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剣魔闘技祭9
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「今日は余興、その先に待つ対ウィルンズ王国がすべて」
追放者にならない為には と代うたれた本を片手にメェルアーは立ち上がる。
「かめいしょうきょに、ざいさんぼっしゅう。加盟群国内えいえんついほうを背負ってでも私がアラミシアをすくわないと」
多くの大人に止められ納得はしたが、それは戦争をルールを知らない子供だからと曲解。
「メェルアー選手、控え室から出てください。試合が始まりますよ」
「うん」
一年vs三年 二年vs四年 五年vs六年
七年、八年、九年はそれぞれの勝者とやる流れである。
「さぁ剣魔闘技祭の裏メインと言えるでしょう、ジャイアントキリングが出るかもしれない対上級生戦!」
メェルアーの相手は三年青組。
「第一戦目は、もう説明不要!メェルアー•オレンズ」
歓声が飛び交う。この戦いを待ち望んでいた人も多い、同学年以上の白熱した試合が見られるのだから。
「万年成績ビリから登り詰めたこの結果、三年青組カァーラブ•ムラスト!!」
名前は聞いていないがメェルアーは察した。
「なるほど、魔王軍の人間か」
「勇者ともなれば気付けるのか、まぁ知ったところでだがなぁ!!」
戦いの幕が上る。両者魔力を練り上げ、魔術式を構築。
「水の魔力よ、うねり呑み込め!」
「炎の魔力よ、我が力に呼応して敵を焼き尽くせ。エクス•フレア」
「流石と言ったところだな!だがだがだが、貴様に負けた屈辱を果たすまで今日は引かねぇぞ」
炎を喰らいながらニヤニヤとこちらへ迫るカァーラブ。
「なるほど、先生に入ってたやつ」
「だからお前のスペックは把握済みだ!!水の魔力よ、捻り潰せ!」
「短詠唱のオンパレードはこまる。闇の魔力よ、我が力に呼応して敵を呑み込め!」
水の魔力と闇の魔力がぶつかりあたり一面に衝撃が伝う。
「光の魔術よ、つらぬいて!スピア六連ちゃん!」
「あまい、あまいぞメェルアー•オレンズ」
スピアを簡単に叩き斬るカァーラブ、六連と嘘をつき放たれた七連目さえ簡単に切り裂いてしまう。
「コイツとは身体の相性が良くてなぁ、元の肉体の時よりも強いぜぇ」
「あっそ、無駄なお喋りしてる暇があるなら辞退したら?」
ストームを足に貼り付けて一気に詰めるメェルアー。
「勇者の力とやらは使わないのか?舐められたものだなっ!」
力の差は歴然で、軽く剣を払われる。
「はぁぁぁぁ!!光の魔術よ」
両手持ちから左手に切り替え、空いた右手に魔剣を生成。
「私の改変魔術、シャイン•フレア」
口から魔術を放ち目眩しをするメェルアー。
「ここっ!」
「目眩しごときで怯むと思ったか?あぁん?」
首を狙った二双は鞘で止められていた。
「殺すなって言われてたけどよ。やっぱ変更だわ、楽しくなってきたら止めランねぇじゃんかよ!」
「はやいっ、神速」
到底人間ではない速度を見せるカァーラブ。
強化魔術でようやく追い付ける速さ。
「魔銃……暗転の獄!」
剣を銃のように構え魔術を放つメェルアー。
闇の魔力が四方に散らばり視覚を奪っていく。
「魔銃まで覚えてるのか、人間の兵団クラスかぁ?」
「昨日突貫で覚えた。お前をここで屠るために」
メェルアーの展開する術式がカタカタと震え出す。
「闇の魔力よ、敵を刺し穿て」
視覚を奪われた中、カァーラブは見えているかのように避け続ける。
「(めをつぶせっていわれたけど)」
「どうした、こちらから行くぞ!メェルアー•オレンズ」
「身体強化!!!幻影、ライトニングソード!!」
鋭い突きを躱し、二重にかけた幻影で錯乱して、死角より攻撃。
「惜しかったな。一流の剣士ってのは見えなくても見えてんだよ」
「なるほど。勇者の力をさいだいげんだしても不足はないあいてってことだね」
「やれるもんならやってみろよ、血に塗られた悪魔の力をヨォ!」
「わたしがわたしでうつのは初めてだけど…"悪意ある全てを排斥せよ"」
羽が舞い、空から天使が降り立つ。
メェルアーを手で抱擁すると光が放たれ収束した。
「なら俺もやってやるよ。"我が慈しみを感じて死ね"」
カァーラブは禍々しい爪と目をこちらに向ける。
「光の魔術よ、我が力に呼応して敵を刺し穿て!」
「ぬるい」
メェルアーのライトニングスピアーが簡単に弾かれる。
「そのつめやっかい」
「毒爪!!どうした!避けてばっかりか?勇者ってのは卑怯モンの集まりだなぁ!!」
禍々しさと変な液体を撒き散らすカァーラブの爪。
「変な魔術相手につっこむことはおろかしい」
「随分と余裕ぶってくれるなぁ。闇の魔術よ!天蓋を覆え」
結界の内側にピッタリと張り付く黒いモヤ。
「そとへじょうほうはもらさないってこと?」
「かつての勇者が魔王様に行った100の蛮行を貴様の身に刻んでやるだけだ!!」
「今の私には関係がない。光の魔術よ、我が力に……なるほど、」
メェルアーの目の前にたくさんの子供が現れる。
一瞬の躊躇が魔術構築を崩壊させた。
「縛り上げろ、幻想鎖」
メェルアーの両手足に鎖が巻き付く。
「物体生成、しかもこのそくどで」
「配下は居ないもんなぁ。お前が身をもって体験しろ!!ダークランス!!」
「光の魔術よ!」
相殺時の爆風が辺りを覆う。若干の驚きを与えれたが、魔力の消費量的にかなり不利なことをアピールする結果に。
「ほぅやるな。さーて、次はこれだな」
棘の付いた棍棒を軽快に回すカァーラブ。
「俺の同胞、四天王の1人はかなり屈辱的な殺された方をしたんだ。半殺しにしてやるよ!」
「私怨でこんなことするなんて、大義でうごかないあんたは消されるよ」
「俺が消される?舐めた口聞いてんなよ!」
棍棒がメェルアーの腹に直撃する。
「うっぷ……まおうはたいぎのない戦争はしないって」
「どこの誰が言ったかしらねぇが……本当に死にてぇのはつたわった」
顔面を狙い棍棒を振るうカァーラブ。
「身体強化!うぉぉ!!」
鈍い音が鳴り響く。
「へっ、しんどけ。これで俺もまた魔王様の右手まで」
「この時を待っていました。まったくメェルアーは女神の使い方がなっていませんね」
顔中血だらけだが見るからに外傷のないメェルアー。
「この程度の鎖も外せますのに」
力技で鎖を破壊するメェルアー。
「おまえは、この俺を一度殺したアイツだな!!また主人のピンチになるとそうやって出てくるのか!」
「何を言っているのかわかりませんが、私はメェルアー•オレンズですよ」
剣を抜くメェルアー、身体強化をかけて即座に踏み込む。
「はぁぁ!!」
「なにっ?!水の魔術よ!」
水壁を張り一撃を塞いだカァーラブ。
咄嗟の魔力行使に水壁が弾け、辺りへ飛散する。
「くそ、魔族の俺がミススペルをするとは…」
「ミスではありません。私の力です」
メェルアーの闘気が目に見えるほど濃縮される。
「聞いたことがないぞ!相手の魔術を失敗させ、、、」
「気付きましたか?あなた方の崇拝してやまない魔王様とやらの魔術ですよ。勝てませんよ、貴方では私に」
「っ、」
「煮え切らない顔ですね。ええ知っていますよ、魔術からなにからなにまで全てを」
「知ってんならなぜ人の味方をするんだ!」
「ならあなたは末端の魔族達が何をしたか、それについての咎は感じますか?」
勇者も、魔王も異世界人だった。
学生という身分でありながら世界を救う為に呼ばれた勇者陣営と、魔王陣営で。
勇者は魔王を倒す為に、部下を目の前で磔にし、惨殺。
全て魔王がやった悪行へと塗り替えられて現代では伝えられている。
「魔王様は、仲間思いだった…衝突さえすれど」
「えぇ、魔王のデータは読みました。彼女については後悔しかありません」
「知った口を聞くな。たかが女神を降ろせる程度のガキが!」
カァーラブがどれ程激昂して襲いかかっても簡単に弾かれてしまう。
「200年ほど前ですが、女神の記憶がこの地に呼んだものたちを覚えています」
振り分けは本当にランダムだった。天界における安寧秩序の為、呼ばれた42名は性格や生まれに関係なくランダムな陣営配置をされた。
「魔王になられた方は慈愛に満ちたいい人でしたよ。人種の革命を掲げて国相手に善戦したのは知っています」
「なぜ、なぜそこまで知っていて!」
「カァーラブと言いましたね?内では良い行いであろうと外へ出れば悪行です。魔王になった彼女の優しさは人間への牙になりえたのです」
「諭すな!俺を揺さぶるな、俺は、俺が弱かったせいで魔王様は!」
「えぇそうですよ。ムパールトカゲの変異種、あなたが先走るから毎回魔王様は苦労していたのですよ。どのみち勇者陣営は女を食っては捨てるクズでしたので時間次第だったでしょうが」
「全て見ていて、知っていて、また勇者をこの地に送ったのか」
「今回はイレギュラーです。魔王の存在を認知していませんし、勇者もこの世界の人間です」
「俺のせいで魔王様が死んだ、前回も俺が先走ってやられたせいで計画が崩れた」
「どうするつもりですか。もうすぐこの闇魔術も解けますよね?」
「魔王様は毎回、貴方の突っ込み精神が好きって褒めてくれたんだ。だから期待に応えるほど失敗が増えて……そろそろ成果のひとつや二つ持ち帰らないとなぁ」
涙を流すカァーラブにメェルアーは剣を下ろした。
「どんな卑怯でもな……」
無防備なメェルアーに剣が飛んでくる。肩に突き刺さるギリギリで弾き返すメェルアー。
「っ!そうですか、無意味な殺し合いは避けれると思ったのですが」
爪を構えて突撃してくるカァーラブに、メェルアーも剣を大きく掲げる。
「おまえが魔王様の何を知っていようが、それは俺の知る魔王様じゃない!テメェの見様見真似で作った魔術なんざ看破して俺が、俺が……」
メェルアーの振り下ろした剣がカァーラブの額を一閃。
「なるほど、これが目でしたか」
粉砕した魔石が粉のように消える。
天蓋を覆う暗煙は消え去り、気を失ったカァーラブが倒れ込む。
「本格的に転生者について研究しないとですね」
追放者にならない為には と代うたれた本を片手にメェルアーは立ち上がる。
「かめいしょうきょに、ざいさんぼっしゅう。加盟群国内えいえんついほうを背負ってでも私がアラミシアをすくわないと」
多くの大人に止められ納得はしたが、それは戦争をルールを知らない子供だからと曲解。
「メェルアー選手、控え室から出てください。試合が始まりますよ」
「うん」
一年vs三年 二年vs四年 五年vs六年
七年、八年、九年はそれぞれの勝者とやる流れである。
「さぁ剣魔闘技祭の裏メインと言えるでしょう、ジャイアントキリングが出るかもしれない対上級生戦!」
メェルアーの相手は三年青組。
「第一戦目は、もう説明不要!メェルアー•オレンズ」
歓声が飛び交う。この戦いを待ち望んでいた人も多い、同学年以上の白熱した試合が見られるのだから。
「万年成績ビリから登り詰めたこの結果、三年青組カァーラブ•ムラスト!!」
名前は聞いていないがメェルアーは察した。
「なるほど、魔王軍の人間か」
「勇者ともなれば気付けるのか、まぁ知ったところでだがなぁ!!」
戦いの幕が上る。両者魔力を練り上げ、魔術式を構築。
「水の魔力よ、うねり呑み込め!」
「炎の魔力よ、我が力に呼応して敵を焼き尽くせ。エクス•フレア」
「流石と言ったところだな!だがだがだが、貴様に負けた屈辱を果たすまで今日は引かねぇぞ」
炎を喰らいながらニヤニヤとこちらへ迫るカァーラブ。
「なるほど、先生に入ってたやつ」
「だからお前のスペックは把握済みだ!!水の魔力よ、捻り潰せ!」
「短詠唱のオンパレードはこまる。闇の魔力よ、我が力に呼応して敵を呑み込め!」
水の魔力と闇の魔力がぶつかりあたり一面に衝撃が伝う。
「光の魔術よ、つらぬいて!スピア六連ちゃん!」
「あまい、あまいぞメェルアー•オレンズ」
スピアを簡単に叩き斬るカァーラブ、六連と嘘をつき放たれた七連目さえ簡単に切り裂いてしまう。
