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第02章 王立魔法科学園
No.46 アンリ対リーフェ
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『しゅ、瞬殺ぅうううッ!!』
司会者の困惑混じりの声が会場内を駆け巡った。同時に観客も席を立って拍手喝采を送ってきた。僕が見つめる先には格技場のど真ん中で大の字になって倒れているシャルゴがいた。
僕は彼に歩み寄って回復魔法をかけようとするが、シャルゴがその手を掴んで払い除ける。
「...完敗だ、アルバート君。果てしない力の差を感じたよ」
シャルゴは意識があったらしい。てっきり気絶しているものかと思っていたが、タフな男だ。
「自分の傷は自分で治す。これが俺の信条なんだ...少なくとも俺に意識がある間はね」
彼はそう言って立ち上がろうとしたが、まだ身体の動きが鈍いようだ。
僕は彼に手をかして起き上がるのを手伝った。
「...次やる時はもっと強くなって来よう。俺は諦めが悪いことで有名なんだ」
「いつでもお相手しますよ。先輩」
「ああ、また宜しく頼む」
握った彼の手は、魔術士には珍しいマメの出来た硬い手だった。
◇◆◇◆◇
『......大会も後半戦へと入ってまいりました。続きましては!これまた噂の二人!
名家エリオット家出身、その非凡な才能は幼少期からその名を知らしめた!アンリ・エリオットォオ!!
相対するはこれまた名家出身。獣人族の名門フリードマン家の次女、リーフェ・フリードマンッ!!』
司会者の紹介と共に二人の少女が闘技場に入場した。
片や闘志が見えんばかりに滾りを見せている金髪の人間族。
片や至極楽しそうに満面の笑みを携えた獣耳で茶髪の獣人族。
二人は中心まで来ると決められた線の前で立ち止まり相手の顔から目を離すまいと睨み合う。
二人と共に生活し、共に訓練をしてきた僕やイレーナやガルムはこの二人がとても仲の良い親友である事を知っている。だが、こと勝負においては二人の中に容赦は存在しない。
訓練の時もそうだった。何かしらの勝負になるといつも二人は張り合い、全力で競争する。
得意な事に違いはあれど、魔術において二人の能力は拮抗している。勝負も、どちらが勝つか予想できない。
アンリはシャルゴと似て、どっしりと構えたまま動かずに真っ向から戦う傾向がある。
逆にリーフェはフットワークの軽い戦い方で相手を翻弄するのが得意だ。
二人の戦いは、丁度噛み合ったものになるのではないだろうか?
『では両者向かい合って...』
司会者が開始の合図を始める。
アンリは闘志を燃やしながらリーフェを睨みつける。
リーフェはその楽しげな笑みを野生の獣のような、乱暴なニヤつきに変えてアンリに応える。
今日何度目かになる沈黙が、張り詰めた空気が孕む殺気のようなナニカを露見させていた。
『始めッ!!!』
司会者の困惑混じりの声が会場内を駆け巡った。同時に観客も席を立って拍手喝采を送ってきた。僕が見つめる先には格技場のど真ん中で大の字になって倒れているシャルゴがいた。
僕は彼に歩み寄って回復魔法をかけようとするが、シャルゴがその手を掴んで払い除ける。
「...完敗だ、アルバート君。果てしない力の差を感じたよ」
シャルゴは意識があったらしい。てっきり気絶しているものかと思っていたが、タフな男だ。
「自分の傷は自分で治す。これが俺の信条なんだ...少なくとも俺に意識がある間はね」
彼はそう言って立ち上がろうとしたが、まだ身体の動きが鈍いようだ。
僕は彼に手をかして起き上がるのを手伝った。
「...次やる時はもっと強くなって来よう。俺は諦めが悪いことで有名なんだ」
「いつでもお相手しますよ。先輩」
「ああ、また宜しく頼む」
握った彼の手は、魔術士には珍しいマメの出来た硬い手だった。
◇◆◇◆◇
『......大会も後半戦へと入ってまいりました。続きましては!これまた噂の二人!
名家エリオット家出身、その非凡な才能は幼少期からその名を知らしめた!アンリ・エリオットォオ!!
相対するはこれまた名家出身。獣人族の名門フリードマン家の次女、リーフェ・フリードマンッ!!』
司会者の紹介と共に二人の少女が闘技場に入場した。
片や闘志が見えんばかりに滾りを見せている金髪の人間族。
片や至極楽しそうに満面の笑みを携えた獣耳で茶髪の獣人族。
二人は中心まで来ると決められた線の前で立ち止まり相手の顔から目を離すまいと睨み合う。
二人と共に生活し、共に訓練をしてきた僕やイレーナやガルムはこの二人がとても仲の良い親友である事を知っている。だが、こと勝負においては二人の中に容赦は存在しない。
訓練の時もそうだった。何かしらの勝負になるといつも二人は張り合い、全力で競争する。
得意な事に違いはあれど、魔術において二人の能力は拮抗している。勝負も、どちらが勝つか予想できない。
アンリはシャルゴと似て、どっしりと構えたまま動かずに真っ向から戦う傾向がある。
逆にリーフェはフットワークの軽い戦い方で相手を翻弄するのが得意だ。
二人の戦いは、丁度噛み合ったものになるのではないだろうか?
『では両者向かい合って...』
司会者が開始の合図を始める。
アンリは闘志を燃やしながらリーフェを睨みつける。
リーフェはその楽しげな笑みを野生の獣のような、乱暴なニヤつきに変えてアンリに応える。
今日何度目かになる沈黙が、張り詰めた空気が孕む殺気のようなナニカを露見させていた。
『始めッ!!!』
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