天底ノ箱庭 春告鳥

Life up+α

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2章 彼は暗闇に差す橙色の日差しが恋しくなりました

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※ここから挿絵なくなります!(在庫ないなった…!)描いたら追加するかも…?※

「クリフ、飯持ってきたよ」
あれから数日経った。
体の痛みもだいぶ引き、体の傷も大体治ってきたと医者も言う。
目が覚めた時は脱走したことをミアラシに酷く責められ、体罰でも受けると思っていた。
しかし彼は嫌に優しく、妙に献身的にこうして看病に付き合っている。
「ほら、口開けて」
彼は頼んでもいないのに、食事の時は自ら率先して俺の使えない右手の代わりに飯を口元まで運んでくる。それも1口1口丁寧に。
こうして食事の時も付きっきりで面倒見るもんだから正直やりづらい。
俺はミアラシが嫌いだ。
俺の飼い主を名乗って好き勝手に体を弄び、人権なんて無いように扱う。こいつが居なければ俺はあんな怪我をすることも無かったに決まってる。
食べ終わった食器をまとめて片付けようとしてるミアラシを横目に読みかけの本をまた開く。
療養中に何冊か読んだが本棚の本にジャンルや作者などの規則性は無く、様々な文献や物語、図鑑まで幅広く取り揃えられており暇はしなかった。
中でも興味深いのは『地下』に関する文献だった。
数百年前に地上世界が有害物質に満たされことや、それに対策したシェルターの誕生。
しかし、多すぎた人口はシェルターには入り切らず、そのシェルターから追いやられた人々がいたこと。彼らが地下で生活できるように環境をある程度改善し、居住空間を広げ発展したこと。
信じ難いがこれらは実際にあった話のようで、いま俺が居るのは地下の世界、そう考えれば多くの疑問にも合点がいった。
ふと、目の端でミアラシが自分を見つめているのに気付く。が、構うのも面倒なので気付かない振りをする。
彼は俺の隣りに寄り添うように座ると、おもむろに俺の頬を指でなではじめる。
何が目的なのかわからないが、下手に構うのも身の危険と思い、俺は本に集中してるフリをしながら様子を伺った。
「その本面白い?」
ミアラシは俺の肩に顎をのせ、片手を腰に回してくる。その片手は次第に俺の着ているシャツの下へと潜り込み、下腹部の方へと伸びてきた。
さすがにビクリと体を跳ねさせ少し後退りしながらミアラシに目をやると、珍しく無邪気な笑顔を浮かべてギシシと笑っていた。
「俺、そろそろ前みたいなことやりたい…って気持ちもあるけど、ちょっと尻の傷が気になるってのは本音」
少し真面目な顔にもどると、彼はまた無理に距離を詰めずに続けた。
「なんてーか…2本入ったんだろ?エロいことはしないから、少しだけ見せてもらえない?」
こいつ相変わらずなことしか考えてないなとまた腹ただしい気持ちもあるが、無理やりやれば出来るだろうにそれをしないのは意外だとも思う。一瞬絆されかけてから、俺は首をブンブンと横に降り抵抗する。このままぬくぬくと性奴隷の様な暮らしを避け続けられるならそうしたい。
「ま、人にケツの穴見せるのなんて医者だって嫌だしな。仕方ねえか」
そう言いつつミアラシは忍ばせた手を避けない。俺はその手を振り払えず身体を少しずらして抵抗を試みるが、ミアラシはゆるりゆるりと俺の肌を撫でる。
いぶかしげにミアラシを見つめると、彼は悪気なく口元に笑顔たたえてこちらを見ていた。
「でも、飼い主としてはやっぱり心配だしさ。見せたくないなら触って確認するだけでいいよ。服脱がなくていいから」
彼の手が少しずつ少しずつおしりの方へと回ってくる。さすがに身の危険を感じて逃げようとするが、ミアラシはもう片手で俺の腰を軽くホールドして逃がさない。
「大丈夫だよ、エロいことはしないって」
ここで抵抗するのは少し怖い。前回の脱走についてのお咎めがなかった上にここまで献身的に尽くされたことが既に不気味だと言うのに、抵抗したらまた酷くされるかもしれない。右手首が動かしにくい今はなおさら体罰を受けるのは分が悪いだろう。
抵抗したい気持ちをぐっと堪えてミアラシの手の行方を感触で追う。彼は妙に優しい手つきで腰から下へと指を這わせる。
その指先が彼の1番確認したい部位へとたどり着く。穴の周囲をなぞるように触り、優しく撫でる。
「治ってそうだけど…まだ痛い?」
ミアラシが俺の耳元で静かに囁く。
思わずビクリと身を震わせミアラシの口から逃れるように体を逸らすが彼にとってそれは些細な抵抗でしかないようだった。
「っ…!」
指の先端がほんの少しだけ中へ入る。歯を食いしばり耐えようと備えるが、ミアラシは裂けている場所がないか入口をなぞって確認しているようだ。
「もういいだろ」と口に出したい気持ちを堪えて、身振りのみでそれを伝えようとミアラシの体を押し返しながら首をブンブンと横に振る。
押し返されたミアラシは俺の下半身にやっていた視線を上に上げる。俺と目が合うと、彼は少し驚いたような顔をしてから、笑ってもう一度俺を側まで引き寄せた。
「もう少し確認させて」
穴の縁を触れていた指がゆっくりと中へ優しく押し込まれていく。浅い部分しか触っていないはずだが、数日ぶりにきたゾクゾクとした感覚に意図とせず息が漏れる。
「ふうっ…や…」
「中、まだ痛い?」
ミアラシが静かに聞いてくる。気が付くとミアラシの胸に寄りかかるような形で抱き込まれている。ますます逃げ場がなくなる中、彼はそのまま指を更に奥まで押し込んでくる。
「触って痛いとこあったら教えて?」
そう言いながらミアラシは指先で中を愛撫する。
今までされていたぐりぐりと中を刺激するような感覚とは違い、それはゆっくりと腫れものを撫でるような手つきで、本当に確認しているだけなのかと一瞬錯覚さえした。
しかしそうであるならこんなに何度も同じ個所を触り続けずとも良いだろうに…やっぱりこいつただセクハラしたいだけだ、そうに決まってる。
「も…やめっ…」
話すことを許されていない立場に置かれているのはまあ理解はしたが、拒否するのにも満足に拒否ができないのが不便だ。立場を思えば拒否権なんて無いという事なのだろうが…。
ミアラシは空いている手で俺の口に人差し指を当てる。
「静かにね」
怒っているような声ではなく、むしろ甘やかすような口調で拍子抜けする。もっとキツく叱られるかと思っていた。
こんなに優しくしてコイツは何をする気なんだろう。まるで意図が読めない。
「痛かったら教えてって言ったんだぜ。痛くなかったら、もうちょい付き合え」
ミアラシはまた指で中を触り始める。徐々に指の本数が増え、奥へ奥へと入り込む。
「このへんとか、痛めてたら可哀想だなって思ってさ」
「っあ!?…ん、ん!!」
一点を押しあげるように刺激されると体がびくりと跳ね、高い声が漏れてしまう。
これ以上されたら本当にセクハラを許してるようで癪なのもあり、俺は今までよりも強く彼の腕から逃れようと身をもがく。
「怪我人なんだから、あんま暴れんなって」
そう言いながら、彼は中を刺激する手を休めない。身体に快楽が走り、俺の身体から力が抜ける。それを再びミアラシは自分の胸におさめて、俺の肩に顎を乗せた。
「別に痛くないっしょ?健康的で安心した」
「…じゃあ…もう、やめろ…」
「あれ?静かにって俺言ったくない?」
俺の言葉にミアラシはニヤニヤしながらさらに指の数を増やす。
「うぐっ…増やっ…す…な…!」
中が圧迫されるような感覚から少しでも気を紛らわせようと深く息をつきながら小さくつぶやく。口をきいたことを強く咎めてこないのなら少しくらいいいだろう。
「俺、あんなに優しくルール説明したはずなんだけど、優しくすると言うこと聞けない感じだ?」
不意に穴から指が抜かれる。圧迫される感覚が腹から消え、俺はほっと胸を撫で下ろすが、不意にミアラシは俺の身体を持ち上げる。
「そうするとお仕置するしかないんだよなあ」
腰を落とされた先に硬いものが当たる。片手でズボンを素早く下ろされ、それは俺の中へと入っていく。
「ふっ…ふざけるな!!冗談じゃない!」
「ふざけてんのはどっちかなあ」
ミアラシは俺の腰を掴んで一気に根元まで下ろさせる。
突然、奥までみっちりと詰まったような感覚に声をあげる。足腰の力が抜け震えるのが自分でも分かった。
「さ、もうこれで逃げられないな」
俺の身体を抱きしめるように背後から腹に手を伸ばす。片手で強めに腰をホールドし、空いた手は俺の胸へと伸びてくる。
「そういや、こっち触ったことなかったよな」
乳首の先を指の腹で撫でる。
「なにが…!」
何が楽しくて男の胸なんて触るんだと手を振り払おうとしたとたんに触れられたそれは、くすぐったいようでそれとはまた違うような言いようのない感覚を運んでくる。
「結構感度良さそうじゃん。エロいなー」
「誰がそんっ…ううっ」
そう言いながらミアラシは俺の乳首をこねるように擦ったり先端をつまみ引っ張る。
「すげー、すぐ硬くなってきた」
耳元でミアラシの嬉しそうな声が聞こえる。指先で硬くなった先をピンッと弾かれ、反応すればコイツを喜ばせるだけだとわかっていながら、屈辱にも反応するように声が出てしまう。
「はあ…めっちゃ締まる…」
中でミアラシのものがビクビクと動くのが分かる。俺の耳元で少し息を漏らしながら、ミアラシは空いたもう片手で反対側の胸も弄り始めた。
「ひぁ…ほんと…ふざけ…」
顔が熱くなり熱は耳の先まで集まっていることがわかる。もがけば腹に収められたもの摘ままれたままの乳首が刺激されてしまうため、反抗して暴れることもままならない。
「でも気持ちいいっしょ…?中すごい動いてるよ」
大人しくなりつつある俺の腰を片手で掴んで持ち上げると、奥へ押し込む。
「やっ…動くなっ…」
「でも身体が喜んでるじゃん…こんな締め付けてさ。搾り取られそう」
別に締め付ける気もないし、動いてほしいなんてもってのほかだという意志と反してミアラシは喜ぶ一方だった。
不意にまた腰が持ち上がる。中に入っていた物が抜かれると、ミアラシは優しく俺を仰向けに転がし、右手首を痛くない程度の力で掴まえる。
「怪我してんだから、暴れんな」
俺片足だけ肩に引っ掛けて、再び中へと挿入する。グッと奥へと入り込み、上体を俺の身体へと乗せてくる。
「背面もいいけど、乳首いじるんならちょっと不便でなー」
そう言うと、ミアラシは俺の胸に舌を這わせる。
「ッ!!や、やめ…これは…嫌だ」
以前薬を飲まされた挙句の果てを思い出させる体位にますます抵抗を見せるも、這わされる舌にまるで吸い取られるかのように体に力が入らなくなっていく。
ミアラシは俺の言葉などまるで聞いていないのか、乳首に舌を絡め、軽く吸っては舌先で転がした。
「あっ…いやだ…ミア…」
吸われる度に高い声が漏れるのを必死に隠すように言葉を発すると、思うように話せない。
しかし、先ほどまで俺の言葉など大して聞いていなかったようなミアラシが、不意に顔を上げて俺を見つめた。
「…今、名前呼んだ?」
「名前…?」
確かに静止させようと思わず名前を呼びかけたがまさか聞いているとは。喋ることが許されない身から名前を、しかも呼び捨てで呼んだととなればいい気はしないものなんだろうか。
「き、気のせいじゃ…」
俺が目を逸らしても、ミアラシはこちらから目を離さない。
「俺の名前は?」
「……ミアラシ」
聞かれて思わず答えてしまったが、さんでも様でもつけたら良かっただろうかと内心焦る。
酷い体罰になったらどうしようとドキドキしながらミアラシを見つめていると、ミアラシはふっと笑って俺の胸に額を擦り付けた。
「俺、名乗ってないのになんで知ってんの」
「いや…それは…」
返答に詰まって目を泳がしていると、ミアラシは言葉を続けた。
「明嵐 幸樹」
顔を上げたミアラシは、今まで1回も見せたことのないような屈託ない笑顔で笑った。
「幸樹がいい。明嵐じゃなくて、幸樹って呼ばれたい」
喋るなと言ったり名前を呼べと言ったり、こいつの意図はまるでわからない。
しかし名前を呼ぶ位なら屈辱を味わうより、体罰を受けるよりずっと楽なのは事実だ。
名前を呼んでこいつの機嫌が良くなるならそれは有効活用するに限る。
「…幸樹」
ボソボソと呟く程度の小さな声で名前を呼ぶと、幸樹は少し頬に色がつくほど嬉しそうに笑った。
「めっちゃ嬉しい!」
バッと幸樹は俺の腰に抱きつく。たかが名前を呼んだ程度でそんなに嬉しくなる理由がわからない。