「コイツとは身体の相性が良くてなぁ、元の肉体の時よりも強いぜぇ」
「あっそ、無駄なお喋りしてる暇があるなら辞退したら?」
ストームを足に貼り付けて一気に詰めるメェルアー。
「勇者の力とやらは使わないのか?舐められたものだなっ!」
力の差は歴然で、軽く剣を払われる。
「はぁぁぁぁ!!光の魔術よ」
両手持ちから左手に切り替え、空いた右手に魔剣を生成。
「私の改変魔術、シャイン•フレア」
口から魔術を放ち目眩しをするメェルアー。
「ここっ!」
「目眩しごときで怯むと思ったか?あぁん?」
首を狙った二双は鞘で止められていた。
「殺すなって言われてたけどよ。やっぱ変更だわ、楽しくなってきたら止めランねぇじゃんかよ!」
「はやいっ、神速」
到底人間ではない速度を見せるカァーラブ。
強化魔術でようやく追い付ける速さ。
「魔銃……暗転の獄!」
剣を銃のように構え魔術を放つメェルアー。
闇の魔力が四方に散らばり視覚を奪っていく。
「魔銃まで覚えてるのか、人間の兵団クラスかぁ?」
「昨日突貫で覚えた。お前をここで屠るために」
メェルアーの展開する術式がカタカタと震え出す。
「闇の魔力よ、敵を刺し穿て」
視覚を奪われた中、カァーラブは見えているかのように避け続ける。
「(めをつぶせっていわれたけど)」
「どうした、こちらから行くぞ!メェルアー•オレンズ」
「身体強化!!!幻影、ライトニングソード!!」
鋭い突きを躱し、二重にかけた幻影で錯乱して、死角より攻撃。
「惜しかったな。一流の剣士ってのは見えなくても見えてんだよ」
「なるほど。勇者の力をさいだいげんだしても不足はないあいてってことだね」
「やれるもんならやってみろよ、血に塗られた悪魔の力をヨォ!」
「わたしがわたしでうつのは初めてだけど…"悪意ある全てを排斥せよ"」
羽が舞い、空から天使が降り立つ。
メェルアーを手で抱擁すると光が放たれ収束した。
「なら俺もやってやるよ。"我が慈しみを感じて死ね"」
カァーラブは禍々しい爪と目をこちらに向ける。
「光の魔術よ、我が力に呼応して敵を刺し穿て!」
「ぬるい」
メェルアーのライトニングスピアーが簡単に弾かれる。
「そのつめやっかい」
「毒爪!!どうした!避けてばっかりか?勇者ってのは卑怯モンの集まりだなぁ!!」
禍々しさと変な液体を撒き散らすカァーラブの爪。
「変な魔術相手につっこむことはおろかしい」
「随分と余裕ぶってくれるなぁ。闇の魔術よ!天蓋を覆え」
結界の内側にピッタリと張り付く黒いモヤ。
「そとへじょうほうはもらさないってこと?」
「かつての勇者が魔王様に行った100の蛮行を貴様の身に刻んでやるだけだ!!」
「今の私には関係がない。光の魔術よ、我が力に……なるほど、」
メェルアーの目の前にたくさんの子供が現れる。
一瞬の躊躇が魔術構築を崩壊させた。
「縛り上げろ、幻想鎖」
メェルアーの両手足に鎖が巻き付く。
「物体生成、しかもこのそくどで」
「配下は居ないもんなぁ。お前が身をもって体験しろ!!ダークランス!!」
「光の魔術よ!」
相殺時の爆風が辺りを覆う。若干の驚きを与えれたが、魔力の消費量的にかなり不利なことをアピールする結果に。
「ほぅやるな。さーて、次はこれだな」
棘の付いた棍棒を軽快に回すカァーラブ。
「俺の同胞、四天王の1人はかなり屈辱的な殺された方をしたんだ。半殺しにしてやるよ!」
「私怨でこんなことするなんて、大義でうごかないあんたは消されるよ」
「俺が消される?舐めた口聞いてんなよ!」
棍棒がメェルアーの腹に直撃する。
「うっぷ……まおうはたいぎのない戦争はしないって」
「どこの誰が言ったかしらねぇが……本当に死にてぇのはつたわった」
顔面を狙い棍棒を振るうカァーラブ。
「身体強化!うぉぉ!!」
鈍い音が鳴り響く。
「へっ、しんどけ。これで俺もまた魔王様の右手まで」
「この時を待っていました。まったくメェルアーは女神の使い方がなっていませんね」
