあるが、身体を許してもらっている。やりすぎたかと謝れば大丈夫だと言う。
昔よりは好きだと言っているけれど、別に進んで抱かれたいわけでもなさそうだし「前より好き」が「虐待されるよりマシ」レベルのものかも分からない。
クリフが考えていることが分からない。ただの俺の仕事への労いなのだとしたら限りなく寂しいが、残念ながらそれを断るほどのプライドは持ち合わせていない。彼の温もりが疲れを癒してくれて、穏やかな気持ちにさせてくれるから生きる希望が見える。
ずっと傍にいて欲しいと、地上に帰らないで欲しいと、泣いて追いすがっても困らせるだけ。ずっと帰りたいと言い続けるクリフを半年近く縛り付けてきたのだから、もうこれ以上の駄々はこねられないだろう。
「…俺は嬉しいけど、クリフは俺とくっついて寝るの大変じゃね?寝返りうちずらいだろうし、俺が寝返りうったら潰れるかも」
口先ではそう言いながら、俺は彼の首に顔を埋めて両腕で抱きしめる。
本当はずっとこのままでいたい。このまま一体化しちゃえばいいのに、なんてよく思う。
「じゃあ、潰さないように気をつけてくれ」
当たり前だが、俺の考えてることなんてこれっぽっちも伝わってない。そんな様子でクリフは俺を離す素振りを見せない。
クリフの髪からシャンプーの匂いがする。いつもいい匂い。同じシャンプー使ってるのに、クリフは特別いい匂いに感じるから俺の鼻はおかしくなってるのかもしれない。
「…あんまりそうやってベタベタしてると襲うよ?俺、性欲強い方だって言ったっしょ」
冗談交じりに忠告する。実際、クリフは別腹だから何度でも抱ける自信はあるし、今は落ち着いててもあんま傍にいたらムラムラしそうなのは本当だ。
労いの気持ちだけで抱かせてくれてるなら、これで離れるだろ。笑いながら「今日はもうしただろ」って冗談返すみたいに離れてくれるに違いない。
そしたら、俺だって「そうだよな、危なかったな」って笑える。みんな幸せだ。
するとクリフは予想通りふって鼻で笑う。
「本当元気だなお前は。したいならもっとハッキリ意思表示してくれ、わかりづらい」
と、半分呆れたような半分楽しそうな様子で答える。
「…え?」
離れるわけでもないクリフに俺は顔を上げて彼の顔を覗き込む。
暗がりの中、少し頬を赤らめて目が合うと恥ずかしそうに視線を逸らすが嫌がってるという雰囲気ではない。
「えっ、でもさっきしたばっかだよ?クリフさすがに疲れたんじゃね…?」
そうだよ、調子乗って好き勝手やったもん。足立たなくなってたじゃん。抱かれるのは嫌じゃないって言ってたけど好きでもないんだろ。
ぐるぐると疑問が頭を回る。クリフは少し眉間に皺を寄せてわざとらしくぶっきらぼうな声をだす。
「誘われてると思って答えたのになんだ。俺ががっついてるみたいじゃないか…」
語尾が小さくなっていくクリフに俺はぶんぶんと首を横に振る。
「さ、誘ってる!ありがと…?」
お礼を言う場面なのかちょっと分からなくて疑問形になると、クリフは笑いをこぼした。
全く期待していなかったので、正直何にも気持ちの準備が出来ていない。
これは労われている?それとも、もっと違うものだって期待していいのか?
俺がクリフの額にキスをすると、彼は避けるでもなく片目をくすぐったそうに細めた。
身体だけと思われているなら、キスは気持ち悪いって言われそうで遠慮していた。昨日は思わず口を塞ぐのに口にキスしてしまったが、あの時のクリフは何か変だったから許してくれたのかもと。
恐る恐るキスの位置を頬に変え、首に落とす。嫌がる様子もなく受け入れてくれるクリフに俺は唇を重ねてみる。
緊張しているのか、前にキスをした時より唇が硬い。ぎゅっと結ばれたそれは伸びないゴムみたいだ。
1度の顔を離してクリフの表情を確認する。めちゃくちゃ嫌がられたらどうしよう。苦虫かみ潰したみたいな顔してたら立ち直れないかもしれない。
そう思って覗きこんだらクリフは少し照れているようではあったが、想像したみたいな酷い顔ではなかった。
「…嫌じゃない?」
犬と飼い主がキスするなんて地下じゃ考えられないくらい気持ち悪い行為で、見られたもんなら軽蔑まっしぐらだ。
だけど、クリフは地上の暮らしが長いからかあまり気にしてなさそうなのは幸いだった。
クリフはなかなか返答をせずにじっと俺の顔を見ている。なんだろう、俺なんか変な顔してるかな…鼻の穴、広がってたりしたら恥ずかしいな。
「あっ…い、嫌じゃないし…何とも…」
クリフはぽーっと俺の顔を見つめていたかと思えば、ハッと我に返ったように慌てて返事をする。
クリフの顔がみるみる赤くなっていく。頬だけでなく耳まで真っ赤だ。あんまり可愛くて胸が痛い。
「良かった」
安心で思わず笑う。すると、今まで笑い返してくれたのに、クリフは赤い顔で恥ずかしがるように視線を泳がす。そんなキス照れたのかな。
クリフの頬に手を添えてもう一度唇を近づける。クリフはそれに合わせてぎゅっと目をとじた。
やっぱり硬い唇に今度は舌で舐めてみる。
「…ん」
舌が触れた瞬間驚いたように肩をぴくりと動かす。
ゆっくりと唇をなぞるように舌を滑らせると、少し迷ったように唇が震えてゆっくりと微かな隙間を作る。
その隙間に舌を差し込むと、俺の足に絡めていたクリフの足がきゅっと俺の足を挟んでしまる。彼の小さな歯に舌が触れるのが分かると、遠慮がちにまた少しだけ口を開いてくれた。
自分の舌先に彼の舌先が時々触れる。絡めようとしながら、しかし大胆に絡めることもできない控えめな触り方。それがますます可愛いくて辛い。
抱きしめたままクリフのうなじを手で包み、優しく引き寄せる。口の中が唾液で溶け合うようで気持ちよかった。
クリフの息が苦しくなる前にと口を離す。彼の唇と俺の唇で透明な糸を引いた。
「はぁ…はぁ…」
溶けてしまいそうなほど熱い息を漏らしながらクリフは目をうるませて真っ赤な頬を恥じるように腕で隠す。
「隠さなくていいよ、可愛い…」
クリフの腕を優しく掴んでおろす。そのまま彼の手のひらに自分の手のひらを重ねて、指を絡めて握る。小さくて細くて、女の子みたいだ。遠慮がちに握り返すクリフの指にも少しずつ力が入る。
もう一度キスをしながら彼の腰に回した手をシャツの下に潜り込ませる。クリフの肌はいつもより熱くて所々、微かに汗ばんでいる気がした。
これだけキスを許してくれて、手も握ってくれて、身体も許されているのに、それでもクリフは俺のことを好きにはなってくれないんだろうか。
それとも、ずっと好きだって伝え続けたら、叶うもんなんだろうか。
ロング丈のパジャマを少し上へたくしあげ、片手で前のボタンをとっていく。前を開いて服をとりさると、恥ずかしいのか代わりに傍の毛布を引き寄せて隠してしまう。
長いこと全裸で過ごさせたし、なんなら今日も堂々と風呂で脱いでいたので、俺のせいで羞恥心が死んでしまったのではないかと思っていたが、こう恥らう仕草をされると新鮮でドキドキしてしまう。
「隠さないでって言ってるのに」
思わず笑ってしまうが、先に毛布から出ている下半身を覆っているズボンに手をかける。下着ごと下におろすと、毛布からは白い足だけが見える。チラリズムってやつかな?なんかいいね、こういうのも。
俺も上に着ていた服を脱いで床に投げる。そのままクリフが入っている毛布の下に入り込んで、彼の上に跨る。
何度もこうやって上からクリフを見ていたことはあったが、反抗的に睨みつけるのではなく、チラチラと赤らめた顔で俺の様子を伺うクリフを見るのは初めてだった。
そのまま彼の顔の隣に両腕をつき、もう一度キスをする。口だけでなく、顔や耳、首、思い付く限りの場所にキスを降らした。
戸惑ったように身をよじったり、くすぐったいのか時々息を漏らすクリフもキスを重ねる度にだんだん大人しくなり俺の顔を触ったり、頭を撫でたりする。
俺はクリフの額に自分の額を優しく擦り付ける。
「…めっちゃ好き」
どうこの気持ちを伝えたらいいかわからなくて、頭を絞ったのにため息みたいに小さな声で頭の悪い言葉しか出てこない。
でも、クリフの反応が知りたくて、その距離のままクリフの目を見つめる。
クリフも顔を赤らめたままゆっくりそして真っ直ぐに視線を俺に向ける。
「…ありがとう」
彼の声もまた、なんて伝えたらいいか分からない気持ちを何とか言葉にしたような、ため息みたいに小さい囁き。
ああ、拒絶はされない。好きって言っても大丈夫。嫌われない。
俺はその体勢のままクリフの背中に腕を回して抱き込む。クリフが痛くない程度の限界まで力いっぱい抱きしめる。
俺の背中にクリフの細い腕が回される感覚。
クリフはあまり力が強くない、それでも今までで1番強くしっかりと抱き返す心地のいい強さ。
セックスしようとか言って、全然セックスに発展してないし、繋がってすらいない。でも、こうして肌が触れているだけで、不思議と今までで1番満たされている気がした。
ふと、俺は思い出して顔を上げる。今ならあれが許されるのでは?
