目を合わせないでキスをして。

第1話

「ほら、早く入れ！」

乱暴に投げれ入れられたのは小さな牢屋の中だった。
中には数名、同じく連れてこられた人達がいた。
こうなったのには理由があって…

ーー

俺の名前はジュネ。17歳。うさぎの獣人だ。
この世界では、獣人と呼ばれる種族と人という種族に分かれている。
その中でも、アルファ、オメガ、ベータに分かれていて、
俺はオメガと呼ばれる部類に入っている。

「はぁ…毎度、薬飲むのは面倒臭いなぁ」

「何言うとんの。それ飲まんで襲われても知らんよ。」

「こんなド田舎で襲われるかいな」

「そなん言わんではよ飲み。」

「分かった～。これも都会に行ったら注射で数ヶ月は抑えれるんやろ？」

「都会やったらねぇ…。」

「はよ都会行きたいなぁ。」

「さて、朝ごはんも食べ終わったし、畑の仕事手伝って。」

「は～い。」
 
母さんはオメガで俺と一緒だから凄い気にかけてくれるんだけど
口煩く言われるとベータが良かったなぁ…ってつくづく思う。

「ジュネ、今日のお昼ご飯、何がええ？」

「んー、俺オムライスがいい！」

「ほな、離れにある鳥小屋から卵取ってきて」

「はーい。」

ーー

「おはよ、鳥くん達ー。今日の分の卵貰いに来たよ」

離れには牛も鳥も飼っている。田舎だから土地も安いし、何より父さんが
じいちゃんから農家を継いだのもあって俺たち家族は広大な敷地を持っている。

「よし！こんなもんかなぁ。また小屋広げて鶏追加しないとな。」



ここから俺の記憶は途絶えている。
気を失う前に見たのは……。