天底ノ箱庭 春告鳥

Life up+α

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1章 赤い狼はご馳走を前にして笑いました

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ミアラシが部屋を出ていくとまた、部屋の中はシンと無音の空間になる。
時折ぐう…と空腹を知らせる音がやけに大きく聞こえた。
ミアラシが置いていった飯は見た目は…出来の悪いチャーハンか何かと思えば食えなくはないし匂いだけなら普通に食えただろう。
もう一度体を起こし出された皿をしげしげと見つめる。
「はあ…」
飯の入れられた器は隣に添えられた水もしかり、どこからどう見ても犬用のエサ皿だ。
腹も減ったし喉も乾いたが両手も使えないこの状態でここに顔を突っ込んで食べる気にはなれなかった。
「(そもそも人間の顔は犬食いするのに向いてないだろうに…)」
口より鼻が高く、どう頑張ったって口より先に鼻がつく。手が使えないんじゃそれをぬぐうこともできないし、何より滑稽だと妙に冷静な頭で考える。
食事はまだ温かいらしく、ほかほかと漂う匂いが空腹を余計に苦しめた。
それより、今まで空腹について考えないことで忘れるようにしていたがひしひしと生理現象の方にも限界が近づいているようで背中に嫌な汗をかく。
最後に出したのが今日の朝だったか、朝食以降飲まず食わずだったとはいえ流石に…。
「トイレ、その部屋にないからそのへんでしていいよ」というミアラシの声が頭をよぎる。
こんなたいして広くもない檻の中で適当に出そうもんなら安全地帯が無くなってしまうだろうに…かといって端に添えられたペットシートにだすのももっての外だった。
ミアラシはまた夜に様子を見に来ると言っていたそれまで大人しくしていればいいのだろう。
檻の中にたれ流したりシートに出すより掃除だってらくだし手がかからないと思えばトイレくらい許してくれるだろう。
少しでも気を紛らわせようと体勢を変えようとするたびに無様に突っ込まれた尻尾が内臓を圧迫しキツくなる。なんとか足で引き抜けないかもがこうともしたが余計に刺激を与えるだけだったので直ぐに諦めた。
膀胱を刺激しないように、俺はただ床に転がって耐える。窓の日が少しずつ暗くなっていく。今が何時かはわからないが、夜が近いのは確かだ。
尿意を我慢していると、時の流れは一層遅く感じる。深く呼吸をし、何も考えないようにひたすら窓を見つめた。癪だがミアラシの再来が待ち遠しく感じる。
「飯食った?」
鍵が開く音がし、部屋にミアラシが入って来た。機嫌良さそうに上がった口元と、見開かれたような瞳孔の小さな目でこちらを見る。
「やっぱ食べてないよな。ていうか具合悪い?」
彼は檻の扉を開けると俺の傍で屈む。冷や汗が止まらない俺の額に手を当て、首を傾げてからおもむろに俺の腹を軽く手で押した。
「や…やめ…」
微かに身をかわそうと体をよじらせると内臓を圧迫する尻尾がごり…と中で動き余計にキツい。
「あーおしっこね。最初みんな我慢するんだけど、それ身体に悪いから止めてもらわないと困るんだわ」
そう言って彼は鉄格子の傍に置かれたペットシーツに手を伸ばす。手に取ったそれを広げ、俺の身体の下に敷く。
「じゃあ早く…縄を…そしたら自分で行く」
「え?お前、今は犬なんだよ?トイレは人間が使うもんだ。お前に使う権利はない」
ミアラシは呆れたような声色を出す。呆れたいのはこっちだ、この期に及んでまだ犬だの人間だのにこだわるなんてとんだ変人だ。
可能な限り抵抗する俺にミアラシは構わず先ほどより強い力で俺の腹を押す。尻尾と彼の手で膀胱が圧迫されかなり苦しい。
「ほら、はやく出しなよ。喉も乾いてるだろ?出すもん出さなきゃ入るもんも入らねえよ」
「…っめろ…それ以上押すな」
震える声で抵抗するもとうに限界を超えているそれは口答えをするたびに少しずつ染み出すように先から漏れ始めた。