困惑する俺に、ハッと幸樹は顔を上げて思い出したように声を発する。
「なんかお仕置するって気分でもなくなったんだけど、続けていい?」
結局行為を続ける気なのか…。名前呼ばれて満足してやめてくれるかと期待した自分があほらしい。
「…いやだ」
「えー」
繋がったまま幸樹はポリポリと頬を掻く。
「おっさんに回される100倍は気持ち良くさせる自信あるんだけど」
0を100倍しても0だろうと悪態をつきたくなる気持ちをぐっと堪えてそろりそろりとこいつから離れようと後ずさる。
「…そんなダメ?」
ちょっと悲しそうに幸樹はダメ押しする。
なんでそんなに悲しそうにするんだ。俺が悪者みたいになる、悪者はお前だろう。
俺の中の罪悪感が顔を出しては無理矢理されてきた行為を思い出しそれを殺す。
「…断る」
流されては相手の思うツボだ。俺を犬として手懐けるための作戦の1種かもしれない、だとすれば全面拒否だ。同情で抱かれてやるほど、落ちぶれるつもりは無い。
「本当は犬に拒否権ないんだけどなー…まあいいや」
そう言うと幸樹は俺を抱きしめるようにして一緒にベッドに転がる。
「今日はこれで許してやるよ」
転がったまま幸樹は俺を離さない。なんなら繋がったままで抜く様子もないが、行為を続けようという雰囲気もない。
「名前…めっちゃ嬉しいけど、呼ぶのは2人の時だけな」
首元に頭を擦り寄せてくる。髪からは意外にも石鹸のような香りがした。
「今日このまま昼寝するから付き合え」
俺の返答を待たずに幸樹はそのまま動かなくなる。
昼寝に付き合う位ならいいかと、俺は特に抵抗もせずそのままぼんやりとしてるうちに自分もうとうとと眠りに誘われた。
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