香水のせいにすればいい

香水の落とし方

香水の落とし方

　 香水斗は僕のスマホを受け取るとそのまま白衣のポケットに入れてしまった。

「あっ……」

　後で返してもらえるんだろうか？　と思ったのも束の間。また水が僕の顔にかけられる。だけどさっきよりかは温かくて、ぬるま湯だ。水をかけられるよりもマシだと思ってしまう僕は、もう手遅れなんだろうか？

「熱くないか？」

「え？」

　シャワーを止めて僕のシャツに手をかけたかと思えば、次の瞬間には全てのボタンがはじけ飛んで無残な姿になった。

「ええええ？！」

　狭い風呂場に反響する。香水斗はうるさそうに耳を塞いだ。

「な、なな何やってんだよ？！」

　シャツを引きちぎってしまう香水斗の筋力もすごいが、シャツを破る意味が理解できない。

「シャツが薄いから地肌にまで染みこんでるんだよ。洗うに決まってるだろう」

　香水斗の常識は僕の常識にはない。シャツを破ってまで洗う意味とは。

「あ、洗うって……」

「洗える箇所は石鹸を使って洗う。これ基本だろ」

　香水斗は備え付けのボディソープを手に付け僕の胸元を洗った。時々乳首に擦る指先が憎い。

「ちょっ……いいって、自分で洗えるから……」

　自分の胸に手を置くが、香水斗に押しやられてしまう。香水斗が乳首を入念に洗うと、妙な興奮がした。ただ身体を洗っているだけなのに、下半身が熱くなる。

「ダメだ、お前がやると手を抜くだろう」

「そんなこと……しない……っあ」

　反論しようとすれば、香水斗は僕の乳首をつまんだ。