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金木犀前線
香水斗宛ての依頼
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***
「香水斗宛に何か届いたよ。送り主は……津幡史也さん」
受付で預かった大きなダンボールを抱えて調香場に入る。香水斗はダンボールを見た後にカレンダーを見て「ああ」と声をあげた。
「もうそんな時期か……一年って早いな。志野、開けといて」
香水斗は書類に夢中で手が離せないらしい。
「わかった」
口が閉じられたガムテープをカッターで切って箱を開けた。そこにはジップロックで圧縮されたオレンジ色の小さな花。見たことがない花だった。
「これって、何の花?」
袋を掲げて香水斗に見せる。
「え? 知らないのか?? 金木犀の花だ」
香水斗は驚いた顔で僕を見た。
「へぇ~これが金木犀の花なんだ。名前は聞いたことあったけど花を見たのは初めて……」
僕はジップロックに入った金木犀の花を見る。ほんのりと、箱から甘い匂いが漂ってきている気がした。
「マジかよ、そんなやつ日本にいたんだ」
「香水斗、一言多いよ。別に知らなくたって日常に支障は無いんだし、それに身近になかったんだ。あったのはイチョウの木」
通勤途中にある神社にあるのはイチョウの木。色は綺麗だが、毎年靴で踏んづけてしまう銀杏の刺激臭を思い出す。
「そうなのか? なら今度、小金井公園行くか。あそこの金木犀大きいし、タイミングが良かったら一面オレンジ色の絨毯が見れる」
「都内で見れるんだ……知らなかったな~」
一面、オレンジ色の絨毯か。見るのはイチョウの黄色だけだったから楽しみだ。
「意識してないから余計だな。津幡さんは昔からの付き合いで、毎年庭に生えてる金木犀の花を使って香水を作ってくれと依頼してくるんだ」
香水斗はなんてないことのことを言うが、営業してきた僕にはわかる。依頼をされるということがどれほど大変ということかを。
「香水斗宛に何か届いたよ。送り主は……津幡史也さん」
受付で預かった大きなダンボールを抱えて調香場に入る。香水斗はダンボールを見た後にカレンダーを見て「ああ」と声をあげた。
「もうそんな時期か……一年って早いな。志野、開けといて」
香水斗は書類に夢中で手が離せないらしい。
「わかった」
口が閉じられたガムテープをカッターで切って箱を開けた。そこにはジップロックで圧縮されたオレンジ色の小さな花。見たことがない花だった。
「これって、何の花?」
袋を掲げて香水斗に見せる。
「え? 知らないのか?? 金木犀の花だ」
香水斗は驚いた顔で僕を見た。
「へぇ~これが金木犀の花なんだ。名前は聞いたことあったけど花を見たのは初めて……」
僕はジップロックに入った金木犀の花を見る。ほんのりと、箱から甘い匂いが漂ってきている気がした。
「マジかよ、そんなやつ日本にいたんだ」
「香水斗、一言多いよ。別に知らなくたって日常に支障は無いんだし、それに身近になかったんだ。あったのはイチョウの木」
通勤途中にある神社にあるのはイチョウの木。色は綺麗だが、毎年靴で踏んづけてしまう銀杏の刺激臭を思い出す。
「そうなのか? なら今度、小金井公園行くか。あそこの金木犀大きいし、タイミングが良かったら一面オレンジ色の絨毯が見れる」
「都内で見れるんだ……知らなかったな~」
一面、オレンジ色の絨毯か。見るのはイチョウの黄色だけだったから楽しみだ。
「意識してないから余計だな。津幡さんは昔からの付き合いで、毎年庭に生えてる金木犀の花を使って香水を作ってくれと依頼してくるんだ」
香水斗はなんてないことのことを言うが、営業してきた僕にはわかる。依頼をされるということがどれほど大変ということかを。
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