「無駄だって、ちょっとずつ漏らしてんじゃん」
ミアラシは少し笑うと、不意に腹を押すのをやめてポケットから何かボタンのついた小さな機械を取り出す。
「これなーんだ?」
呼吸を荒くしながら視線だけで彼が持つ機械に目をやる。
「これはね、スイッチ押すと動くんだよ。リモコンみたいな」
そう言って彼はそのボタンを押す。その瞬間、腹に入っていた尻尾が内部で震え始めた。
「っ!?と、止めろ!馬鹿じゃないのかお前!」
「とめませーん」
こっちは真剣だというのに、ミアラシは馬鹿にしたような口調で笑うと再び俺の腹をぎゅうぎゅうと手で押す。
人が限界まで尿意を我慢するとこんなに辛いものなのかと一周まわって冷静になる自分もいる中、必死で耐えるが腹の中の振動に筋肉が緩み追い討ちをかけるように外から圧迫されたそれは線を切ったように溢れ出して止まらなくなる。
「やめ…見るな…」
「ははっ、いっぱい貯まってたじゃん!スッキリして良かったなあ?」
見るなと言っているのに、ミアラシはにやにやと俺の姿を凝視している。全て出し切るのを確認すると、彼は水分を吸収して重くなったシーツを折りたたんだ。
「じゃあほら、水飲みなよ。飯も食っとけ。明日も一緒に遊ぶんだから体力つけてもらわねえと困るんだわ」
折りたたんだシーツを片手に彼は1度檻から出るとシーツをゴミ箱に捨て、手を棚に置かれたウエットティッシュで拭く。
屈辱とショックで俺はその様子をぼんやりと眺めることしかできなかったが、ベッドに腰を掛けこちらを観察するように見つめてくるミアラシにふと我に返る。
「くっ…これ…」
「これ?」
「機械を止めてくれ…」
俺の言葉にミアラシは完全に忘れていたのか、もとから大きな目を丸くして手を叩いた。
「ああ!そういやそうだった」
ミアラシはリモコンをポケットから取り出し、そのボタンに指を添える。しかし、振動が止まらない。
「はやく…とめろ…」
「…えー、でも気持ちいいんでしょ?」
ベッドの上からミアラシは俺の下腹部を指さす。
「勃ってきてるじゃん。穴イキって本当にクセになんだね」
そんなはずはないと自分でも目を向けると、たしかにそれは先端に汁をにじませながら時折ぴくりと反応を見せている。
「ほーら、我慢汁まで出してさ。身体が気持ちいいって言ってるもん」
ミアラシの言葉に思い出してしまったように意識が下半身に集中するのを感じた。
「と、止めてくれ…もうあれはイヤだ!」
「えー?こんな聞き分けの悪い犬からのお願いじゃ、受け入れ難いなあ」
声を張り上げて頼んでいるのに、ミアラシは笑ったまま片眉をあげておどける。持っていたリモコンを片手で何か操作すると、ますます尻尾の振動が強くなる。
「うっ…何を…!」
「別にー?ちょっと強さを上げただけだけど?」
先程無理やりされてから数時間は経ったというのに、長時間責められていた影響か、機械の及ばない奥の方が疼くように痙攣しているのを感じた。
同時に機械がガッツリ食いこんだ1点に神経が集中し強くなった振動に過剰な快楽をもたらされ責められている気分だった。
身体を丸めて耐える俺の姿に、ミアラシは首を傾げる。ベッドから下りて再び檻の中へと入ってくると、俺の顎を掴んで目を合わせてくる。
「すげー、顔とろっとろになってんじゃん」
楽しそうに笑うと、彼はまたリモコンをヒラヒラと俺の前に見せる。
「このままバイブでイくまで続ける?それとも俺のでさっさと出したい?」
「ふざ…けたこと…するな…」
「あーあ、まだ口答えする?」
そう言うと、ミアラシは硬くなった俺の先端部分を指先でぎゅっと締める。
「ここに輪ゴムかなんか付けてあげようか?そうするとイきたくてもイけなくなるんだぜ。今日1日それ付けてバイブの振動と仲良くしたいなら、俺はそれでも構わないぜ」
1晩この状態を続けるなんて考えたくはないが、またこいつの前で醜態を晒すのももってのほかだ。
どちらもと答えずに歯を食いしばったままミアラシを睨みつける。
俺の視線にミアラシは笑顔を崩さず見つめ返していたが、ポケットから輪状の物を取り出す。
ヘアゴムだ。
「もうイきたくないって顔してるから付けてやるよ。本当は俺の髪をまとめる時に使ってるから、こんなとこに結びたくないんだけどさ」
手際よく俺の先端にそれを巻いていく。少しキツく感じる程度だが、血液が集まって膨張するそれにとっては効果は抜群だ。快楽が強くなればなるほどうっ血するのではないかと思うくらい痛みが強くなる。
「うう…外せ…もうやめろ」
痛みによるものか屈辱に対してか、目からは涙がこぼれてくる。俺の様子にミアラシは口元を釣り上げてギヒヒと気味の悪い笑い声をあげた。
「せっかくの飼い主からの申し出を全部断るからそうなるんだよ」
ヘアゴムが入っていたポケットから、今度は小さなピルケースを取り出す。その中の数粒を手に取ると、俺の顎をつかんで無理やり口を開かせる。
「喉乾いてんだろ?飼い主様が直々に飲ましてやるよ」
口に錠剤が放り込まれ、すぐ側の犬用餌皿に入った水を一緒に流し込む。俺が吐き出さないようにミアラシは俺の顎を掴んだまま、一緒に鼻をつまむ。
「飲めよ」
コイツの持っている薬なんかどうせロクでもない効能を持っているんだろう。飲み込んでやるものかと口に含んだまま抵抗するが、口元鼻も塞がれていては呼吸ができない。奮闘むなしく、息が苦しくてついに飲み込んでしまった。
「はい、ちゃんと飲めて偉い偉い」
俺の顔からミアラシは手を離す。苦しさで咳き込む俺を無視して彼は立ち上がると、再び檻の外へと出てベッドに転がった。
「じゃ、あとは自力で食事なり適当にどーぞ。どうしても辛いことあったら呼んでくれ」
「今日はここで寝るから」と言葉尻に欠伸を交えながら伸びをする。
「おい…!これ…外せって…くっ…」
寝たフリをしているのか本当に寝てしまったのか、ミアラシはこちらに背を向けたまま反応しなかった。
バイブから必死で意識を逸らそうとするが時間の流れに合わせて辺りは暗くなり、暗闇にでは強い振動や縛られた先端の痛みより興味を引くものも見当たらずますます感覚が鋭くなるような錯覚に囚われる。
ろくな薬では無いだろうとは思っていたが不自然に熱を持つ体に、先程飲まされた薬の正体を何となく気づいた。
段々と頭がぼんやりして出すこと以外考えられず、縛られた先端の痛みも限界を迎えている。
「ミ、アラ…もう…謝る…謝るから…」
震える声と体を引きずり檻に体を擦り必死で呼びかける。その時俺は既に屈辱だの腹ただしいだのを感じる余裕すら無くしていた。
「限界だ!…助けてくれ…口答えももうしない!」
本当に眠っていたのか、俺の叫びにようやくベッドの上のミアラシがもぞもぞと動き出し、眠そうに目を擦りながら身体を起こした。
「んえ…?何…?」
「もう許して…くれ…」
ぼーっと彼は暗闇の中で俺を見つめていたが、サイドテーブルに置かれたスタンドライトを付けて、口元だけでぼんやりと笑った。
「反省したん?」
ゆっくりとベッドを下りて檻を開ける。ちょうど扉にもたれかかっていた俺の身体が、扉が開くと同時にミアラシの方へと倒れ込む。彼はそれを優しく両腕で受け止め、上体を片腕で起こしたまま俺の先端を縛っていたゴムを取った。
「これで大丈夫?もっと欲しいもんある?」
体中が熱くて堪らないのに肩や背中に触れるミアラシの体温もまた、僅かに残っていた俺の正気を奪い去る。
「出し…たい…」
「バイブだけじゃ出ない?」
優しい口調で話しかけながらミアラシは俺をベッドに運ぶ。ゆっくりとシーツの上に下ろし、彼は暑くなった俺の額を撫でるように前髪をかきわけた。
「届か…ないんだ…足りない…」
「そっかそっか。辛かったな」
そう言うと彼はバイブをゆっくりと俺の中から引き抜く。ぽっかりと開いてしまったその穴に指先をするすると入れて、バイブでは届かなかった場所を的確に刺激してくる。



