香水のせいにすればいい

弓葉

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香りの設計図

香水斗の独立

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 もやもやした気持ちを抱えたまま、入浴剤は完成した。いつ、香水斗は独立するのだろう。そして、僕は将来このままでいいのだろうかと考える日々が続いていた。

「ふぅ……」

 久しぶりに帰る家。閉め切った家の中は暗く淀んだ匂いがした。まるで、今の僕のようだ。

「好きなことをして生きていくか……」

 なにかのCMで見た言葉を思い出す。それは憧れでもあったが、できっこないとも思っていた。そう簡単にできない。絶対、生活に苦労する。そんなことを予測しては足を踏み出せないでいる。特に夢もないけれど。

「もし、香水斗が独立したいって実行した時に僕はどうしたいんだろう……」

 香水斗が職場からいなくなることを想像した。藤さんに毎日お説教をされても、誰も助けてくれない。香水斗はいないし、自分一人で耐えなくてはならない。

「ああ、想像しただけでストレスで吐きそうになるな……」

 うぇ、と軽く嘔吐きながらイスに座ろうと靴を脱ぐ。足が疲れたと気づくまで、僕は玄関で立ち尽くしていた。
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