「…今日はこっち舐めてもいい?」
俺の太もも辺りに当たるクリフのものが硬くなっているのは知っている。俺はそれに手を添えて、優しく撫でながら尋ねた。
「えっ…」
「あ、やっぱキモい…?」
「あ、いや…そういう訳じゃなくて…」
何を気にしてるのかクリフは恥ずかしそうに悩んでから答える。
「俺…されたことない…それでも良ければ…」
もじもじとするクリフに俺は首を傾げる。
「えっ、むしろそれ俺が初めてで大丈夫?」
開通式しかり色々な初めてを無理やりもらってしまったので、まさかこちらもとなると、なんか恋人でもないのに独占して悪いなあと思う。
「…お前がいいなら…頼もうか…」
むしろ頼まれている。嬉しくなって俺は笑って頷く。俺は少し後ろに下がり、クリフの下半身に顔を寄せた。
クリフの大きさは平均的な大きさだが、やや細い。指で裏筋を優しくなぞると、ぴくぴくと反応を返してくれるのが可愛い。
先端にキスを落として吸うと、そのままゆっくりと口の中へ押し込む。
「…っう…」
伸ばしていた膝を曲げ、強ばるように力が入る。閉じようと頭の上に寄ってくる膝を手で押し返した。
「閉じないで」
にやにやと笑いながら俺は口に入れていたものに頬ずりして見せる。
「クリフって穴触らなくてもイける?」
聞きながら俺は再び口に押し込み、窪みに舌を絡めながら吸い上げ、先から根元まで唇を滑らせる。
「それはっ…あ、まっ…話…」
クリフが俺の頭に手を添えて、控えめに押し返す。抵抗が弱いので、逆に続けたくなってしまうのは悪い癖だ。
俺は気付いていない振りをして今度は吸い上げる力を弱めてわざと口の中に空気をいれる。ジュボジュボといやらしい音を立てて擦られると、クリフは高い声を漏らして今度は足を完全に曲げ丸まったように腰を浮かせる。
クリフは穴を犯すとすぐ出すのに、まだ出そうな気配はない。穴が丸見えのその姿勢に、俺は1度口を離してから入り口を軽く指で押した。
「…こっちとセットのがいい?出そう?」
クリフは真っ赤な顔でこちらを見るが、もじもじと直ぐに答えないのを見て俺が再び彼の物に舌を這わせると目をきゅっと閉じて焦ったように首を縦に小さく振った。
「セットがいい?」
念のためもう一度聞きながら再び口に含む。丁寧に吸い上げながら、今日自分が入ったばっかりの穴に指を入れるとほぐす必要もないくらいやんわりと入り口を開いた。
奥の方へと指を進めると、いつもでは考えられないほど中が水っぽい。ちょっと驚いて指を抜いて見ると、白い液体が付着していた。
「…まだ俺のやつお腹の中に入ってたんだ」
てっきり掻き出したもんだと思っていたが、クリフにはその文化自体がなかったのかもしれない。
「そりゃあ…まだしたばかりだし…」
「じゃあ掻き出さないとなあ」
口ごもる彼に俺は再び指を彼の中に入れる。奥の方にある液体を掻き出しながら、彼の好きな所を一緒に擦る。
「んっ…んぅ…そこばっか…」
ゆっくりと撫でたり少し強めに押し上げる度クリフの物がぴくぴくと反応を返し、クリフは足先を丸めたり伸ばしたりして我慢するような仕草を見せる。
「だって汚したのは俺だから、ちゃんと責任もって綺麗にしないとね?」
今度は指で穴を広げ、俺はそこに口をつける。舌を中に押し込むと、ビクッと少し上体を起こして自分のされている事を目の当たりにする。
「お、おい…そこっ…は…ぁ…」
止めようとしてるのか俺の頭に手をのせ軽く髪を握るがその手にはあまり力が感じられない。
やめて欲しいようにはあまり感じないので、俺はしばらく内側を舐めてから顔を上げた。
「…フェラとこっちどっちが好き?」
クリフは俺と目が合って少し呆然と眺めるがブワッと顔を赤くして目をそらす。これは答えないで済まそうとしてる仕草だ。
「じゃあイくまで続ける?」
クリフの答えを待たずに再び舌をいれる。空いた手で前の方も丁寧にしごく。欲張りセットだ。
「ばかっ…なんで…そうっ…な…」
何か言いたい事があるようだがお構い無しに続けると、手の中の物は硬さを増し、指で広げた穴が締まるに締まらなくてひくひくと反応を返す。そろそろ出るのかもしれない。
締まらないよう抑えている指ごと穴がぎゅっと一際強く閉じようとする。それと同時にしごいていた手に温かい液体の感覚。
クリフに目を向けると体の末端までビクビクと痙攣させながら高揚した熱を冷ますように荒い息でとろんとした目で俺を見る。
俺は力の抜けた彼の内腿に頬をあてて寄りかかる。
「俺のご奉仕はいかがなもんでしたかね?」
「にや…けるな…」
はあはあと息を整えながら俺の頭を軽く殴る。
「犬らしく隅々まで舐めたのに」
笑いながら俺はクリフの隣に横になると、今度は自分から彼の身体を抱き寄せて肩に頭を乗せた。
「入れる前に…ちょっと…休憩…」
「ん?いいよ、今日はもう寝よ」
クリフの頬に自分の頬を擦り付ける。
「楽しかったから、満足した」
「えっ……そ、そうか…?わかった…」
意外そうにぶつぶつと疑問の残るような声色でクリフは答えた。まあ、あれだけ犯しまくってた俺が入れないでってなると意外だなってなるか。
俺はぎゅっとクリフを力強く抱きしめてから、頬にキスして笑う。
「だーい好き!」
もう心臓に向かって言う必要もない。嫌がらないなら伝え続けるだけなら迷惑じゃないはずだ。
いつも聴いてる歌にも出るじゃん。夢はいつか叶うって。
まあ、叶わなくたっていいけど、夢見るだけタダだしね。
「本日はご予約が3件入っています。リピートが2名様、新規が1名様。お客様の要望は部屋にまとめた資料を置いたので、そちらで確認してください」
職場につくや否や従業員に言われ、俺は黙って頷く。
働き始めて2週間。真面目に週5で通っているSMクラブでは思っていたより俺みたいな強面も需要があるようでリピートが増えて人気が出てきた。平日の昼間にも枠を作ってもらい、ほぼほぼフルタイムだ。
見慣れた部屋で俺はいつもの衣装に着替える。もうジッパーに毛は挟まない。
ベッドに腰を下ろして、傍に置かれたテーブルの資料を手に取って目を通す。1人目の予約は初めて相手した強姦プレイの内気な女性、2人目は犬に虐げられながらも愛することをやめられない設定の女性。なんと今日は自ら放尿したいそうだ。知ってたけどド変態だ。
3人目は新規と聞いているが…男性だ。珍しい。飼い主を犬扱いする下克上プレイ。なるほど、俺が上だぞとマウントを犬に取られたいのか。まあ、よくあるやつだ。
オプションは縄とバイブ…あと1時間延長。2時間たっぷりコースとはまあ豪勢なことだ。
俺はS専だから男性が来てもみんな突っ込まれたいやつしかいない。そんなたっぷりやりたいほど穴イキって癖になるんかな。
うちの店はプレイを中心にしているので、没入感が生まれるように俺も源氏名だがお客さんも希望によっては仮名を使う。本名を知っているのは受付だけだ。
「ポチくんね…どんだけ犬になりたいんだよ」
この男性は明らかな仮名での登録だ。犬扱いして欲しい感がすごい。
そんなことをしていると電話が鳴る。
「予約されたお客様がご来店です」
来たな、強姦大好きっ子。俺は電話が切れるのを待ってから受話器を置く。
今日のオプションは猿轡だ。どう料理してどうノルマを達成するか、俺の腕の見せ所だ。
ノック音と共に見覚えのある女性がまた皿の乗った盆を持って入ってくる。
俺はベッドに腰掛けたまま足を組み、膝に頬杖をついてニヤリと笑う。
「やっと来たな食事係、待ってたよ」
今日の仕事も順調に進み、もう6人相手したのに予約があと1名残っている。金になるがさすがに枯れそうだ。
男性スタッフでも俺ほど残弾があるのは珍しいらしく、疲れて出せないので目隠しで誤魔化すやつもいるらしい。それはそれで処世術だと思うが、まだ俺にそんな高等技術は使えないので律儀に全員に中出し(ゴム付き)をサービスしている。後々勉強しないとな…。
ベッドで体力回復を待って横になっていると電話が鳴る。時間的にも今日はこれがラスト。新人って推して貰えてるうちに1人でも新規は掴んでおきたい。
「3人目のご予約のお客様が来店されました」
俺は受話器を置いて立ち上がる。どうやってお出迎えしようか。ベッドの上でふんぞり返ってた方がいいのか、いきなり掴みかかるくらいのがいいのか。
まあ、万人ウケすんのは後者か。つかみかかっておこう。
トントンとノックが聞こえて俺は扉が開くのを待つ。扉が開かれて見えたのは華奢で小柄な紺色のフードマフラーを被った男性だった。
俺はヒールを踏み鳴らして足早に近付くと、扉が閉まると同時に首元を掴んで引き寄せる。
「呼んだのに来るのが遅せぇんだよ!」
襟を掴みあげると、小柄な彼が持ち上がりつま先立ちになる。やばい、思ってたより軽かった。力加減失敗した。
その瞬間、パサリとフードが取れる。中から出て来た顔に俺は目を見開いて驚いた。
クリフだった。
「あ…い、犬が言葉を使うな」
クリフは一瞬俺の作ったシチュエーションに戸惑ったような反応を見せたが、話を合わせるつもりのようで直ぐに言葉返す。声ちょっと上擦ったけど。
え?何これ?そっくりさん?声全く一緒だけど?ドッキリなの?