「今日クリフがやったこと覚えてる?俺に噛み付いて、肘鉄して、反抗して、黙れって言っても黙らなかったよな。そんなことしなかったら、俺は今日みたいなことはしないんだぜ?」
バイブよりも気持ちいいが、指では一番奥までは届かない。
「謝る…全部謝るっ…だから指はっもうやめて…早くっ」
「欲しいんだ?」
ミアラシはちょっと笑って服を脱ぎ始める。
「じゃあ俺に尻を上げて見せてよ」
頭のどこかで「そんなこと誰が」と反抗する自分がよぎった気がした、しかし体は従順にミアラシに向かって尻を突き出し奴を求める。
「いい子」
後ろからミアラシが被さる。いつの間に大きくなっていたのか、穴に覚えのある硬さのものが当たる。
「うっ…ふあ…」
バイブよりも一回り以上大きいそれは昼と同じようにゆっくりと腹の中を押し開いて入ってくる。途中まで入ったのを確認してから、ミアラシは俺の腰を力強く掴む。
「じゃあお待ちかねのといこうか」
一気に腰を引いてから力強く押し上げる。一気に根元まで中が開かれ、身体がガクガクと震えるほどの快楽が走る。
さっきまで溜め込んでいたものが押し込まれた衝撃でダラダラと垂れ流すように情けなく溢れ出す。ベッドに落ちる白い液体を手ですくい、ミアラシは笑った。
「1回で出るほど気持ちよかった?まだイきたい?」
「あ…うう…まだ…まだ足りな…あ…」
確かに大きな快楽に襲われた感覚はあったが、まだ昼間のような絶頂には及ばなかったというのにとめどなくじわじわと溢れてしまう白い液体が細く長い快楽を与え続けているようだった。
それでも穴の奥深くはまだ物足りないと言わんばかりに疼き、自身ですら入口をひくひくと痙攣させているのを感じた。
「ホントだ、まだ欲しいって」
ひくつく入り口をミアラシが指でなぞる。指先の動きに合わせて意図としない小さな声が漏れる。
「じゃあ、もうちょい頑張るからお前ケツ下ろしていいよ。腕縛られたままで肩痛いだろ」
俺の後ろ手に縛っていたリードを解き、ミアラシは俺をうつ伏せに寝かせる。ぼんやりとした頭で言われるままの態勢になると、ミアラシは俺の上に跨るように姿勢を変えた。
上から叩きつけるように腰が下ろされる。先ほどよりも早くて力強い。何度もそれを繰り返し、奥へ押し込まれるたびに前の方から出てしまう。
「あう゛っ…奥…苦しっ…うっ」
近くにある枕を引き寄せ、顔を埋める。激しく押されるたびに強い快楽と内臓を掻き回されるような感覚で息が苦しい。入れられているものが大きいからから、引き抜かれるときも中身が裏返ってしまうんじゃないかと錯覚してしまう。
「激しくして欲しかったんじゃないの?」
頭上から少し困ったような笑い声が降る。俺の言葉に合わせて中を押し上げる力が弱くなった。
「う…やめ…やめるな…」
「どっちだし」
自分でも矛盾してる要望だと思う。ミアラシはまた笑って、さっきと同じように力強く腰を打ち付け始める。
自分でも聞いたことがないような喘ぎ声を上げながら顔を埋めた枕を抱きしめる。わずかに残った羞恥心で声を枕で消そうとするが、自制の効かない大きな声は完全には消えてくれない。
しばらく俺の上で腰を振っていたミアラシが突然、中に入れていたものを全て引き抜いて俺の隣に座った。
「はー、気持ちいいけど疲れた!今日1日中腰振ってる気がする!」
正直まだまだ出したりない。肩で息をしながら涙と乱れた髪でぐしゃぐしゃの顔でミアラシを見上げると彼と目が合う。
彼もまた息が上がっているのか肩で息をしていたが、俺の顔を見て少し笑う。
「まだ足りない感じだ?」
俺の顔にはりついた髪を指先でかきわける。
「クリフが上になるならまだいけるけど、どうする?」
「うえ…?」
「騎乗位って知らね?入れられてる方が上に乗るやつ」
おいでと彼は自分の太ももを手で示す。
少し重たい体をふらふらと起こし、言われるままにミアラシの太ももの辺りまで膝を使って移動する。
「俺の上にまたがって穴に俺のやつ入れて?それでクリフが気持ちいいように動いたらいい」
