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3章 恋焦がれた黄色の太陽はここにはありませんでした
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「ううっ…」
頭の中や体のズキズキとした痛みに目を覚ます。
ゆっくりと起き上がると床は冷たく硬い。
後ろ手に縄でキツく縛られ、着ていた服もいつの間にか剥ぎ取られている。首輪から繋がるリードは「リード」なんて生易しいものではない太い鎖で檻に繋がれていた。
「ここは…」
焦点が合わずぼやける視界に目を凝らし何とか辺りを見渡すと、今では見なれた屋敷俺の部屋だった。
「そうか…確かあの時捕まって…」
恐らく、その後連れ戻されるか何かあって結局ここに戻ってきてしまったらしい。
体を動かそうとする度繋がれた鎖がジャラジャラと重たい音を立てる。
「はあ…これは怒ってるんだろうな」
一周まわって冷静な頭で自身の置かれた状況を振り返る。
ああ…この檻に入るのはたしか2回目か…。
「目ェ覚めたか?」
檻の傍から声がする。焦点が合わずに気付いていなかったが、檻のすぐ隣にある椅子に明嵐が座っていた。
「最初から逃げ出す気だったんだ?」
明嵐の手にあるのは俺がここから出るためのに書きまとめたものの、不要になって破り捨てたメモをテープで繋ぎ合わせたものだった。
もうここに戻ることもないと思っていたから適当な処分をしてしまったが、こんなことならもっとちゃんと始末して置くんだったなとどこか楽観的に後悔した。
さすがにここで声を発するのは馬鹿だろう、それくらい俺にもわかる。
声を出せないんじゃ言い訳することも出来ないので俺はただただ明嵐の手にあるメモに目を向ける。
「…こんな時ばっかり犬らしくするんだな」
今までに聞いたことがないような、怒りを含んだ静かな声だった。
明嵐は俺の前に屈んでこちらを見る。いつもつり上がっている口元も表情がない。
「裏切るなって言ったのに、1週間もせずに裏切って。全部都合がいいから俺と過ごす時間を増やしただけなんだな」
立ち上がると、突如ガンッと明嵐は檻を力いっぱい蹴り飛ばす。
ただならぬ雰囲気にさすがに危機感を覚える。
「こう…」
「黙れ!お前に名前を呼ばれるなんて二度とごめんだ!」
明嵐は俺の声をかき消す様に怒鳴った。
怒りに満ちたその声に俺は思わず身を縮ませる。
「俺が与えた首輪でいい思いは出来たかよ。盗っ人猛々しいな」
明嵐の言葉に俺はテーブルに置いてある物に気付く。
ネイビーの高そうな革の首輪。金の鑑札。俺が付けていたはずの首輪がそこにあった。
「お前が今付けてる首輪は最低ランクの首輪だ。街を歩けば回される。サンドバックになったって誰も咎めない。俺も助けない」
明嵐はニヤリと口元を歪めて笑う。笑っているのに怒りで眉間にシワが寄る。だけど、その目は今にも泣き出しそうにも見えた。
「これ飲めよ」
ポケットから取り出されたピルケース。酷く見覚えのある錠剤が入ったそれを明嵐は受け取れと言うように差し出す。
「お前、処理用の犬なんだよ。処理用らしく欲情して欲しがって見せろよ」
あの薬を飲んでどうなるのか、実際に体感したことのある俺にはよく分かる。あんな辱めは二度とごめんだ、俺は差し出されたものを拒むように顔を背ける。
「犬が人間さまに逆らってんじゃねえぞクソが!!」
明嵐は乱暴に檻の扉を開けると俺の上に跨り、首を掴む。今までと比にならない力で締めあげられ視界が白く霞む。
「かはっ…や…め…」
「飲めよ。テメェの意見なんざ聞いてねえんだよ!」
首から手を離され、咳き込む俺の髪を明嵐は乱暴に掴みあげる。口に錠剤がほおり込まれる。
