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金木犀前線
季香(きこ)
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「一年中、咲くことのできない花を形にするって素敵だね」
すうっと花の形をした小瓶を嗅ぐ。それだけで心が満たされ幸せな気分になれた。脳裏には昔遊んだ近所の公園が思い浮かんでいる。そこには十メートル程の一本の金木犀が生えていた。その木は九月から十月にかけ秋を感じる頃に香りを放つ。
造語になるが、季節を感じさせる季語ならぬ季節の香水……季香と呼んでもいいかもしれない。
本物を感じるのは一瞬のような短い時間。だけど、その匂いを閉じ込めたのならどんなに素敵なことだろう。
小さくてかわいいオレンジの花を咲かせ、たった数日で枯れてしまう儚さが好きなんだ。
『既存のルールにハマらない』
……大好きだった、彼女の言葉。
すうっと花の形をした小瓶を嗅ぐ。それだけで心が満たされ幸せな気分になれた。脳裏には昔遊んだ近所の公園が思い浮かんでいる。そこには十メートル程の一本の金木犀が生えていた。その木は九月から十月にかけ秋を感じる頃に香りを放つ。
造語になるが、季節を感じさせる季語ならぬ季節の香水……季香と呼んでもいいかもしれない。
本物を感じるのは一瞬のような短い時間。だけど、その匂いを閉じ込めたのならどんなに素敵なことだろう。
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