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金木犀前線
二人の関係
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「はぁ……津幡さんもいらっしゃるなら、いると連絡して下されば迎えに行きましたのに」
香水斗が僕の腰を引き寄せて、必然的に僕は香水斗に引っ付いた。白衣越しに感じる香水斗の筋肉が僕に当たり、伝わってくる体温にドキドキさせられる。
「午後ならともかく、午前中ならここにいると思ったんでね」
長年のつきあいだろうか? 香水斗の行動パターンを知っているみたいだ。津幡さんは物怖じしない態度で香水斗の前に立ち塞がった。
「まぁそうですけど」
香水斗は頭を掻く仕草をし、珍しく引き下がった。津幡さんと香水斗の関係はなんだろう? 二人の関係が気になって気になって仕方がない。
「とにかくここじゃなんですし、こちらへどうぞ。試作品はできています」
「うわっと……」
僕は腰を持ったまま誘導される。さっき『香水斗の残り香が移っている』と言われたことを思い出したのと、この体勢のまま移動するのが恥ずかしくてさすがに離れた。香水斗には、あからさまに嫌な顔をされたけど嫌なもんは嫌なんだ。
すると、背後からクスクスと笑い声が聞こえてくる。津幡さんの笑い声でさらに香水斗の機嫌が悪くなったような気がする。
エレベーターの中は香水斗のシトラスと金木犀の香りが反発しあい最悪だ。アロマティック部門がある七階フロアへと上昇している間、終始僕達は無言だった。
「どうぞ」
香水斗がエレベーターの開けるボタンを押し、津幡さんが先に降りる。僕はその後に続き香水斗が最後に降りた。
振り返れば、エレベーターのドアが閉まり、またどこかの階へ移動して行く。エレベーターに残った僕達の残り香は備え付けられた換気扇によって綺麗に無くなってしまうだろう。
「志野、何をしている。行くぞ」
「あ、うん」
さっきから香水斗は僕のことをいちいち気にかけすぎじゃないか? 僕は子どもじゃないんだし放っておいてほしい。
そんな香水斗の言動や行動に腹を立て始めると止まらなくて、むしゃくしゃし始める。前までそんなこと思わなかったし気づかなかった。だけど、意識をし始めるとどこまでも考え込んでしまう。やめたくても、やめ時が自分でも分からない。ただ、すごくこの気持ちがしんどいっていうのが分かる。
香水斗が僕の腰を引き寄せて、必然的に僕は香水斗に引っ付いた。白衣越しに感じる香水斗の筋肉が僕に当たり、伝わってくる体温にドキドキさせられる。
「午後ならともかく、午前中ならここにいると思ったんでね」
長年のつきあいだろうか? 香水斗の行動パターンを知っているみたいだ。津幡さんは物怖じしない態度で香水斗の前に立ち塞がった。
「まぁそうですけど」
香水斗は頭を掻く仕草をし、珍しく引き下がった。津幡さんと香水斗の関係はなんだろう? 二人の関係が気になって気になって仕方がない。
「とにかくここじゃなんですし、こちらへどうぞ。試作品はできています」
「うわっと……」
僕は腰を持ったまま誘導される。さっき『香水斗の残り香が移っている』と言われたことを思い出したのと、この体勢のまま移動するのが恥ずかしくてさすがに離れた。香水斗には、あからさまに嫌な顔をされたけど嫌なもんは嫌なんだ。
すると、背後からクスクスと笑い声が聞こえてくる。津幡さんの笑い声でさらに香水斗の機嫌が悪くなったような気がする。
エレベーターの中は香水斗のシトラスと金木犀の香りが反発しあい最悪だ。アロマティック部門がある七階フロアへと上昇している間、終始僕達は無言だった。
「どうぞ」
香水斗がエレベーターの開けるボタンを押し、津幡さんが先に降りる。僕はその後に続き香水斗が最後に降りた。
振り返れば、エレベーターのドアが閉まり、またどこかの階へ移動して行く。エレベーターに残った僕達の残り香は備え付けられた換気扇によって綺麗に無くなってしまうだろう。
「志野、何をしている。行くぞ」
「あ、うん」
さっきから香水斗は僕のことをいちいち気にかけすぎじゃないか? 僕は子どもじゃないんだし放っておいてほしい。
そんな香水斗の言動や行動に腹を立て始めると止まらなくて、むしゃくしゃし始める。前までそんなこと思わなかったし気づかなかった。だけど、意識をし始めるとどこまでも考え込んでしまう。やめたくても、やめ時が自分でも分からない。ただ、すごくこの気持ちがしんどいっていうのが分かる。
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