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私は知らないニャ☆

第四十八話  対ガーディアンズ戦

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「気を付けろ。相手が仕掛けてくるぞ!」「はい!戦闘開始ですね!ってあれ味方じゃないんですか?!」

夢幻鐙戒神むげんとうかいしんは刀を構える、自身の行い一つで人質等、サナサナを危険に晒す可能性があるから。
シュジョウも最大限の警戒としてドラゴンとしての性質を最大限に露出。二足歩行である点と骨格程度しか人っぽさを保っていない。

「迅速に片付けてやらぁ!龍爪葬!鼓舞、天龍の舞笠!」「……」

飛び跳ね、両手の爪を回転させながら夢幻鐙戒神むげんとうかいしんへ攻撃を仕掛けるシュジョウ。
一方の夢幻鐙戒神むげんとうかいしんは無言で上段の構えを取り、シュジョウを軽く避け頭から打ち落とした。

「あっぶね、危うく首が消えるところだった。なんだこの強さは!カブラバーン人でもこんな動きはしていない」「シュジョウ!あれは片刃の剣です、その斬れ味は鋼鉄をも斬り裂くといわれています!」
「片刃、どうりで見たことのない構え方なのか。やり辛い、いや相性が悪い。振るわれた時にまたの武器はしなっていた。柔らかさと頑丈さ、それに斬れ味までついた未知の武器相手に我は爪だけだ……先の攻撃でその頼み綱も薄く斬られてな」

夢幻鐙戒神むげんとうかいしんは刀を鞘に納め脚を後ろに引く。シュジョウはよく分からずキョロキョロと辺りを見回す。

「シュジョウ!精一杯に地べたに着いて!」「あん?なにを」「いいから、もう!」

理解できないシュジョウの元へ駆け寄り無理やり頭を押さえ姿勢を低くする。
それと同時だろう、夢幻鐙戒神むげんとうかいしんの縮地居合が放たれたのは。横一閃に振られた透明の刃が2本の尻尾を宙へと浮かせる。

「いったぁぃ!我の尻尾が、容易く……我の鱗が」「嘆いてる暇はありませんよシュジョウ、相手はまた次の手に出ます」「とっ、ヘイティア。我を置いていけ」

よく見るとシュジョウは尻尾を失ったせいで上手くバランスを取れていない。四足歩行で威嚇姿勢をとるが、出血も多く明らかに戦闘できない。

「とりあえず回復します!聖職者スキル-完全回復」「っと、助かった……これで逃げる時間をしっかり稼げそうだ」「バカ言わないでください。私は回復させるのが仕事ですよ?それに相手の狙いは私では無いようですから」

立ち直ったシュジョウに鎧の隙間から覗く不気味な光を向ける夢幻鐙戒神むげんとうかいしん。その目は何を意味しているのか。

「はぁぁぁぁぁ!!!!」『……無・抜刀』「は?!喋れたのかこいつ!しかもさっきより速度が速いぞ」

機械音声のようなくぐもったような、音質の悪い昔のテレビの音のような声が技名を告げて洞窟の壁にさえ斬り後を残す。

「これはやりたくなかったが。ヘイティア、終わったら我の腕を切り落としてくれ。この技は危険すぎて己が身も滅ぼしてしまうからな」「何をするんですか」
「父様、そう上位種を倒すために作られた万物崩壊へと導く剣”封滅の剣ふうめつのつるぎ”。我はそれによって重傷を負わされた父様の遺伝を持つ。上位種はそれを取り込み次世代に抗体・武器として継承が可能だ」

シュジョウの爪が黒く変色し、ぼろぼろと魔力塵がこぼれ始める。その魔力塵でさえ地面に触れれば地面を腐食させていく。持続系の回復魔術を掛けているのでシュジョウの身自体に影響を及ぼすことはないが、それでもかなり危険な技なのは言うまでもない。

「耐えてくれよ。我が爪よ、その滅びを敵にも与えよ」『ソノ魔力、覚エアレバ、我警戒スルトコロ』「ようやく自我を出し始めたな!行くぞ龍爪葬・破滅の爪!」

夢幻鐙戒神むげんとうかいしんの刀が洞窟の薄明かりに刀身を隠す。襲いかかるシュジョウが、消えた刀身に危険を感じて後ろに大きく回避する。

「なんだ、何の魔力反応も感じれなかったぞ。あれはいったいどんな」「”日本刀”は長さを悟られないために刀身を隠せるようになっているんですよ」「なるほどあの武器は二ホントーというのか。構造的なもので魔術的ではない、ならば臆する必要はないか」

シュジョウが爪を構え走り始める。夢幻鐙戒神むげんとうかいしんが振りかざす斬撃を避けて、爪を鎧に掠らせるが左手に持っていた鞘で腹を付かれてこちらの方へ転がってくる。

「いった……」「大丈夫ですか?言っていたことはそうですけど、あの鎧の人の剣術は達人級です。先ほど尻尾を切られたときに気付きませんでしたか、鱗を簡単に断ち切るのは単に日本刀の切れ味だけではなく、本人の斬る技術が高いからと」

話している間に距離を詰めてくる夢幻鐙戒神むげんとうかいしん、鞘に剣をしまいまた足を一歩引く。空気の流れが鞘のほうに収縮されるのが毛で感じられる。

『名乗るのが遅れた。我が名は夢幻鐙戒神むげんとうかいしん、選定の子を守る守護者ガーディアンズだ。あそこで眠る我が信徒へ何用で来た』「けっ、喋れるんだったら最初から喋れよ。我はシュジョウ、(父様を直してもらうという)契約のためにそこのサナサナという人が必要だ」
『契約のため、それは横に連れているケモノの子も同じなのか?』「あぁぁそうだよ。(父様を直してもらう₎契約のために利用している」

夢幻鐙戒神むげんとうかいしんの雰囲気が変わる。一矢受けた鎧はだんだんと封滅の爪によって削れ始めているが、まだ優位さを保っている。なんならシュジョウのほうが臆している様子だ。

「ん?ガーディアンズってヘイティアたちがこんな危険なところにくる理由を作ったやつらか!」「いやーそうですけど、私に関しては望んだことなのでなんとも」『そこのケモノの子はそこの脅威と群れて何を成し遂げる?』「へ?あぁ私はサナサナ含む仲間を全員集める代わりに、シュジョウの父様を直すという契約をしただけですよ」『そうか、ならばそこにいる次世代の脅威を始末すればいいのだな?』「あ、これ両者とも話が通じない奴ですね」


呆れる私を他所ににらみ合いからの攻勢を仕掛ける同者、刀が爪をはじくたびに魔力塵がいろいろなところへと飛び散って危険だ。

「マジックシールド!!!サナサナの安全だけでも確保しないとね。というかそろそろ起きませんか?おーい」「ん?なによぉヘイティア、まだ寝かせて」
「寝ている場合じゃないですよ!ガーディアンズの一人、夢幻鐙戒神むげんとうかいしんが突然現れて私の友達と戦闘してるんですよ?!あの方はあなたの選定人でしょ!」「え?嘘。本当だわ。え?でもなんでここに
夢幻鐙戒神むげんとうかいしん様が」「知りませんが、このままだと洞窟も崩れるし死人もでるのでどうにかしないといけません」
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