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76 ああ、きっともう君とこんな風に関わることなんてないだろう
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今年は彼女が参加する予定のパーティーにはできる限り参加した。情報源はもちろん妹の瑠璃だ。そのおかげで今回のパーティーでも彼女に会うことができたんだけど……。
僕が声をかけてから、明らかに立花雅さんの表情が暗い。人の気持ちを上手く汲み取れない僕でもわかる。多分、僕が何かしてしまったんだろう。
やっぱり一応婚約者候補の立花雅さんに他の令嬢の話をするのは、デリカシー的に問題があった? 不快にさせた?
それとも、シローくんのアドバイスは綾小路さん専用のもので、彼女に響かないどころか嫌われてしまった?
……ダメだ。どっちも正解な気がする……。
とりあえず、沈黙が辛くてダンスに誘ったけど、踊っている今もあまり会話が弾まない。
僕ばかり質問をし、彼女がそれに淡々と答える。
僕ばかり浮かれて、彼女は僕にまるで関心を示さない。
ふふ、なんだが初めて会った時を思い出すなあ。
『よくわかりましたわ。やっぱり、わたくしはあなたと婚約をしなくて良かったということが』
彼女のこの発言で初めて、僕は先程から彼女が、静かに、けれども全身で、僕を拒絶していたことに気がついたんだっけ。
『謝って頂かなくて結構ですわ』
精一杯の謝罪も受けとってもらえず、結局妥協案としてダンスを踊ったんだよね。あの時、本当はまた断られるんじゃないかって内心ビクビクしてたんだ。そういう臆病なところ、変わらないなあ僕は。
あの時と違うのは踊っている最中、彼女がずっと上の空で退屈そうってことかな。
……僕とのダンスはそんなに退屈なんだろうか。こうしてまた立花雅さんと踊る時のために欠かさずダンスの練習をしていたし、彼女も色々な子息と踊っているからか去年よりフォローが上手い。以前よりずっと、互いに技術力も経験値も上がっているはずなのに。……どうしてそんなに浮かない顔をしているのだろうか。
いけない、とつい後ろ向きな考えになってしまう自分を奮い立たせ、何とか話題を絞り出して会話を繋げる。これが彼女との最後のダンスになるかもしれないんだ。悲しい顔はしたくない。
「……あ、あの、……もし、僕がパートナーだったら、何色のドレスを着てくれましたか?」
「……わたくしと、一条くんがペアを……? 考えたこともありませんでした」
うっ……、そっか、考えたこともなかったか。傷を負いつつも「なら今考えてみてくれませんか」とお願いする。
「そうですね。一条くんなら、きっとシンデレラブルーのふんわりとしたドレスにしましたね」
「そう、ですか。……きっとよく似合ったでしょうね」
「まあ、似合うまでお兄様や赤也にドレス選びに付き合ってもらうので、きっと似合うと思います。2人ともとってもセンスがいいので」
「……ふふ、君らしい返答だね」
「……わたくし、もしかして貶されていますか?」
「いいえ、全然。そういう所が君の持ち味だなって思うし」
彼女が相変わらずのブラコンで僕は微笑ましくてクスクス笑ってしまった。僕と違って兄弟と仲が良さそうで羨ましいよ。……僕も妹とは仲が良いんだけどね。
曲が終わると同時に視界の端に誰かを探している様子の優さんが映った。おそらくその相手は今まで僕と踊っていた彼女だろう。そして、彼女もそのことに気づいたのか「もう行かなくては……」と少しずつ僕から離れていく。
ああ、きっともう君とこんな風に関わることなんてないだろう。君が気にしなくても『彼女』がそれを許さない。淑やかな彼女は、きっと僕に不平不満なんて言わないだろうけど。心の中は決して穏やかじゃないはずだ。僕はもう薫子を泣かせたくはないんだ……。
君は僕なんかと関わらずに済むって知ったら、清々するかもしれないね。……僕は、……そうだね。君の前ではいつもの自分でいられないし、売り言葉に買い言葉で、気がつけば酷い言葉を言ってしまったりする自分が嫌になったりもするけれど、……寂しくないと言ったら嘘になるかもしれないね。だからせめて、最後くらいは言いたいんだ。ちゃんと素直な気持ちを伝えたいんだ。凄まじく鈍感な君にも理解してもらえるように。
***
「立花雅さん」
お兄様の元へ向かおうとするも、青葉に右手をつかまれ引き止められてしまう。……まただ。彼に触れられると、その箇所が熱を帯びるのだ。
「い、一条くん!? は、離してくださ──」
「さっきドレスが似合っているって言いましたが、それは優さんや赤也くんのセンスを褒めたかったわけではなくて……僕は、君が、君自身がとても素敵だと思ったんです。この会場にいる誰よりも。君が1番綺麗です」
それだけ言うと彼は掴んでいた手を解放してくれた。
「……最後に、言いたいことが言えてスッキリしました」
「最後……?」
「……何でもありません。では、僕はこれで。……さようなら、『立花雅』さん」
「……ええ、さようなら、一条くん」
違和感を覚える。奇妙な違和感だ。別におかしなことはない。基本的に笑顔のこの人は、私とは違った意味で表情の変化が乏しい。その彼の笑顔が何故か泣いている様に見えた。
『……さようなら、『立花雅』さん』
『さようなら、『一条青葉』くん』
それに、去り際の挨拶が初めて会ったあの時とオーバーラップして、まるでもう関わることはないと拒絶されたような感覚に陥る。いつもは「では、また」という彼が、今日だけ「さようなら」なんて言うから、まるで永遠の別れみたいだなんて思っちゃった。
……でも、多分、気のせいよね? きっと気にしすぎよ。さっき出会った頃のことを思い出していたから、きっとそのせいよ。
「雅! ここにいたんだ。探したよ……って、どうかした?」
「えっ、何でですか? べ、別に、何も……」
「だって、顔が真っ赤だよ」
確かめるように顔全体を両手で触れると、お兄様の言う通り顔が火照ってる気がする……。きちんと鏡でチェックしたわけじゃないからわからないけど、多分、今私顔真っ赤だ。
「雅のそんな顔初めて見た気がする。何だか妬けちゃうなあ。ねえ、そうさせたのは、さっき踊ってた内の誰か?」
「~~~~っ!! からかわないでくださいお兄様!!」
青葉は勝手にスッキリしたって満足気に立ち去っていったけど。こっちは聞きたかったこと、何ひとつ聞けなかった。
──あなたからのお誘いを断る稀有な令嬢はどなたですか?
──あなたと婚約を望んでいる令嬢はどなたですか? あなたは、その方と婚約するんですか? その方のことが……好きなんですか?
また今度会った時にでも聞けばいいと、この時の私は軽く考えていた。
***
鈍感な彼女にも分かるようにストレートに綺麗だと言うと、彼女は耳まで真っ赤にしてフリーズした。綺麗だなんて、その容姿から言われ慣れてるだろうに。まるで初めて言われたみたいに初な反応に、こっちまで気恥しくなってくる。
……最後に君のそんな顔が見れて嬉しかったよ。さようなら、立花雅さん。
ねえ、立花雅さん。笑ってしまうね。こんなにも価値観の合わない僕らだけど、君といる時はみんなが求める完璧な『一条青葉』じゃなくて、ありのままの臆病で意気地のない自分でいられる気がして嫌いじゃなかったんだ。
それに、可愛い女の子がこんなにも僕を……僕なんかを慕ってくれるんだ。それに応えてあげたいと思うのは、男として当然のことだろう?
そう自分に言い聞かせながら、僕はこっそりとシンデレラブルーのドレスを身に纏うとある深窓の令嬢の姿を思い描いた。──想像の中の彼女はすごくそのドレスがすごく似合っていて、僕に向けるその笑顔に、何故だか少し泣きたくなった。
僕が声をかけてから、明らかに立花雅さんの表情が暗い。人の気持ちを上手く汲み取れない僕でもわかる。多分、僕が何かしてしまったんだろう。
やっぱり一応婚約者候補の立花雅さんに他の令嬢の話をするのは、デリカシー的に問題があった? 不快にさせた?
それとも、シローくんのアドバイスは綾小路さん専用のもので、彼女に響かないどころか嫌われてしまった?
……ダメだ。どっちも正解な気がする……。
とりあえず、沈黙が辛くてダンスに誘ったけど、踊っている今もあまり会話が弾まない。
僕ばかり質問をし、彼女がそれに淡々と答える。
僕ばかり浮かれて、彼女は僕にまるで関心を示さない。
ふふ、なんだが初めて会った時を思い出すなあ。
『よくわかりましたわ。やっぱり、わたくしはあなたと婚約をしなくて良かったということが』
彼女のこの発言で初めて、僕は先程から彼女が、静かに、けれども全身で、僕を拒絶していたことに気がついたんだっけ。
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精一杯の謝罪も受けとってもらえず、結局妥協案としてダンスを踊ったんだよね。あの時、本当はまた断られるんじゃないかって内心ビクビクしてたんだ。そういう臆病なところ、変わらないなあ僕は。
あの時と違うのは踊っている最中、彼女がずっと上の空で退屈そうってことかな。
……僕とのダンスはそんなに退屈なんだろうか。こうしてまた立花雅さんと踊る時のために欠かさずダンスの練習をしていたし、彼女も色々な子息と踊っているからか去年よりフォローが上手い。以前よりずっと、互いに技術力も経験値も上がっているはずなのに。……どうしてそんなに浮かない顔をしているのだろうか。
いけない、とつい後ろ向きな考えになってしまう自分を奮い立たせ、何とか話題を絞り出して会話を繋げる。これが彼女との最後のダンスになるかもしれないんだ。悲しい顔はしたくない。
「……あ、あの、……もし、僕がパートナーだったら、何色のドレスを着てくれましたか?」
「……わたくしと、一条くんがペアを……? 考えたこともありませんでした」
うっ……、そっか、考えたこともなかったか。傷を負いつつも「なら今考えてみてくれませんか」とお願いする。
「そうですね。一条くんなら、きっとシンデレラブルーのふんわりとしたドレスにしましたね」
「そう、ですか。……きっとよく似合ったでしょうね」
「まあ、似合うまでお兄様や赤也にドレス選びに付き合ってもらうので、きっと似合うと思います。2人ともとってもセンスがいいので」
「……ふふ、君らしい返答だね」
「……わたくし、もしかして貶されていますか?」
「いいえ、全然。そういう所が君の持ち味だなって思うし」
彼女が相変わらずのブラコンで僕は微笑ましくてクスクス笑ってしまった。僕と違って兄弟と仲が良さそうで羨ましいよ。……僕も妹とは仲が良いんだけどね。
曲が終わると同時に視界の端に誰かを探している様子の優さんが映った。おそらくその相手は今まで僕と踊っていた彼女だろう。そして、彼女もそのことに気づいたのか「もう行かなくては……」と少しずつ僕から離れていく。
ああ、きっともう君とこんな風に関わることなんてないだろう。君が気にしなくても『彼女』がそれを許さない。淑やかな彼女は、きっと僕に不平不満なんて言わないだろうけど。心の中は決して穏やかじゃないはずだ。僕はもう薫子を泣かせたくはないんだ……。