でもマジもんのそっくりさんにせよ、クリフ本人にせよ、プレイをする気なら本気でお答えしなくては職務放棄だ。
「あぁ?俺はてめえなんか飼い主だと思ったことは1度もねえよ」
ちょっとどもりそうになった言葉をなんとか吐き出すと、俺はクリフ(?)の胸ぐらを掴んだままベッドへと引きずる。ベッドの目の前まで連れて行き、彼の腰を掴んで怪我をしない程度の強さでベッドに投げつけた。
「俺に逆らうのか!」
ベッドに転がりモゾモゾと起き上がりながらクリフは襟を正して答える…少し棒読みだ。
ていうか、こんな時も襟を正すの可愛くない?いや、でも力加減ミスッたら嫌われるかもしれない…。そう考えるとクリフなのかそのそっくりさんとプレイで遊べるのは、嬉しい気持ち半面かなり緊張する。
「最初から従ってるつもりねえけど?脳みそ沸いてんの?」
クリフを立ったまま見下ろし、俺は頭の横で指を回す。
「俺、今日すっげ暇してんの。誰かさんがずっと部屋に入れとくから」
ベッドに上がり、横座りしているクリフの上体を突き飛ばして倒す。そのまま両手首を掴み、ベッドに押さえつけた。
「今日もし俺が満足するまでへたらずに遊んでくれたら、もう少し犬でいてやるけど、先にヘタったら今日から俺が飼い主な?」
「犬が飼い主になれるわけないだろ!ふざけるのも大概に…またリードで繋いだ方が良さそうだな!」
クリフ…ちょっとノリノリだよね…?掴まれた手を振りほどこうと彼は暴れるが非力な抵抗は難なく抑え込める。
俺は彼に跨って足を体重で抑え込むと、細い彼の手首を両手に束ね、片手でベッドに置いておいた縄に手を伸ばす。
「繋がれるのはお前だよ!」
縄で手首を怪我しない程度に強く縛り上げ、その先をベットの先に結びつける。ここまで来ればバイブを使うまでの流れはスムーズだ。
「これなーんだ?」
頭の上で手を縛り上げられて足をジタバタさせるクリフにオプションのバイブを見せてヒラヒラと揺らす。
「男なのにこんなのケツに入れられたらどうなるんだろな?痛えのかな?それとも」
俺はクリフのベルトを外しながらニヤリと悪い顔で笑う。
「…癖になったりして?」
俺の言葉に一瞬強ばった顔をしたように見えたが直ぐに「そんなことで俺がびびると思うな」と再び抵抗を見せた。
「頑張るなあ!でも、もっと頑張らないと多分、俺には勝てないんじゃね?」
暴れる彼のズボンに手をかけると、クリフが一際大きく暴れる。その時、突然顔面に強い衝撃を受けて視界が揺れた。
何が起きたか一瞬分からずに顔を手で触ると血がベッタリとついている。シーツにぽたぽた垂れる血液の量と顔の中心から広がる痛みで察する。鼻血出たやつだ。
腕で鼻血を拭いながら申し訳なさそうに青い顔をするクリフを見つめ、俺は口の端を吊り上げて笑う。こんな強面じゃ伝わるか分からないが、全然痛くないと伝わればいい。
「…やりやがったな」
「えっ…あ…その…お、お前が大人しくしないから…」
俺を心配そうに見つめるクリフは何とか話を続けようとするが、その声は戸惑って少し震えている。
俺はそれを無視して彼の足を開かせる、足の間に手を這わせ、指を入れるように体勢を前に倒して彼の耳元に顔を寄せる。
「大丈夫」
「…すまない」
俺が小さな声で言うと、申し訳なさそうな小さな声で彼も囁く。
心配してくれるんだもんなあ。本当に可愛くて困る。
俺は上体を上げて笑う。仕切り直しだ。
「じゃ、早速開通式といこうか!」
入り口に這わせた指を中へと差し込む。彼は口を真っ直ぐに結んで無反応を装う。顔は真っ赤だから隠しきれてはいないのがミソ。
「あれ?やわらけえな?お前もしかしてここでオナニーしたことあんの?」
指で中を掻き回し、穴を広げるようにほぐす…が、最近よく抱かせてもらってるので必要ないくらい柔らかい。これは正真正銘本物のクリフだ。
「本当は俺に色々やってもらうの期待してたんじゃねえの?」
指で慣らし、傍のバイブを手に取る。ゆっくりとそれを中へ差し込むと気持ちよさそうに身震いしながら穴はすんなりとそれを受け入れる。
「ん…やめ…っ」
「気持ちよさそうだなあ?処理用の犬はお前の方が向いてんじゃねえの?」
バイブを奥まで入れると、俺は先に尻ポケットに入れて置いたバイブのリモコンを取り出して見せる。
「もっと気持ちよくなるもんあるんだわ。これ見て?」
クリフの目の前でリモコンのスイッチを押す。
「くぅっ…あ…ああっ…」
頑張って耐えているようだが、声から気持ちいい反応がダダ漏れになってる。俺はそのスイッチを弱から強へと少しずつ上げていく。
「どんどん気持ちよくなるなあ?男なのに穴でイくのも時間の問題だな?」
「あっ…うう…気持ち…よくなって…ないっ」
もう腰が浮くくらい感じちゃってるのにクリフは頑張る。もう設定でやってるのか素でやってるのかわからん。1つ言えるのは可愛いってことだ。
「イくまでこのままにしようか?それとも俺がイかせてやろうか?」
クリフのシャツをまくり上げて胸を触る。指でこねると、すぐにふっくらと柔らかく反応する。
「…ちょっと触っただけなのに、スケベな身体してんな」
軽くその先を引っ張るとその先端を固くさせて、驚いたような甘い声で鳴く。
「で?どうする?このまま我慢すんの?お願いすんならすぐイかせてやるけど?」
クリフはふーふーと荒いがそれを隠すように息を殺しながら答える。
「つけ…あがるなよ…!」
「あっそー?」
俺はクリフを見下ろしながらリモコンでバイブの振動を1番強くする。
「んあっ…う…や…ああっ!」
クリフのものがビクビクと反応するのを見て、俺はバイブを少し引き抜く。
「ほーら、イけない。どうする?」
少し落ち着いたクリフを見て俺は再びバイブを奥へ押し込む。
「…っ!?あ…やめ…っ」
「我慢する?まだ頑張る?」
1度我慢させられたのが余程効いたのかクリフ少し大人しくなる。
「うう…わかった…降参…するっ…からっ…」
そう言われて俺はバイブのスイッチを強から弱に戻し、スイッチを切る。
ゆっくりとバイブを抜き、自分のジッパーを下ろす。勃起する前に開けるようにしてたのに、こんな頑張ってるクリフ見てたら我慢しようがないってもんで。ちょっとジッパー下ろすのに手間取るが、手間取ってないような振りで俺はクリフの顔の隣に片腕を置いて被さる。
「…じゃ、お願いしてみようか。俺が飼い主なんだから、犬らしく鳴いてみ?」
ここまで言ってからちょっと不安になる。大丈夫かこれ、やりすぎてない?
「…ぅ…。わ、わん…」
すげー恥じらいながら小さい声で犬の真似してクリフが鳴いてる…マジで?正直プレイでも想像してなかった。頬っぺた真っ赤で目がうるうるしてる…子犬なの?かわよ…。
「よく出来ました」
一応お客さんなのでゴムは付ける。クリフの目に入って気分が萎えないように注意しなくては。
俺はクリフの唇に自分の唇を重ねて視界を塞ぐ。お客さんには本当はやらないんだけど、まあこっちは許されるだろ。
クリフの口を舌でなぞると彼は一応なのかやんわり抵抗する。舌を無理やり唇の隙間にねじこんでキツく閉ざされた彼の歯を舐める。
視界と意識が逸れてるうちに俺は取り出したゴムを両手で自分に装着すし、俺は顔を離した。
「…飼い犬にキスされるのどんな気持ち?もう俺が飼い主だから関係ない?」
クリフの下半身に自分のものを当てて押し込む。もう慣れたもんで、彼の中はまるで侵入をこばまない。
時間を確認するとまだあと1時間10分ある。これは長々お楽しみできる。時間延長サイコー!
「あうっ…おま…いきっ…なり…!」
入っただけで身体を逸らして震えるクリフの中に、すぐに壁へと行き着く。そこを軽く腰を揺らしてつつく。
「この先にもっと気持ちよくなる場所あるの知ってる?」
逃げ腰になるクリフの腰をがっちり捕まえて俺は言う。
あー、なんか前もこれ言った気がする。なんか懐かしい気持ちで俺は腰を引いて一気に根元まで強く押し込む。
「ああっ!!」
一際大きな声を上げたクリフがハッとした顔で口を塞ぐ。廊下に声が漏れるのを気にしているらしい。
俺は廊下にわざとらしくチラッと視線を向けると口の端を上げて目を細める。
「屋敷の使用人が聞いてたらヤバいな?飼い犬に掘られてるって知られたらどうする?」
クリフは赤かった頬を更に赤くさせて首を横に振る。
はー可愛い。使用人なんかいないし、ここ高級クラブだから声なんか漏れないよ。防音だよ。でも教えなーい。
クリフの足を肩にかけ、上体を倒してクリフの腰を浮かせる。
「好きなだけ喘いでいいよ。俺は恥ずかしくないから」
俺はゆっくり腰を動かし、徐々にスピードを上げる。激しく腰を打ち付けると耐えかねたのかクリフの足や中が激しく痙攣し始める。
「あっ…やめっ…!声聞こえっ…あっ…やだ…!」
突き上げる度漏れ出す声が部屋に響く。廊下に漏れるのがそんなに恥ずかしいのか、半泣きになりながらやめてやめてと懇願するクリフは臨場感たっぷりすぎる。
中がいっそうきつく締まる、これはもうイくやつだ。
「やめてって言うくせに中めっちゃ締まってるんだけど…」
やべえ、ゴムしてんのに締め付けがすごすぎて普通に俺も出そう…我慢しなきゃ…がんばれ俺!がんばれクリフ!
クリフの言葉を無視してスパートをかける。クリフの足がビクビクと痙攣し中がうねるように俺の物を搾り取ろうとしてくる。名器なのは知ってたけど、仕事で何人も相手した後だとギャップがすごすぎる。あーやめて!出てしまいます!
俺は意地で我慢すると、クリフが自分の腹に射精する。なんとか1人でイカせることができたようで俺は内心安堵する。
あと40分ある。よしよし、やろうと思ってたことがあるんだ。
「どう、初めての穴イキ。癖になった?」
俺は繋がったままクリフの足を肩から下ろし、うつ伏せにひっくり返す。彼はぐったりと脱力してまるで抵抗しない、いや出来ないのか?
俺は彼の腰を持ち上げて、少し強引に尻を突き出させる。
「俺まだイけてないんだわ。もっとケツでご奉仕してよ」
入れたままのものを背後から力強く奥まで押し込む。
「あっ…ちょっと…きゅ…けい…」
「は?なんで休憩あると思ってんの?」
既に怪しくなっている呂律で弱々しくすがるような口調だ。本当に疲れてる?大丈夫かな。
とりあえずもうプレイなので続ける。緩急を付けながら腰を打ち付けていると、快感でか腰が下がってくる。クリフの腰を片手でを支えながらふと資料を思い出す。
そう言えばクリフにNG項目なかったな。SMクラブでMとして来てるならスパンキングとか人によっちゃ軽い首絞めとかサービスなんだけど、大丈夫かな…。首絞めは嫌いだったろうし…。
「緩いんだよ!ちゃんと締めろ!」
クリフの尻を平手で叩く。弱すぎず、痛みが明日に響かない程度を狙う。上手い人だと音だけ上手く出すらしいが、まだ俺はちょっとコツが掴めてないから不安だ。
いっそ帰ったらクリフに感想聞こう。お客さんから感想聞くのが1番勉強になる。
「ゔっ…」
え、なんか苦しそうな声出たけど大丈夫か?でも穴はすげえ締まった…気持ちいのかな…?
バックなのが災いして顔が見えないから不安すぎる。あと2回くらいでやめとこう。
「ケツ下がってんだよ!しっかり立て!」
突き上げてクリフの尻が下がると叩いてを2回だけ繰り返す。クリフの肌に叩かれた跡が赤く残る。可哀想なんだけど、ちょっと興奮してしまう。
「はぁ…あっ…んっ」
またクリフの中がぎゅうぎゅうとうねるように締まる。スパンキングもしっかり感じてくれたらしい。
「ほら、中に出してやるから喜べよ」
クリフの耳を軽く噛んで囁く。
いや、もう俺も限界なので爆発しそう。出さないとしんどい。
グッと力強く奥まで押し込む。
クリフは悲鳴にも聞こえる高い声を上る。腰を突き出すように痙攣し、俺が出し終えるころには崩れるようにまたベッドに沈んだ。
クリフを立ち膝で見下ろしたまま、俺は自分のものからゴムを外してジッパーにしまう。
「あーあ、飼い主さんが無様なもんだ」
俺はクリフを仰向けに転がす。終わり際のトークどうしよう。時計を確認したら終了10分前だった。
虚ろだがトロンと涙ぐんだ瞳は真っ直ぐに俺を見つめる。高揚した頬はまるで恋に落ちた少女のようで、考えていたはずのプレイの終了文句も頭から吹っ飛んで俺まで黙って赤くなる。
「………気持ちよかった?」
思わず尋ねると、クリフはピクリとも動かないまま静かな声で
「………すごかった」
と、呟く。
これにはどうにも敵わない。俺は思わず笑ってクリフの口にキスをする。
「ご来店ありがとうございました!」
なんで自分はそうなれないんでしょう。
…だっけ?
英語の語感だけで口ずさんでいるいつもの音楽をMDプレイヤーで流す。単語の意味を知っているわけじゃないから、昔父親が何度も言い聞かせるように俺に聞かせた和訳でしか意味を知らない。
1日で6回もセックスしたのでさすがにちょっと疲れて俺はベットで大の字になっていた。広いベッドはこんなに手足が伸びるんだなとしみじみ感じる。
父親がいた頃は父親とあの小さな部屋の隅の檻に入れられて地べたで寝てたし、2人一緒じゃ狭くてずっと丸まって眠っていた。自分の部屋もあの狭さだから丸まって寝るのが当たり前すぎて、未だに気付くとこのベッドでも丸まっている。
あれやると朝起きた時に老人ばりに関節ギシギシになるので、クリフに身体を伸ばせと注意されるがまだ直りそうもない。
大の字で天井を眺めていると、不意にベッドが揺れて横を見る。両耳にイヤホンを入れていたせいで気付かなかったが、俺のすぐ隣でクリフが横座りでこちらを見下ろしていた。
クリフが何か話すように口を動かしているが聞こえない。俺はイヤホンを片耳からとる。
「だから、今日は俺を抱きしめて寝ろ」
「…え、なんて?」
前の部分が聞き取れなかったせいかもしれないが、ちょっとクリフの言ってることが分からない。
俺は聞き返すが、クリフはそれについて返事をするでもなくもぞもぞと俺の腕に頭を乗せて横になる。
「ほら、手はここ」
クリフの頭の下に入っていない方の手を乗せろと言う意味なのか、彼は自分の腰を軽く叩いて示す。
「え…?おう…」
脈絡が繋がっていないので俺はよく分からないままクリフに向き合って腰に手を回す。細いくびれと大きすぎない腰骨が華奢で可愛らしい。
すぐ目の前に彼の顔がある。話せば吐息がかかる距離だ。
…え?なんでこんなことになってんの?
しばらく不思議な沈黙が流れたが、不意にクリフは俺の背中に思い出したように手を回した。
「抱きしめられるの好きなんだろ?」
ぎゅっと肩に俺の顔を埋めるようにクリフは俺を抱きしめる。
子供をあやすような手つきで時々ポンポンと俺を頭を撫でながら優しく体を密着させる。
最近、よくクリフが俺を抱きしめてくれることが増えた。なんでなのか、やっぱり俺にはよく分からない。
今日も相手から挑発されたようなものではあるが、身体を許してもらっている。やりすぎたかと謝れば大丈夫だと言う。
昔よりは好きだと言っているけれど、別に進んで抱かれたいわけでもなさそうだし「前より好き」が「虐待されるよりマシ」レベルのものかも分からない。
クリフが考えていることが分からない。ただの俺の仕事への労いなのだとしたら限りなく寂しいが、残念ながらそれを断るほどのプライドは持ち合わせていない。彼の温もりが疲れを癒してくれて、穏やかな気持ちにさせてくれるから生きる希望が見える。
ずっと傍にいて欲しいと、地上に帰らないで欲しいと、泣いて追いすがっても困らせるだけ。ずっと帰りたいと言い続けるクリフを半年近く縛り付けてきたのだから、もうこれ以上の駄々はこねられないだろう。
「…俺は嬉しいけど、クリフは俺とくっついて寝るの大変じゃね?寝返りうちずらいだろうし、俺が寝返りうったら潰れるかも」
口先ではそう言いながら、俺は彼の首に顔を埋めて両腕で抱きしめる。
本当はずっとこのままでいたい。このまま一体化しちゃえばいいのに、なんてよく思う。
「じゃあ、潰さないように気をつけてくれ」
当たり前だが、俺の考えてることなんてこれっぽっちも伝わってない。そんな様子でクリフは俺を離す素振りを見せない。
クリフの髪からシャンプーの匂いがする。いつもいい匂い。同じシャンプー使ってるのに、クリフは特別いい匂いに感じるから俺の鼻はおかしくなってるのかもしれない。
「…あんまりそうやってベタベタしてると襲うよ?俺、性欲強い方だって言ったっしょ」
冗談交じりに忠告する。実際、クリフは別腹だから何度でも抱ける自信はあるし、今は落ち着いててもあんま傍にいたらムラムラしそうなのは本当だ。
労いの気持ちだけで抱かせてくれてるなら、これで離れるだろ。笑いながら「今日はもうしただろ」って冗談返すみたいに離れてくれるに違いない。
そしたら、俺だって「そうだよな、危なかったな」って笑える。みんな幸せだ。
するとクリフは予想通りふって鼻で笑う。
「本当元気だなお前は。したいならもっとハッキリ意思表示してくれ、わかりづらい」
と、半分呆れたような半分楽しそうな様子で答える。
「…え?」
離れるわけでもないクリフに俺は顔を上げて彼の顔を覗き込む。
暗がりの中、少し頬を赤らめて目が合うと恥ずかしそうに視線を逸らすが嫌がってるという雰囲気ではない。
「えっ、でもさっきしたばっかだよ?クリフさすがに疲れたんじゃね…?」
そうだよ、調子乗って好き勝手やったもん。足立たなくなってたじゃん。抱かれるのは嫌じゃないって言ってたけど好きでもないんだろ。
ぐるぐると疑問が頭を回る。クリフは少し眉間に皺を寄せてわざとらしくぶっきらぼうな声をだす。
「誘われてると思って答えたのになんだ。俺ががっついてるみたいじゃないか…」
語尾が小さくなっていくクリフに俺はぶんぶんと首を横に振る。
「さ、誘ってる!ありがと…?」
お礼を言う場面なのかちょっと分からなくて疑問形になると、クリフは笑いをこぼした。
全く期待していなかったので、正直何にも気持ちの準備が出来ていない。
これは労われている?それとも、もっと違うものだって期待していいのか?
俺がクリフの額にキスをすると、彼は避けるでもなく片目をくすぐったそうに細めた。
身体だけと思われているなら、キスは気持ち悪いって言われそうで遠慮していた。昨日は思わず口を塞ぐのに口にキスしてしまったが、あの時のクリフは何か変だったから許してくれたのかもと。
恐る恐るキスの位置を頬に変え、首に落とす。嫌がる様子もなく受け入れてくれるクリフに俺は唇を重ねてみる。
緊張しているのか、前にキスをした時より唇が硬い。ぎゅっと結ばれたそれは伸びないゴムみたいだ。
1度の顔を離してクリフの表情を確認する。めちゃくちゃ嫌がられたらどうしよう。苦虫かみ潰したみたいな顔してたら立ち直れないかもしれない。
そう思って覗きこんだらクリフは少し照れているようではあったが、想像したみたいな酷い顔ではなかった。
「…嫌じゃない?」
犬と飼い主がキスするなんて地下じゃ考えられないくらい気持ち悪い行為で、見られたもんなら軽蔑まっしぐらだ。
だけど、クリフは地上の暮らしが長いからかあまり気にしてなさそうなのは幸いだった。
クリフはなかなか返答をせずにじっと俺の顔を見ている。なんだろう、俺なんか変な顔してるかな…鼻の穴、広がってたりしたら恥ずかしいな。
「あっ…い、嫌じゃないし…何とも…」
クリフはぽーっと俺の顔を見つめていたかと思えば、ハッと我に返ったように慌てて返事をする。
クリフの顔がみるみる赤くなっていく。頬だけでなく耳まで真っ赤だ。あんまり可愛くて胸が痛い。
「良かった」
安心で思わず笑う。すると、今まで笑い返してくれたのに、クリフは赤い顔で恥ずかしがるように視線を泳がす。そんなキス照れたのかな。
クリフの頬に手を添えてもう一度唇を近づける。クリフはそれに合わせてぎゅっと目をとじた。
やっぱり硬い唇に今度は舌で舐めてみる。
「…ん」
舌が触れた瞬間驚いたように肩をぴくりと動かす。
ゆっくりと唇をなぞるように舌を滑らせると、少し迷ったように唇が震えてゆっくりと微かな隙間を作る。
その隙間に舌を差し込むと、俺の足に絡めていたクリフの足がきゅっと俺の足を挟んでしまる。彼の小さな歯に舌が触れるのが分かると、遠慮がちにまた少しだけ口を開いてくれた。
自分の舌先に彼の舌先が時々触れる。絡めようとしながら、しかし大胆に絡めることもできない控えめな触り方。それがますます可愛いくて辛い。
抱きしめたままクリフのうなじを手で包み、優しく引き寄せる。口の中が唾液で溶け合うようで気持ちよかった。
クリフの息が苦しくなる前にと口を離す。彼の唇と俺の唇で透明な糸を引いた。
「はぁ…はぁ…」
溶けてしまいそうなほど熱い息を漏らしながらクリフは目をうるませて真っ赤な頬を恥じるように腕で隠す。
「隠さなくていいよ、可愛い…」
クリフの腕を優しく掴んでおろす。そのまま彼の手のひらに自分の手のひらを重ねて、指を絡めて握る。小さくて細くて、女の子みたいだ。遠慮がちに握り返すクリフの指にも少しずつ力が入る。
もう一度キスをしながら彼の腰に回した手をシャツの下に潜り込ませる。クリフの肌はいつもより熱くて所々、微かに汗ばんでいる気がした。
これだけキスを許してくれて、手も握ってくれて、身体も許されているのに、それでもクリフは俺のことを好きにはなってくれないんだろうか。
それとも、ずっと好きだって伝え続けたら、叶うもんなんだろうか。
ロング丈のパジャマを少し上へたくしあげ、片手で前のボタンをとっていく。前を開いて服をとりさると、恥ずかしいのか代わりに傍の毛布を引き寄せて隠してしまう。
長いこと全裸で過ごさせたし、なんなら今日も堂々と風呂で脱いでいたので、俺のせいで羞恥心が死んでしまったのではないかと思っていたが、こう恥らう仕草をされると新鮮でドキドキしてしまう。
「隠さないでって言ってるのに」
思わず笑ってしまうが、先に毛布から出ている下半身を覆っているズボンに手をかける。下着ごと下におろすと、毛布からは白い足だけが見える。チラリズムってやつかな?なんかいいね、こういうのも。
俺も上に着ていた服を脱いで床に投げる。そのままクリフが入っている毛布の下に入り込んで、彼の上に跨る。
何度もこうやって上からクリフを見ていたことはあったが、反抗的に睨みつけるのではなく、チラチラと赤らめた顔で俺の様子を伺うクリフを見るのは初めてだった。
そのまま彼の顔の隣に両腕をつき、もう一度キスをする。口だけでなく、顔や耳、首、思い付く限りの場所にキスを降らした。
戸惑ったように身をよじったり、くすぐったいのか時々息を漏らすクリフもキスを重ねる度にだんだん大人しくなり俺の顔を触ったり、頭を撫でたりする。
俺はクリフの額に自分の額を優しく擦り付ける。
「…めっちゃ好き」
どうこの気持ちを伝えたらいいかわからなくて、頭を絞ったのにため息みたいに小さな声で頭の悪い言葉しか出てこない。
でも、クリフの反応が知りたくて、その距離のままクリフの目を見つめる。
クリフも顔を赤らめたままゆっくりそして真っ直ぐに視線を俺に向ける。
「…ありがとう」
彼の声もまた、なんて伝えたらいいか分からない気持ちを何とか言葉にしたような、ため息みたいに小さい囁き。
ああ、拒絶はされない。好きって言っても大丈夫。嫌われない。
俺はその体勢のままクリフの背中に腕を回して抱き込む。クリフが痛くない程度の限界まで力いっぱい抱きしめる。
俺の背中にクリフの細い腕が回される感覚。
クリフはあまり力が強くない、それでも今までで1番強くしっかりと抱き返す心地のいい強さ。
セックスしようとか言って、全然セックスに発展してないし、繋がってすらいない。でも、こうして肌が触れているだけで、不思議と今までで1番満たされている気がした。
ふと、俺は思い出して顔を上げる。今ならあれが許されるのでは?
「…今日はこっち舐めてもいい?」
俺の太もも辺りに当たるクリフのものが硬くなっているのは知っている。俺はそれに手を添えて、優しく撫でながら尋ねた。
「えっ…」
「あ、やっぱキモい…?」
「あ、いや…そういう訳じゃなくて…」
何を気にしてるのかクリフは恥ずかしそうに悩んでから答える。
「俺…されたことない…それでも良ければ…」
もじもじとするクリフに俺は首を傾げる。
「えっ、むしろそれ俺が初めてで大丈夫?」
開通式しかり色々な初めてを無理やりもらってしまったので、まさかこちらもとなると、なんか恋人でもないのに独占して悪いなあと思う。
「…お前がいいなら…頼もうか…」
むしろ頼まれている。嬉しくなって俺は笑って頷く。俺は少し後ろに下がり、クリフの下半身に顔を寄せた。
クリフの大きさは平均的な大きさだが、やや細い。指で裏筋を優しくなぞると、ぴくぴくと反応を返してくれるのが可愛い。
先端にキスを落として吸うと、そのままゆっくりと口の中へ押し込む。
「…っう…」
伸ばしていた膝を曲げ、強ばるように力が入る。閉じようと頭の上に寄ってくる膝を手で押し返した。
「閉じないで」
にやにやと笑いながら俺は口に入れていたものに頬ずりして見せる。
「クリフって穴触らなくてもイける?」
聞きながら俺は再び口に押し込み、窪みに舌を絡めながら吸い上げ、先から根元まで唇を滑らせる。
「それはっ…あ、まっ…話…」
クリフが俺の頭に手を添えて、控えめに押し返す。抵抗が弱いので、逆に続けたくなってしまうのは悪い癖だ。
俺は気付いていない振りをして今度は吸い上げる力を弱めてわざと口の中に空気をいれる。ジュボジュボといやらしい音を立てて擦られると、クリフは高い声を漏らして今度は足を完全に曲げ丸まったように腰を浮かせる。
クリフは穴を犯すとすぐ出すのに、まだ出そうな気配はない。穴が丸見えのその姿勢に、俺は1度口を離してから入り口を軽く指で押した。
「…こっちとセットのがいい?出そう?」
クリフは真っ赤な顔でこちらを見るが、もじもじと直ぐに答えないのを見て俺が再び彼の物に舌を這わせると目をきゅっと閉じて焦ったように首を縦に小さく振った。
「セットがいい?」
念のためもう一度聞きながら再び口に含む。丁寧に吸い上げながら、今日自分が入ったばっかりの穴に指を入れるとほぐす必要もないくらいやんわりと入り口を開いた。
奥の方へと指を進めると、いつもでは考えられないほど中が水っぽい。ちょっと驚いて指を抜いて見ると、白い液体が付着していた。
「…まだ俺のやつお腹の中に入ってたんだ」
てっきり掻き出したもんだと思っていたが、クリフにはその文化自体がなかったのかもしれない。
「そりゃあ…まだしたばかりだし…」
「じゃあ掻き出さないとなあ」
口ごもる彼に俺は再び指を彼の中に入れる。奥の方にある液体を掻き出しながら、彼の好きな所を一緒に擦る。
「んっ…んぅ…そこばっか…」
ゆっくりと撫でたり少し強めに押し上げる度クリフの物がぴくぴくと反応を返し、クリフは足先を丸めたり伸ばしたりして我慢するような仕草を見せる。
「だって汚したのは俺だから、ちゃんと責任もって綺麗にしないとね?」
今度は指で穴を広げ、俺はそこに口をつける。舌を中に押し込むと、ビクッと少し上体を起こして自分のされている事を目の当たりにする。
「お、おい…そこっ…は…ぁ…」
止めようとしてるのか俺の頭に手をのせ軽く髪を握るがその手にはあまり力が感じられない。
やめて欲しいようにはあまり感じないので、俺はしばらく内側を舐めてから顔を上げた。
「…フェラとこっちどっちが好き?」
クリフは俺と目が合って少し呆然と眺めるがブワッと顔を赤くして目をそらす。これは答えないで済まそうとしてる仕草だ。
「じゃあイくまで続ける?」
クリフの答えを待たずに再び舌をいれる。空いた手で前の方も丁寧にしごく。欲張りセットだ。
「ばかっ…なんで…そうっ…な…」
何か言いたい事があるようだがお構い無しに続けると、手の中の物は硬さを増し、指で広げた穴が締まるに締まらなくてひくひくと反応を返す。そろそろ出るのかもしれない。
締まらないよう抑えている指ごと穴がぎゅっと一際強く閉じようとする。それと同時にしごいていた手に温かい液体の感覚。
クリフに目を向けると体の末端までビクビクと痙攣させながら高揚した熱を冷ますように荒い息でとろんとした目で俺を見る。
俺は力の抜けた彼の内腿に頬をあてて寄りかかる。
「俺のご奉仕はいかがなもんでしたかね?」
「にや…けるな…」
はあはあと息を整えながら俺の頭を軽く殴る。
「犬らしく隅々まで舐めたのに」
笑いながら俺はクリフの隣に横になると、今度は自分から彼の身体を抱き寄せて肩に頭を乗せた。
「入れる前に…ちょっと…休憩…」
「ん?いいよ、今日はもう寝よ」
クリフの頬に自分の頬を擦り付ける。
「楽しかったから、満足した」
「えっ……そ、そうか…?わかった…」
意外そうにぶつぶつと疑問の残るような声色でクリフは答えた。まあ、あれだけ犯しまくってた俺が入れないでってなると意外だなってなるか。
俺はぎゅっとクリフを力強く抱きしめてから、頬にキスして笑う。
「だーい好き!」
もう心臓に向かって言う必要もない。嫌がらないなら伝え続けるだけなら迷惑じゃないはずだ。
いつも聴いてる歌にも出るじゃん。夢はいつか叶うって。
まあ、叶わなくたっていいけど、夢見るだけタダだしね。
「本日はご予約が3件入っています。リピートが2名様、新規が1名様。お客様の要望は部屋にまとめた資料を置いたので、そちらで確認してください」
職場につくや否や従業員に言われ、俺は黙って頷く。
働き始めて2週間。真面目に週5で通っているSMクラブでは思っていたより俺みたいな強面も需要があるようでリピートが増えて人気が出てきた。平日の昼間にも枠を作ってもらい、ほぼほぼフルタイムだ。
見慣れた部屋で俺はいつもの衣装に着替える。もうジッパーに毛は挟まない。
ベッドに腰を下ろして、傍に置かれたテーブルの資料を手に取って目を通す。1人目の予約は初めて相手した強姦プレイの内気な女性、2人目は犬に虐げられながらも愛することをやめられない設定の女性。なんと今日は自ら放尿したいそうだ。知ってたけどド変態だ。
3人目は新規と聞いているが…男性だ。珍しい。飼い主を犬扱いする下克上プレイ。なるほど、俺が上だぞとマウントを犬に取られたいのか。まあ、よくあるやつだ。
オプションは縄とバイブ…あと1時間延長。2時間たっぷりコースとはまあ豪勢なことだ。
俺はS専だから男性が来てもみんな突っ込まれたいやつしかいない。そんなたっぷりやりたいほど穴イキって癖になるんかな。
うちの店はプレイを中心にしているので、没入感が生まれるように俺も源氏名だがお客さんも希望によっては仮名を使う。本名を知っているのは受付だけだ。
「ポチくんね…どんだけ犬になりたいんだよ」
この男性は明らかな仮名での登録だ。犬扱いして欲しい感がすごい。
そんなことをしていると電話が鳴る。
「予約されたお客様がご来店です」
来たな、強姦大好きっ子。俺は電話が切れるのを待ってから受話器を置く。
今日のオプションは猿轡だ。どう料理してどうノルマを達成するか、俺の腕の見せ所だ。
ノック音と共に見覚えのある女性がまた皿の乗った盆を持って入ってくる。
俺はベッドに腰掛けたまま足を組み、膝に頬杖をついてニヤリと笑う。
「やっと来たな食事係、待ってたよ」
今日の仕事も順調に進み、もう6人相手したのに予約があと1名残っている。金になるがさすがに枯れそうだ。
男性スタッフでも俺ほど残弾があるのは珍しいらしく、疲れて出せないので目隠しで誤魔化すやつもいるらしい。それはそれで処世術だと思うが、まだ俺にそんな高等技術は使えないので律儀に全員に中出し(ゴム付き)をサービスしている。後々勉強しないとな…。
ベッドで体力回復を待って横になっていると電話が鳴る。時間的にも今日はこれがラスト。新人って推して貰えてるうちに1人でも新規は掴んでおきたい。
「3人目のご予約のお客様が来店されました」
俺は受話器を置いて立ち上がる。どうやってお出迎えしようか。ベッドの上でふんぞり返ってた方がいいのか、いきなり掴みかかるくらいのがいいのか。
まあ、万人ウケすんのは後者か。つかみかかっておこう。
トントンとノックが聞こえて俺は扉が開くのを待つ。扉が開かれて見えたのは華奢で小柄な紺色のフードマフラーを被った男性だった。
俺はヒールを踏み鳴らして足早に近付くと、扉が閉まると同時に首元を掴んで引き寄せる。
「呼んだのに来るのが遅せぇんだよ!」
襟を掴みあげると、小柄な彼が持ち上がりつま先立ちになる。やばい、思ってたより軽かった。力加減失敗した。
その瞬間、パサリとフードが取れる。中から出て来た顔に俺は目を見開いて驚いた。
クリフだった。
「あ…い、犬が言葉を使うな」
クリフは一瞬俺の作ったシチュエーションに戸惑ったような反応を見せたが、話を合わせるつもりのようで直ぐに言葉返す。声ちょっと上擦ったけど。
え?何これ?そっくりさん?声全く一緒だけど?ドッキリなの?
でもマジもんのそっくりさんにせよ、クリフ本人にせよ、プレイをする気なら本気でお答えしなくては職務放棄だ。
「あぁ?俺はてめえなんか飼い主だと思ったことは1度もねえよ」
ちょっとどもりそうになった言葉をなんとか吐き出すと、俺はクリフ(?)の胸ぐらを掴んだままベッドへと引きずる。ベッドの目の前まで連れて行き、彼の腰を掴んで怪我をしない程度の強さでベッドに投げつけた。
「俺に逆らうのか!」
ベッドに転がりモゾモゾと起き上がりながらクリフは襟を正して答える…少し棒読みだ。
ていうか、こんな時も襟を正すの可愛くない?いや、でも力加減ミスッたら嫌われるかもしれない…。そう考えるとクリフなのかそのそっくりさんとプレイで遊べるのは、嬉しい気持ち半面かなり緊張する。
「最初から従ってるつもりねえけど?脳みそ沸いてんの?」
クリフを立ったまま見下ろし、俺は頭の横で指を回す。
「俺、今日すっげ暇してんの。誰かさんがずっと部屋に入れとくから」
ベッドに上がり、横座りしているクリフの上体を突き飛ばして倒す。そのまま両手首を掴み、ベッドに押さえつけた。
「今日もし俺が満足するまでへたらずに遊んでくれたら、もう少し犬でいてやるけど、先にヘタったら今日から俺が飼い主な?」
「犬が飼い主になれるわけないだろ!ふざけるのも大概に…またリードで繋いだ方が良さそうだな!」
クリフ…ちょっとノリノリだよね…?掴まれた手を振りほどこうと彼は暴れるが非力な抵抗は難なく抑え込める。
俺は彼に跨って足を体重で抑え込むと、細い彼の手首を両手に束ね、片手でベッドに置いておいた縄に手を伸ばす。
「繋がれるのはお前だよ!」
縄で手首を怪我しない程度に強く縛り上げ、その先をベットの先に結びつける。ここまで来ればバイブを使うまでの流れはスムーズだ。
「これなーんだ?」
頭の上で手を縛り上げられて足をジタバタさせるクリフにオプションのバイブを見せてヒラヒラと揺らす。
「男なのにこんなのケツに入れられたらどうなるんだろな?痛えのかな?それとも」
俺はクリフのベルトを外しながらニヤリと悪い顔で笑う。
「…癖になったりして?」
俺の言葉に一瞬強ばった顔をしたように見えたが直ぐに「そんなことで俺がびびると思うな」と再び抵抗を見せた。
「頑張るなあ!でも、もっと頑張らないと多分、俺には勝てないんじゃね?」
暴れる彼のズボンに手をかけると、クリフが一際大きく暴れる。その時、突然顔面に強い衝撃を受けて視界が揺れた。
何が起きたか一瞬分からずに顔を手で触ると血がベッタリとついている。シーツにぽたぽた垂れる血液の量と顔の中心から広がる痛みで察する。鼻血出たやつだ。
腕で鼻血を拭いながら申し訳なさそうに青い顔をするクリフを見つめ、俺は口の端を吊り上げて笑う。こんな強面じゃ伝わるか分からないが、全然痛くないと伝わればいい。
「…やりやがったな」
「えっ…あ…その…お、お前が大人しくしないから…」
俺を心配そうに見つめるクリフは何とか話を続けようとするが、その声は戸惑って少し震えている。
俺はそれを無視して彼の足を開かせる、足の間に手を這わせ、指を入れるように体勢を前に倒して彼の耳元に顔を寄せる。
「大丈夫」
「…すまない」
俺が小さな声で言うと、申し訳なさそうな小さな声で彼も囁く。
心配してくれるんだもんなあ。本当に可愛くて困る。
俺は上体を上げて笑う。仕切り直しだ。
「じゃ、早速開通式といこうか!」
入り口に這わせた指を中へと差し込む。彼は口を真っ直ぐに結んで無反応を装う。顔は真っ赤だから隠しきれてはいないのがミソ。
「あれ?やわらけえな?お前もしかしてここでオナニーしたことあんの?」
指で中を掻き回し、穴を広げるようにほぐす…が、最近よく抱かせてもらってるので必要ないくらい柔らかい。これは正真正銘本物のクリフだ。
「本当は俺に色々やってもらうの期待してたんじゃねえの?」
指で慣らし、傍のバイブを手に取る。ゆっくりとそれを中へ差し込むと気持ちよさそうに身震いしながら穴はすんなりとそれを受け入れる。
「ん…やめ…っ」
「気持ちよさそうだなあ?処理用の犬はお前の方が向いてんじゃねえの?」
バイブを奥まで入れると、俺は先に尻ポケットに入れて置いたバイブのリモコンを取り出して見せる。
「もっと気持ちよくなるもんあるんだわ。これ見て?」
クリフの目の前でリモコンのスイッチを押す。
「くぅっ…あ…ああっ…」
頑張って耐えているようだが、声から気持ちいい反応がダダ漏れになってる。俺はそのスイッチを弱から強へと少しずつ上げていく。
「どんどん気持ちよくなるなあ?男なのに穴でイくのも時間の問題だな?」
「あっ…うう…気持ち…よくなって…ないっ」
もう腰が浮くくらい感じちゃってるのにクリフは頑張る。もう設定でやってるのか素でやってるのかわからん。1つ言えるのは可愛いってことだ。
「イくまでこのままにしようか?それとも俺がイかせてやろうか?」
クリフのシャツをまくり上げて胸を触る。指でこねると、すぐにふっくらと柔らかく反応する。
「…ちょっと触っただけなのに、スケベな身体してんな」
軽くその先を引っ張るとその先端を固くさせて、驚いたような甘い声で鳴く。
「で?どうする?このまま我慢すんの?お願いすんならすぐイかせてやるけど?」
クリフはふーふーと荒いがそれを隠すように息を殺しながら答える。
「つけ…あがるなよ…!」
「あっそー?」
俺はクリフを見下ろしながらリモコンでバイブの振動を1番強くする。
「んあっ…う…や…ああっ!」
クリフのものがビクビクと反応するのを見て、俺はバイブを少し引き抜く。
「ほーら、イけない。どうする?」
少し落ち着いたクリフを見て俺は再びバイブを奥へ押し込む。
「…っ!?あ…やめ…っ」
「我慢する?まだ頑張る?」
1度我慢させられたのが余程効いたのかクリフ少し大人しくなる。
「うう…わかった…降参…するっ…からっ…」
そう言われて俺はバイブのスイッチを強から弱に戻し、スイッチを切る。
ゆっくりとバイブを抜き、自分のジッパーを下ろす。勃起する前に開けるようにしてたのに、こんな頑張ってるクリフ見てたら我慢しようがないってもんで。ちょっとジッパー下ろすのに手間取るが、手間取ってないような振りで俺はクリフの顔の隣に片腕を置いて被さる。
「…じゃ、お願いしてみようか。俺が飼い主なんだから、犬らしく鳴いてみ?」
ここまで言ってからちょっと不安になる。大丈夫かこれ、やりすぎてない?
「…ぅ…。わ、わん…」
すげー恥じらいながら小さい声で犬の真似してクリフが鳴いてる…マジで?正直プレイでも想像してなかった。頬っぺた真っ赤で目がうるうるしてる…子犬なの?かわよ…。
「よく出来ました」
一応お客さんなのでゴムは付ける。クリフの目に入って気分が萎えないように注意しなくては。
俺はクリフの唇に自分の唇を重ねて視界を塞ぐ。お客さんには本当はやらないんだけど、まあこっちは許されるだろ。
クリフの口を舌でなぞると彼は一応なのかやんわり抵抗する。舌を無理やり唇の隙間にねじこんでキツく閉ざされた彼の歯を舐める。
視界と意識が逸れてるうちに俺は取り出したゴムを両手で自分に装着すし、俺は顔を離した。
「…飼い犬にキスされるのどんな気持ち?もう俺が飼い主だから関係ない?」
クリフの下半身に自分のものを当てて押し込む。もう慣れたもんで、彼の中はまるで侵入をこばまない。
時間を確認するとまだあと1時間10分ある。これは長々お楽しみできる。時間延長サイコー!
「あうっ…おま…いきっ…なり…!」
入っただけで身体を逸らして震えるクリフの中に、すぐに壁へと行き着く。そこを軽く腰を揺らしてつつく。
「この先にもっと気持ちよくなる場所あるの知ってる?」
逃げ腰になるクリフの腰をがっちり捕まえて俺は言う。
あー、なんか前もこれ言った気がする。なんか懐かしい気持ちで俺は腰を引いて一気に根元まで強く押し込む。
「ああっ!!」
一際大きな声を上げたクリフがハッとした顔で口を塞ぐ。廊下に声が漏れるのを気にしているらしい。
俺は廊下にわざとらしくチラッと視線を向けると口の端を上げて目を細める。
「屋敷の使用人が聞いてたらヤバいな?飼い犬に掘られてるって知られたらどうする?」
クリフは赤かった頬を更に赤くさせて首を横に振る。
はー可愛い。使用人なんかいないし、ここ高級クラブだから声なんか漏れないよ。防音だよ。でも教えなーい。
クリフの足を肩にかけ、上体を倒してクリフの腰を浮かせる。
「好きなだけ喘いでいいよ。俺は恥ずかしくないから」
俺はゆっくり腰を動かし、徐々にスピードを上げる。激しく腰を打ち付けると耐えかねたのかクリフの足や中が激しく痙攣し始める。
「あっ…やめっ…!声聞こえっ…あっ…やだ…!」
突き上げる度漏れ出す声が部屋に響く。廊下に漏れるのがそんなに恥ずかしいのか、半泣きになりながらやめてやめてと懇願するクリフは臨場感たっぷりすぎる。
中がいっそうきつく締まる、これはもうイくやつだ。
「やめてって言うくせに中めっちゃ締まってるんだけど…」
やべえ、ゴムしてんのに締め付けがすごすぎて普通に俺も出そう…我慢しなきゃ…がんばれ俺!がんばれクリフ!
クリフの言葉を無視してスパートをかける。クリフの足がビクビクと痙攣し中がうねるように俺の物を搾り取ろうとしてくる。名器なのは知ってたけど、仕事で何人も相手した後だとギャップがすごすぎる。あーやめて!出てしまいます!
俺は意地で我慢すると、クリフが自分の腹に射精する。なんとか1人でイカせることができたようで俺は内心安堵する。
あと40分ある。よしよし、やろうと思ってたことがあるんだ。
「どう、初めての穴イキ。癖になった?」
俺は繋がったままクリフの足を肩から下ろし、うつ伏せにひっくり返す。彼はぐったりと脱力してまるで抵抗しない、いや出来ないのか?
俺は彼の腰を持ち上げて、少し強引に尻を突き出させる。
「俺まだイけてないんだわ。もっとケツでご奉仕してよ」
入れたままのものを背後から力強く奥まで押し込む。
「あっ…ちょっと…きゅ…けい…」
「は?なんで休憩あると思ってんの?」
既に怪しくなっている呂律で弱々しくすがるような口調だ。本当に疲れてる?大丈夫かな。
とりあえずもうプレイなので続ける。緩急を付けながら腰を打ち付けていると、快感でか腰が下がってくる。クリフの腰を片手でを支えながらふと資料を思い出す。
そう言えばクリフにNG項目なかったな。SMクラブでMとして来てるならスパンキングとか人によっちゃ軽い首絞めとかサービスなんだけど、大丈夫かな…。首絞めは嫌いだったろうし…。
「緩いんだよ!ちゃんと締めろ!」
クリフの尻を平手で叩く。弱すぎず、痛みが明日に響かない程度を狙う。上手い人だと音だけ上手く出すらしいが、まだ俺はちょっとコツが掴めてないから不安だ。
いっそ帰ったらクリフに感想聞こう。お客さんから感想聞くのが1番勉強になる。
「ゔっ…」
え、なんか苦しそうな声出たけど大丈夫か?でも穴はすげえ締まった…気持ちいのかな…?
バックなのが災いして顔が見えないから不安すぎる。あと2回くらいでやめとこう。
「ケツ下がってんだよ!しっかり立て!」
突き上げてクリフの尻が下がると叩いてを2回だけ繰り返す。クリフの肌に叩かれた跡が赤く残る。可哀想なんだけど、ちょっと興奮してしまう。
「はぁ…あっ…んっ」
またクリフの中がぎゅうぎゅうとうねるように締まる。スパンキングもしっかり感じてくれたらしい。
「ほら、中に出してやるから喜べよ」
クリフの耳を軽く噛んで囁く。
いや、もう俺も限界なので爆発しそう。出さないとしんどい。
グッと力強く奥まで押し込む。
クリフは悲鳴にも聞こえる高い声を上る。腰を突き出すように痙攣し、俺が出し終えるころには崩れるようにまたベッドに沈んだ。
クリフを立ち膝で見下ろしたまま、俺は自分のものからゴムを外してジッパーにしまう。
「あーあ、飼い主さんが無様なもんだ」
俺はクリフを仰向けに転がす。終わり際のトークどうしよう。時計を確認したら終了10分前だった。
虚ろだがトロンと涙ぐんだ瞳は真っ直ぐに俺を見つめる。高揚した頬はまるで恋に落ちた少女のようで、考えていたはずのプレイの終了文句も頭から吹っ飛んで俺まで黙って赤くなる。
「………気持ちよかった?」
思わず尋ねると、クリフはピクリとも動かないまま静かな声で
「………すごかった」
と、呟く。
これにはどうにも敵わない。俺は思わず笑ってクリフの口にキスをする。
「ご来店ありがとうございました!」
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