80 / 111
香りの設計図
入浴剤作りへ
しおりを挟む
温泉地探訪も終わり、会社の製品開発部へ戻ってきた。温泉に入るだけではなく、写真もいくつか許可をもらって撮ってきている。この写真はイメージとして使用する予定だ。ここからが、温泉の香りを再現するという戦いが始まる。
香水斗の周りにはフレグランスと呼ばれる無数の小瓶が並んでいる。フレグランスを入浴剤の香りの素材として、混ぜ合わせて香料を作るためだ。
たとえば、レモンとシトラールの香りはレモングラスから採取するらしい。こうして採取されるフレグランスの数は三百種類とも二千種類とも言われている。
「香水斗はすごいよな。僕はまだ半分ぐらいしか覚えられていないや」
アロマテラピー検定で多少の知識はついたものの、香水斗には及ばない。
「啓明なら香りで覚えたらいいんじゃないか? 英単語みたいに覚えたらいい。組み合わせたらどんな香りになるかとか」
たしかに、高校生の時に覚えた英単語帳には法則性が載っていたことを思い出す。
「それ、早く言ってくれたら試験楽だったのに……」
「香りも忘れることもあるからな」
香水斗は軽く受け流して、撮ってきた写真をパソコンの画面に映した。
「写真から香りを作るのも大変だけど、実際に土地を訪れたイメージで再現化するのも大変だぞ。香りで風景を描かなくちゃいけない」
香水斗は楕円形の個室に移動する。そこには三十から四十種類ある小瓶が置いてあった。様子を見る限り香水斗のなかで、方向性が決まっているようだ。香水斗はズラリ、と並ぶ小瓶の中から二、三個を手に取った。
「香水斗はもうどんな入浴剤にするのか決めてんの?」
「ああ、もう頭の中に設計図はできている」
香水斗は小瓶を開ける。小瓶を開けただけで、ふわりとカボスの柑橘系の匂いが漂ってきた。
香水斗の周りにはフレグランスと呼ばれる無数の小瓶が並んでいる。フレグランスを入浴剤の香りの素材として、混ぜ合わせて香料を作るためだ。
たとえば、レモンとシトラールの香りはレモングラスから採取するらしい。こうして採取されるフレグランスの数は三百種類とも二千種類とも言われている。
「香水斗はすごいよな。僕はまだ半分ぐらいしか覚えられていないや」
アロマテラピー検定で多少の知識はついたものの、香水斗には及ばない。
「啓明なら香りで覚えたらいいんじゃないか? 英単語みたいに覚えたらいい。組み合わせたらどんな香りになるかとか」
たしかに、高校生の時に覚えた英単語帳には法則性が載っていたことを思い出す。
「それ、早く言ってくれたら試験楽だったのに……」
「香りも忘れることもあるからな」
香水斗は軽く受け流して、撮ってきた写真をパソコンの画面に映した。
「写真から香りを作るのも大変だけど、実際に土地を訪れたイメージで再現化するのも大変だぞ。香りで風景を描かなくちゃいけない」
香水斗は楕円形の個室に移動する。そこには三十から四十種類ある小瓶が置いてあった。様子を見る限り香水斗のなかで、方向性が決まっているようだ。香水斗はズラリ、と並ぶ小瓶の中から二、三個を手に取った。
「香水斗はもうどんな入浴剤にするのか決めてんの?」
「ああ、もう頭の中に設計図はできている」
香水斗は小瓶を開ける。小瓶を開けただけで、ふわりとカボスの柑橘系の匂いが漂ってきた。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる