46 / 111
金木犀前線
なにもないだろ
しおりを挟む
「抱きしめられたって、どういう意味だ?」
津幡さんの家からの帰り道、僕は香水斗に問い詰められていた。まだ明るく人目もあると言うのに、道ばたで僕は言い寄られている。家の塀を背にして香水斗に壁ドンされていた。
「え、いやその……僕に香水をつけた後、津幡さんが奥さんと重ねて抱きしめられただけ……だけど」
それ以上は何もされていない。だけど、どこかやましい気持ちがあった。バカ正直に言っても香水斗にはバレてしまう。それなら変に嘘をつくより言ってしまった方が楽だ。
「……ほう」
香水斗は納得がいっていない表情をする。
「で、でもさ、僕と香水斗は何もないだろ。会社の同僚じゃん」
あ、まずい。発言をシクってしまった。香水斗の顔がますます不機嫌になっていく。
「そうか、何もないか」
香水斗の眉間に皺が寄っていた。僕はこれ以上、香水斗の目を見ることができなくて目を逃げるように背けてしまう。
「ちょっとこい」
香水斗は僕の腕を引っ張ると引き摺るように連れて行く。香水斗が呼んでいたタクシーがタイミングよく止まり、乱暴に車内へ押し込まれた。
「いってぇな、香水斗! なにすんだよ」
いくら怒っているとはいえ、乱暴すぎる。僕は窓に頭をぶつけてしまった。
津幡さんの家からの帰り道、僕は香水斗に問い詰められていた。まだ明るく人目もあると言うのに、道ばたで僕は言い寄られている。家の塀を背にして香水斗に壁ドンされていた。
「え、いやその……僕に香水をつけた後、津幡さんが奥さんと重ねて抱きしめられただけ……だけど」
それ以上は何もされていない。だけど、どこかやましい気持ちがあった。バカ正直に言っても香水斗にはバレてしまう。それなら変に嘘をつくより言ってしまった方が楽だ。
「……ほう」
香水斗は納得がいっていない表情をする。
「で、でもさ、僕と香水斗は何もないだろ。会社の同僚じゃん」
あ、まずい。発言をシクってしまった。香水斗の顔がますます不機嫌になっていく。
「そうか、何もないか」
香水斗の眉間に皺が寄っていた。僕はこれ以上、香水斗の目を見ることができなくて目を逃げるように背けてしまう。
「ちょっとこい」
香水斗は僕の腕を引っ張ると引き摺るように連れて行く。香水斗が呼んでいたタクシーがタイミングよく止まり、乱暴に車内へ押し込まれた。
「いってぇな、香水斗! なにすんだよ」
いくら怒っているとはいえ、乱暴すぎる。僕は窓に頭をぶつけてしまった。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる