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92 あなたを見ているとすごく気分が悪い
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すみません!婚約者は彼女の親友と婚約→婚約者は彼の幼なじみと婚約、に一部変更しました!(5/19現在)
***
初めて『彼』を両親から紹介された時、どんな人だろうってわくわくしたけど、意地悪な人だったらどうしようという不安も同じくらいあった。
だけど、実際『彼』に会ってみたら、とても優しくて、私はすぐに『彼』のことが大好きになった。
私がどんなワガママを言っても、『彼』は笑顔でそれを叶えてくれた。『彼』に私の全部が許されているような気がして──私はその優しい時間が好きだった。
『ねえ、わたしのこと、好き?』
幼い子どもの無垢な問いかけに、『彼』は一瞬驚いたように目を瞬いた。
しかしすぐに口元を綻ばせると、「ああ」と頷いてくれた。
だから勘違いしたの。『彼』も私と同じ気持ちなんだって。……違うのにね。
『彼』は私が自分の家を資金援助してくれる家の娘だから頷いてくれたのに。
ただそれだけ。深い意味なんて一切ない。
それでも良いと1度は納得したはずなのに、いつか私の家が没落して、資金不足になったら、どうなるんだろうって思ったら、不安で心臓が強く締め付けられた。
何の価値もない、ただの女の子になった私でも、『彼』は頷いてくれるのだろうか。いいえ、きっと頷いてくれないわ。そう思うと、無性に泣きたくなった。
だけど、そのことに気付くのにそんなに時間はかからなかったの。
***
「しのちゃん!」
教室を出てすぐ名前を呼ばれ振り返ると、予想通り、肩よりも少し長いウェーブのかかった髪の少女がいた。顔を真っ赤にして何やら興奮冷めやらぬ様子だ。
「あいり、どうしたの?」
「聞いたよ! しのちゃん、前野先輩にバレンタイン渡したって!」
ああ、そのことか、と先週の金曜日の出来事を思い出す。今日はまだ月曜日だというのに、隣のクラスにまで届いているなんて、予想より遥かに情報が速い。とはいえ、これは私にとって好都合だった。
「そうよ。あ、もちろん本命ね。私この前のウィンターパーティーで踊って頂いた時、前野さんに一目惚れしてね、先日ついに告白してみたの」
「え~~~! それで返事は何て何て!?」
「ふふ、今待っている所よ」
「わあ~~……それはドキドキしちゃうね~」
そんなふうに話に花を咲かせていたら、「あいり」と半ばで割り込んできた声に遮られた。声の主は少し離れた所にいた。
「イッくん!」
「時間いいのか? 今日急ぐんだろ」
「ああ、そうだった! ごめんね、しのちゃん……また明日話聞かせて!」
「いいよ、別に。私の話なんていつだって」
本当にごめんねと申し訳なさそうに謝りながら、あいりはイツキと一緒に急いで帰っていった。
……イツキ、久しぶりに近くで見たなあ。まあ、私がしばらく近づかないでって言ったんだけど。
何だか少しやつれた? 心配だわ……って、私にはもう彼を心配していい権利なんてないんだけど。
……また、言えなかったなぁ。今度こそ言おうって決めたのに。
『私は前野さんのことが好きだから、あなたは気にせずイツキと婚約していいのよ』って。
ウィンターパーティー以降、何度も言おう言おうと思っているのに、どうしてだか私はそれを彼女になかなか言えずにいる。
はあ……っと、自分の情けなさに思わずため息がこぼれてしまう。
2人が一緒にいる光景を見るのは、ウィンターパーティー以来だろうか。
何度思い出しても、2人が踊っているあの光景は衝撃的で、でも泣きたくなるくらいには想像通りで、お似合いの2人は、幸せそうだった。
──これでいいの。これで今まで通りでいられる。婚約者から友人に、少し関係が変わるだけ。
「今の方が、あなたの婚約者?」
いつから見ていたのだろうか。気がつけば、ツインテールのよく似合う少しだけ幼い顔立ちの可愛らしい少女が背後に立っていた。そんな彼女に、私は「いいえ」と否定する。
「『元』婚約者ですよ。今はもう婚約者じゃないんです」
「……そう。じゃあ、一緒にいた子が彼の新しい婚約者ね」
そこまで彼女が知っていることに驚く。どこまで知られているのだろうか。
「……聞いたわ、あなたのこと」
その一言だけで、私は彼女が何を言いたいのか理解した。
「そうですか」
なるべく感情的にならないように、淡々と返した。
「すべて知っているんですね。……場所を移しませんか?」
***
クラスメイトから聞かされた彼女の話。家の事業が失敗、婚約者との婚約解消、その婚約者は彼の幼なじみと婚約。それだけで、だいたいの事情が察せられた。
「それで、ご用件はなんですか? 何か私に用があったから、わざわざ階の違う私のクラスまでいらしたんですよね?」
彼女──篠原さんが言うように、わたくしは彼女に話があった。そのためにわざわざ個室のサロンにまで来てもらった。
「あ、あのね、……シローのこと、利用しているのなら、やめてほしいの!」
「……は?」
「あなた、ご実家の事業が失敗して転校させられそうなのよね? それが嫌だからシローに迫って婚約したいとかならやめてほしいの!」
「なるほど。それは思いつきませんでしたわ。……確かにおっしゃる通りですね。前野さんって国内有数の玩具メーカー会長を祖父に持つ方ですものね……ますます前野さんと婚約したくなりましたわ」
クスクスと笑う彼女は必死なわたくしを馬鹿にしているように見えて、わたくしはついカッとなって余計なことを言ってしまう。
「お家のことは残念だと思うし、婚約者との件も同情はするわ。……でも、あなたが今すべきことは、シローとの仲を深めることではなくて、『元』婚約者の方との関係を修復することではないの? あなただって、まだ『元』婚約者の方のことが──」
「あはは、ははっ、……本っ当……お目出度い人ですね、綾小路さんは。私がまだ彼に未練があるとでも思っているんですか? ご心配ありがとうございます。──でも、違いますから」
さっきみたいに口元は笑っているのに、その瞳はまったく笑っていなかった。
「……はあ、別に私は、あなたが私の邪魔さえなさらなければ、とやかく言うつもりはなかったんですけどね……気が変わりました。──あなたを見ているとすごく気分が悪い」
「えっと……篠原さん? どうしたの? あなた、キャラ変わってないかしら?」
突然高笑いをし出したかと思えば、急にため息をついてわたくしに毒づく目の前の少女と、モジモジしながらわたくしとシローの関係を尋ねてきた少女が全く結びつかない……! 本当に、この子はあの後輩ちゃんなの!?
「いいえ、元から私はこういう性格ですよ。というか、むしろこっちが本当の私。今まで猫を被っていただけ」
髪型が雅ちゃんに似ているからか、彼女も女性らしいまるみのある性格かと思い込んでいた。実際、さっきまではそうだったと思う。
彼女の言葉を使って言うならば、篠原さんは猫を被ることが上手なのだろう。
話し方、目付き、表情。どれも別人みたいだ。驚きすぎてわたくしは声も出ない。
「私が彼の幼なじみから婚約者を奪われたとでも聞きましたか? それとも、彼に手酷く振られてしまったとか?」
図星だった。彼の幼なじみに婚約者を奪われたとわたくしはクラスメイトから聞いていた。
「私達のことに関しては様々な憶測や噂が飛び交っているので、あなたがどれを聞いたのか知りませんが、──どれも間違っています」
***
初めて『彼』を両親から紹介された時、どんな人だろうってわくわくしたけど、意地悪な人だったらどうしようという不安も同じくらいあった。
だけど、実際『彼』に会ってみたら、とても優しくて、私はすぐに『彼』のことが大好きになった。
私がどんなワガママを言っても、『彼』は笑顔でそれを叶えてくれた。『彼』に私の全部が許されているような気がして──私はその優しい時間が好きだった。
『ねえ、わたしのこと、好き?』
幼い子どもの無垢な問いかけに、『彼』は一瞬驚いたように目を瞬いた。
しかしすぐに口元を綻ばせると、「ああ」と頷いてくれた。
だから勘違いしたの。『彼』も私と同じ気持ちなんだって。……違うのにね。
『彼』は私が自分の家を資金援助してくれる家の娘だから頷いてくれたのに。
ただそれだけ。深い意味なんて一切ない。
それでも良いと1度は納得したはずなのに、いつか私の家が没落して、資金不足になったら、どうなるんだろうって思ったら、不安で心臓が強く締め付けられた。
何の価値もない、ただの女の子になった私でも、『彼』は頷いてくれるのだろうか。いいえ、きっと頷いてくれないわ。そう思うと、無性に泣きたくなった。
だけど、そのことに気付くのにそんなに時間はかからなかったの。
***
「しのちゃん!」
教室を出てすぐ名前を呼ばれ振り返ると、予想通り、肩よりも少し長いウェーブのかかった髪の少女がいた。顔を真っ赤にして何やら興奮冷めやらぬ様子だ。
「あいり、どうしたの?」
「聞いたよ! しのちゃん、前野先輩にバレンタイン渡したって!」
ああ、そのことか、と先週の金曜日の出来事を思い出す。今日はまだ月曜日だというのに、隣のクラスにまで届いているなんて、予想より遥かに情報が速い。とはいえ、これは私にとって好都合だった。
「そうよ。あ、もちろん本命ね。私この前のウィンターパーティーで踊って頂いた時、前野さんに一目惚れしてね、先日ついに告白してみたの」
「え~~~! それで返事は何て何て!?」
「ふふ、今待っている所よ」
「わあ~~……それはドキドキしちゃうね~」
そんなふうに話に花を咲かせていたら、「あいり」と半ばで割り込んできた声に遮られた。声の主は少し離れた所にいた。
「イッくん!」
「時間いいのか? 今日急ぐんだろ」
「ああ、そうだった! ごめんね、しのちゃん……また明日話聞かせて!」
「いいよ、別に。私の話なんていつだって」
本当にごめんねと申し訳なさそうに謝りながら、あいりはイツキと一緒に急いで帰っていった。
……イツキ、久しぶりに近くで見たなあ。まあ、私がしばらく近づかないでって言ったんだけど。
何だか少しやつれた? 心配だわ……って、私にはもう彼を心配していい権利なんてないんだけど。
……また、言えなかったなぁ。今度こそ言おうって決めたのに。
『私は前野さんのことが好きだから、あなたは気にせずイツキと婚約していいのよ』って。
ウィンターパーティー以降、何度も言おう言おうと思っているのに、どうしてだか私はそれを彼女になかなか言えずにいる。
はあ……っと、自分の情けなさに思わずため息がこぼれてしまう。
2人が一緒にいる光景を見るのは、ウィンターパーティー以来だろうか。
何度思い出しても、2人が踊っているあの光景は衝撃的で、でも泣きたくなるくらいには想像通りで、お似合いの2人は、幸せそうだった。
──これでいいの。これで今まで通りでいられる。婚約者から友人に、少し関係が変わるだけ。
「今の方が、あなたの婚約者?」
いつから見ていたのだろうか。気がつけば、ツインテールのよく似合う少しだけ幼い顔立ちの可愛らしい少女が背後に立っていた。そんな彼女に、私は「いいえ」と否定する。
「『元』婚約者ですよ。今はもう婚約者じゃないんです」
「……そう。じゃあ、一緒にいた子が彼の新しい婚約者ね」
そこまで彼女が知っていることに驚く。どこまで知られているのだろうか。
「……聞いたわ、あなたのこと」
その一言だけで、私は彼女が何を言いたいのか理解した。
「そうですか」
なるべく感情的にならないように、淡々と返した。
「すべて知っているんですね。……場所を移しませんか?」
***
クラスメイトから聞かされた彼女の話。家の事業が失敗、婚約者との婚約解消、その婚約者は彼の幼なじみと婚約。それだけで、だいたいの事情が察せられた。
「それで、ご用件はなんですか? 何か私に用があったから、わざわざ階の違う私のクラスまでいらしたんですよね?」
彼女──篠原さんが言うように、わたくしは彼女に話があった。そのためにわざわざ個室のサロンにまで来てもらった。
「あ、あのね、……シローのこと、利用しているのなら、やめてほしいの!」
「……は?」
「あなた、ご実家の事業が失敗して転校させられそうなのよね? それが嫌だからシローに迫って婚約したいとかならやめてほしいの!」
「なるほど。それは思いつきませんでしたわ。……確かにおっしゃる通りですね。前野さんって国内有数の玩具メーカー会長を祖父に持つ方ですものね……ますます前野さんと婚約したくなりましたわ」
クスクスと笑う彼女は必死なわたくしを馬鹿にしているように見えて、わたくしはついカッとなって余計なことを言ってしまう。
「お家のことは残念だと思うし、婚約者との件も同情はするわ。……でも、あなたが今すべきことは、シローとの仲を深めることではなくて、『元』婚約者の方との関係を修復することではないの? あなただって、まだ『元』婚約者の方のことが──」
「あはは、ははっ、……本っ当……お目出度い人ですね、綾小路さんは。私がまだ彼に未練があるとでも思っているんですか? ご心配ありがとうございます。──でも、違いますから」
さっきみたいに口元は笑っているのに、その瞳はまったく笑っていなかった。
「……はあ、別に私は、あなたが私の邪魔さえなさらなければ、とやかく言うつもりはなかったんですけどね……気が変わりました。──あなたを見ているとすごく気分が悪い」
「えっと……篠原さん? どうしたの? あなた、キャラ変わってないかしら?」
突然高笑いをし出したかと思えば、急にため息をついてわたくしに毒づく目の前の少女と、モジモジしながらわたくしとシローの関係を尋ねてきた少女が全く結びつかない……! 本当に、この子はあの後輩ちゃんなの!?
「いいえ、元から私はこういう性格ですよ。というか、むしろこっちが本当の私。今まで猫を被っていただけ」
髪型が雅ちゃんに似ているからか、彼女も女性らしいまるみのある性格かと思い込んでいた。実際、さっきまではそうだったと思う。
彼女の言葉を使って言うならば、篠原さんは猫を被ることが上手なのだろう。
話し方、目付き、表情。どれも別人みたいだ。驚きすぎてわたくしは声も出ない。
「私が彼の幼なじみから婚約者を奪われたとでも聞きましたか? それとも、彼に手酷く振られてしまったとか?」
図星だった。彼の幼なじみに婚約者を奪われたとわたくしはクラスメイトから聞いていた。
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