君は僕なんかと関わらずに済むって知ったら、清々するかもしれないね。……僕は、……そうだね。君の前ではいつもの自分でいられないし、売り言葉に買い言葉で、気がつけば酷い言葉を言ってしまったりする自分が嫌になったりもするけれど、……寂しくないと言ったら嘘になるかもしれないね。だからせめて、最後くらいは言いたいんだ。ちゃんと素直な気持ちを伝えたいんだ。凄まじく鈍感な君にも理解してもらえるように。
***
「立花雅さん」
お兄様の元へ向かおうとするも、青葉に右手をつかまれ引き止められてしまう。……まただ。彼に触れられると、その箇所が熱を帯びるのだ。
「い、一条くん!? は、離してくださ──」
「さっきドレスが似合っているって言いましたが、それは優さんや赤也くんのセンスを褒めたかったわけではなくて……僕は、君が、君自身がとても素敵だと思ったんです。この会場にいる誰よりも。君が1番綺麗です」
それだけ言うと彼は掴んでいた手を解放してくれた。
「……最後に、言いたいことが言えてスッキリしました」
「最後……?」
「……何でもありません。では、僕はこれで。……さようなら、『立花雅』さん」
「……ええ、さようなら、一条くん」
違和感を覚える。奇妙な違和感だ。別におかしなことはない。基本的に笑顔のこの人は、私とは違った意味で表情の変化が乏しい。その彼の笑顔が何故か泣いている様に見えた。
『……さようなら、『立花雅』さん』
『さようなら、『一条青葉』くん』
それに、去り際の挨拶が初めて会ったあの時とオーバーラップして、まるでもう関わることはないと拒絶されたような感覚に陥る。いつもは「では、また」という彼が、今日だけ「さようなら」なんて言うから、まるで永遠の別れみたいだなんて思っちゃった。
……でも、多分、気のせいよね? きっと気にしすぎよ。さっき出会った頃のことを思い出していたから、きっとそのせいよ。
「雅! ここにいたんだ。探したよ……って、どうかした?」
「えっ、何でですか? べ、別に、何も……」
「だって、顔が真っ赤だよ」
確かめるように顔全体を両手で触れると、お兄様の言う通り顔が火照ってる気がする……。きちんと鏡でチェックしたわけじゃないからわからないけど、多分、今私顔真っ赤だ。
「雅のそんな顔初めて見た気がする。何だか妬けちゃうなあ。ねえ、そうさせたのは、さっき踊ってた内の誰か?」
「~~~~っ!! からかわないでくださいお兄様!!」
青葉は勝手にスッキリしたって満足気に立ち去っていったけど。こっちは聞きたかったこと、何ひとつ聞けなかった。
──あなたからのお誘いを断る稀有な令嬢はどなたですか?
──あなたと婚約を望んでいる令嬢はどなたですか? あなたは、その方と婚約するんですか? その方のことが……好きなんですか?
また今度会った時にでも聞けばいいと、この時の私は軽く考えていた。
***
鈍感な彼女にも分かるようにストレートに綺麗だと言うと、彼女は耳まで真っ赤にしてフリーズした。綺麗だなんて、その容姿から言われ慣れてるだろうに。まるで初めて言われたみたいに初な反応に、こっちまで気恥しくなってくる。
……最後に君のそんな顔が見れて嬉しかったよ。さようなら、立花雅さん。
ねえ、立花雅さん。笑ってしまうね。こんなにも価値観の合わない僕らだけど、君といる時はみんなが求める完璧な『一条青葉』じゃなくて、ありのままの臆病で意気地のない自分でいられる気がして嫌いじゃなかったんだ。
それに、可愛い女の子がこんなにも僕を……僕なんかを慕ってくれるんだ。それに応えてあげたいと思うのは、男として当然のことだろう?
そう自分に言い聞かせながら、僕はこっそりとシンデレラブルーのドレスを身に纏うとある深窓の令嬢の姿を思い描いた。──想像の中の彼女はすごくそのドレスがすごく似合っていて、僕に向けるその笑顔に、何故だか少し泣きたくなった。
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