香水のせいにすればいい

弓葉

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アロマテラピー検定

気持ちの先走り

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「と言っても試験は十一月四日。まだまだ先だから少しずつ勉強していけばいいから。焦らずな」

 香水斗は見惚れる動作でハーブティーを飲んだ。僕も同じようにアイスコーヒーを飲む。カチャリとソーサーの音が鳴ったと同時にアイスコーヒーの氷がカランとグラスにぶつかった。

「分かってるって今は八月だし、三ヶ月もあればいけるって」

 僕はスマホのカレンダーを見る。少しずつ勉強していけば覚えきれるだろう。暗記は得意なほうだ。

「そういう意味じゃないんだけどな」

 ふうっ……と溜息をつかれて少しだけイラッとした。

「え、どういう意味?」

「新しい部署に来たら誰だって早く仕事に慣れようとするけど、今の志野は気持ちが先走り過ぎてる。このままだと足元すくわれるぞ」

 僕は僕なりに頑張ろうと行動してるのに、どうしてそれに水を差そうとするのだろう。放っておいてくれ、と言いたいのにどこかで気持ちが先走っていると自覚しているのか言えなかった。







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