香水のせいにすればいい

弓葉

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香りで風景を描く

するわけないだろ

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 寝ぼけているのか、香水斗の手が僕の身体を弄ってくる。Tシャツをまくられ、乳首をキュッと捻り、首筋の匂いを嗅いでいる。

「ちょ……お前、起きてるだろっ……!」

 そう叫んでも香水斗の手はゆるむことなく、僕の身体を蹂躙していく。 

  人間の価値と資質に向けられることなく、自分自身を見られている。香水斗と身体を重ねることは、興奮もあり自分の心も見透かされているような感覚だった。

「香水斗っ……つぁ……」

 きゅう、と身体の奥底から欲望が目覚めてしまった。芯を持った陰茎は着替えたばかりのパンツをグイグイと押している。

「香水斗、頼むからっ……」

「お泊まりの時点でこうなること考えなかった?」

 香水斗は起き上がると、僕の真横に両手をついた。香水斗のYシャツははだけている。うっすらと、汗が滲んでいるように見えた。

「し、仕事だろっ……!」

 僕は犬のようにキャンっと鳴くような声を出す。自分でも情けない。

「啓明はまじめだなぁ……」

 香水斗が吐き出す息が唇に熱く吹きかかる。気づけば、香水斗と鼻先がふれあいそうな距離だった。

 奇妙な期待に息を飲みこんでしまう。は、と短く息を吐き出してから声を出した。

「な、なんだよ……香水斗はいつも出張中にこんなことをしていたのか?」

 そんな期待を香水斗に知られたくなくて、虚勢を張った。

「するわけないだろ」

 香水斗の目が細くなり据わる。やばい、どうやら僕は間違ったことを言ってしまったようだ。

 
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