その数は前の倍であるのが口の中で分かった。
「水なんて貰えると思うな。飲み込め。今すぐに」
顎を掴まれ錠剤を吐き出す退路を塞がれる。
首を振って振り払おうとするもがっちりと掴まれた手は離れずに、ますます力を込められる。
「早く。飲めよ」
唾液で錠剤か溶け始め口の中に嫌な薬臭さが広がる頃になると、明嵐は俺の鼻をつまみ、低い声で威圧する。
「飲み込むまで離さねえぞ。死にたくなかったらさっさと飲め」
何とか抵抗しようにもどんどん息苦しくなり目の前がクラクラし始め、俺は沈みそうになる意識の中で口の中のものを飲み込んだ。
「う゛っ…げほっ…げほ…」
「じゃあ、あとこれだ」
檻の傍に置かれたゴツゴツと凹凸のついた棒状の機械を手に取る。
それは以前入れられていた尻尾なんて可愛いらしいものではなく、太さも長さも一回り以上大きい。
咳き込む俺の肩を床に押さえつけて、俺下半身にそれを当てる。
「や…やめ…」
俺の声に明嵐は髪を掴みあげ、俺の顔面を床に叩きつけた。
「喋ったら殺す」
頭をたたきつけられたせいか、ぐらぐらとした目眩に襲われる。それでも「殺す」という言葉だけはハッキリと耳にし恐怖に体が強ばった。
明嵐は俺が大人しくなったのを確認すると、ズブズブと無遠慮にバイフを穴に差し込む。
それも1番奥には届かない微妙な位置で止めると、手元の小さなリモコンでスイッチを入れた。
「…いっ…うああっ!」
「…俺は仕事に戻る」
明嵐は静かに立ち上がると、檻を出る。鍵をしめる。彼のその動作は随分と久しぶりに見たような気がした。
「精々1人で楽しむんだな」
バタンと戸が閉まり、また鍵のかかる音。
「あぐっ…や…まて…」
叫べども明嵐は振り返ることも、無ければ部屋を出たきり戻ってこない。
バイブの振動に耐えていると体が徐々に汗ばむのを感じる。
「うっ…いやだ…やだ…」
さきほど飲まされた薬の効果がジワジワを現れるのを体の隅々から蝕まれるように感じた。
呼吸も苦しくなるほどの熱や皮膚を伝い落ちる汗の流れにすら体が反応してしまう。
一番奥に届かない振動が逆に辛い、いっそ奥の奥までめちゃくちゃにされたらどんなに楽か…頭の中かその事でいっぱいになる。
「あっ、ああっ、たすけ…むり…むりだからっ!!」
奥はむず痒く辛いのにはち切れそうなほど膨張した俺のものからは時折吹き出すように白い汁が飛び出す。その度に情けなく声を上げるのが自分でもわかった。
部屋が暗くなってもそれは終わらない。永遠ともとれる時間が流れ、白い汁が吹き出なくなったころになりようやく扉の開く音が聞こえた。
ぼんやりした頭で見上げるとそこには明嵐は冷たい眼差しでこちらをみているのが分かった。
「…きったね」
俺の下腹部のあたりに出来た白い水溜まりを見て吐き捨てるように言う。
檻の扉を開けるが、明嵐は入ってこない。
「と、とめ…てくれ…これもう」
掠れた声で必死に訴えると明嵐は何を言ってるのか分からないという顔で首を傾げる。
「へんな鳴き声の犬だな。苦しいのか楽しいのかわかんねえ」
「いぬ…じゃ…な、たすけ…」
「なんか楽しいみたいだから部屋戻るか」
明嵐は檻の扉を再び閉め、鍵を掛け始める。
「あっ…やだ、やめろ!謝る!謝るから!明嵐!!」
「犬の分際で俺の名前呼んでんじゃねえ!」
ガンッとまた檻を蹴り飛ばす。すぐ目の前で蹴り付けられた足に鳥肌か立つ。
明嵐の顔には俺に施そうとする意思は見えない。
「犬ってワンとかクーンとかで感情表現するのに、そんなんじゃ全然伝わんね。こんな変な鳴き声の犬買って損したわ」
明嵐はそう言うとゆっくりと部屋を出ていこうとする。
用は犬のように鳴けと言うことか…俺の朦朧とした意識の中で理性と欲とが綯い交ぜになる。
泣いて媚びれば許されるのか…?楽にしてもらえるのか…?そんなことはしたくない…でもまた何時間もこのままなんてもっと…。
考えるほど涙が溢れ嗚咽が出そうになるのをぐっと飲み込んだ俺の口からか細い声が漏れる。
「…くぅ…ん…」
絞り出すような俺の小さな声に明嵐は足を止める。こちらを振り返り、何故か一瞬だけ悲しそうな顔をしてから呆れたように肩を竦めて見せた。
「発情期か。仕方ねえな」
檻を再び開け、明嵐は俺の前に立つ。
「口でチャック下ろして取り出しなよ」
いつか同じことを要求されたがそれよりもっと冷たく、圧を感じる静かな声だ。
惨めで愚かで、汚らしい。絶対屈してなるものかと強い意志があると自分でも思っていた。
なのに体はその意志を容易く凌駕する欲にかなうことが出来ない。
明嵐のズボンのチャックを咥えようと顔を近づける。
小さなチャックはなかなか咥えることが出来ず、まるで彼の股間に顔を擦り付けるように何度も何度もチャックを咥え直す。
ようやくチャックを下まで下ろし、一息つこうとすると間髪入れず「取り出せ」と上から声がかかる。
唇の先で咥えられないかと何度か試すも一向に取り出せそうにない。
「怠けてんじゃねえぞ。舌使って丁寧に取り出せ」
震える舌を突き出しゆっくりと開けた彼のファスナーに舌先を差し込む。
ふにっとした柔らかい物体が舌先に触れると全身に鳥肌が立つ思いだった。
極力触れないようにそれを取り出そうと試みるも摘むような舌使いではなかなか上手くいかない。
「さっさと咥えろ」
ドスの効いた声掛け頭上から降る。
「お前みたいな薄汚い犬に勃つほど俺のは安くねえんだよ。入れてほしけりゃ取り出しておしまいじゃなくて、勃つまでしゃぶれ」
やってられるかと言い放ってやれれば楽なのに、未だに刺激の届かない俺の最奥の疼きがおさらまない。それどころか時間が経つほどにどんどん思考が奪われていく…。
彼の物を舌で手繰り寄せるように口に含みズボンの外に引っ張り出す。
まるで硬さを持たないそれを闇雲に舌を這わせるが一向に変化はない。
「へたくそ。もっと窪みのあたりを舐めろ。根元舐められても気持ちよくない」
言われるままに窪みから先端の辺りにかけてゆっくりと舌を這わす。
柔らかさが残るものの、徐々に硬さを持ち始めたそれに明嵐は大きくため息をついた。
「もういい、そのまま咥えてろ」
明嵐の言葉に舌を止めると、彼は俺の頭を掴んで腰を振り始める。喉の奥まで入り込み、咳き込みそうになっても、嘔吐いても明嵐は頭から手を離してくれない。
「こういう動きじゃないと気持ちよくなんねえんだよ。男のくせに自分についてるもんのこともわかんねえの?」
硬くなったそれを乱暴に口から引き抜かれる。
「げほっ!げほっ!うえっ…」
胃がひっくり返りそうなほど咳き込む。
「ほら、さっさとケツ向けろ。萎える」
心配する言葉も、優しい言葉も何もない。早く済ませたくて仕方なさそうな、気だるい口調で明嵐は言う。
咳き込みながら明嵐に背を向け控えめに尻をあげる。
「入れずらい。もっとケツ上げろ」
ぐっと口を噛み締めながら、犬のように上体を低くし尻を突き出す。
俺のその尻に半端に入れられたバイブを乱雑に引き抜くと、明嵐は自分のをあてがい、一気に根本まで押し込んだ。
「んんっ……!!」
「中ぐずぐずかよ。プライド高い割に何でもいいんだなお前」
そのまま明嵐は腰を掴んで激しく打ち込む。それは今まで届かなかった奥まで掻き乱すように腹の中をえぐる。
「あっ、あっ…んんっ!!」
突き上げられる度に電気ように快感か身体中を走り抜ける。何度もイく感覚が襲うのに白い汁は申し訳程度に滴るだけで、何度イったのかもわからない。
一際強く打ち付けられた瞬間、奥に熱いものが注がれる感覚に身体がビクビクと震えた。明嵐のものが出たのかと振り返るが、明嵐は抜かずにそのまま再び腰を動かし始める。
「お前ばっかり奉仕されていいと思うな」
少しだけ柔らかくなった腹の中のものが、運動に合わせてまたみるみる大きくなる。快感で足がガクガクする。少しずつ高度を落としていく下半身に明嵐は平手で勢いよく叩いた。
「下げんな!」
「いっ…あっ…!」
叩かれた痛みで跳ねた拍子に腰がまた浮くが、止まらないピストン運動にまたすぐに足の力は抜けてしまう。
「休んでんじゃねえ!」
再び平手が飛ぶ。下半身が下がる度に何度も何度も肌が赤くなっても明嵐はやめてくれない。
「いたい…!も、もうやめ…」
「はあ?何言ってんのかわかんねえ」
俺の言葉に再び平手が飛ぶ。すでに真っ赤になったその部位は擦れただけでも痛みを伴う。突き刺すような痛みに俺は悲鳴をあげる。
「はあ…もう1回出す…」
パンッと音を立てて打ち付けられると、再び中に暖かいものが注がれる。
しかし、また抜かずに動き始める。
頭が真っ白になっては突き上げられる感覚や平手打ちに意識が引き戻される。
明嵐が動くたび注がれたものが溢れ足を伝い落ちるのを感じる。
「ごめ…な…」
「…わかんない」
必死に声を上げても明嵐は聞く耳を持たない。いや…本当は聞こえているしわかるんだろうが聞き入れない。
長時間四つん這いで致されたせいで、膝は赤く擦れて悲鳴もだんだん掠れていく。嵐は朝になるまで行為を繰り返した。
何度も何度も中に注がれて、6回目くらいで彼は不意に中のものを引き抜いた。
「っは…くだんね…」
床に崩れ落ちる俺を見下ろして、彼は肩で息をする。
窓から入る光で照らされた彼の目から頬にかけて沢山の透明な筋が付いているように見えた。
「み…あ…」
声をかけようと口を開くもそのまま落ちるように視界が暗くなり俺の意識は途絶えた。
頭の中や体のズキズキとした痛みに目を覚ます。
ゆっくりと起き上がると床は冷たく硬い。
後ろ手に縄でキツく縛られ、着ていた服もいつの間にか剥ぎ取られている。首輪から繋がるリードは「リード」なんて生易しいものではない太い鎖で檻に繋がれていた。
「ここは…」
焦点が合わずぼやける視界に目を凝らし何とか辺りを見渡すと、今では見なれた屋敷俺の部屋だった。
「そうか…確かあの時捕まって…」
恐らく、その後連れ戻されるか何かあって結局ここに戻ってきてしまったらしい。
体を動かそうとする度繋がれた鎖がジャラジャラと重たい音を立てる。
「はあ…これは怒ってるんだろうな」
一周まわって冷静な頭で自身の置かれた状況を振り返る。
ああ…この檻に入るのはたしか2回目か…。
「目ェ覚めたか?」
檻の傍から声がする。焦点が合わずに気付いていなかったが、檻のすぐ隣にある椅子に明嵐が座っていた。
「最初から逃げ出す気だったんだ?」
明嵐の手にあるのは俺がここから出るためのに書きまとめたものの、不要になって破り捨てたメモをテープで繋ぎ合わせたものだった。
もうここに戻ることもないと思っていたから適当な処分をしてしまったが、こんなことならもっとちゃんと始末して置くんだったなとどこか楽観的に後悔した。
さすがにここで声を発するのは馬鹿だろう、それくらい俺にもわかる。
声を出せないんじゃ言い訳することも出来ないので俺はただただ明嵐の手にあるメモに目を向ける。
「…こんな時ばっかり犬らしくするんだな」
今までに聞いたことがないような、怒りを含んだ静かな声だった。
明嵐は俺の前に屈んでこちらを見る。いつもつり上がっている口元も表情がない。
「裏切るなって言ったのに、1週間もせずに裏切って。全部都合がいいから俺と過ごす時間を増やしただけなんだな」
立ち上がると、突如ガンッと明嵐は檻を力いっぱい蹴り飛ばす。
ただならぬ雰囲気にさすがに危機感を覚える。
「こう…」
「黙れ!お前に名前を呼ばれるなんて二度とごめんだ!」
明嵐は俺の声をかき消す様に怒鳴った。
怒りに満ちたその声に俺は思わず身を縮ませる。
「俺が与えた首輪でいい思いは出来たかよ。盗っ人猛々しいな」
明嵐の言葉に俺はテーブルに置いてある物に気付く。
ネイビーの高そうな革の首輪。金の鑑札。俺が付けていたはずの首輪がそこにあった。
「お前が今付けてる首輪は最低ランクの首輪だ。街を歩けば回される。サンドバックになったって誰も咎めない。俺も助けない」
明嵐はニヤリと口元を歪めて笑う。笑っているのに怒りで眉間にシワが寄る。だけど、その目は今にも泣き出しそうにも見えた。
「これ飲めよ」
ポケットから取り出されたピルケース。酷く見覚えのある錠剤が入ったそれを明嵐は受け取れと言うように差し出す。
「お前、処理用の犬なんだよ。処理用らしく欲情して欲しがって見せろよ」
あの薬を飲んでどうなるのか、実際に体感したことのある俺にはよく分かる。あんな辱めは二度とごめんだ、俺は差し出されたものを拒むように顔を背ける。
「犬が人間さまに逆らってんじゃねえぞクソが!!」
明嵐は乱暴に檻の扉を開けると俺の上に跨り、首を掴む。今までと比にならない力で締めあげられ視界が白く霞む。
「かはっ…や…め…」
「飲めよ。テメェの意見なんざ聞いてねえんだよ!」
首から手を離され、咳き込む俺の髪を明嵐は乱暴に掴みあげる。口に錠剤がほおり込まれる。
その数は前の倍であるのが口の中で分かった。
「水なんて貰えると思うな。飲み込め。今すぐに」
顎を掴まれ錠剤を吐き出す退路を塞がれる。
首を振って振り払おうとするもがっちりと掴まれた手は離れずに、ますます力を込められる。
「早く。飲めよ」
唾液で錠剤か溶け始め口の中に嫌な薬臭さが広がる頃になると、明嵐は俺の鼻をつまみ、低い声で威圧する。
「飲み込むまで離さねえぞ。死にたくなかったらさっさと飲め」
何とか抵抗しようにもどんどん息苦しくなり目の前がクラクラし始め、俺は沈みそうになる意識の中で口の中のものを飲み込んだ。
「う゛っ…げほっ…げほ…」
「じゃあ、あとこれだ」
檻の傍に置かれたゴツゴツと凹凸のついた棒状の機械を手に取る。
それは以前入れられていた尻尾なんて可愛いらしいものではなく、太さも長さも一回り以上大きい。
咳き込む俺の肩を床に押さえつけて、俺下半身にそれを当てる。
「や…やめ…」
俺の声に明嵐は髪を掴みあげ、俺の顔面を床に叩きつけた。
「喋ったら殺す」
頭をたたきつけられたせいか、ぐらぐらとした目眩に襲われる。それでも「殺す」という言葉だけはハッキリと耳にし恐怖に体が強ばった。
明嵐は俺が大人しくなったのを確認すると、ズブズブと無遠慮にバイフを穴に差し込む。
それも1番奥には届かない微妙な位置で止めると、手元の小さなリモコンでスイッチを入れた。
「…いっ…うああっ!」
「…俺は仕事に戻る」
明嵐は静かに立ち上がると、檻を出る。鍵をしめる。彼のその動作は随分と久しぶりに見たような気がした。
「精々1人で楽しむんだな」
バタンと戸が閉まり、また鍵のかかる音。
「あぐっ…や…まて…」
叫べども明嵐は振り返ることも、無ければ部屋を出たきり戻ってこない。
バイブの振動に耐えていると体が徐々に汗ばむのを感じる。
「うっ…いやだ…やだ…」
さきほど飲まされた薬の効果がジワジワを現れるのを体の隅々から蝕まれるように感じた。
呼吸も苦しくなるほどの熱や皮膚を伝い落ちる汗の流れにすら体が反応してしまう。
一番奥に届かない振動が逆に辛い、いっそ奥の奥までめちゃくちゃにされたらどんなに楽か…頭の中かその事でいっぱいになる。
「あっ、ああっ、たすけ…むり…むりだからっ!!」