顔中血だらけだが見るからに外傷のないメェルアー。
「この程度の鎖も外せますのに」
力技で鎖を破壊するメェルアー。
「おまえは、この俺を一度殺したアイツだな!!また主人のピンチになるとそうやって出てくるのか!」
「何を言っているのかわかりませんが、私はメェルアー•オレンズですよ」
剣を抜くメェルアー、身体強化をかけて即座に踏み込む。
「はぁぁ!!」
「なにっ?!水の魔術よ!」
水壁を張り一撃を塞いだカァーラブ。
咄嗟の魔力行使に水壁が弾け、辺りへ飛散する。
「くそ、魔族の俺がミススペルをするとは…」
「ミスではありません。私の力です」
メェルアーの闘気が目に見えるほど濃縮される。
「聞いたことがないぞ!相手の魔術を失敗させ、、、」
「気付きましたか?あなた方の崇拝してやまない魔王様とやらの魔術ですよ。勝てませんよ、貴方では私に」
「っ、」
「煮え切らない顔ですね。ええ知っていますよ、魔術からなにからなにまで全てを」
「知ってんならなぜ人の味方をするんだ!」
「ならあなたは末端の魔族達が何をしたか、それについての咎は感じますか?」
勇者も、魔王も異世界人だった。
学生という身分でありながら世界を救う為に呼ばれた勇者陣営と、魔王陣営で。
勇者は魔王を倒す為に、部下を目の前で磔にし、惨殺。
全て魔王がやった悪行へと塗り替えられて現代では伝えられている。
「魔王様は、仲間思いだった…衝突さえすれど」
「えぇ、魔王のデータは読みました。彼女については後悔しかありません」
「知った口を聞くな。たかが女神を降ろせる程度のガキが!」
カァーラブがどれ程激昂して襲いかかっても簡単に弾かれてしまう。
「200年ほど前ですが、女神の記憶がこの地に呼んだものたちを覚えています」
振り分けは本当にランダムだった。天界における安寧秩序の為、呼ばれた42名は性格や生まれに関係なくランダムな陣営配置をされた。
「魔王になられた方は慈愛に満ちたいい人でしたよ。人種の革命を掲げて国相手に善戦したのは知っています」
「なぜ、なぜそこまで知っていて!」
「カァーラブと言いましたね?内では良い行いであろうと外へ出れば悪行です。魔王になった彼女の優しさは人間への牙になりえたのです」
「諭すな!俺を揺さぶるな、俺は、俺が弱かったせいで魔王様は!」
「えぇそうですよ。ムパールトカゲの変異種、あなたが先走るから毎回魔王様は苦労していたのですよ。どのみち勇者陣営は女を食っては捨てるクズでしたので時間次第だったでしょうが」
「全て見ていて、知っていて、また勇者をこの地に送ったのか」
「今回はイレギュラーです。魔王の存在を認知していませんし、勇者もこの世界の人間です」
「俺のせいで魔王様が死んだ、前回も俺が先走ってやられたせいで計画が崩れた」
「どうするつもりですか。もうすぐこの闇魔術も解けますよね?」
「魔王様は毎回、貴方の突っ込み精神が好きって褒めてくれたんだ。だから期待に応えるほど失敗が増えて……そろそろ成果のひとつや二つ持ち帰らないとなぁ」
涙を流すカァーラブにメェルアーは剣を下ろした。
「どんな卑怯でもな……」
無防備なメェルアーに剣が飛んでくる。肩に突き刺さるギリギリで弾き返すメェルアー。
「っ!そうですか、無意味な殺し合いは避けれると思ったのですが」
爪を構えて突撃してくるカァーラブに、メェルアーも剣を大きく掲げる。
「おまえが魔王様の何を知っていようが、それは俺の知る魔王様じゃない!テメェの見様見真似で作った魔術なんざ看破して俺が、俺が……」
メェルアーの振り下ろした剣がカァーラブの額を一閃。
「なるほど、これが目でしたか」
粉砕した魔石が粉のように消える。
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「本格的に転生者について研究しないとですね」
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