おずおずとミアラシの上に跨ると、彼は自分のものを勃たせて俺の穴に当てた。
「腰おろして」
恐る恐る腰を下ろすとズブ…と微かな音を立てて簡単に彼を奥まで飲み込む。
「すげえ簡単に入るようになったな」
根元まで受け入れて座る俺の姿に、少し驚いたように目を開いたが、口の端を上げて悪そうな笑顔を作った。
「そしたら腰を上下に動かす。こんな感じ」
俺の腰を持ち上げると、ミアラシは同じくらいの速さで下に下ろさせる。
「うあっ…うっ」
快感に腰が立たず体を前に屈ませるとミアラシは「へたるな」と屈んだ上体を押し返す。
「はい、じゃあ自分でやってみ。手伝うから」
何とか足に力を入れゆっくり腰を持ち上げ落とす。
段々と快楽に従い速度をあげる頃にはいつの間にかミアラシの手はただ腰にそれられただけになっていたらしい。
「自分の力でも出るくらい気持ちよくなってきた?」
いつの間にかミアラシの腹の上に出ていた白い液体を、彼は指ですくって俺の腹になすりつける。
慣れない動きの連続で俺の太ももが震えているのに気付いたのか、ミアラシは突然俺をまたベッドに押し倒すと正面から上に被さった。
「大分クリフも疲れたっしょ。満足した?」
彼の言うように先程にくらべだいぶ頭が冴えるとともに、僅かに正常な思考が帰ってくる。
「ふうっ…く…」
思い出したかのように今度は屈辱的な涙がこぼれる。
「どうした?こんなに楽しんでおいて、そんな悲しそうに泣くなよ」
俺の足を肩にかけ、ミアラシは上体を倒す。彼の顔が息が触れるほどに近付く。それとどうじにまたより奥へと中に入ったものが押し込まれていくのが分かった。
「じゃあ、お互い疲れたとこだし、これでおしまいにするか」
ミアラシが俺の肩に顔を埋めると、彼の肩にひっかかった俺の足が持ち上がって下半身がめくりあがる。そこにミアラシはまた力強く腰を打ち付けた。
態勢のせいか今までより奥に入ってくるのが分かる。
こちらから彼の表情は見えず感情はまるで読み取れない。
様々な屈辱を現在進行形で与えられ憎くて仕方がない相手にこんなに密着されるのは胸糞悪かった。
だというのに腰をうちつけ奥を突き上げられる度に漏れる声や耳元で聞こえるあいつの息遣いが、妙な錯覚を起こさせる。
気づけばミアラシの両腕に絡めるようにしがみつき、受け入れるように自ら腰を浮かせていた。
「はあ…っ、出すよ…」
耳元で珍しくミアラシが余裕のない声を出す。
「や、やめろ…!」
「…っは、もう遅いって…」
息に混ざるくらい小さく笑うと、彼は一際強く奥へと押し込む。中でそれがビクビクと動き、中に温かいものが注がれたのが分かった。
「う…うえ゛っ…」
腹の中でドロドロとしたものが流れる感覚に思わず嘔吐く。
ゆっくりとものが引き抜かれる感覚に足や腰がビクビクと震えた。
「嘔吐かなくたっていいじゃん、お前の要望に答えただけなのにさ」
ベッドのヘッドボードに置いてあるティッシュを数枚乱暴に箱から引き抜くと、ミアラシは自分のものを拭き、パンツを拾って履く。
「さっきの言葉通り反省した?それともでまかせ?」
続いてズボンに足を通しながらミアラシは尋ねる。
「あんなの…卑怯だろ、あんなの俺じゃない…」
仰向けで横たわったまま両腕を顔の前に交差して顔を隠す。
腹の中は気持ち悪いし塞ぐものを失った穴は締まりきっていないのか風通しをかんじるが、動く気力は残っていなかった。
「まあ、そう言うとは思ってた」
ミアラシは静かに呟く。表情はわからなかった。
「じゃ、風邪ひくなよ。また明日も来るから」
ベッドの掛け布団を俺に被せると、ミアラシは脱いだ上半身の服を持って部屋の外へと出て行った。
期待はしていなかったが、鍵が閉まる音がする。
ピクリとも動かないまま俺は瞼を落としそのまま眠りについた。
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