奥はむず痒く辛いのにはち切れそうなほど膨張した俺のものからは時折吹き出すように白い汁が飛び出す。その度に情けなく声を上げるのが自分でもわかった。
部屋が暗くなってもそれは終わらない。永遠ともとれる時間が流れ、白い汁が吹き出なくなったころになりようやく扉の開く音が聞こえた。
ぼんやりした頭で見上げるとそこには明嵐は冷たい眼差しでこちらをみているのが分かった。
「…きったね」
俺の下腹部のあたりに出来た白い水溜まりを見て吐き捨てるように言う。
檻の扉を開けるが、明嵐は入ってこない。
「と、とめ…てくれ…これもう」
掠れた声で必死に訴えると明嵐は何を言ってるのか分からないという顔で首を傾げる。
「へんな鳴き声の犬だな。苦しいのか楽しいのかわかんねえ」
「いぬ…じゃ…な、たすけ…」
「なんか楽しいみたいだから部屋戻るか」
明嵐は檻の扉を再び閉め、鍵を掛け始める。
「あっ…やだ、やめろ!謝る!謝るから!明嵐!!」
「犬の分際で俺の名前呼んでんじゃねえ!」
ガンッとまた檻を蹴り飛ばす。すぐ目の前で蹴り付けられた足に鳥肌か立つ。
明嵐の顔には俺に施そうとする意思は見えない。
「犬ってワンとかクーンとかで感情表現するのに、そんなんじゃ全然伝わんね。こんな変な鳴き声の犬買って損したわ」
明嵐はそう言うとゆっくりと部屋を出ていこうとする。
用は犬のように鳴けと言うことか…俺の朦朧とした意識の中で理性と欲とが綯い交ぜになる。
泣いて媚びれば許されるのか…?楽にしてもらえるのか…?そんなことはしたくない…でもまた何時間もこのままなんてもっと…。
考えるほど涙が溢れ嗚咽が出そうになるのをぐっと飲み込んだ俺の口からか細い声が漏れる。
「…くぅ…ん…」
絞り出すような俺の小さな声に明嵐は足を止める。こちらを振り返り、何故か一瞬だけ悲しそうな顔をしてから呆れたように肩を竦めて見せた。
「発情期か。仕方ねえな」
檻を再び開け、明嵐は俺の前に立つ。
「口でチャック下ろして取り出しなよ」
いつか同じことを要求されたがそれよりもっと冷たく、圧を感じる静かな声だ。
惨めで愚かで、汚らしい。絶対屈してなるものかと強い意志があると自分でも思っていた。
なのに体はその意志を容易く凌駕する欲にかなうことが出来ない。
明嵐のズボンのチャックを咥えようと顔を近づける。
小さなチャックはなかなか咥えることが出来ず、まるで彼の股間に顔を擦り付けるように何度も何度もチャックを咥え直す。
ようやくチャックを下まで下ろし、一息つこうとすると間髪入れず「取り出せ」と上から声がかかる。
唇の先で咥えられないかと何度か試すも一向に取り出せそうにない。
「怠けてんじゃねえぞ。舌使って丁寧に取り出せ」
震える舌を突き出しゆっくりと開けた彼のファスナーに舌先を差し込む。
ふにっとした柔らかい物体が舌先に触れると全身に鳥肌が立つ思いだった。
極力触れないようにそれを取り出そうと試みるも摘むような舌使いではなかなか上手くいかない。
「さっさと咥えろ」
ドスの効いた声掛け頭上から降る。
「お前みたいな薄汚い犬に勃つほど俺のは安くねえんだよ。入れてほしけりゃ取り出しておしまいじゃなくて、勃つまでしゃぶれ」
やってられるかと言い放ってやれれば楽なのに、未だに刺激の届かない俺の最奥の疼きがおさらまない。それどころか時間が経つほどにどんどん思考が奪われていく…。
彼の物を舌で手繰り寄せるように口に含みズボンの外に引っ張り出す。
まるで硬さを持たないそれを闇雲に舌を這わせるが一向に変化はない。
「へたくそ。もっと窪みのあたりを舐めろ。根元舐められても気持ちよくない」
言われるままに窪みから先端の辺りにかけてゆっくりと舌を這わす。
