香水のせいにすればいい

香りで風景を描く

好き、という気持ちが香り出す

　好き、という気持ちが香り出す。

  この後に香水斗がお風呂に入ることも忘れて両手の指を陰茎に絡めた。ぐちゅぐちゅ、と上下にしごくが何かが足りなくてイけない。

「後ろもか……」

　僕は右手を尻に回す。後孔に指をいれて気持ちいいところを探した。左手で拙くなった動きでも右手からの快楽の方が強い。シャワーで濡れた前髪が目にかかった。

　どろり、と後孔から香水斗が吐き出した精液があふれてくる。精液が指に伝う感触さえも、香水斗の存在を感じてしまう。自分が出した精液と香水斗の精液のにおいが混じり合った。

　一度、射精してしまえば妙に落ち着いてくる。

「あれ……？」

　浴槽の窓を開けようとしたが、鍵がかかっているのか固くて開かない。窓をくまなく見ても、鍵らしきものはわからなかった。

　クン、と鼻で浴室のにおいを嗅ぐ。鼻は慣れてしまったのか、青臭いにおいは薄れているように感じた。

「換気扇、回しとけば大丈夫だろ」

　僕は窓を開けることを諦めて浴室を後にした。お腹を壊すから掻き出すことは知っているだろうし、まさか僕が自慰してるなんて見ていない限りはわからないだろう。