香水のせいにすればいい

弓葉

文字の大きさ
上 下
86 / 111
香りの設計図

人工気候室

しおりを挟む
 浴槽が綺麗になったところで、人口気候室に移動した。人口気候室とは人の体温を計測するサーモグラフィーが入っている。ここでは入浴剤温浴作用と自律神経、リラックス効果を検証するための部屋だ。

「啓明、舌を出して」

 香水斗が僕に体温計を向ける。開発部員自ら検証する必要があり、入浴時間十分の体温を測る必要があるのだが、今の僕の体温はいつも以上に熱いはず。検証の参考にならないだろう。

 あ、ーーと短く呟いた。

 僕は舌の体温を測りやすくするために舌を出す。

「んっ……?」

 舌の上には体温計ではなく香水斗の舌がある。なぜ、と言いたいのに唇で塞がれた。体温計ではなく、香水斗の舌に絡んだ。

 前に交わしたキスよりも激しいような気がする。そういえば僕は出してスッキリしたけど、香水斗は出せていない。もしかしたら、まだ昂っているのかもしれない。その証拠に香水斗の欲望が舌の動きに現れる。

 貪るようにうごめく舌に口のなかを執拗に辿られ、こめかみを叩く脈がだんだん強くなる。喘ぐように息継ぎをし、けれどまた塞がれ吐息まで奪われた。

「んっ……んぅ、ーーあっ」

 僕の身体を確かめるようにして香水斗の手が下ってくる。まだ僕はバスローブしか羽織っていない。香水斗の手が肌に伝わってくる。あきらかに快感を引き出す手つきでしごかれ、湿った息を吐いて弓なりにのけ反った。

「んあっ……」

 バランスを崩したのに倒れないのは、香水斗が僕の身体を支えてくれているからだろう。体格は香水斗のほうが上でたくましい。

「まだ出ちゃいそう?」

 香水斗は僕の陰茎を搾りとる手つきで扱きだす。容赦のない愛撫には逆らえず、僕は腰を突き出してしまった。

「わかんねぇけど、やってみれば」

 達したばかりでまだ身体に力が入らない。香水斗は僕の尻を左右に押し開いた。ひくつく後孔を観察しているのか、スースーと閉じていたなかが空気に触れている。見ているだけではなく、香水斗の息がかかっていた。

「ちょ、汚ねぇって!」

 唇にするキスよりも激しく吸いつかれた。感じたことのない感触に興奮してしまう。ここが性感帯と身体がわかっているのか、また陰茎が熱を帯びて反り返る。

 今度は強く抱きしめられ、香水斗の匂いで僕は射精する。僕は今でも香水斗のことを一途に追いかけ続けている。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

淫愛家族

箕田 悠
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

処理中です...