柔らかさが残るものの、徐々に硬さを持ち始めたそれに明嵐は大きくため息をついた。
「もういい、そのまま咥えてろ」
明嵐の言葉に舌を止めると、彼は俺の頭を掴んで腰を振り始める。喉の奥まで入り込み、咳き込みそうになっても、嘔吐いても明嵐は頭から手を離してくれない。
「こういう動きじゃないと気持ちよくなんねえんだよ。男のくせに自分についてるもんのこともわかんねえの?」
硬くなったそれを乱暴に口から引き抜かれる。
「げほっ!げほっ!うえっ…」
胃がひっくり返りそうなほど咳き込む。
「ほら、さっさとケツ向けろ。萎える」
心配する言葉も、優しい言葉も何もない。早く済ませたくて仕方なさそうな、気だるい口調で明嵐は言う。
咳き込みながら明嵐に背を向け控えめに尻をあげる。
「入れずらい。もっとケツ上げろ」
ぐっと口を噛み締めながら、犬のように上体を低くし尻を突き出す。
俺のその尻に半端に入れられたバイブを乱雑に引き抜くと、明嵐は自分のをあてがい、一気に根本まで押し込んだ。
「んんっ……!!」
「中ぐずぐずかよ。プライド高い割に何でもいいんだなお前」
そのまま明嵐は腰を掴んで激しく打ち込む。それは今まで届かなかった奥まで掻き乱すように腹の中をえぐる。
「あっ、あっ…んんっ!!」
突き上げられる度に電気ように快感か身体中を走り抜ける。何度もイく感覚が襲うのに白い汁は申し訳程度に滴るだけで、何度イったのかもわからない。
一際強く打ち付けられた瞬間、奥に熱いものが注がれる感覚に身体がビクビクと震えた。明嵐のものが出たのかと振り返るが、明嵐は抜かずにそのまま再び腰を動かし始める。
「お前ばっかり奉仕されていいと思うな」
少しだけ柔らかくなった腹の中のものが、運動に合わせてまたみるみる大きくなる。快感で足がガクガクする。少しずつ高度を落としていく下半身に明嵐は平手で勢いよく叩いた。
「下げんな!」
「いっ…あっ…!」
叩かれた痛みで跳ねた拍子に腰がまた浮くが、止まらないピストン運動にまたすぐに足の力は抜けてしまう。
「休んでんじゃねえ!」
再び平手が飛ぶ。下半身が下がる度に何度も何度も肌が赤くなっても明嵐はやめてくれない。
「いたい…!も、もうやめ…」
「はあ?何言ってんのかわかんねえ」
俺の言葉に再び平手が飛ぶ。すでに真っ赤になったその部位は擦れただけでも痛みを伴う。突き刺すような痛みに俺は悲鳴をあげる。
「はあ…もう1回出す…」
パンッと音を立てて打ち付けられると、再び中に暖かいものが注がれる。
しかし、また抜かずに動き始める。
頭が真っ白になっては突き上げられる感覚や平手打ちに意識が引き戻される。
明嵐が動くたび注がれたものが溢れ足を伝い落ちるのを感じる。
「ごめ…な…」
「…わかんない」
必死に声を上げても明嵐は聞く耳を持たない。いや…本当は聞こえているしわかるんだろうが聞き入れない。
長時間四つん這いで致されたせいで、膝は赤く擦れて悲鳴もだんだん掠れていく。嵐は朝になるまで行為を繰り返した。
何度も何度も中に注がれて、6回目くらいで彼は不意に中のものを引き抜いた。
「っは…くだんね…」
床に崩れ落ちる俺を見下ろして、彼は肩で息をする。
窓から入る光で照らされた彼の目から頬にかけて沢山の透明な筋が付いているように見えた。
「み…あ…」
声をかけようと口を開くもそのまま落ちるように視界が暗くなり俺の意識は途絶えた。
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「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
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